ヤツメウナギの特徴
ヤツメウナギの特徴はずばり独特な口の形となっています。名前からヤツメウナギはうなぎや魚の一種と思うかもしれませんが、まったくもって違った無顎類という生きた化石とも呼ばれる種族に属しているのです。
このようなグロテスクな見た目を持っていると果たしてどのような味の料理が存在するのか疑問に感じてしまうかもしれませんが、日本では江戸時代の頃から干物などに加工するような食べ方が好まれていました。
実は食用のヤツメウナギと自然に生息している生態のヤツメウナギがあるので、しっかりと食べられるかどうか確認する必要があります。
ヤツメウナギは比較的脂肪の多い生物なので、焼いて食べるとレバーのような独特の食感や風味を楽しむことができます。さらにビタミンAを多く含んでいるので、案外栄養価の高い生物としても知られています。
特徴は独特な口
ヤツメウナギの特徴は独特な口と言いましたが、実際に写真を見てみるとまるでヤスリのようなとげとげとした歯がぎっしり並んでいます。実はこの口を利用して魚の血液や体液を吸い上げている生物なのです。
口を閉じていればただのうなぎに似た生物に見えるかもしれませんが、口を広げた時はまさしく捕食者の姿をしています。
広げた口はまるで何かを吸い込むような形をしていますが、その形の通り吸盤のような役割を持っています。このギザギザした歯と吸盤の原理を利用して魚などの生物に寄生するのがヤツメウナギとなっているのです。
他の魚に寄生する吸血魚
ヤツメウナギは吸血魚として知られています。基本的には大型の魚に吸い付いて血液や体液を吸っているのですが、中には魚の肉をはぎ取るタイプのヤツメウナギも存在します。
幼生期はプランクトンなどを食べるだけなのですが、成長するとだんだんと魚に食らいついていくようになります。
ヤツメウナギはとげとげとした歯と吸盤によって魚の体に傷をつけて、ランフェレディンという特別な腺液を使って魚の皮膚を溶かして、魚の体液や血液を吸っています。
ヤツメウナギの生態・生息地
ヤツメウナギは実際どのような場所に生態・生息地があるかご存知でしょか?ヤツメウナギは淡水の河川などに生息地を持っていて、世界中の寒冷水域に生息しています。つまり熱帯にはいない生物となります。
日本国内の河川にもちろん生息しているので、寒い地域に行った際は見かけるかもしれません。主にカワヤツメ・スナヤツメ・シベリヤヤツメ・ミツバヤツメの4種類のヤツメウナギが日本にいます。
この生物は表面はうろこがなく、細長くうなぎ型という生態の特徴を持っています。側面には鰓穴が7つもあることから、ヤツメウナギと名付けられました。
寒冷地域の河原に生息している
上記でヤツメウナギは日本国内にも生息していると言いましたが、主に北海道、青森県、秋田県、山形県、新潟県といったやはり寒冷地域に属する日本北部に見られることが多いです。
じつは日本海側では島根県より北の地域や、太平洋側では茨城県寄り北で見られることもあるので、意外と広い分布で生息していることがわかります。
日本における食用のヤツメウナギはほぼカワヤツメとなっています。さらに日本の寒冷地域ではヤツメウナギが昔からよく取れたために郷土料理の食材としてよく使われています。
食べる場合の旬は11~2月
うなぎと聞くと「土用の丑の日」を思い浮かべるかもしれませんが、ヤツメウナギはうなぎではないのでこの時期は旬ではありません。ずばり11~2月にかけてが旬となっています。
特に日本では食用のカワヤツメが産卵のために川を上ってくる時期なのですが、やはり脂がのっていて、身が引き締まっているので一番おいしい時期なのです。
こういったカワヤツメの食感はまさしくホルモンのようなコリコリとした食べ応えのあるものとなっています。グルメにとってはこの珍しい食感を気にいっている人も多くいるようです。
ヤツメウナギとウナギの違い
ここまでヤツメウナギの特徴や生態について説明してきましたが、名前が似ていることで同じ種族だと思われているうなぎとの違いを紹介していきます。
