怠慢の意味とは?
「怠慢」という言葉を見たり聞いたりしたことがあるという人は結構多いでしょう。ですが「怠慢」とはいったいどういう意味なのかを問われたら、その意味をきちんと答えられる人は少ないでしょう。
「怠慢」という言葉は、何となくイメージだけで意味がわかったような気になっている日本語の一つで、「怠慢」の正しい意味を知っている人はかなり少ないです。
「怠慢」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「怠慢」の意味についてご紹介しましょう。
なまけておろそかにするという意味
「怠慢」の意味の一つ目は、「なまけておろそかにする」という意味です。「なまけておろそかにする」の意味は「労力を惜しんで一心に行わず、いい加減にする」という意味になります。
「なまける」という言葉は簡単に使われる言葉ですが、実は「労力を惜しんで一心に行わない」というとても難しい意味があります。
そのため「怠慢」という言葉の意味は「なまけておろそかにする」というシンプルな意味でありながら、「労力を惜しんで一心に行わず、いい加減にする」という難しい意味でもあると言えます。
「いい加減」という言葉は良い意味で使われる場合もありますが、こちらの「いい加減」は悪い意味での「いい加減」で「雑」という意味になります。
しなければならないことをしないという意味
「怠慢」の意味の二つ目は、「しなければならないことをしない」という意味です。こちらの意味は、一つ目にご紹介した「なまけておろそかにする」とは違い、これ以上難しい意味はありません。
「しなければならないことをしない」は文字通りの意味で、難しく言えば「課せられた仕事や義務などを行わない」ということになります。
「怠慢」という言葉は「職務怠慢」などという使い方がされることもありますが、そういった場合にはこちらの「しなければならないことをしない」という意味で「怠慢」が使われます。
なまけて仕事や義務をおこたるという意味
「怠慢」の意味の三つ目は、「なまけて仕事や義務をおこたる」という意味です。こちらは一つ目と二つ目が合体したような意味で、二つ目の意味「しなければならないことをしない」に「なまける」がプラスされた意味になります。
単に「しなければならないことをしない」というと、何か事情があって「やりたくてもできない」ことも含まれますが、これに「なまけて」がつくと何も事情はなく単に「なまけて」いるだけになります。
「怠慢」には「なまけておろそかにする」「しなければならないことをしない」「なまけて仕事や義務をおこたる」という意味がありますが、全て覚えられないなら一つ目の意味だけでも覚えておくと良いでしょう。
怠慢の由来
「怠慢」の意味についてご紹介しましたので、次は「怠慢」の由来についてご紹介します。日本語には古くから使われていて語源や由来がある言葉がたくさんありますが、「怠慢」もそういった日本語の一つです。
「怠慢」という言葉は昔の中国などに由来のある故事成語ではありませんが、「怠慢」にもちゃんと由来はあります。
「怠慢」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「怠慢」の由来についてもご紹介しましょう。
心が緩んでなまけるという意味を持つ「怠」が由来
「怠慢」の由来は「心がたるんでなまける」という意味を持つ「怠」という文字にあります。また「怠慢」の「慢」の文字には「心が緩んで締まりがない」という意味があり、この二つが合わさって「怠慢」になりました。
「心がたるんでなまける」だけでも良くない意味があるのに、その上「心が緩んで締まりがない」という意味もプラスされ、とんでもなく悪い意味になったということです。
日本語の多くは漢字でできていますが、そのいずれもがこの「怠慢」のように一文字一文字意味を持っていて、いくつかの漢字を合わせることでさらに深い意味を持たされていると言えます。
怠慢の類語
「怠慢」の由来についてご紹介しましたので、次は「怠慢」の類語についてご紹介します。「怠慢」の意味は「なまけておろそかにする」ですので、この意味に近い意味を持つ言葉が「怠慢」の類語になります。
「怠慢」には他に「しなければならないことをしない」「なまけて仕事や義務をおこたる」という意味もありますので、これらの意味に近い表現の言葉も「怠慢」の類語になります。
「怠慢」という言葉に似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「怠慢」の類語についてもご紹介しましょう。
手抜き
「怠慢」の類語の一つ目は、「手抜き」です。「手抜き」の意味は「しなければならない手続きや手間を故意に省くこと」という意味です。
「怠慢」には「しなければならないことをしない」という意味がありますので、「手抜き」は「怠慢」のこの意味に近い表現の類語になります。
ですが「手抜き」の意味の中には「手続きや手間」という言葉があり、「しなければならない」の対象が限定されていますので、そういった点では「怠慢」とは少し違うと言えます。
不行き届き
「怠慢」の類語の二つ目は、「不行き届き」です。「不行き届き」の意味は「充分に行き届いていないさま」という意味です。
「不行き届き」は「怠慢」の「しなければならないことをしない」という意味に近い意味を持つため、「怠慢」の類語の一つに数えられます。
ですが「怠慢」には「故意に」というニュアンスがあるため、「故意に」ではなく単なるミスなどを表現する「不行き届き」とは少し違うと言えます。
疎放
