鑑みるの意味とは?
「鑑みる(かんがみる)」という言葉を見たり聞いたりしたことがあっても、「鑑みる」の意味を問われた時に正しい意味を答えられるという人は少ないでしょう。
「鑑みる」という言葉は日本語の中でも結構難しい言葉の一つです。日本語には難解な言葉がたくさんありますが、「鑑みる」もその一つですので正しい意味を知っている人は少ないと言えます。
「鑑みる」という言葉にはいったいどういう意味があるのか、まずは「鑑みる」の意味についてご紹介しましょう。
手本や先例に照らし合わせるという意味
「鑑みる」の意味の一つ目は、「手本や先例に照らし合わせる」という意味です。「鑑みる」は間違った使い方がされることも結構多く、「状況を鑑みる」などという言い方もされますが、これは間違った使い方になります。
「鑑みる」の意味は「手本や先例に照らし合わせる」という意味なので、「状況」という現在のものに対して使うことはできません。
何か手本になるようなものや先例があるものに照らし合わせてみるといった場合に「鑑みる」という言葉を使うことができるということになります。
他を参考にして考えるという意味
「鑑みる」の意味の二つ目は、「他を参考にして考える」という意味です。一つ目にご紹介した「手本や先例に照らし合わせる」という意味はちょっとわかりにくいですが、「他を参考にして考える」ならわかりやすいでしょう。
何かをしようとする時に他の人がやったことなどを参考にして、自分がどうするか考えるといった場合には「他を参考にして考える」ということになりますので「鑑みる」という言葉を使うことができます。
このように「鑑みる」には「手本や先例に照らし合わせる」という意味と「他を参考にして考える」という意味がありますので、覚えておきましょう。
鑑みるの由来
「鑑みる」の意味についてご紹介しましたので、次は「鑑みる」の由来についてご紹介します。日本語には何かに由来のある言葉は結構多いですが、「鑑みる」にも由来があります。
「鑑みる」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「鑑みる」の由来についてご紹介しましょう。
鑑みるの由来は鏡
「鑑みる」の由来は実は「鏡」です。「鑑みる」の「鑑」の文字は他に「かがみ」という読み方をします。「鑑」は「あの人は教師の鑑(かがみ)だ」などという場合に使われる方の「かがみ」です。
こちらの「鑑」には「手本」「規範」といった意味がありますので、「鑑みる」の意味「手本や先例に照らし合わせる」というのはここから来ていると言えます。
「手本」「規範」の意味を持つ「鑑」を見る「鑑見る(かがみみる)」が「鑑みる」の由来だと言われています。
鑑みるの類語
「鑑みる」の由来についてご紹介しましたので、次は「鑑みる」の類語についてご紹介します。「鑑みる」には「手本や先例に照らし合わせる」「他を参考にして考える」という意味があります。
なので「鑑みる」のこれらの意味に似た意味を持つ言葉が「鑑みる」の類語になります。「鑑みる」の類語にはいったいどのような言葉があるのか、「鑑みる」の類語についてご紹介しましょう。
振り返る
「鑑みる」の類語の一つ目は、「振り返る」です。「振り返る」といっても行動における「振り返る」ではなく、思考における「振り返る」で、意味は「過去の物事を顧みる」「思い起こす」という意味になります。
「鑑みる」の意味は「手本や先例に照らし合わせる」「他を参考にして考える」という意味ですので、「過去の物事を顧みる」という意味を持つ「振り返る」は「鑑みる」にかなり近い意味を持つ言葉だと言えます。
「鑑みる」の代わりに「振り返る」という言葉を使うこともできますので、そういった意味でも「振り返る」は「鑑みる」の類語だと言うことができます。
照らし合わせる
「鑑みる」の類語の二つ目は、「照らし合わせる」です。「照らし合わせる」の意味は「二つ以上のものを同じか異なっているかを見比べること」という意味ですので「鑑みる」とはやや違うと言えます。
ですが「鑑みる」には「手本や先例に照らし合わせる」という意味がありますので、この意味の中に「照らし合わせる」という言葉がストレートに入っています。
「照らし合わせる」という言葉は「鑑みる」の代わりに使うことはできませんが、「鑑みる」の意味に使われている言葉と同じ言葉ですので、「照らし合わせる」も「鑑みる」の類語だと言えます。
参考にする
