よしなにの意味とは?
日本語の中にはかなり昔から使われ続けてきた古い言葉が結構ありますが、「よしなに」という言葉も古い言葉の割に現代でも使われることがある日本語です。
「よしなに」という言葉は時代劇や小説などの中で使われることが多く、時々ビジネスシーンでも使われますが、「よしなに」の正確な意味を知っている人は少ないでしょう。
「よしなに」という言葉の意味とはいったいどういう意味なのか、まずは「よしなに」の意味についてご紹介しましょう。
よろしくという意味
「よしなに」の意味の一つ目は、「よろしく」という意味です。時代劇などの中で良く使われる「よしなに」ですが、「よろしく」という意味で「よしなに」が使われることは結構多いです。
時代劇や時代小説の中では「よろしく」という言葉はほぼ使われません。「よろしく」という言葉は古語「よろし」から生まれた言葉で、平安時代の貴族などが使っていた言葉からきています。
そのため時代劇などの中では「よろしく」より「よしなに」という言葉の方が使われることが多く、「よろしく」という意味で「よしなに」が使われていることが多いと言えます。
良いようにという意味
「よしなに」の意味の二つ目は、「良いように」という意味です。時代劇などで良く使われる「よしなに」は、「よろしく」という意味の他に「良いように」という意味で使われることが多いです。
この場合は目上の人が目下の相手に対して「良いようにしなさい」というニュアンスで使うことが多く、言い換えると「良きに計らえ」という、時代劇などで定番の言葉になります。
「良きに計らえ」というと帝や将軍などとても位の高い人の言い方になりますが、「よしなに」ならもう少し優しいイメージになりますので、それほど身分差がない相手に対しても使えます。
うまい具合になるようにという意味
「よしなに」の意味の三つ目は、「うまい具合になるように」という意味です。時代劇などの中で「よしなに」という言葉を使うのは、「うまい具合になるように」という意味の場合もあります。
「よしなに頼むぞ」などと悪役の代官が悪役の商人に行ったりする場合には、この「うまい具合になるように」という意味で「よしなに」が使われています。
「よしなに」には「よろしく」「良いように」「うまい具合になるように」という意味がありますが、簡単に言うなら「よしなに」の意味は「よろしく」ですので覚えやすいでしょう。
よしなにの語源
「よしなに」の意味についてご紹介しましたので、次は「よしなに」の語源についてご紹介します。「よしなに」という言葉は時代劇や時代小説の中で良く使われますが、実はかなり古い歴史を持っている言葉です。
時代劇などで使われているため、「よしなに」という言葉は江戸時代の言葉に語源があると思っている人も多いですが、「よしなに」は江戸時代よりさらに古い言葉に語源があります。
「よしなに」という言葉にはいったいどのような語源があるのか、「よしなに」の語源についてもご紹介しましょう。
3つを4つに分けるという意味の言葉が語源
「よしなに」の語源は、なんと古事記の神話にあります。古事記は西暦712年に編纂された日本最古の歴史書ですが、その中に「よしなに」の語源はあります。
古代日本の代表的な神様である天照大御神(あまてらすおおみかみ)に三つ子の曾孫ができた時、お祝いをと信濃の県守4人が駆けつけました。
天照大御神は三つ子の赤ちゃんを包んでいた胎盤を県守4人で分けて祀らせてほしいと頼んだのですが、その時に「よしなにはからう」と言ったのが「よしなに」の語源になります。
この「よしなに」は実は「4つに分ける」という「四品(よしな)に」で、「四品」が「よしなに」の語源だという説もあります。
よしなにの類語
「よしなに」の語源についてご紹介しましたので、次は「よしなに」の類語についてご紹介します。「よしなに」には「よろしく」「良いように」「うまい具合になるように」という意味があります。
なので「よしなに」の類語に当たる言葉は、「よしなに」のこれらの意味に近い言葉や使い方が似ている言葉になります。
「よしなに」という言葉の類語にはいったいどのような言葉があるのか、「よしなに」の類語についてご紹介しましょう。
適切に
