且つの意味とは?
「且つ」という言葉はちょっと堅いイメージの日本語なので、普段の日常生活の中で「且つ」という言葉をよく使うという人は少ないでしょう。それは「且つ」には言い換えができる言葉が多く、そちらの言葉の方を使う人が多いからです。
「且つ」は簡単な類語で言い換えることができるので、「且つ」を使う場面であっても「且つ」ではなく他の言葉を使うことが多く、「且つ」の正確な意味を知らない人はとても多いと言えます。
「且つ」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「且つ」の意味についてご紹介しましょう。
二つの行為や事柄が並行で行われるという意味
「且つ」の意味の一つ目は、「二つの行為や事柄が並行で行われる」という意味です。「二つの行為や事柄が並行で行われる」というととても難しい意味のようですが、実はとても簡単です。
「話す」と「お茶を飲む」という行為を並行して行うことは良くあることですが、「且つ」はこういった日常的な行為をつなぐ場合に使われます。
「且つ」は「遊ぶ」と「学ぶ」をつなぐ場合にも使えますし、「笑う」と「お酒を飲む」をつなぐ場合にも使えます。
「且つ」の一つ目の意味は、二つの行為や事柄が並行で行われるという意味ですが、実はとても簡単な意味だということです。
ある事柄にある事柄が加わるという意味
「且つ」の意味の二つ目は、「ある事柄にある事柄が加わる」という意味です。これまた難しそうな意味ですが、こちらもとても簡単な意味です。要するに「何かをしながら何かをする」ということです。
例えば「丁寧に文字を書く」ということに「時間内に作文を仕上げる」ということが加わる場合などに「且つ」を使ってつなぐことができます。
他にも「たくさんのシャツにきれいにアイロンをかける」に「今夜中に仕上げておく」を加える場合にも「且つ」を使うことができます。
このように「且つ」は何かと何かを並行で行ったり、何かに何かが加わるという意味で使うことができる言葉です。
且つの類語
「且つ」の意味についてご紹介しましたので、次は「且つ」の類語についてご紹介します。「且つ」の意味は「二つの行為や事柄が並行で行われる」「ある事柄にある事柄が加わる」という意味ですので、これに近い意味を持つ言葉が類語になります。
実は「且つ」には対義語と言える言葉がありません。「且つ」の意味とは反対の意味を持つ言葉がないため、「且つ」の対義語と言える言葉はないということです。
「且つ」という言葉の類語に当たる言葉とはいったいどういう言葉なのか、「且つ」の類語についてご紹介しましょう。
且つの類語とその意味
「且つ」という言葉の意味は「二つの行為や事柄が並行で行われる」「ある事柄にある事柄が加わる」という意味ですが、先にも少し触れたように、「且つ」には簡単に言い換えができる言葉があります。
それらは「且つ」のように難しいイメージがなく、日常的に普通に使っているため、「且つ」の類語や言い換えだと知らずに使っている人が多いと言えます。
つまり「且つ」の類語は多くの人が普段から使っている言葉だということです。それでは「且つ」の言い換えに使える「且つ」の類語についてご紹介します。
合わせて
「且つ」の類語の一つ目は、「合わせて」です。「合わせて」の意味は「二つ以上あるものをひとつにまとめること」「二つ以上のものをくっつけること」という意味で、たくさんある「且つ」の類語の一つです。
「合わせて」は「且つ」の言い換えに使うことができるので「且つ」の類語ではありますが、意味的には少し違います。
「且つ」は「二つの行為や事柄が並行で行われる」という意味ですので、行為や事柄は二つに限定されます。
ですが「合わせて」は「二つ以上」ですので三つでも四つでも使えます。そういった点で「合わせて」は「且つ」とは違いますが、「合わせて」も「且つ」の類語と言えます。
加えて
「且つ」の類語の二つ目は、「加えて」です。「加えて」の意味は「そのほかに」「さらに」といった意味で、「且つ」の言い換えとして使うことができますので、「且つ」の類語の一つとして挙げられます。
一般的な日常生活の中で「且つ」という言葉はほとんど使われませんが、「且つ」の代わりに「加えて」という言葉を使うことはとても多いです。
