「ですので」の意味
あなたは、日常の会話の中で誰かとなにげに「ですので」の言葉を使って話していたりしませんか?または相手から会話の中で「ですので」と返されたこともあるでしょう。それはどのような場合で、どのような状況でしたか?
「ですので」は、カジュアルな雑談の中では、あまり使われない言葉です。むしろビジネス・シーンやニュースのようなフォーマルに近い状況の中で、使われています。そして男性・女性の区別なくこの言葉を使っています。
あなたは、何の前置きもなくいきなり「ですので」の言葉から話し始め、相手から不思議な表情をされませんでしたか?どうも文頭には置けない言葉のようです。あまり考えずにあなたは、「ですので」を前の文と後の文をつなぐ言葉として使っているのではないでしょうか?
また言葉にはフォーマルな言葉とカジュアル言葉の区別があり、私たちは日常生活の中で、この二つの言葉を使い分けて人と会話をしています。そして「ですので」の言葉はとても丁寧な響きを持ったフォーマルな言葉です。
フォーマルに近い状況、特にビジネス・シーンで使われることが多い言葉であるなら、「ですので」の意味や正しい使い方を知るのは重要です。
家族や友達との気楽な雑談で使われている言葉はカジュアルな言葉です。ビジネス・シーンも含めフォーマルなシーンとは、会社・教育の場・銀行・市役所などの公共機関・病院・報道機関などです。そうした場面ではフォーマルな言葉が使われています。
カジュアルな言葉とフォーマルな言葉の使い分けや使い方を上手にできれば、人物が確立されているという印象を人に与えられ、あなたへの評価も高まります。大切な言葉づかいである「ですので」の意味や使い方を知りたい所です。ここではまず「ですので」の意味から紹介しましょう。
意味 : よって・そういう訳なので
「ですので」は接続詞で、助動詞「です」と助詞「なので」が付いた語です。文と文とをつなぐ働きのある言葉「ですので」の意味は、「よって」「そういう訳なので」です。
「よって」は接続詞で、漢字で書くと「因って・依て」です。前の文と後に続く文をつないで「そういう訳で」「そのために」「それゆえ」「したがって」の意味になります。
「ですので」は丁寧な響きのある言葉なので、この言葉が使われる場面や状況があなたにはイメージできるのではないでしょうか?「ですので」の意味として「〜だから」「〜であるから」「〜なので」も含まれます。
「ですので」の類語や言い換え
次に「ですので」の類語や言い換えについて見てみましょう。「ですので」の言葉の意味や使い方を知る上で、類語や言い換えを知れば、「ですので」の働きがもっと分かりやすくなります。
言葉の意味や使い方を調べたい時、調べたい言葉だけにとどまらず、その言葉の類語や言い換えまた時には反対語も見て行くことは、調べたい言葉の理解を深めるとともに同じ性質や働きの他の言葉への領域も広げてくれるからです。
ですから
「ですので」の類語「ですから」は、接続詞です。助動詞「です」に助詞「から」の付いた語になります。「ですから」は「だから」の丁寧な言い方です。「それゆえ」「そのため」「そいうわけで」に言い換えられます。「ですので」と似た働きの言葉と言えます。
ただ「ですので」と「ですから」には、使い方に違いがあり注意が必要です。「ですから」は、すでに説明したように「だから」の丁寧語なので文頭に置けますが、「ですから」は文頭に置けません。例文に(旅が好きでした。「ですから」各地にお友達がいます)があげられます。
そのため
「ですので」の類語「そのため」は、接続詞で漢字では「其の為」と書きます。「そいう訳で」「だから」「それゆえ」の意味に言い換えられます。例文として(今年は夏が寒かった。「そのため」米が不作です)があげられます。
「そのため」の英語表現には、「therefore」「for that reason(purposeその理由<目的>のために)」があります。例文として「The cell phone is thin and light and therefore very convenient to carry around.(携帯電話は薄くて軽いため、持ち運びにとても便利です)」があげられます。
「therefore」は、ビジネスファイルや学術論文などで、前の文で原因・後の文で結果や結論を言いたい時使われます。「and」「so」より、フォーマル寄りの言葉です。
