慮るの意味とは?
「慮る」とは、その意味だけでなく誤読されやすい漢字のひとつとして度々あげられる言葉です。その読み方は「おもんぱかる」となり、誤った読み方としては「おもんばかる」といったものがあります。
また読み方だけでなく、難しい漢字であることから、その意味を正確に理解している人も決して多くはないと言われています。正しい使い方ができるように、まずは「慮る」の意味について知ることから始めていきましょう。
慮るの意味①よく考える
「慮る」の意味は複数あり、その一つ目が「よく考える」になります。似たような意味を持つ類語は幾つかありますが、「慮る」の場合は「周囲の状況」など自分以外の要素について深く考える時に使う言葉です。
また、よく考えると同じ意味合いで「思考を巡らす」といったニュアンスとしても「慮る」は使われることがあります。
慮るの意味②謀(はかりごと)をたてる
「慮る」の意味の二つ目は「謀(はかりごと)をたてる」です。この「謀(はかりごと)」というのは、計略やもくろみといった意味を持つ言葉です。
つまり慮るは、物事がうまくいくように計略やもくろみを立てるために深く考えたり、思いを巡らせるといった使い方もできる意味持っています。
慮るの対義語・類義語
「慮る」は考えることや思うことに用いる表現であることが特徴で、似通った意味を持つ類語が幾つか存在します。
類語と言っても比較してみると使い方が異なるケースや、意味合いが微妙に違うものもありますので、使い分けができるように理解しておくことも大切です。
また同時に、正反対の意味を持つ対義語への理解を深めることで、「慮る」の意味をより正確にとらえることができます。ボキャブラリーを増やせるメリットもありますので、類語や対義語についても知識を増やしていきましょう。
慮るの類義語は「推し量る」
「推し量る」とは「見当する」や「推測する」といった意味を持つ類語です。慮ると同じく思考に関する表現として使う言葉ですが、考える対象に関して限定がありません。
また、「推し量る」はただ思考するだけでなく、仮説が成り立つ程度の考えがまとまっている状態のことを意味する言葉になり、応用の幅がある使い方ができます。
対して慮るは考える行為を主に指す言葉ですから、類語として使い方や表現に微妙に違いがあることがわかります。
慮るの対義語は「無遠慮(ぶえんりょ)」
「無遠慮(ぶえんりょ)」は「好き勝手にすること」、「遠慮しない様子」といった意味を持つ対義語です。
「無遠慮(ぶえんりょ)」もまた読み方が誤解される傾向にあり、「むえんりょ」は誤った読み方になりますので注意してください。「無遠慮(ぶえんりょ)」は慮ると比較すると「考えた上で配慮しない行動」を指す言葉です。
慮るもまた「慮って行動する」といった使い方ができますが、その場合は「よく考えて行動する」という配慮するような表現となります。意味合いとして大きく異なりますので注意しましょう。
慮るの使い方・例文
「慮る」の意味を正確に理解できたら、次は使い方について理解を深めていきましょう。実際に文章や会話に取り込んでいくうえで大切なのは、不自然のないようにすることが大切です。
「慮る」は特に読み方が難しい言葉ですから、その意味を正確に理解して正しく使っていく必要があります。実際に使う時に間違えのないように、紹介する例文を参考にしながら学んでいきましょう。
例文①
例文の一つ目は「彼はいつも彼女を慮って行動していた」です。この例文では、「思考を巡らす」対象を「彼女」と指定していることが特徴です。
説明としては「彼は彼女をことを考えて、気を配った行動をしていた」という文章になります。「考えを巡らす」ことで「配慮した行動をした」という表現に変化していることがわかる例文になります。
例文②
例文二つ目は「彼は周囲を慮ってばかりで自分をないがしろにしている」です。「慮る」を文書に組み込む場合は、その対象によって意味合いが少し変わります。
この例文では周囲に対して思考を巡らしていることで、「配慮している」や「気を遣っている」といった意味に変化します。「彼は周囲に気を遣いすぎることで自分を大切にしていない」といったことを説明している文章です。
例文③
例文三つ目は「彼の発言は君を慮ったからに違いない」です。「慮る」はその行動や物事の理由や原因についても使うことができます。つまりこの文章は「彼の発言は君のことを考えたうえでの行動に違いない」ということを説明しています。
