コンベンションの意味とは?
コンベンションは英語の「convention」をカタカナ表記した日本語で、多くの人が集まる集会や会議という意味のほか、K-POPなど韓流文化コンテンツを体験できるKCONのようなイベントやフェスティバルという意味にも使われる言葉です。
いっぽう英語表現では集会や会議という意味のほかに「大会参加者、出席者」「因習、しきたり、慣習、慣例」など一般的な「集会・会議」とは少し違う意味があり、使い方もことなります。日本語でも「因習、しきたり」という意味で使われることがたまにあります。
またコンベンションは国際的な会議や学会、大会という意味でも使われます。つまりコンベンションはビジネスでも学術でも文化でも政治でも、とにかく「多くの人が集まり何らかのことをする」という意味で使われる言葉です。
コンベンションの類語
類語とは同じような意味や使い方をする言葉のことで、コンベンションの類語には「コングレス」「カンファレンス」「サミット」「ミーティング」などがありビジネスではよく使われる言葉です。
それではコンベンションの類語「コングレス」「カンファレンス」「サミット」それぞれの意味や由来、元となる英単語や語源などを紹介します。「ミーティング」については後の章で、違いも合わせて紹介します。
「コングレス」の意味
「コングレス(congress)」とは「正式な代表者が集まる代表者会議」という意味の類語で、コンベンションと同様にビジネスだけでなく学会や国際会議にも使われる類語です。
「congress」の「con」は「共に」という意味で「gress」は「あゆみ、階段」という意味を持っています。この二つの単語から構成される「congress」は「共に歩む」が「共に集まる」に転化して「会合、会議」という意味になっています。
特にコングレスは、アメリカ合衆国議会や中南米の議会、国会、代表者・使節・委員の代表者会議、評議委員会、代議員会、学術大会という意味で使用されています。
「カンファレンス」の意味
「カンファレンス(conference)」はコンベンションと同じように「大人数が参加する会議や会合」という意味の類語ですが、コンベンションほど大規模ではなく国際的でもありません。
「conference」は「con(共に)」と「fer(運ぶ)」の名詞形「ference(運ぶこと)」の組み合わせで「物事を共に運ぶ場」が元々の意味で、そこから「会議」という意味に転化しています。
またカンファレンスには「相談」「協議」という意味があり、ビジネスだけでなく医療では、外科や内科など各科の病棟間で情報を共有するための会議を「病棟カンファレンス」、チームで医療を行う場合の協議の場を「チームカンファレンス」と呼びます。
病院の運営に関する会議は「運営カンファレンス」、看護学生を集めた会合は「看護学生カンファレンス」など、目的になる会議の名称を頭につけて使うことが多いようです。
「サミット」の意味
サミット(summit)はニュース報道などによく出てくるG7(G7サミット)G8、G20などのことで「主要国首脳会談」や「団体や組織の最高責任者同士の会合」という意味のコンベンションの類語です。
またサミットは開催地の地名を会議名につけて「ロンドンサミット」「ミュンヘンサミット」などとも呼ばれ、日本で開催されたのは「東京サミット」「北海道・洞爺湖サミット」「伊勢志摩サミット」などが有名です。
サミットの語源はラテン語の「最高」という意味で、英語表記の「summit」の元々の意味も会議ではなく「頂上、山頂、首脳」という意味で、最高の首脳が集まるということに由来して「サミット=最高首脳会談」に使われるようになりました。
またサミットは「日本女性会議サミット」「世界海洋サミット」「J-POPサミット」などのように主要国首脳会談だけでなく、各団体や組織、学術や文化の責任者同士の会合にも使われます。これら会議の多様性がコンベンションと似ているので類語になっています。
コンベンションの使い方・例文
コンベンションはその意味により使い方も様々になります。コンベンションを使った言葉には、コンベンションの会場として使用するための大規模な複合施設を「コンベンションセンター」と呼びます。
日本では東京ビッグサイトや幕張メッセ、パシフィコ横浜、インテックス大阪などが有名で、その施設内にある大会議場やイベントスペースを「コンベンションホール」と言います。
またコンベンションセンターのなかの1室で、小規模な会議や講演会、パーティーなどを開催するスペースを「コンベンションルーム」または「カンファレンスルーム」と呼びます。
ビジネスで少し変わった意味合いの使い方としては「コンベンションホテル」「コンベンションサービス」「コンベンションチケット」「コンベンションビューロー」などがあります。
コンベンションホテルは、参加者をメインターゲットとした大規模ホテルのことで、団体客にも対応できるようにグループチェックインができるカウンターや、広いロビーや宴会場が設けられているホテルです。
コンベンションサービスとは、コンベンションを滞りなく運営するのに必要なサービスの総称で、会場のインフラやシステムのサポート、外国人向けの翻訳や通訳のサービス、食事の提供や医療・介護などを行うサービスです。
コンベンションチケットは聞きなれない方も多いかも知れませんが、同じエリアで開催されるサブイベントにだけ参加できるチケットのことで、メインのイベントや会議には入場することができません。
これらのコンベンションを開催することで生まれるビジネスや、運営だけでなくインフラや都市開発を含めた総称を「コンベンションビジネス」と言います。このコンベンションビジネスを導くために「コンベンションビューロー」があります。
コンベンションビューローとは、コンベンションを誘致したり開催を支援する公的機関のことです。主催者に開催都市の優位性を売り込み、開催に必要なインフラや施設、人員の確保、運営の補佐や調整が主な仕事です。
コンベンションには上記のように会議やイベントという意味が主なのですが、そのほかに使い方は多くありませんが「慣習、しきたり」と言う意味があります。それでは例文をあげて使い方を紹介します。