すなわち
「ですので」の類語「すなわち」は接続詞で、「とりもなおさず」の意味です。例文に(子の喜びは、「すなわち」親の喜びである)があります。また「すなわち」は「〜ば」を受けて「そのときは」「つまり」の意味として(戦えば「すなわち」勝つ)の例文を作れます。
「とりもなおさず」は、漢字で「取りも直さず」と書きます。前に述べたことが次に述べることにひとしいことです。例文に(この事実を認めることは「とりもなおさず」彼の無実を認めることです)があげられます。
「すなわち」の英語表現には、「that is to say(もっと正確に言うと)」「in other words(言いかえれば)」などがあります。
ゆえに
「ですので」の類語「ゆえに」は、接続詞です。先にあげた事実から導かれることを述べるときに使う言葉になります。「こういうわけで」「それだから」に言い換えられます。例文に(我思う。「ゆえに」我あり)や(この地は温暖多雨である。「ゆえに」、植物がよく繁る)があげられます。
「ゆえに」の英語表現には「so」より堅めの「therefore(それゆえに・したがって・その結果)」があります。「therefore 」は、文頭・文中に置けます。上記、日本語の「すなわち」の例文にあるデカルトの言葉(I think, 「therefore 」I exist [am]. )があげられます。
「ですので」の正しい使い方
「ですので」は、助動詞「です」と助詞「なので」が付いた語ですから、「なので」の丁寧な表現になるのです。敬語ですからビジネス・シーンで「ですので」を使いこなしたいものです。ただ使う場合の正しい使い方のポイントのひとつに、決して文頭に置いてはいけないことがあげられます。
「ですので」は接続詞の「順接」という接続の仕方です。前の文と後の文をつなぐ役割をする言葉なのですから正しい使い方ができれば、ビジネスでの情報交換もスムーズにできます。「ですので」の正しい使い方のポイントを見てみましょう。
「ですので」は順接のつなぎ言葉
「ですので」は順接のつなぎ言葉で、「順接」は接続詞の一つの接続の仕方です。ある条件に対して予期されるとおりの結果が現われることです。例文をあげると(君が来た。「だから」うまく行った)(急いだ「ので」間に合った)の中での「だから」「ので」の使い方です。
これに対し「順接」の反対は「逆接」になります。「逆接」はある条件に対し予期される結果が現れない、または条件と結果との間に食い違いがあることです。例文に(2時間待った。「しかし」彼は来なかった)(努力した「が」、ダメだった)の「しかし」「が」の使い方があげられます。
意味の上で接続詞には、その接続の仕方によって「順接(したがって、だから)」「逆接(しかし、けれども)」「並立(および、また)」「添加(しかも、なお)」「選択(または、それとも)」「転換(ところで、それでは)」などの種類があげられます。
文頭でも使える「だから」に対し「ですので」は、文頭に置けない言葉だと覚えておきましょう。順接のつなぎ言葉として文と文の間に置くのが正しい使い方です。
「なので」の丁寧な表現
「ですので」は、「なので」の丁寧な表現です。間違いやすいのは、「ですので」を「だから」の敬語として「ですので」の丁寧な表現」だと勘違いしてしまうことです。
「だから」は接続詞で、助動詞「だ」に助詞「から」が付いたものです。「それゆえ」「そんな訳で」に言い換えられます。例文としては、(なに、壊した。「だから」注意したのに)や(「だから」言わないことじゃない)(だからと言って)があげられます。「だから」は文頭に置けます。
敬語として使用できるが注意が必要
「ですので」は「なので」の丁寧な表現で、敬語として使える言葉ですが、使い方に注意が必要です。「敬語」には、「尊敬語(目上の人に)」「謙譲語(自分が引いて相手を立てる)」「丁寧語(聞き手に対し丁寧に対する意味で、<です・ます>などつける)」の三つの種類があります。
「ですので」は「敬語」の種類の中の「丁寧語」にあたります。「ですので」の使い方で注意したいポイントを例文をとおして見てみましょう。
「ですので」の例文