また、「合わせて」は二つ以上のものをくっつけるという意味ですので微妙に「且つ」とは違いますが、「加えて」は二つの事柄をつなぐ場合に良く使われますので、「加えて」は「且つ」に近い意味を持つ類語だと言えます。
その上
「且つ」の類語の三つ目は、「その上」です。「その上」の意味は「ある物事にもう一つの物事が加わるさま」という意味で、「且つ」にとても近い意味を持っている言葉です。
「合わせて」は二つ以上の物事に使われるため「且つ」とは微妙に違いますが、「その上」は二つの物事をつなぐ場合に使いますので、そういった点で「且つ」に非常に近い意味だと言えます。
「その上」も「且つ」の言い換えとしてとても良く使われている言葉ですので、「その上」も「且つ」の類語になります。
それに
「且つ」の類語の四つ目は、「それに」です。「それに」の意味は「すでに述べた物事に何かを付け加える」という意味で、一つの何かにもう一つの何かを加えるという意味になります。
「それに」もやはり、二つの物事をつなぐ場合に使われますので、「且つ」と同じような使い方ができる言葉です。
「それに」も「且つ」の言い換えに使うことができ、「且つ」の言い換えとして日常的に良く使われている言葉ですので、「それに」も「且つ」の類語だと言えます。
他に
「且つ」の類語の五つ目は、「他に」です。「他に」の意味は「ある物事とは別の物事」という意味で、一つの物事以外にもう一つの物事をつなぐ場合に使われる言葉で、「且つ」の類語の一つとして挙げられます。
「他に」は意味的には「且つ」にとても近いため、「且つ」の言い換えに使うことができますが、「且つ」とは微妙に違います。
「他に」と「且つ」とは同じように使うことができますが、「他に」は「且つ」が使えない場合にも使えることがあります。
実は「且つ」には使い方にルールがあるのですが、「他に」は「且つ」のように使い方のルールがありません。これについては「且つを使う際の注意点」で詳しくご紹介します。
しかも
「且つ」の類語の六つ目は、「しかも」です。「しかも」の意味は「そうである上になお、それに加えて」「にもかかわらず」「それでも」という意味で、一つ目の意味が「且つ」の類語であると言えます。
「しかも」も「且つ」の言い換えとして使うことができますが、それは一つ目の意味「そうである上になお、それに加えて」という意味での言い換えです。
「しかも」という言葉は「にもかかわらず」「それでも」という意味で使われていることもありますので、「しかも」は必ずしも「且つ」の言い換えばかりではないということです。
且つの使い方・例文
「且つ」の類語についてご紹介しましたので、次は「且つ」の使い方の例文についてご紹介します。「且つ」という言葉は類語に当たる簡単な言葉で言い換えられることが多いため、使い方がわからない人もいるでしょう。
ですが「且つ」の使い方は意外に簡単で、普段類語で言い換えていることを「且つ」に変えるだけで「且つ」をきちんと使うことができます。
「且つ」という言葉はいったいどのように使えば良いのか、「且つ」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「且つ」の使い方の例文の一つ目は、「尚且つ」という例文です。「且つ」という言葉は「尚且つ」という言い方をすることで強調することができ、「且つ」より「尚且つ」を使うという人も少なくありません。
「尚且つ」を使った例文として「彼女は人柄が良く、尚且つ頭も良い」という例文が挙げられます。この「尚且つ」という部分は「且つ」の類語「加えて」や「その上」などに言い換えることができます。
ですが「尚且つ」と言うことによって「加えて」などよりさらに強調することができますので、強調したい場合には「尚且つ」という言い方をします。
例文②
「且つ」の使い方の例文の二つ目は、「彼は良く遊び、且つ良く学ぶ」という例文です。「且つ」の意味は「二つの行為や事柄が並行で行われる」という意味ですので、こういった場合にも使うことができます。
「遊ぶ」と「学ぶ」は全く別の行動ですが、それらをつなぐ場合に「且つ」という言葉を使うことができるということです。