「鑑みる」の類語の三つ目は、「参考にする」です。「参考にする」の意味は「何かをしようとする時に他人の意見や資料などを引き合わせて、何をするかを決定すること」という意味です。
「鑑みる」には「他を参考にして考える」という意味がありますので、「参考にする」は「鑑みる」に極めて近い意味があると言えます。
「参考にする」は「鑑みる」と似たような使い方ができますので、「参考にする」も「鑑みる」の類語になります。
慮る
「鑑みる」の類語の四つ目は、「慮る(おもんぱかる)」です。「慮る」の意味は「あれこれと思いを巡らせて深く考える」という意味で、この「あれこれと」の中に「手本や先例」なども含まれると言えます。
「慮る」の意味の中の「あれこれと」には「手本や先例」だけではなく、先のことを考えるということも含まれていますので、その点では過去のことを考える「鑑みる」とは少し違います。
ですが「慮る」も過去のことを考える場合にも使えますので、「慮る」も「鑑みる」の類語の一つだと言うことができます。
念頭に置く
「鑑みる」の類語の五つ目は、「念頭に置く」です。「念頭に置く」の意味は「常に心にかける」「いつも忘れないでいる」という意味ですので、「手本や先例に照らし合わせる」という「鑑みる」とは少し意味が異なります。
ですが「念頭に置く」は「過去の出来事を念頭に置いて」などというように、過去のことについても使うことができます。
「念頭に置く」は意味的には「鑑みる」とは異なる言葉ですが、「鑑みる」と同じように使うことができるため「念頭に置く」も「鑑みる」の類語だと言えます。
視野に入れる
「鑑みる」の類語の六つ目は、「視野に入れる」です。「視野に入れる」の意味は「何かを考慮したり検討したりする際に、ある物事も考慮すること」という意味で、意味的には「鑑みる」とは少し異なります。
ですが「視野に入れる」の「ある物事」には過去の出来事なども含まれますので、「視野に入れる」も「鑑みる」と同じような使い方ができます。
「視野に入れる」は意味的には「鑑みる」とは違いますが、同じような使い方ができるため「視野に入れる」も「鑑みる」の類語だと言えます。
鑑みるの使い方
「鑑みる」の類語についてご紹介しましたので、次は「鑑みる」の使い方についてご紹介します。「鑑みる」の意味は「手本や先例に照らし合わせる」「他を参考にして考える」という意味ですので、そういった場合に使うことができます。
「鑑みる」はビジネスシーンや政治などで使われることが多い言葉で、一般的な日常生活の中ではほとんど使うことがなく、使い方がわからないという人も多いでしょう。
「鑑みる」という言葉はいったいどのような使い方をすれば良いのか、「鑑みる」の使い方を例文を挙げてご紹介しましょう。
例文①
「鑑みる」の使い方の例文の一つ目は、「前回の企画に鑑みると、今回は改善の余地があると言える」という例文です。この例文では「手本や先例に照らし合わせる」という意味で「鑑みる」が使われています。
「鑑みる」は「~を鑑みる」という使い方をする人もいますが、実は「~に鑑みる」という使い方の方が正しいと言えます。
なので「鑑みる」を使う場合にはこの例文のように「~に鑑みる」というような使い方の方が正しいですので、覚えておくと良いでしょう。
例文②
「鑑みる」の使い方の例文の二つ目は、「彼女の仕事に対する取り組み姿勢に鑑みると、自分は未熟だと痛感する」という例文です。この例文では「他を参考にして考える」という意味で「鑑みる」が使われています。
「鑑みる」は手本や先例といった過去のことに対して使われますが、この例文での「仕事に対する取り組み姿勢」は過去からずっと継続してきたものです。
現在も続いていても、過去からずっと継続してきたものであれば「鑑みる」という言葉を使うことができるということです。
例文③
「鑑みる」の使い方の例文の三つ目は、「昨日の幹部の動揺に鑑みるに、大幅な人事異動があったようだ」という例文です。この例文では「手本や先例に照らし合わせる」という意味で「鑑みる」が使われています。
「鑑みる」は手本や先例だけに対して使われるわけではなく、このように「動揺」という心理状態を表す言葉に対しても使うことができます。
ただしそれは「今」より前の出来事になりますので、そういった点では「鑑みる」の使い方には注意が必要だと言えます。
例文④
「鑑みる」の使い方の例文の四つ目は、「過去の実績に鑑みると、彼には更なる躍進が期待できるだろう」という例文です。この例文では「手本や先例に照らし合わせる」という意味で「鑑みる」が使われています。