ヤツメウナギは名前の中にうなぎが入っているものの、魚ではなく無顎類というむしろ化石の一種とも言うことができます。
ヤツメウナギは本当に構造や生態からどのような面においてもうなぎとは違った生物なので以下の項目を参考にしてみてください。
構造・生態が違う
まずヤツメウナギとうなぎの大きな違いは構造に見ることができます。ヤツメウナギは口を広げると吸盤のような口とぎざぎざとした歯がずらりと並んでいるのが特徴です。
ヤツメウナギはうなぎのように細長いためにうなぎと混同されがちですが、その口の構造は魚に寄生するための機能が備わっているので、うなぎとは全く違うことがわかります。
さらにヤツメウナギの由来である8つの目のようなエラもうなぎには見られない特徴となっているので、よくよく見るとこの二つの生物は別の種族であるのはわかりやすいはずです。
独特の生態系を持つ
次にヤツメウナギとうなぎの違いは生態にも見ることができます。ヤツメウナギは魚に寄生するような生態系なので、魚の一種であるうなぎとは全く持って違った生態系を持っていることになります。
上記の構造の項目でも説明したようにヤツメウナギはとげとげとした歯と吸盤のような口を持っています。この構造を持っていることによって魚に寄生するような生態を持つことができます。
さらにうなぎは魚ではあるものの、普通の魚とは違った生態を持っています。サケなどの魚は海で育ち、川で産卵しますが、うなぎは川で育って海で産卵する生態です。
そしてうなぎはとても複雑な育ち方をしているので、それぞれの生態を把握するのが難しい生物でもあります。
生息地が違う
基本的にうなぎは日本においては養殖がメインとなっています。自然に生息している場所をあげるのならば、熱帯から温帯に属するような太平洋側から海南島まで広く分布していました。
一方で、ヤツメウナギは自然に生息している種類の生物となるので、上記で述べたような寒冷地域で見かけることができます。
つまり自然に生息しているうなぎは熱帯や温帯、ヤツメウナギは寒冷地域に生息しているという違いがあるという事です。
味が違う
うなぎは言うまでもなくおいしく食べることができますが、実はヤツメウナギも食べることは可能です。
うなぎは基本的にかば焼きにして食べることがほとんどですが、臭みはほとんどなく肉厚でふっくらとした食感を楽しむことができます。
ヤツメウナギはコリコリとしたホルモンのような食感を持っているので、うなぎとは違った食感なことは確かです。さらにヤツメウナギ特有の臭みがあるのも特徴となっています。
ヤツメウナギの栄養・効能
ヤツメウナギはうなぎとは違う生物なものの、しっかりとした栄養や効能を持っています。見た目がグロテスクなのであまり料理向きではないと思われがちですが、食べることによって栄養を摂取することができます。
具体的に言えばヤツメウナギは目への効能と脂質代謝を上げる効能があります。実際にヤツメウナギを原料とした健康食品なども発売されているくらい栄養価が高いのです。
もしも目の健康や脂質の代謝を気にしている人は是非ともこういったヤツメウナギを食べてみてください。
目の健康に効果的
ヤツメウナギは栄養が高いと言いましたが、具体的に言えばビタミンAという栄養が豊富に含まれています。このビタミンAはまさしく目の健康に作用するような栄養素となっているのです。
ビタミンAは視力低下を防いでくれるような栄養素でもあるので、ヤツメウナギは目の健康に効果的となっています。
実は江戸時代の頃にもヤツメウナギは食されていたわけですが、水戸黄門が「救民妙薬」という本にヤツメウナギについて触れています。彼はヤツメウナギは夜盲症に効くと書き記しているのです。
夜盲症は夜や暗いところで視力が著しく衰えて、よく見えなくなってしまう病気となっています。ビタミンAを摂取することによって光の明暗を感じ取る能力を高めることができます。