他に「彼女は良く笑い、且つ良く泣く」というように正反対のことも、「且つ」を使うことでつなぐことができます。
この例文の「且つ」の部分を、先にご紹介した「尚且つ」に変えるとさらに内容を強調する言い方になります。
例文③
「且つ」の使い方の例文の三つ目は、「みんなでお酒を良く飲み、且つ良く食べた」という例文です。この例文での「且つ」は「二つの行為や事柄が並行で行われる」という意味での「且つ」の使い方です。
お酒を飲みながらご飯を食べるということは結構良くあることですが、そういった場合にも「且つ」を使って二つをつなげることができます。
この場合の「且つ」は「加えて」や「その上」に言い換えられることが多いですが、時には「且つ」も使ってみましょう。
例文④
「且つ」の使い方の例文の四つ目は、「その施設では必要且つ充分なサービスを受けることができる」という例文です。この例文での「且つ」は「ある事柄にある事柄が加わる」という意味で使われています。
ここまでにご紹介した「且つ」の例文では、主に行動について「且つ」が使われていましたが、「必要」や「充分」といった「何かの様子を表す言葉」にも「且つ」は使うことができます。
この場合の「且つ」は、「加えて」や「その上」といった「且つ」の類語で言い換えることができません。
「且つ」という言葉は文章の流れによっては「且つ」の類語で言い換えることができますが、できない場合もあるということです。
且つと及びの違い
「且つ」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「且つ」と「及び」の違いについてご紹介します。「且つ」と「及び」は似た場面で使われるため、「且つ」と「及び」の違いがわからない人も多いです。
実は「且つ」と「及び」は使い方が違いますが、「且つ」と言うべきところで間違って「及び」を使っている人も少なくありません。
似ているけれど実は違う「且つ」と「及び」の違いとはいったいどういう違いなのか、「且つ」と「及び」の違いについてご紹介しましょう。
及びは名詞を接続する場合の「何かに何かが加わる」という意味
「及び」という言葉も「且つ」と似た意味で「何かに何かを加える」という意味ですが、実は「及び」は名詞と名詞を接続する場合にしか使われません。
先にご紹介した「且つ」の使い方の例文の中に「必要且つ充分」という例文がありましたが、この「且つ」を「及び」に言い換えることはできません。
「必要」も「充分」も名詞のようですが、何かのさまを表す言葉ですので、「及び」を使うことはできません。
「猫及び犬」とは言えても「良く食べ、及び良く寝る」とは言えないということです。こういった点が「且つ」と「及び」の違いだと言えます。
且つを使う際の注意点
「且つ」と「及び」の違いについてご紹介しましたので、次は「且つ」を使う際の注意点についてご紹介します。「且つ」と「及び」の違いの所で触れましたが、「且つ」と「及び」は使い方が違います。
「且つ」にも「及び」と同じように使い方にルールがあるのですが、間違った使い方をしてしまう人も少なくありません。
「且つ」を使う際にはどのような点に注意すれば良いのか、「且つ」を使う際の注意点についてもご紹介しましょう。
名詞をつなぐ場合では使えない
「且つ」を使う際の注意点として、名詞をつなぐ場合では使えないということが挙げられます。「且つ」と「及び」の違いの所で挙げた「猫及び犬」ですが、これを「猫且つ犬」と言い換えることはできません。
「海及び空」とは言えても「海且つ空」と言い換えることはできませんし、「塩及び砂糖」とは言えても「塩且つ砂糖」とは言えません。
ただ、先にご紹介したような「必要且つ充分」では「且つ」を使えますので、「且つ」の使い方は少し難しいと言えます。
このように「且つ」は名詞をつなぐ場合には使えませんので、「且つ」を使う際にはこの点に注意しましょう。
且つは二つの行為や事柄が並行で行われるという意味
「且つ」という言葉の意味や類語や使い方など、「且つ」について色々とご紹介してきましたが如何だったでしょうか。
「且つ」の意味は「二つの行為や事柄が並行で行われる」という意味ですので、間違った使い方をしないよう注意して正しく使いましょう。