このように「鑑みる」という言葉は意外に色々な場面で使うことができますし、使い方もそう難しくはありません。
「鑑みる」という言葉はちょっと堅い言葉ですので、あまり頻繁に「鑑みる」を使うことはおすすめできませんが、たまには使ってみても良いでしょう。
「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」の意味の違い
「鑑みる」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」の違いについてご紹介します。「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」を同じ意味だと勘違いして使っている人は結構います。
ですが実は「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」はそれぞれ違う意味を持っていますので、使える場面は違います。
「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」にはどのような違いがあるのか、「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」の違いについてご紹介しましょう。
「踏まえる」はあれこれと思案するという意味
「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」の違いの一つ目は、「踏まえる」の意味は「あれこれと思案する」という意味だということです。
「鑑みる」の意味は「手本や先例に照らし合わせる」「他を参考にして考える」という意味ですが、「踏まえる」の「あれこれと思案する」には「先例を基準にして判断する」というニュアンスがあります。
「照らし合わせる」と「基準にして判断する」のは大きく違いますので、「踏まえる」は「鑑みる」とは違うと言えます。
「考慮する」は判断や行動の前に考えるという意味
「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」の違いの二つ目は、「考慮する」の意味は「判断や行動の前に考える」という意味だということです。
「鑑みる」は過去の物事に対して使われますが、その後には必ず「現在」が来ます。「先例に鑑みる」の後には「現在どうするか」が続きますが、「先例を考慮する」は「先例のことを考える」という意味になります。
このように「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」には意味的に違いがありますので、使い方を間違えないよう注意が必要です。
「鑑みる」の英語表現
「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」の違いについてご紹介しましたので、次は「鑑みる」の英語表現についてご紹介します。日本語には複雑な意味を持っていて英語表現が難しい言葉がたくさんありますが、「鑑みる」もその一つです。
「鑑みる」には「手本や先例に照らし合わせる」という複雑な意味がありますので英語表現は難しそうですが、意訳をすればいくつかの英語表現ができます。
「鑑みる」の英語表現にはいったいどのような英語があるのか、「鑑みる」の英語表現についてご紹介しましょう。
Considering
「鑑みる」の英語表現として良く使われるのは「Considering」です。「Considering」はビジネスシーンで「前回の企画に鑑みて」などという文章を英語表現する時に良く使われていて、「鑑みる」の英語表現になります。
他に「in view of」という英語や「Looking back on」という英語も「鑑みる」の英語表現として使われています。「鑑みる」の英語表現には意外に色々な英語があると言えます。
鑑みるは手本や先例に照らし合わせるという意味
「鑑みる」の意味や由来や類語、「鑑みる」の使い方や英語表現、「鑑みる」と「踏まえる」「考慮する」の違いなどについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
「鑑みる」には「手本や先例に照らし合わせる」「他を参考にして考える」という意味があります。「鑑みる」の正しい意味と正しい使い方を知って、「鑑みる」という言葉を正しく使いましょう。