ペンディングの意味とは
「ペンディング」という言葉は会社では多く使われるビジネス用語で、ビジネスマンの間ではごく普通に使われています。しかし、改めて「ペンディング」の意味を聞かれると、会社に入ると周りでよく使われていて、何となく自分も使うようになったからという人も少なくないかもしれません。
そのためペンディングの正確な意味を正確に回答できる人も、もしかしたらあまりいないのではないでしょうか。ペンディングの正しい意味を知らなければ場合によっては大きな間違いをしてしまうこともあります。
「ペンディング」の正しい意味を理解し、間違いのない行動がとれるようにここに語源から使用例までを挙げて紹介します。
ペンディングはよく使われる言葉なので、今まで意味を勘違いしていたという人は、これを見て、今後に生かしてください。
ペンディングの語源
その言葉の意味をイメージとしてとらえるには、似た意味を持つ類語との比較や語源を知るのが早道です。まず、その言葉の語源となっている言葉がどこの国の何という意味なのかから紹介します。
ペンディングの語源を調べてみると、英語の"pending"から来ています。"pending"には「保留・見送り・先送り」などの意味があって、これは日本語のペンディングとほぼ同じ意味で使われています。
さらに英語の"pending"の語源はラテン語の"pendere"からきていて、"pending"の語源である、"pendere"の意味は「ぶら下がる」です。英語の"pendant"は「ペンダント」、つまり首から下げる装飾品のことで、"pendere"を語源とした単語のひとつです。
この「ぶら下がる」は他人に依存するという意味合いがあって、この意味から英語の"pending"は上記のような意味になりました。
ペンディングの特徴
ペンディングの意味は「保留・見送り・先送り」と説明しましたが、「ペンディング」という言葉は主にビジネスにおいて使われていて、一般的な会話の中ではあまり使われていません。
ではなぜビジネスにおいて、日本語の「保留・見送り・先送り」などを使わずに、「ペンディング」という言葉がよく使われるようになったのでしょうか。ペンディングが使われるシーンや特徴について紹介していきます。
「ペンディング」は未決事項が対象を意味する
「ペンディング」の類語のひとつと勘違いされそうな単語に「中止」がありますが、「ペンディング」と「中止」とは根本的な違いがあります。「ペンディング」が「中止」と大きく異なる点は、「中止」が何かをするのを「やめる」という意味で、すでに決定していることを指しています。
例文を挙げると、「本日開催予定のイベントは、都合により中止します」と言ったとき、イベントは本日やることが決まっていたにもかかわらず、何らかの都合で取りやめになったことを意味します。後日、やるかどうかも決まっていない、あるいは行わないことの意味です。
これに対して、「ペンディング」は何かを決定しようとしたときに、それが達成できずに一旦「保留」あるいは決定を「先送り」するという意味で、まだ決定していないときに使う言葉です。
「中止」は決定していることをやめてしまうのですが、「ペンディング」は最終的には決定するということを意味しています。
「ペンディング」は否定的な意味を緩和する
日本語の「保留・見送り・先送り」という言葉を使わないで、あえて「ペンディング」という言葉を使うようになったのかというと、日本語で「保留・見送り・先送り」などの言葉を使うよりも否定的な意味合いを緩和してくれるイメージがあるからです。
ビジネスにおいては、お客さまとの打ち合わせや会議の中で、日本語の「保留・見送り・先送り」などという言葉を使うと、意見が合わないために決定しなかったという風に取られて、その場の雰囲気を悪くする原因にもなり兼ねません。
大切なお客様との商談においてはなおさらこのように否定的、消極的な意味を持つ言葉を使うことは不快にさせたり、不安感や不信感を持たれる危険性があるので禁物です。
なのでこれを「ペンディング」というカタカナ語に置き換えることで、否定的な意味合いが緩和されるということから「ペンディング」が使われるようになったのです。
ペンディングの類語
「ペンディング」の類語には「一時凍結」「一時停止」「棚上げ」「据え置き」「未決定」などが挙げられます。
これらの類語は意味合いとしては似ていますが、それぞれ微妙に違いがあります。それぞれの類語の使い方も違ってきます。それぞれの類語の例文を挙げることによって、正しい使い方やその言葉のイメージをお伝えします。
「国会で野党の反対に会い、法案は一時凍結した」「商品に不具合があり、出荷が一時停止された」「問題点が棚上げになったまま事態はどんどん進んだ」「据え置きとなっていた開発が再開された」などとなります。
ペンディングの使い方
「ペンディング」は主にビジネスにおいて普通に使われる言葉ですが、実際、どのような使い方がされているのでしょうか。