例文①会議・イベント
コンベンションを会議やイベントという意味で使った場合の例文を紹介します。「今回の2020年農業サミットでは、メインのコンベンション会議を幕張メッセで行い、そのあとに懇談会を〇〇ホテルで開催する予定です」
「今回のコンベンション開催は、東京都の支援のもと全国農業〇〇団体が主催いたします。全国47都道府県の農業関係の代表者が一同に集まる一大イベントです」
「コンベンション会場では会議の他、全国の農産物の即売会や農機具の展示会も同時に実施しています。多数の方のご来場をお待ちしています」のような例文の使い方をします。
文化やアーティストを主体にした例文では「2020年J-POPサミットは、今や人気絶頂のPOPSグループ〇〇のコンサートをコンベンション会場メインホールで開催の他、サイン会やグッズの販売も企画しております」
「またコンベンション会場のサブホールでは、クラシックの弦楽四重奏やジャズヴォーカル入りのクインテットの演奏もありますので、興味のある方は是非お立ち寄りください」のような例文になります。
例文②慣習・しきたり
コンベンションを慣習やしきたりという意味で使う場合は少ないのですが、ビジネスでは頭の隅に置いておかないといけないので例文を紹介します。
「うちの会社の社員はコンベンションにとらわれ過ぎているので変化や改革を受け入れようとしないので困る」の例文の場合、コンベンションの意味を会議やイベントと解釈すると意味が通じません。
つまりこの例文の「コンベンションにとらわれ過ぎている」とは「慣習やしきたりにとらわれている」という意味で、変化や改革を求めるならば慣習にこだわらず前に向かってトライする必要があるという意味です。
特にビジネスでは、コンベンションの意味を正しく理解していないと誤解してしまう恐れがあるので注意が必要な言葉です。
コンベンションとミーティングの違い
ミーティングはコンベンションの類語で、お互いに話し合うという意味でコンベンションとほとんど同じです。ではどこに違いがあるのでしょうか。
ミーティングは話し合いや会議によく使われる言葉です。それに比べコンベンションは会議や会合だけでなく、そのイベント内で行われているすべての総称として使われる言葉です。両者の違いを検証するために意味だけでなく使い方も調べてみましょう。
ミーティングとは「話し合う」という意味
コンベンションは大人数が集まる会議やイベントに使われる言葉です。ミーティングは、1対1や少人数のグループの話合いや会議でも使われる言葉で、参加する人数や規模には関係ありません。それに比べコンベンションは規模が小さい場合には使われません。
また使い方で比べると「コンベンションホテル」「コンベンションビューロー」「コンベンションビジネス」「コンベンションシティ」などと言いますが、「ミィーテングホテル」や「ミィーテングビューロー」などとは言いません。
つまりミーティングは「ミィーテングルーム」などのように、目的が会議や会合に限った場合にのみ使用される言葉で、その点がコンベンションとは違います。
同じ「話し合う」という意味でも、ミーティングは数人の場合も含め規模に関わりなく会議をする行動そのものを意味していて、コンベンションの場合は国際大会のように参加する人数が大規模な場合に使われ、少人数の会議はコンベンションと呼びません。
またコンベンションの場合は、単に話し合う会議だけでなく、イベント内で開催されるコンサートや展示会なども総称してコンベンションと呼ぶところに違いがあります。
コンベンションの英語表記
コンベンションは英語では「convention」と表記します。「convention」を英和辞典で引くと政治・宗教・教育などの大会や代表者会議、定期総会、米国で用いられる候補者を指名する党大会などの意味が出てきて、日本語のニュアンスとは少し違います。
英語の例文では「The party convention was put off.(党大会は延期された)」「He was delegated to the convention.(彼は大会に派遣された)」「an annual convention(年次定期総会)」
「A lot of biophysicists attended the convention.(大勢の生物学者が学会に参加した)」「the role of planning and conducting a convention(集会を企画運営する役割)」などがあります。
また「convention」には、条約や協定、社会の慣習、しきたり、などの意味があります。例文では「Universal Copyright Convention(万国著作権条約)」「The United Nations Convention(国連条約)」「He is fettered by convention.(彼は因習にとらわれている)」などと表記します。
このほか英語表記には、伝統的な慣習や慣例を表す単語には「traditioal(トラディショナル)」や、伝統的な文化などでは「culture(カルチャー)」があります。ただし「traditioal」や「culture」は「convention」とは一緒に使うことはないので注意が必要です。
コンベンションは「会議・集会」という意味
コンベンションは会議や集会という意味で、特に多くの人が参加する大集会やG8サミットなどの国際会議などに使われる言葉です。また会議だけでなくJ-POPやKCONなどコンサートライブを含むイベントや、自動車ショーなとの展示会や万国博覧会などにも使用される言葉です。
また「コンベンションサービス」「コンベンションセンター」「コンベンションホテル」「コンベンションビューロー」「コンベンションシティ」などビジネスでも多く使われる言葉です。
またコンベンションという言葉の使い方や例文、英語表記では日本語と少しニュアンスの違う使い方をすることなども紹介しました。ここまで紹介したコンベンションの意味や類語、関連用語を参考にして、ボキャブラリーを増やしビジネスシーンに役立ててください。