えげつないの意味とは?
「えげつない」という言葉を聞いたことがありますか。実はある特定の地域の方にとってはお馴染みの言葉です。その「えげつない」という言葉の意味や使い方、例文、語源について紹介します。どの地域でよく使われている言葉かも後程答え合わせしましょう。
意味①露骨でいやらしい
ではまずは「えげつない」の意味から紹介します。えげつないには主に2つの意味があり、一つ目が露骨でいやらしいという意味です。
露骨とは気持ち等が隠されることなく外にそのまま出ている様子等を表す言葉で、いやらしいは不愉快な様子や下品を表す言葉です。つまりこの時のえげつないは不愉快で下品な様子が隠されることなくそのまま出てしまっている様子を表しています。
更にこのえげつないという言葉には図々しいという態度と何でも大きく見せるという態度も意味の中に乗っかっています。これらを総合するとえげつないという言葉で表される人はとても見ていて不愉快な人ということであり、できれば出会いたくないような人です。
意味②人情味がない
二つ目の「えげつない」の意味は人情味がないということです。先程のえげつないの意味と同様にあまり出会いたくない人の様子を表しています。
人情、つまり相手への思いやりという意味を持つ言葉ですが、それがない様子の人を「えげつない」という言葉を使って表します。つまり、相手が無礼だと感じるような態度や口調をし、遠慮のない態度をとる様子です。それはイコール人の気持ちを考えられないということを表しています。
2つの意味どちらをとっても友人になりたくないような人を表していることは一目瞭然です。このような人以外は周りの人のことを考え行動するのが基本ですが、「えげつない」という言葉で表される人はそれができない為、自然と周りから距離をとられがちでもあります。
えげつないは良い意味の場合もある
基本的には悪い意味で使われる「えげつない」ですが、近年ではそうした意味を逆手に取って、相手の行動や物事に対して「すごい」や「信じられない」という良い意味で使われることもよくあります。この意味もメジャーとなってきている為、覚えておきましょう。
えげつないの語源
ではこの「えげつない」という言葉にはどのような語源があるのでしょうか。「えげつない」という言葉の語源について紹介します。併せて方言でもあるこの「えげつない」という言葉を方言として実際に使っている場所についても見てみましょう。
えげつないの語源「いげちなし」
えげつないの語源は江戸時代に使われていた「いげちなし」という言葉が元になったという語源の説があります。漢字で書くと「意気地なし」です。
同じく弱虫等の意味がある「いくじなし」も同じ漢字で表しますが、意味は全く異なります。この「いげちなし」はかわいそうや情けない、厚かましいという意味があります。厚かましいという意味の部分に現代の「えげつない」という言葉の語源としての意味が通じます。
かわいそうや情けないという意味は一見すると現代のえげつないの意味にはあまりイコールになるとは言えないように思いますが、えげつないという言葉は酷い状態を表す言葉としても使われる為、かわいそうな状況等を見て酷いと感じ「えげつない」と表現すると言えるでしょう。
そうして「いげちなし」から言葉がどんどん転じていき、現代でも使われる「えげつない」になったという語源の説があります。江戸時代でも現代でも同じようにマイナスな意味合いで使われる言葉であったことは確かであると言えます。
えげつないは関西発祥という説
ここで最初に話した「えげつない」が方言として使われている場所の答え合わせをします。「えげつない」を方言として今でも使っているのは関西方面です。
関西の中でも主に大阪や京都で方言として使われることが多いです。そして関西で使われ始めたということも「えげつない」の語源の1つとされています。関西でえげつないという言葉が発祥し昭和初期頃から使われ始め、そのまま方言として今に至っているいう説です。
意味は現代の意味と全く同じく図々しいやむごい等の意味で使われ、やはりマイナスの意味合いが強い方言と言えます。昭和初期から関西を中心に広まったこの方言がテレビ等の影響で関西の方言が広まったことにより全国でも知られる方言となりました。
えげつないの特徴
「えげつない」の意味や語源、方言として使われている地域が分かった所で「えげつない」という言葉を使って表される人等の特徴について紹介します。これまでえげつないという言葉で表される人を中心に紹介してきましたが、えげつないは物やその状況についても使える言葉です。
えげつない人の特徴
まずえげつない人の特徴は、えげつないの意味を紹介した所でもある程度お話ししましたが、露骨で下品であり図々しく人情味のないような人です。「えげつない」という言葉で表されるこのような人とはあまり関わりたくないと感じる方がほとんどだと言えるでしょう。