ここではペンディングの実際の使われ方について、例文を挙げながら紹介することで、さらにこの言葉の意味について正しく理解し、使い方を間違えないようにしてください。
例文①
ビジネスにおける「ペンディング」の使い方として、、まず第一に挙げられるのが、会議で打ち合わせたものの、結論が出ずに、次回まで先送りにする場合です。
会議の時間に内結論が出なかった場合の例文として、「本件は一旦ペンディング事項とし、次の会議で再度検討します」などと言って会議を終了します。
この場合、決定を先延ばしにしただけなので、出来れば次回会議の日程に加えてペンディング事項の確認をきちんとしておくことが重要です。
例文②
「ペンディング」は会議の中での未決事項を指すだけでなく、会議そのものの開催日が決定出来ない場合にも使われます。
例文として、「会議に出席者予定者のスケジュールが把握できていないため、次回の会議開催部はペンディングとします。スケジュールを調整した後に、あらためて関係者へは連絡します。」などがよく使われます。
つまり、次回開催日は決定していないものの、開催することは決定している場合に使われます。これがペンディングという言葉の特徴と言えます。
例文③
これまでは社内会議等についての例文を挙げてきましたが、社外においてもペンディングという言葉が使われることがあります。
お客様との商談や打ち合わせなどで、詳細についてまとまらなかったり、お客様からの追加要望などがあって、その場では決定出来ないことが発生したときに用います。
例文では、「本件は一旦ペンディングとさせていただき、弊社に持ち帰り、再検討した上でご提案させていただきます。」のような使い方になります
ただし、ペンディングという言葉はその意味から早く商談をまとめたいお客様にとってはかなりマイナスの言葉になります。やむを得ない場合やお客様も納得の上の場合に限って使うように気をつけたいものです。
例文④
ペンディング事項は中止と異なり、結論を先送りにしているだけなので、期日を決めて結論を出すことが前提です。
なので、ペンディング事項を保留のままにしておくことは避けなければなりません。なので、ペンディング事項を管理する上でよく使われるのが、「ペンディング事項管理リスト」です。
会議等で出たペンディング事項は議事録で把握できますが、その他のケースでは複数のペンディング事項をきちんと管理しないと、漏れが生じる危険性があります。
例文としては、「先日のお客様との打ち合わせで出たペンディング事項をリスト化しておいてください」などとなり、的確に指示を出すことが大切です。
ペンディングの使い方の注意点
「ペンディング」、ビジネス用語としてよく使われる言葉ですが、すでに説明したように「中止」とは意味合いが異なるので注意が必要になります。
ペンディングにすることは、それで終わりなのではなく、後日結論を出す必要があるため、ペンディング事項はあまり長期間放置しないように注意が必要です。
また、「ペンディング」という言葉を使い過ぎることは、いくら否定的な意味を緩和するするといっても、使い過ぎることは禁物です。
ペンディングにするということは、あとに課題を残したままにするということを意味しているので、多くのペンディング事項を残すということは、あまり好ましくありません。できるだけその場において結論を出すように工夫することも大切です。
「ペンディング」の意味を何となく理解していると間違いが
何度も説明しましたが、ペンディングの正しい意味はもうお分かりいただけたでしょうが、具体的にはどのような間違いが生じるのでしょうか。
もともと「ペンディング」は英語の"pending"のカタカナ語であり、さらに会社に入ってからあらためて教わる単語ではなく、周りで使っているのでただ何となく使っているという方は要注意です。
会議などで決定を迫られたときに時間になりペンディングとなった時、ある意味ホッとするかもしれません。しかしこれはあくまでペンディングで、期限までに結論を出す必要があります。
ペンディングの意味を「中止」と思い違いしている場合、会議が終わったとたんにホッとしてしまい、そのまま放置したという経験はありませんか。
「ペンディング」という言葉の意味は「見送り・先送り」であり、作業としては継続しているということを念頭に置くことが、ペンディングの本当の意味を理解できていると言えます。
ペンディングは「やめる」ではなく「決定する」という意味
すでに何度も説明してきましたが、ペンディングという言葉の意味は物事の決定を先送りにすることで、最終的には結論が必要なことを指します。
その場しのぎで物事を決定するのではなく、ペンディングにすることにより、より良い結果に結びつくことになるでしょう。
ただし、不用意にペンディングにすることによって、タイミングを逃したり、大切なお客様との関係が悪化するなどの不都合が生じる結果にもなるため、その使い方には十分注意が必要です。