「ぐうの音も出ない」とはどういう状態?意味や語源・使い方を解説!

「ぐうの音も出ない」とはどういう状態?意味や語源・使い方を解説!

「ぐうの音も出ない」この言葉を聞いた言葉をご存知でしょうか?この「ぐうの音」の言葉の響きから、様々な意味のイメージが喚起されます。今回は「ぐうの音も出ない」の意味、語源、類語、使い方に至るまで、例文を交えてご紹介していきます。

記事の目次

  1. 1.「ぐうの音も出ない」の意味とは
  2. 2.「ぐうの音も出ない」の語源
  3. 3.「ぐうの音も出ない」の類語
  4. 4.「ぐうの音も出ない」の使い方
  5. 5.「ぐうの音も出ない」の例文
  6. 6.ぐうの音も出ない程怒られた時の対処法
  7. 7.「ぐうの音も出ない」は正論を言われ反論できないこと

「ぐうの音も出ない」の意味とは

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「ぐうの音も出ない」とはことわざになりますが、どんな意味をもっているかご存知でしょうか?「ぐう」という言葉の響きから、なにかの擬音なのか、それとも漢字の音読みを平仮名表記したものなのか、いろいろな想像をすることができます。

今回はこの「ぐうの音も出ない」ということわざの意味からご紹介し、「ぐうの音も出ない」の「ぐうの音」の語源、使い方を例文を交えて説明していきます。

正論を言われ反論できないこと

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「ぐうの音も出ない」とは相手に正論を言われ、徹底的にやり込められて反論できないことを意味します。そしてこの「ぐう」という言葉が一番気になる箇所になります。次はこの「ぐうの音も出ない」の「ぐう」とは何か?その語源を辿っていきます。

「ぐうの音も出ない」の語源

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「ぐうの音も出ない」という表現、実はこの言語の語源には説が分かれており、一説に絞ることができないのが現状です。また語源がある位なので、「ぐうの音も出ない」とは現代で最近誕生した言語ではなく、今から100年以上前、文学作品などでも登場していることが確認されています。

語源となる2つの説

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たとえば、夏目漱石の「三四郎」でも「三四郎はぐうの音も出なかった」とその使用が確認されておりますし、勝峯晋風の「明治俳諧史話」でも「成程、これは剽窃と言はれても、ぐうの音も出ない筈だ」という文章が確認できます。

また、尾崎紅葉の「多情多恨」でも、びしびし言捲られて、ぐうの音も出なかった」と記述されていることが確認することができます。

もちろん現代において、この言葉は雑誌や電子書籍などでも「ぐうの音も出ない」という言葉が散見され、決して死語ではなく現役で使用されていますが、その語源、ルーツは文学作品でも古くから親しまれてきた、由緒正しい言語なのです。

では、「ぐうの音も出ない」のその語源とはなんなのでしょうか?「ぐうの音も出ない」の語源、その分かれる二つの説をそれぞれ、具体的にご紹介していきます。

日光東照宮

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一つ目の語源とされる説は日光東照宮に由来しています。日本で有名な天下人といえば、織田信長、豊富秀吉、徳川家康が挙げられますが、「ぐうの音も出ない」とはこの徳川家康と深く関係しています。

徳川家康は江戸幕府の初代将軍で江戸時代の長期政権の礎を築いた以外な天下人です。徳川家康、その功績の偉大さを称え、神様として日光東照宮に祀られています。

この場合の「ぐうの音も出ない」の「ぐう」は「宮」という意味で、日光東照宮の「宮」から来た言葉と言われています。

織田信長も成し得なかった「天下統一」を成し、長期に渡り、「徳川幕府」にて政を司る切掛を作った徳川家康の偉大さを称え、その日光東照宮の祀られた姿を見て「ぐうの音も出ない」と「宮の音も出ない」となった説が「ぐうの音も出ない」の語源の第一の説になります。

息が詰まったときに出る声

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もう一つの「ぐうの音も出ない」の語源は「ぐう」という擬声語にあります。擬声語とは人や動物の声などをあらわす言語で、たとえば、「がやがや」「わんわん」といったものを指します。

「ぐうの音も出ない」の「ぐう」も上記の擬声語の一つで、「ぐう」と息がつまってしまう状況を指すことから、相手に圧倒されて反論できないという意味に転じ、現在の意味「ぐうの音も出ない」という言葉が生まれたという説です。

この説は「日光東照宮」より有力とされている説ではありますが、確証が得られていないので、この二つの説が依然として「ぐうの音も出ない」の語源として分かれているのが現状です。

「ぐうの音も出ない」の類語

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次に「ぐうの音も出ない」の類語をご紹介します。「ぐうの音も出ない」は圧倒的な力によって、反駁が無可能な状態を指しますが、日本語には他にも似た意味を持つ類語が存在します。

「ぐうの音も出ない」は先述の語源を紹介した際で確認したように「ぐう」は「宮」に掛けていたり、擬声語の「ぐう」に因んでいたりと、説が分かれど、他に例えて表現している言葉ですが、「ぐうの音も出ない」の類語はどんな表現で表されるのでしょうか?