えげつない状況の特徴
次にえげつない状況とはどのようなものか紹介します。えげつないは基本的にはマイナスの意味がある言葉です。しかし、状況を表す時は特に良い意味の場合もあります。
まず、マイナスの意味で「えげつない」を使う時の状況は、その物事が酷い状態や気持ち悪さを感じる状態、そして時に落胆してしまうような辛い状況等があります。このような状況を目の当たりにした際に「えげつない」と表現します。
そして、プラスの意味で「えげつない」を使う時の状況の特徴は、その物事がびっくりするような状態であったり、すごいと感じるような状態等があります。マイナスな状況と同じようにそのような状況を目の当たりにした際に「えげつない」と表現し驚きの感情を表します。
えげつないの類語
ではここで「えげつない」と同じような意味を持つ類語についても紹介します。類語はえげつないと同じく方言として使われている言葉ではなく一般的な言葉の為、どの地域の方も知っている言葉ばかりの為、言い換えの際に是非活用してみて下さい。
類語①いやらしいの意味
まず一つ目のえげつないの類語は、えげつないの意味としても含まれている「いやらしい」という言葉です。
いやらしいとは、その様子や態度等が不快に感じるような状態であることを意味したり、性的な意味で露骨であり不潔な感じあることを意味します。そのような態度を見て相手が不快だと感じるのはえげつないと同じである為、えげつないの類語として成り立ちます。
どちらかと言えば後者の意味の方が一般的と言えるでしょう。又、「えげつない」と類語の言葉ではありますが、相手に与える不快の度合いはえげつないよりも更に上です。えげつないの類語ではありますが、よりその状況を見ていて嫌な気持ちを抱える場合はいやらしいを使うのが妥当でしょう。
類語②意地悪いの意味
二つ目のえげつないの類語は、「意地悪い」です。よく相手に何か嫌なことをされた時に「意地悪」と相手に言う時の言葉と同じ言葉です。
意地悪いとは、先に述べたような相手に対してわざと困らせたり嫌な思いをさせるような態度をとることや、相手に対して悪意のあるような雰囲気を出すことを指します。こちらも相手に嫌な、不快な思いをさせるという点ではえげつないの類語として成り立ちます。
又、人に対して使うだけでなく何か物事や状況が都合が悪くなる様子も「意地悪い」という言葉で表します。例えば、「意地悪いことに電車まで遅延している」といったような使い方をします。自分にとってその状況が都合が悪い状態であった時にこのような使い方をする言葉です。
類語③むごいの意味
三つ目のえげつないの類語は、「むごい」です。漢字で書くと、「惨い」や「酷い」と表すことができます。
むごいとは、見ていられない程その状況が悲惨であり、痛ましいという意味や思いやりがなく酷い様子や無慈悲な様子、甚だしいといった意味があります。えげつないには、酷いという意味もある為、こちらもえげつないという言葉の類語として一致する言葉です。
又、思いやりがないという意味の部分も「えげつない」にある、人情味がないという意味と通じる部分があります。それらを総合的に見てもむごいはえげつないの類語であると言えます。ちなみにむごいという言葉の類語には残酷や冷酷、残忍等という言葉がある為、相当酷い状態を表しています。
類語④汚い、不潔の意味
四つ目のえげつないの類語は、「汚い」や「不潔」という言葉です。この2つは一般的に言う「汚れ」等を表す言葉と同じです。
ただ、これらの汚い、不潔の類語が表す意味とえげつないが類語として通じる部分は物等の汚れという意味以外の意味の部分の方が強くあります。その意味とは、下品であることやその態度が卑しい、卑劣であること、欲深くケチであることです。
汚れの部分で酷い状態を表すとしてえげつないと類語であるとすることももちろん間違いではありませんが、先程紹介した「汚い」にある意味の方がよりえげつないの類語として通じる意味と言えます。ですがどちらの意味をとっても相手に不快を与えるという点では類語の意義を成しています。
えげつないの使い方
ではここからは「えげつない」という言葉の具体的な使い方について例文を使いながら紹介しましょう。例文で使い方を説明しますが、基本的にえげつないという言葉はマイナスな意味合いが強い言葉の為、むやみやたらに使うことはおすすめしません。
例文①
ではまず一つ目の「えげつない」の使い方です。まずは相手に嫌な思いをさせる「えげつない」の例文を紹介します。
相手に嫌な思い、不快な思いをさせる「えげつない」の使い方は例えば、「彼のえげつない行動が周りを苦しめている」や「クライアントのえげつない発言と行動によって我が社に大きな損害を招いてしまった」等と例文で表すことができます。