脂質代謝の上昇に効果的
ヤツメウナギは目の健康にいいだけでなく、脂質代謝の上昇に効果的な生物です。実はヤツメウナギの脂が脂質代謝をあげるといった論文も発表されているくらい栄養が高い食材となっています。
やはり健康食品に使われるくらい栄養価が高いヤツメウナギなので、実際に料理として食べてもしっかりと栄養を摂取することができます。
もしも健康や脂質を気にしている生活を送っているのであれば、こういったヤツメウナギの料理を食べる事をおすすめします。
生活習慣病の予防
最後に紹介したいヤツメウナギの効能は生活習慣病の予防ということです。ヤツメウナギに含まれるDHAやEPAが血液中の中性脂肪やコレステロールを抑制してくれる効果があります。
このような栄養が含まれていることによって血流を改善し、脳梗塞や動脈硬化、心筋梗塞といった生活習慣病を防ぐ効果があるわけです。
もしも自分自身の健康を気にしている人はこういった目の健康や脂質代謝がよくなるようなヤツメウナギを食べてみるといいかもしれません。
ヤツメウナギの釣り方
ヤツメウナギは基本的に寒冷地域に生息していると言いましたが、実際にどのような釣り方があるかご存知でしょうか?地域によっては独特の釣り方もあるのでぜひ参考にしてみてください。
ヤツメウナギは河川に生息している生物なので、釣り堀などで釣りをする感覚とはかけ離れています。もしも釣りが趣味だとしても河川の危険性を十分に考慮したうえでヤツメウナギ釣りに出かけるべきです。
もしも釣りが苦手な人であれば、東北や北海道の方にヤツメウナギを取り扱っているお店もあるのでぜひ食べに行ってみてください。
手づかみで獲れるが危険
釣りと聞くと、釣り堀で釣竿を使ったものを想像するかもしれませんがヤツメウナギの釣り方は多様性があります。まずヤツメウナギは手づかみで獲ることができるけれど、危険が伴うことを覚えておきましょう。
北海道などでは川の石に吸い付いているヤツメウナギを手づかみで確保している釣りの仕方があります。うっかり川の石の張り付いているヤツメウナギは結構いるので容易に獲ることができます。
しかし、手づかみで獲れるとはいってもヤツメウナギの特徴である吸盤のような口とギザギザ歯に気をつけなければなりません。
魚に加えて石にまで張り付くような生物なので、人間にも吸い付いてくることを前提に釣りをする必要があります。
アミなどを使って獲る
次はアミなどを使って取る方法ですが、こちらは手づかみで獲る方法よりもオーソドックなものとなっています。むしろヤツメウナギはアミで釣るといった方法が一般的です。
具体的にはたも網という種類のアミを使って獲るのですが、どのようなアミかご存知ですか?たも網とは釣りなどでよく使われる魚類を救い上げるための小型のアミのことです。
ヤツメウナギは人間にも吸い付いてくる危険性が十分にある生物なので、こういった遠隔からでも確保できるようなタイプの釣り方が無難でしょう。
漁獲量が高いのは江別市
ヤツメウナギは主に寒冷地域に生息していますが、一番漁獲量が高いのは江別市となっています。江別市は新千歳空港新千歳空港が近くにあり、北海道の中でも立地に恵まれている地域という事ができます。
江別市の近くには石狩川があるわけですが、カヤでできた「ドウ」という道具を沈めるのがオーソドックな釣りの方法のようです。まずカヤとは日本の東北地方付近に生息している常緑針葉樹の事を指しています。
そして「ドウ」とは太いビンのような形をしていて、なんと直径80㎝もの大きさの道具となっています。
さらに高さは150㎝ほどある道具となっているので、ヤツメウナギを効率よく大量に釣ることができます。ヤツメウナギはこの中に入ってしまうと出ることができなくなるといった構造をしています。
ヤツメウナギの料理方法・食べ方
ここまでヤツメウナギに関する様々な情報を紹介してきましたが、ヤツメウナギにはどのような料理や食べ方があるかご存知でしょうか?
