助長の意味とは?
ニュースや新聞等で「助長する」というフレーズを見かけたことはないでしょうか。字面からはなんとなく、何かの助けになる、という意味なのではないかと想像がつくはずです。この記事ではそんな「助長」の意味や由来、類語やフレーズを使った例文をご紹介します。
助長の意味は「物事の成長や発展の力添えをすること」です。「助長」の意味は良いことに限らず悪い意味でも使われることがある言葉です。「助長」という言葉は実は古くからある故事成語で、現代ではビジネスや新聞等幅広いシーンで使われます。
助長の由来
「助長」という言葉は歴史が古く、昔に起こった出来事が由来となった言葉です。意味も現代とは少し違う意味をしています。ここでは「助長」の由来をご紹介します。
現代にある熟語やことわざの多くは古来から伝わった言葉がほとんどで、今の意味と全く違うということはよくあることです。中には「助長」のように全く逆の意味であった言葉も数多くあります。
故事成語が由来
「助長」という言葉は、中国の戦国時代の儒学者である「孟子」の話が由来mの故事成語が由来とされています。
孟子は自分の弟子に「ゆとりのある心に育てるには心の成長に合わせいくべきだ」と教えています。その意味の例文として「力づくで苗の成長をさせようとした農夫はかえって苗を全てダメにしてしまった」と話しています。
この例文から昔は「助長」とは「余計な力添えをすること」を意味する言葉でした。しかし時が経ち現代では「成長を助けること」の逆の意味で使われるようになりました。
助長の特徴
「助長」という言葉には「物事の成長や発展の力添えをすること」という意味があります。この言葉には良い意味にも悪い意味にもなる要素があり、使い方によっては印象が悪くなる危険性もあります。
ここでは「助長」という言葉にはどんな特徴があるのかをご紹介します。「成長や発展の力添え」と聞くと良い意味に思われますが、「成長」や「発展」は必ず良い物だけとは限りません。
ポジティブな意味にもネガティブな意味にもなる言葉
「助長」は良い意味にも悪い意味にも捉えることが出来る言葉です。「助長」とは「力添え、助け」を意味する言葉なので、もし助ける対象が悪いことなら、悪いことの助けをしていることになります。逆もまた然りです。
例文にすると「戦争を助長する言動」と表現するとそれは「戦争に発展の助けになる言動」という意味になります。このように「助長」の意味合いの方向性は、それの元となる物事に依存するという性質があります。
助長の類語
「物事の成長や発展の力添えをする」という意味がある「助長」にはいくつかの類語があります。ここでは「助長」の類語や対義語、英語での表現方法をご紹介します。
「助長」の類語には力添えをする対象によって様々な類語に分岐します。物事を奨励する意味と、成長の助けをする意味と、発展の力添えをする意味とで適した類語があります。「助長」は幅広い意味を持つ言葉ですが、対象によって使う言葉が変わってきます。
助成
「助長」の類語の1つに「助成」という言葉があります。「助成」の意味は「研究や徐行を完成させるための援助のこと」です。これは「助長」の「発展の力添え」「成長の助け」の両方の類語に当たります。
しかし「助成」と「助長」には1つだけ違う点があります。「助長」はポジティブ、ネガティブ両方の意図で使われる言葉ですが、「助成」は「求められている援助のこと」というポジティブな意味でのみ使われる言葉です。
育成
「助長」の類語の1つに「育成」という言葉があります。「育成」の意味は「成長させること、育てること」です。これは「助長」の「成長の助け」という意味合いの類語に当たります。「助長」と「育成」の少し違う点は、成長させる側か、成長を支える側かの違いです。
促進
「促進」という言葉も「助長」の類語に当たります。「促進」の意味は「物事が早く終わるように促すこと」です。これは「助長」の「発展の力添え」の意味合いと意義が同じなので類語と呼べます。
「助長」の本来の意味は故事成語で「余計な力添え」というネガティブな意味ですが、「促進」はポジティブな意味で使われる言葉です。本来であれば類語とは呼べないですが、大昔と違い現代では「助長」の意味は良い意味でも悪い意味でも使われるので類語となっています。
対義語は「妨害」