「よしなに」の類語の一つ目は、「適切に」です。「適切に」の意味は「状況や目的などにあてはまるように」という意味ですので、「よしなに」の「うまい具合になるように」という意味と似ています。
「状況や目的にあてはまる」ということは言い換えれば「うまい具合になる」とも言えますので、「適切に」は「よしなに」の類語になります。
「よしなに」と言いたいところで「適切に」と言い換えることもできますが、「よしなに」には古語ならではの味というものがありますので、「適切に」と言い換えるとイメージがちょっと違います。
然るべく
「よしなに」の類語の二つ目は、「然るべく」です。「然るべく」の意味は「正しい方法できちんと」「適切に」という意味ですので、一つ目の類語「適切に」が入っていることからも「よしなに」の類語だと言えます。
「然るべく」という言葉は裁判などで使われることが多く、ちょっと難しい堅いイメージの言葉ですが、「よしなに」は柔らかいイメージの言葉です。
「然るべく」は意味的には「よしなに」と似ていますが、イメージが全く違うため「然るべく」は「よしなに」の言い換えに使うのは難しいです。
適宜
「よしなに」の類語の三つ目は、「適宜」です。「適宜」の意味は「具合よく適するように行うこと」という意味で、「よしなに」の「うまい具合になるように」という意味に近い意味を持つので「よしなに」の類語になります。
「適宜」という言葉は料理のレシピなどの中でも良く見かけられる言葉ですが、こちらも「然るべく」と同じくちょっと堅いイメージのある言葉です。
「よしなに」という言葉には柔らかいイメージがありますので、「適宜」も「よしなに」の類語ではありますが、「よしなに」の言い換えには適さないと言えます。
よろしくお願いします
「よしなに」の類語の四つ目は、「よろしくお願いします」です。「よろしくお願いします」の意味は「良くしてくれることを願う挨拶」という意味です。
「よしなに」の意味の中に「よろしく」という言葉が含まれていますので、「よろしくお願いします」はストレートに「よしなに」の類語だと言えます。
「よしなに」は「よろしく」という意味なので、「よろしくお願いします」を「よしなに」を使って言えば「よしなにお願いします」になります。
ですが時代劇などでは「よしなに」一言で「よろしくお願いします」という意味で使われることもありますので、「よろしくお願いします」イコール「よしなに」であるとも言えます。
適正に
「よしなに」の類語の五つ目は、「適正に」です。「適正に」の意味は「適当で正しくすること」という意味です。
「よしなに」には「うまい具合になるように」という意味もありますが、「適正に」はこちらの意味に近い意味になりますので、「適正に」も「よしなに」の類語になります。
ですが「適正に」には「正しくする」という意味があり、その点では「よしなに」の意味とは少し違うイメージがあります。
便宜
「よしなに」の類語の六つ目は、「便宜」です。「便宜」の意味は「都合が良いこと」という意味ですので、「よしなに」の意味「うまい具合になるように」と似ています。
「便宜」は「よしなに」と意味的に似ていますが、ちょっと堅いイメージのある言葉で、「便宜を図る」など使い方も堅いです。
「便宜」は言葉自体も使い方も堅いイメージではありますが、意味的にはとても良く似ていますので、「便宜」も「よしなに」の類語だと言えます。
穏当
「よしなに」の類語の七つ目は、「穏当」です。「穏当」の意味は「物事に無理がなく理にかなっている」という意味なので、一見すると「よしなに」の意味とは全く違います。
ですが「穏当」という言葉は「波風を立てないようにうまくやる」というニュアンスのある言葉ですので、そういった点では「よしなに」の意味「うまい具合になるように」と似ています。
そのため「穏当」という言葉も「よしなに」の類語だと言えますが、「穏当」を「よしなに」の言い換えに使うことはできません。
よしなにの英語表現
「よしなに」の類語についてご紹介しましたので、次は「よしなに」の英語表現についてご紹介します。日本語には英語に訳するのが難しい言葉が多いですが、「よしなに」も英語に訳するのが難しい言葉の一つです。