ヤツメウナギはうなぎのふっくらとした食感とは違ったホルモンのようなコリコリとした食感が特徴です。この項目で紹介する料理や食べ方はその特徴を生かしたものとなっています。
さらにヤツメウナギは味が少しだけ独特なので、しっかりと臭み抜きをする必要があります。臭み抜きさえできれば一気においしい味の料理を作ることができます。
かば焼き
やはりヤツメウナギの定番料理はかば焼きとなっています。タレによって味はうなぎのかば焼きに似せていますが、ヤツメウナギの独特のコリコリとした食感を楽しむことのできる料理です。
甘辛いタレの味と身の引き締まったヤツメウナギは意外と合う食べ方となっています。まずはヤツメウナギの内臓を取り除き、湯通しをして臭み抜きをします。
この段階でしっかりと湯通しをしないと料理の味に影響を与えてしまうので、できるだけ湯通しの時間を長めにしてもともとの味を薄めていきましょう。
湯通しの後は氷水でヤツメウナギの身を締めて、グリルで焼けばヤツメウナギのかば焼きの料理は完成です。
かば焼きのタレの作り方
ヤツメウナギのかば焼きのタレの味はウナギのかば焼きと同じ要領で再現することができます。もちろん市販のタレの味は美味しいのですが、せっかくなら手料理に合わせてかば焼きも手作りしてみましょう。
まずはみりん、酒、砂糖を沸騰させ、アルコールを飛ばしていきます。そして醤油、塩、山椒を混ぜ合わせることによってかば焼きのタレは完成します。
案外簡単にかば焼きのタレの味は再現することができるので、もしも家でかば焼きの味を楽しみたいときは手作りしてみるのもいいかもしれません。
八つ目重
うな重が存在するように、八つ目重という料理も存在します。基本的にヤツメウナギの料理はうなぎの食べ方と同じような食べ方といっても過言ではありません。
うなぎのタレの味は醤油、みりん、砂糖、酒で簡単に再現することができるので簡単にお家でも作ることができます。
この料理はうなぎとは違った身の引き締まったコリコリとした食感を楽しむことができるので、食べ応えのある料理が食べたい人にぴったりかもしれません。
刺身
新鮮なヤツメウナギを手に入れるのは大変かもしれませんが、この料理の味と食感は一度食べてみることをおすすめします。
とれたてのヤツメウナギを一気にさばけば簡単に刺身の料理を作ることができます。わさび醤油などの調味料と一緒に食べることによって一気においしい味になります。
魚の刺身とは全く持って違う味わいや食感を持っているわけですが、鶏モツを刺身にしたかのような味わいと食感と言ってもいいかもしれません。
味噌汁
ヤツメウナギには多くの栄養素を持っていることを説明してきましたが、やはりみその味と楽しむことのできるみそ汁といった食べ方がおすすめです。
みそ汁は日本人の朝食といったイメージの料理ですが、みそ汁自体も栄養価の高い料理なのでヤツメウナギを入れることによって一層栄養を取れるような食べ方となります。
もしもヤツメウナギ特有の臭みや味を気にしてしまう人がいれば、しっかりと湯通しすることを忘れてはいけません。
ヤツメウナギとみそ汁を合わせるという食べ方とても健康的な生活をすることだって可能になります。
かやき
次に紹介したいヤツメウナギのおすすめの食べ方は、かやきと呼ばれる料理になります。耳慣れない料理の名前かもしれませんが、秋田の郷土料理の一つですき焼きの味のような料理となっています。
かやきはとてもワイルドな食べ方となっていて、ぶつ切りにしたヤツメウナギを沸騰した鍋の中に入れ、ネギや豆腐といった具材を入れるといった料理です。
もしかしたらヤツメウナギ特有の味や臭みが気になる人もいるかもしれないので、そういった味を抑え込みたい場合はしっかりと湯通しをしておきましょう。
炭火焼き
ヤツメウナギの料理を楽しむことのできるお店のなかでも炭火焼は鉄板の食べ方となっています。適度な大きさに切ったヤツメウナギを炭火であぶる簡単な料理です。
肉や魚にはないコリコリとした食感が特徴となっているので、まるでホルモンをかじっているかのような気持ちになるかもしれません。
もしも家で作る場合には臭みを抜く作業をすることによって、より一層美味しい食べ方ができるのでぜひヤツメウナギの炭火焼きも作ってみてください。
干物
最後に紹介したいおすすめのヤツメウナギの料理は干物になります。ヤツメウナギは江戸時代でも注目されていたことを説明しましたが、やはり滋養目的で食べている人も多かったようです。
干物にすることによってヤツメウナギの特徴であるホルモンのような食感を楽しむことができます。さらに干物にすることによって長期保存することだって可能になります。
もしもヤツメウナギを手に入れることができるのであれば昔の江戸時代の人がやっていたように干物にしてみるといいかもしれません。
ぜひこのような様々な料理によっておいしい、そして栄養価の高いヤツメウナギを楽しんでみてください。
ヤツメウナギはウナギとはまったく違う生物
ヤツメウナギは見た目がグロテスクでうなぎとは全く違った生物となっています。この生物は魚の体液や血液と吸収することによって生きている生物なので、一部では吸血魚としても知られています。
このようなグロテスクなヤツメウナギですが、少し工夫するだけで美味しく食べることができます。江戸時代から脈々と食べられてきたように今でもヤツメウナギを美味しくいただくことは可能です。
ヤツメウナギはなじみのない生物かもしれませんが、昔から栄養価の高い生物として扱われてきました。
もしも自分の健康に不安がある人や、はたまたヤツメウナギの味が気になる人はぜひヤツメウナギを手に入れてみて料理を作ってみてください。