では「助長」の対義語は一体何なのでしょうか。「助長」は「物事の成長や発展の力添えをすること」を意味するのでその反対となると、「物事の成長や発展を邪魔すること」と言えます。つまり「妨害」という言葉が「助長」の対義語に当たります。
また「阻害」という言葉も同様の意味を持つので、これも対義語と呼べます。基本的に物事の邪魔をする状況を指す言葉は総じて「助長」の対義語です。
英語では「Promote」
「助長」という言葉は英語でも表現出来ます。「助長」を英語で表現する時は、ポジティブな意味とネガティブな意味で使う単語が変わってきます。ポジティブな意味で表現すると「Promote」と書きます。「Promote」は「助長」の類義である「促進」を意味します。
ネガティブな意味で表現するなら「Abet」と表現します。「Abet」には「扇動」という意味があり、相手をあおって行動させることや状況を指す言葉です。
助長の使い方
「助長」という言葉を実際に使う時は、良い意味での使い方と悪い意味での使い方があります。その「助長」がどちらの意味になるかは状況や使い方によります。また、能動的か受動的かで使い方が変わる言葉でもあります。
ここでは実際に「助長」という言葉の使い方を、例文を交えてご紹介します。「助長」は使い方によって伝わる意味が違ってくるのできちんとした使い方をするようにしましょう。
例文①高度経済成長は日本景気を助長させるきっかけとなった
この例文は「助長」の「発展を助ける」という意味を使っています。これはポジティブな「助長」の使い方をしており、「高度経済成長」が「日本経済の発展を促した」ことを伝えています。
「助長」という言葉は主に「助長させる」と表現することが多いです。文の役割としては動詞としての役割を担っています。なので「助長させる」物事が文中に必ず主語として登場します。この主語次第で良い意味か悪い意味か分かれます。
例文②頑張ってはいたがミスを助長させる結果になってしまった
この例文は「助長」の「発展を助ける」意味として使われています。文を分解して見てみると、「ミス」を「助長させる」「結果となってしまった」とあります。「助長させる」の主語は「ミス」に当たり、「ミスを促す(または更に悪くする)」という意味になります。
この例文での「助長」は、ネガティブな表現での「助長」になります。つまり昔の故事成語と同じ「余計な力添え」という意味です。「助長」は本来「余計な力添え」というネガティブな意味合いでのみ使われる言葉でした。
例文③連絡不足により社員の不満が助長される
この例文は「助長」の受け身での表現方法となっており、他社からの影響を受けている状況のことを指します。この例文をもっと詳しく説明するなら「(誰かの)連絡不足により社員の不満が促進されてしまった」となります。
「助長」のフレーズを受動的な表現で使う時は、「助長している」のが何か(誰か)、また「助長されている(助長の影響を受ける)」のは何かをきちんと使い分けしないといけません。
例文④戦争を助長する発言
「助長」というフレーズの意味は、助長する側や助長される側によって意味合いが良くも悪くもなります。「戦争を助長する発言」は「戦争に発展する発言」のことなのでこの場合の「助長」は悪い意味での使い方です。
助長の注意点
「助長」という言葉はポジティブな意味とネガティブな意味の使い方があります。なので使い方を誤ると間違った伝わり方をしてしまう危険性があります。ここでは「助長」という言葉を使う上で注意しなければならないポイントをご紹介します。
本来の意味は「余計な力添えをすること」
先ほども説明した通り、「助長」という言葉は本来は「余計な力添え」という故事成語からきています。現代の意味では「物事の成長や発展の力添え」という意味なので、力添えする対象の物事によって言葉全体の意味の方向性が変わるという性質があります。
助長は「成長を助ける」という意味
「助長」という言葉の本来の意味は「余計な力添え」というネガティブな意味で使われる故事成語でした。しかし現代での「助長」はポジティブな意味でもネガティブな意味でも使われる言葉です。
現代での「助長」の意味は「物事の成長や発展の力添え」のことです。新聞やニュース等のシーンでよく使われるフレーズで、その意味合いはフレーズの使い方で良い意味にも悪い意味にもなります。