「よしなに」の英語を検索するとなんと「yoshinani」がストレートに出てきます。「よしなに」をそのまま英語にしても通じるということですが、全ての外国の人にこれが通用するとは限りません。
「よしなに」を英語で表現するにはどのような英語表現が良いのか、「よしなに」の英語表現についてもご紹介しましょう。
Do as you think best
「よしなに」の英語表現として代表的なのは「Do as you think best」です。この「Do as you think best」という英語の文章は直訳すると「あなたの良いようにしてください」という意味になります。
「よしなに」には「良いように」という意味がありますので、この英語の文章は意訳すると「よしなにお取り計らい下さい」という意味になります。
「よしなに」は「Do as you think best」という英語表現ができますが、古い日本の言葉である「よしなに」の歴史ある味は英語では表現しきれないとも言えます。
よしなにの使い方
「よしなに」の英語表現についてご紹介しましたので、次は「よしなに」の使い方についてご紹介します。「よしなに」は古い日本の言葉ですが、ビジネスシーンなどで使う人は現代にも時々います。
「よしなに」という言葉は使う相手などを選ぶので、ビジネスシーンでも使い方が難しい言葉だと言えます。
「よしなに」という言葉の使い方とはどういう使い方なのか、「よしなに」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「よしなに」の使い方の例文の一つ目は、「こちらに都合が悪くならないよう、よしなに頼む」という例文です。「よしなに」には「うまい具合になるように」という意味があり、この例文はその意味での例文になります。
「よしなに」という言葉は目上の人から目下の相手に対して使われる言葉ですので、この例文は目上の人から目下の相手に対する言葉ということになります。
「よしなに」という言葉は優しく柔らかいイメージでありながら、目上の人から目下の相手に対して圧力をかけるイメージもあります。
例文②
「よしなに」の使い方の例文の二つ目は、「孫がそちらに遊びに行きますので、よしなにお願いします」という例文です。この例文での「よしなに」は「よろしく」という意味で使われています。
「よしなに」という言葉は目上の人から目下の相手に対して使われることが多いですが、同格の相手に対して使ってもOKです。
この例文では年配の人が同じ年頃の相手に対して「孫をよろしく」と言っています。「よしなに」は目上の人には使えませんが、それ以外の相手なら使えるということです。
例文③
「よしなに」の使い方の例文の三つ目は、「私が損をしないよう、よしなにお願いしますよ」という例文です。この例文での「よしなに」は「良いように」「うまい具合になるように」という意味で「よしなに」を使っています。
この例文でもやはり、目上の人から目下の相手に対して「よしなに」という言葉が使われていて、「損をしないよううまくやれ」と言っています。
「よしなに」という言葉は柔らかくて優しいイメージがあるので誰に対しても使えそうですが、目上の人には使ってはいけないですので注意しましょう。
例文④
「よしなに」の使い方の例文の四つ目は、「夏休みになったら遊びに行くからよしなにお願いします」という例文です。この例文では「よろしく」という意味で「よしなに」が使われています。
この例文では同じ年頃で同格の相手に対して「よしなに」が使われていますが、昨今では「よしなに」という言葉は友人関係ではほぼ使われません。
親しい友人に対してふざけた調子で「よしなに」と言うことはありますが、現代では「よしなに」という言葉はあまり使われませんので、使う相手や使いどころを選ぶ必要があるとも言えます。
よしなにはよろしくという意味
「よしなに」という言葉の意味や語源や使い方などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。「よしなに」の意味は「よろしく」ですので、「よしなに」の意味を正しく理解して正しく使いましょう。