今回は「ぐうの音も出ない」の類語を「手も足も出ない」「返す言葉が見つからない」「こてんぱんに」の3つをそれぞれピックアップしました。それぞれ「ぐうの音も出ない」の類語の意味と、その使い方を一つずつ詳しく紹介していきます。

手も足も出ない

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では1つ目の「ぐうの音も出ない」の類語「手も足も出ない」から見てみます。「手も足も出ない」とは「自分が及ぶ力を超えていてどうすることもできない」という意味になります。

この類語「手も足も出ない」では、自分の力を手や足の身体を用いて表現し、それらが出ない位に力が及ばないという例えを以って、意味合いを表現しております。

「手も足も出ない」の例文を交えて、その使い方を見てみます。「〇〇のチームは、技術力が飛躍的に高く、我々では手も足もでない」「彼女の洞察力は自分より鋭く、手も足も出ない」など、他と力量を比べる際に「手も足も出ない」と使われることが多いです。

返す言葉が見つからない

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2つ目の「ぐうの音も出ない」の類語「返す言葉が見つからない」から見てみます。「返す言葉が見つからない」とは「驚きのあまり、言葉が出てこない」「相手が自分の非に対しての責めがまっとうで、反論できないという意味になります。

この「ぐうの音も出ない」の類語「返す言葉が見つからない」では、「言葉を見つける」こと、そしてそれができない位に例えを以って、「驚いている」もしくは「反論できない」意味合いを表現しております。

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「ぐうの音も出ない」の類語「返す言葉が見つからない」の使い方で注意なければならない点は、相手が自分より優っている場合のみ使われるわけではなく、相手が劣っていたり、意外性のある行動や言動の場合でも使われるという点です。

「返す言葉が見つからない」の例文を交えて、その使い方を見てみます。「彼がこの場であんな行動に出るとは返す言葉が見つからない」「君からの忠告は正論すぎて、返す言葉が見当たらない」などが当てはまります。

こてんぱんに

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3つ目の「ぐうの音も出ない」の類語「こてんぱんに」を見てみます。「こてんぱん」とは「徹底的に」「完膚なきまでに」「ボロクソに」などを意味する副詞で、この「こてんぱん」の後に続く動詞は使い方で変化していきます。

「ぐうの音も出ない」の類語「こてんぱん」を使った例文を見て、「こてんぱん」の使い方を見ていくと、「昨日の柔道で、先生にこてんぱんにやられてしまった」「悪さをしたら、父親にこてんぱんに叩きのめされた」「討論会で他校の生徒にこてんぱんに論破された」などが挙げられます。

つまり「こてんぱん」の使い方で注意すべき点は、一方がもう一方を「徹底的に」「完膚なきまでに」制圧することで、その制圧の仕方は、時と場合により変化し、論理力だったり、技術だったり、肉体的な力だったり、社会的な地位だったりします。

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ちなみに、「こてんぱん」の語源は「コテンコテン」「こってこて」「こってり」から来ているという説があり、「父親からこってり絞られる」という言い回しが派生して、「こてんぱんに」変化したと言われています。

「こてんぱん」は上記のような言い回しの変化を以って、「徹底的に」「完膚なきまでに」「ボロクソ」に制圧されることを言い表した言葉といえます。

「ぐうの音も出ない」の使い方

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上記のような「ぐうの音も出ない」の類語を見てきたところで、今回のテーマ「ぐうの音も出ない」の使い方を見ていきます。明治時代からの文献から「ぐうの音も出ない」が使われていたことを先述しましたが、現代の日常生活で「ぐうの音も出ない」という言葉を使うシーンがあるのでしょうか?

現代でも「ぐうの音が出ない」という言葉が使われるシーンはビジネスシーンに圧倒的に多いです。そして日本では、就業者の約87%の方が「サラリーマン」です。

1日の費やす時間の多くを「サラリーマン」として費やしている人がこの日本で圧倒的に多い中、どんなシーンで「ぐうの音も出ない」が使われるのか以下で紹介していきます。そこには切っても切れない人間関係という「つながり」が介在しているのが確認することができます。

上司などに徹底的に怒られた際に使用

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多くのサラリーマンは、上司がいます。例えば係長は課長が上司ですし、次長は部長が上司、部長は社長が上司という見方もできます。そんな中で、「ぐうの音も出ない」程に「注意」されるという行為は社会生活をしていく中で、ある程度止むを得ないことでもあります。

誰しもが最初から業務を完璧にこなす人間はほとんど存在しない中、「ぐうの音も出ない」場面は、誰もが抱えるであろう上司から徹底的に怒られる際に使われます。

使い方の具体的なケースを見ていくと、例えば「期限までに提出しない」「報告しない」「業務上のミスを犯した」「勤怠で目に余るところがある」など、使い方には様々なケースが存在します。