例文④
例文四つ目は「彼はもう少し、他人を慮る行動を心掛けた方がいいと思う」です。「慮る」の基本の意味は「よく考える」になり、スタンダードな使い方がされている文章です。
「彼はもう少し、他人についてよく考える行動を心掛けた方がいいと思う」と忠告する内容で、「他人に配慮しなさい」ということを伝えようとしている文章であることがわかります。
慮ると忖度の違い
「慮る」は読み方が間違われやすいだけでなく、「忖度」と混同されやすい言葉です。二つの言葉は意味合いが似ていることから類語として分類されますが、その使い方は異なります。
混同されやすい単語である「忖度」についてもよく知ることで、それぞれの言葉の違いを正確に把握し、使い分けができるようにしていきましょう。
忖度は「他人の気持ちを推し量る」という意味
忖度の意味は「他人の気持ちを推し量る」ですが、その他にも「相手を推し量り、配慮した行動をする」といったものがあります。
「慮る」と「忖度」で大きく違うのは、「配慮すること」を前提に用いられる表現であることです。「慮る」も使い方によっては同じ意味を持ちますが、基本は「よく考える」といった思考そのものを指します。
二つの意味はかなり近い性質を持っていますが、ニュアンスが異なります。「忖度」を使う際には「慮る」と意味や使い方が混同していないか注意していきましょう。
慮るを使う際の注意点
「慮る」は読み方だけでなく、似通った意味を持つ類語が多いことから使い方については特に注意しなければならない言葉のひとつです。
注意点をしっかり理解することができれば、普段使っていくうえでのミスを防ぐことができます。同時に言葉への理解をより深めることもできますので、しっかりと学んでいきましょう。
考えること以外では使えない
「慮る」は基本的に「思考」することを表現する言葉です。使い方によっては配慮したり、気を遣うといった意味を持ちますが、「慮る」単体ではあくまで「考えているだけ」という説明になります。
もし配慮などの意味合いで用いる場合は、「慮ったうえの行動だ」といった「思考」した後にどういったアクションをしているかについて説明する言葉が必要になります。
慮るの由来・歴史
言葉の多くはそれぞれ由来や歴史があり、その成り立ちへの理解を深めることも大切です。「慮る」は特に読み方が特徴的な言葉ですが、その理由を紐解くには由来や歴史を知る必要があります。
「慮る」の意味だけでなく、由来や歴史を知ることでより深く「慮る」という言葉について理解していきましょう。
由来
「慮る」の由来は「思い量る(おもいはかる)」だと言われています。「思い量る(おもいはかる)」の意味は「思いを巡らせる」になります。この音が読みやすいように進化していく過程で、漢字も「慮る」に変化していったとされています。
歴史
「慮る」は「思い量る(おもいはかる)」が由来の言葉ですが、読みやすいように何度も読み方が変化した歴史があります。「おもいはかる」から最初の変化は「おもんはかる」というものでしたが、後に「は」に濁音がついて「おもんばかる」になります。
辞書などにおいては「おもんばかる」としても意味合いとしては問題ないとされています。しかし発音の際に「ん」の前後に濁音があると聞き取りにくい性質を持っているため、そういったことを理由に「おもんぱかる」が正式な読み方となりました。
慮るの英語表記
「慮る」を英語で表記する場合は、正確な単語がないことから似た意味を持つ単語である「consider」が一般的に用いられます。「consider」は「考える」や「熟慮する」といった意味を持ちます。
そのほかにも「考慮する」という意味を持つ「take into account」や「大切に思う」、「思いやる」といった意味を持つ「care about」などを用いることができます。
ただ英単語としてそれぞれの意味は微妙に異なりますので、自身が伝えたい内容によって適切な意味を持った英語表記を使用していきましょう。
慮るは「よく考える」という意味
「慮る」は「よく考える」という意味を持ち、基本は「思考」することに焦点を絞った表現になります。しかし会話や文章の内容によってその意味合いはまた違ったものになるという特徴があります。
それ故に「忖度」を始めとした類語と混同されがちな面があるので、使う際には注意してください。正しい意味だけでなく、類語の違いなどをしっかり理解してから「慮る」を使っていきましょう。