一つ目の例文では彼のえげつない行動、つまり周りに嫌な思いをさせる行動によって周りは苦しんでいるということを表しています。二つ目の例文はクライアントが何かしらやってしまったえげつない行動、つまり会社の損害に関わる行動によって迷惑を被っていることを示しています。
例文②
では二つ目の「えげつない」の使い方です。ここでは驚きを表す時の「えげつない」の使い方を例文を使って紹介します。
えげつないを使って驚きを表す際は、そのまま「えげつない」というだけでもその驚きを表現できます。例文として文章にすると、「彼のパフォーマンスはえげつなかった」や「えげつない程に大きなパフェですね」等と表すと驚きや、すごいということを表せます。
一つ目の例文では彼の行ったパフォーマンスが人間離れしてすごかった等というすごい状況を表しています。二つ目の例文でも思わずビックリしてしまう程大きなパフェであることを表現している為、どちらの例文も「えげつない」を使って驚きを表現できています。
例文③
では三つ目の「えげつない」の使い方です。ここでは酷い状態を表す時の「えげつない」の使い方を例文を使って紹介します。
えげつないを使って酷い状態を表す際も驚きを表す際と同じように「えげつない」の一言だけでも表現できます。例文として文章にしてみると、「あのゴミの山はえげつない」や「あいつは子供相手にもえげつない」等と表すと酷いという状態を表せます。
一つ目の例文は読んだままの通り、ゴミの山の状態が酷いということを表しています。二つ目の例文では子供相手にも容赦なく対応することを酷い人間だということを言っています。「えげつない」という言葉は人に対しても物や状況に対しても使える為、このような使い方もできます。
例文④
では四つ目の「えげつない」の使い方です。ここではその人や状況を見て目に余る状態を「えげつない」を使って例文で紹介します。
目に余る状態も「えげつない」の一言で十分に表現できますが、文章にすることでよりその状態を的確に表すことができます。例文にすると、「彼の彼女に対するやきもちはえげつない」や「彼女の身勝手な態度はえげつない」等と表すと目に余る状況を説明する文章となります。
一つ目の例文は、彼の彼女に対するやきもちが目に余る程度を超えているような状況を表しています。二つ目の例文は彼女がする身勝手な行動は目に余る程酷い物であるという状況を示しています。目に余るというマイナスな状況もこのようにしてえげつないという言葉で表せます。
えげつないの注意点
では最後に「えげつない」に関する注意点について紹介します。ここでは「えげつない」という言葉が当てはまる人に自分がもしもターゲットにされてしまった場合の注意点について見ていきます。自分自身を守る為にも以下の注意点をしっかり胸に留めておきましょう。
自分が逆にえげつない人を巻き込んでしまう
「えげつない」と周りから言われる人は、そのえげつない人のあらゆる行動によって周りの人をどんどん嫌な方向へ巻き込んでしまいます。
もしえげつない人の行動によって嫌な状況へ巻き込まれてしまうかもと思った時は、巻き込まれるのではないかとビクビク怯えるのではなく、逆にこちらが密かに巻き込むように持っていきます。つまりは相手よりも特に精神的な部分で優位に立ってしまいます。
そうして知らず知らずのうちに巻き込まれる側から、自分の楽な方へえげつない相手を巻き込んでいくということです。この時、あまり露骨にしてしまうと自分の方がえげつない人と思われてしまう可能性もある為、あくまでも大人な毅然とした態度でえげつない相手を巻き込んできましょう。
自分自身をしっかり持っておくこと
そしてえげつない人に巻き込まれない為には自分自身の意見や意思、揺るがない軸をしっかりと心の中に持っておくことです。
これが自分の中にしっかり根を張ってあるかないかだけでも随分とえげつない人への立ち向かう力の大きさは変わります。自分の軸がぶれているとそれだけえげつない人の波に巻き込まれる確率が高くなり、結果的に自分が嫌な思いをして精神的に苦痛を感じてしまいます。
自分自身を守る為にも、しっかりとした「自分」というものを持っておくことが大事です。そうすることで先述したような逆にえげつない人を上手く巻き込むこともできます。えげつない人に流され、波に巻き込まれ自分自身を傷付けることにならないよう自分を守る気持ちを持ちましょう。
えげつないはいやらしいや人情味がないという意味
「えげつない」という言葉は露骨でいやらしい様子や人情味がない様子といったマイナスな意味を持つ言葉です。プラスの使い方もありますが、まだまだマイナス要素の強い言葉の為、「えげつない」の使い方そしてそうした「えげつない人」には十分に気をつけるようにしましょう。