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現在パワハラなどの企業倫理が問われている時代ではありますが、全てがパワハラに当てはまるケースとは言えず、やはり業務内での注意は、部下を思ってのことも多く、受け入れていくべきケースが多いのも事実です。

このように「ぐうの音も出ない」の使い方で、多く目にするケースは、「上司が部下を徹底的に怒る際」であると言えます。

「ぐうの音も出ない」の例文

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「ぐうの音もでない」の使い方を確認したところで、「ぐうの音も出ない」を具体的にどのように使っていくかを例文でご紹介いたします。

「ぐうの音も出ない」は徹底的にやり込められて、反論できない状況であるということは先述の通りですが、裏を返せば、反論できない側が「非力」であることが多くの原因です。その「非力」であることを咎めらるシーンを抜粋して紹介いたします。

今回は「ぐうの音も出ないほど」「ぐうの音も出なかった」の二つの使い方で例文を作成してみました。その使い方を確認し今後の活用の一助にしてもらえれば幸いです。

ぐうの音も出ないほど

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一つ目の例文「ぐうの音も出ないほど」です。これは、「〜するほど」という文の途中で使われるケースになります。

上司から、レポートを期日までにまとめるよう指示が出されたケースを想定してみます。期日までにレポートをまとめることを了承したにも関わらず、何らかの理由でレポートをまとめられず、途中で相談もせず、提出期日を迎えてしまった場合、「ぐうの音も出ない」状況が発生します。

上司「レポートをまとめたか?」部下「すいません。まだです」上司「どういうことだ。今日までの提出だと言って、了承したはずだぞ」部下「すいません」上司「なぜ途中で言ってくれなかったんだ。途中で言ってくれればどうにかしたのに」などのやりとりに発生します。

このような一連のやりとりの結果、上司に諭されることになり、部下は「ぐうの音も出ないほどに、上司に叱られた」という心証を抱きます。

ぐうの音も出なかった

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二つ目の例文としては「ぐうの音も出なかった」です。これは「出なかった」とあるように過去形で使われるシーンです。今思い起こせば、そうだったと振り返る際に使うことができます。

上司と部下が得意先へ挨拶廻りに訪問したケースを想定します。部下はその得意先の担当で、年に2回程度、上司が同席して挨拶するのが恒例です。普段得意先は、その部下に対して、苦情は直接言いませんが、上司が同席する場で初めての苦情を耳にします。

得意先からの帰り道、上司「今日のお客様、どうしてあんなことを言ったんだ」部下「私も初耳で、正直驚いてます」上司「普段からご要望に応える行動をとっているのか」部下「すいません」このような一連のやりとりが発生します。

上記のような過去の苦々しい思い出を振り返る時、上司からの注意に対して、「あの時、同席の帰り道のやりとりに、ぐうの音も出なかったな」と思い出す訳です。

ぐうの音も出ない程怒られた時の対処法

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上記のように「ぐうの音も出ない」とは自分の非に対して責められる状況で発する言葉のケースが多いのが現状です。誰しも怒られることは好まれざることですが、なるべくしてなってしまった以上、これ以上尾を引かないように適切に対応する必要があります。

次は、「ぐうの音も出ない」程怒られた時の対処法をご紹介いたします。「ぐうの音も出ない」ケースに遭遇する際、今後の処世術として、是非ご参考いただければ幸いです。

素直に謝罪することが一番効果的

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「ぐうの音も出ない」程怒られてしまった、このことは、自分の非に対して相手が怒っている訳であり、自分が憎くて怒っているわけではないことを押さえておくべきです。

また、相手も怒りたくて怒っておらず、中には仕方なく怒っている場合もあります。そして怒った相手にも上司がいることを忘れてはなりません。怒った相手も上司に責任を問われるケースだってあります。

上記の怒った背景もよく考え、自分の非をまずは素直に認め、謝罪することが、怒った相手との今後の関係性を円滑にしていくことにつながります。

怒るという行為はある意味、エネルギーを要します。自分を思っての行為として受け止め、決して「逆ギレ」などはしないようにご注意ください。

「ぐうの音も出ない」は正論を言われ反論できないこと

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「ぐうの音も出ない」に意味、類語、使い方、例文を見てきました。正論を言われる、その正論は正しいと認めているから反論ができない訳です。今後も「ぐうの音も出ない」ケースに出会す可能性もあります。その際は本記事をご参照してもらえば幸いです。

SDA
ライター

SDA

本記事をお読みいただきありがとうございます。近頃はイベント自粛で何かと我慢な日々ですね。ただ最近は、家の中でも新たな発見があるものだと気づかされました。今後はインドアならではのお役立ち情報があれば、記事の通じてどんどん発信していきたいです。明るく取り組んでいきますのでよろしくお願い申し上げます。

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