「ですので」の類語に「ですから」がありました。けれど、この二つの言葉を同じとして言い換えることはできません。「ですので」が丁寧で優しい響きを持っているのに対し、「ですから」は、断定的な響きを持っているからです。例文を見てみましょう。
(ミーティングは午後1時開始「ですので」、それまでに必要なアンケートをすませて置いてください)の例文「ですので」を「ですから」に言い換え(ミーティングは午後1時開始です。「ですから」それまでにアンケートをすませて置いてください)では「ですので」の方がソフトです。
一般的に「ですので」はフォーマルな「話し言葉」の中で、「ですから」は、フォーマルな「書き言葉」の中で使われることが多いです。
また「ですので」の類語には「そのため」もありました。けれど「ですので」を「そのため」に言い換えることはできません。「そのため」は順接の接続詞ですが、文頭に置いて使う言葉だからです。
例文(あの医師は優秀「ですので」、病院の広告塔になれるでしょう)で「ですので」を「そのため」に置き換える場合(あの医師は優秀です。「そのため」病院の広告塔になれるでしょう)になります。
ビジネスメールで使用する場合
では、「ですので」をビジネスメールで使えるのでしょうか?「ですので」は敬語の一つの丁寧語ですから、優しい響きのある表現です。メールの送り先が、社内の同等の立場であれば使えます。
送り先の相手が、目上の人(相手を立てたい上司や取引先の担当者)なら、「ですので」の類語を使って言い換えた方が良い場合があります。ビジネス・シーンで相手を立てなくてはならない時、「ですので」はフォーマルな言葉ですが「つきましては」などに言い換えて使いましょう。
「ですので」の英語表現
ビジネス・シーンなどで使われる日本語の「ですので」は、敬語の一つの丁寧語ですから、英語表現でも同じようにフォーマルな言葉が使われます。「ですので」の英語表現として「so」「because」「since」などあげられますが、これらの英語の言葉は、カジュアルな言葉です。
英語講師のKeith Jacksonさんによると「ですので」のビジネス・シーンでの英語表現は、「so」や「beacause」を使わずフォーマルな英語「therefore」や「for this reason」が使われると言うことです。
「therefore」の意味は、「ゆえに」「それによって」「その結果」です。「ですので」は、前の文を原因・理由として結果を表す順接のつなぎ言葉です。「ですので」を言い換えた「したがって」の英語表現は「therefore 」「thus」「hence」「accordingly」で、フォーマルな言葉として使われます。
ビジネスシーンでよく使用される
それではビジネス・シーンで良く使われる「ですので」の敬語にもあたるフォーマルな英語表現を見てみましょう。「therefore」は、カジュアルな英語表現「so」に較べ堅めの表現です。「so」は文頭に置けますが、「therefore (and therefore )」は文と文の間でしか使えません。
例文に(Payment was received two weeks after it was due; 「therefore」,you will be charged a late fee.支払いは、支払い期限の2週間後に受領されました。したがって、延滞料が請求されます)があげられます。
また「for this(that)reason」の例文を見てみましょう。(That's the reason why he was fired.そのような訳で彼はクビになりました)はカジュアルな表現ですが、(He was fired 「for that reason」.彼はそのような訳でクビになりました)とするとフォーマルな表現になります。
「ですので」は順接のつなぎ言葉として使用する
ひとつの文から次の文に移る時は、次の関係がどういうものか意識して、適切な接続詞を使うと論理的な文の流れを作ることができます。接続詞の意味を知り、適切に使いこなせることは、話したり文章を作る上で大切なポイントになります。
ビジネス・シーンで目上の人や取引先の担当者に正しい敬語が使え、適切に「ですので」を言い換えられることは重要です。「ですので」を正しく使いこなし、ビジネス・シーンであなたのメッセージ性を高めて行きましょう。