「怠慢」の類語の三つ目は、「疎放」です。「疎放」の意味は「やり方が綿密ではなく荒っぽい」「大雑把で締まりがない」です。
「疎放」という言葉は意味的には「怠慢」とはちょっと違いますが、「締まりがない」という意味があるため「怠慢」の類語の一つだと言えます。
「疎放」は「雑」を難しく表現する場合に使われる言葉ですが、「怠慢」は「雑」とはちょっと違いますので、その点でも「疎放」は「怠慢」とは少し違います。
粗慢
「怠慢」の類語の四つ目は、「粗慢」です。「粗慢」の意味は「やり方や考え方が大まかで締まりがない」「いい加減」です。
「粗慢」も先にご紹介した「疎放」と同じく、意味の中に「締まりがない」という言葉が入っていることから、「怠慢」の類語として挙げられます。
ですが「粗慢」には「怠慢」の重要な意味である「なまける」というニュアンスがないので、その点では「粗慢」は「怠慢」とは少し違います。
粗放
「怠慢」の類語の五つ目は、「粗放」です。「粗放」の意味は「綿密ではなく荒っぽいこと」「大雑把で締まりがないこと」という意味です。
「粗放」は先に「怠慢」の類語としてご紹介した「疎放」と同じように使うことができる言葉で、「締まりがない」という意味があるため「怠慢」の類語になります。
「粗放」と「疎放」は同じ意味を持っていますが、「粗放農業」など特定の使い方をする「粗放」と「疎放」では使い方が違うため、別にご紹介しました。
なまけ
「怠慢」の類語の六つ目は、「なまけ」です。「なまけ」の意味は「するべきことをしないで済まそうとすること」です。
「怠慢」には「なまけておろそかにする」という意味がありますので、「なまけ」は「怠慢」に極めて近い意味を持つ類語になります。
ですが「怠慢」には「なまける」だけではなく「おろそかにする」という意味もありますので、その点では「なまけ」では少し足りません。
「怠慢」には意外にたくさんの類語がありますが、「怠慢」と完全に意味が一致する類語はないと言えます。
怠慢の対義語
「怠慢」の類語についてご紹介しましたので、次は「怠慢」の対義語についてご紹介します。「怠慢」はなまけている状態を表現する言葉で、「なまけておろそかにする」といった意味がありますので、反対の意味を持つ言葉が対義語になります。
日本語の中には対義語を探すのが難しい言葉もありますが、実は「怠慢」という言葉も対義語を探すのが難しい日本語の一つです。
「怠慢」という言葉とは反対の意味を持つ言葉にはいったいどのような言葉があるのか、「怠慢」の対義語についてご紹介しましょう。
勤勉
「怠慢」の対義語の一つ目は、「勤勉」です。「勤勉」の意味は「仕事や勉強に一生懸命に励むこと」という意味です。
「勤勉」は「怠慢」の「なまけておろそかにする」という悪い表現とは正反対ですので、「怠慢」の対義語だと言うことができます。
「勤勉」はとても良い表現として使われる言葉で、「怠慢」とは正反対の表現ではありますが、「仕事や勉強」という対象の限定があるという点では「怠慢」とは少し違います。
努力
「怠慢」の対義語の二つ目は、「努力」です。「努力」の意味は「目標の実現のため心身を労して励むこと」という意味で、とても良い表現に使われる言葉です。
「努力」という言葉も、あまり良くないことを表現する「怠慢」とは正反対ですので、「怠慢」の対義語の一つとして挙げられます。
「勤勉」や「努力」のようにとても良い表現に使われる言葉が「怠慢」の対義語になりますので、「怠慢」という言葉がいかに良くない表現であるかがわかるでしょう。
怠慢の使い方
「怠慢」の対義語についてご紹介しましたので、次は「怠慢」の使い方についてご紹介します。「怠慢」の意味は「なまけておろそかにする」で、悪いことを表現する言葉ですが、意外に色々な場面で使うことができます。
「怠慢」の意味「なまけておろそかにする」「しなければならないことをしない」は、日常生活の中でもありがちなことなので、そういった日常生活の中のひとコマを言い表す文章の中で使うこともできます。
「怠慢」という言葉はいったいどのように使えば良いのか、「怠慢」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「怠慢」の使い方の例文の一つ目は、「怠慢だとは分かっているが、どうしても休憩を多く取ってしまう」という例文です。この例文では「なまけておろそかにする」という意味で「怠慢」という言葉を使っています。
一生懸命仕事に打ち込もうと思っていても、体調が悪かったり気分が良くないなどという時には、ついつい多く休憩を取ってしまうこともありがちです。
ですが元が勤勉な人の場合には、体調が悪いという事情があっても多く休憩を取る自分の事を「怠慢だ」と思ってしまうこともあります。
「怠慢」は確かに良くない表現の言葉ではありますが、他人から見れば「怠慢」ではない場合であっても本人が「怠慢」だと思うこともあるということです。
例文②
「怠慢」の使い方の例文の二つ目は、「職務怠慢という言葉もあるが、彼に限ってはそのような言葉は全く当てはまらない」という例文です。「怠慢」という言葉は「職務」という言葉とセットで使われることも結構多いです。
この場合の「怠慢」の意味は「しなければならないことをしない」「なまけて仕事や義務をおこたる」という意味での「怠慢」の使い方になります。
実は「職務怠慢」という言葉はこれ自体がちゃんとした一つの単語で、「自分が受け持っている職業上の勤めを履行しない」という意味があります。
「怠慢」という言葉は単独で使われることも多いですが、「職務怠慢」のように他の単語の一部として使われることもありますので、「職務怠慢」という言葉も覚えておくと良いでしょう。
例文③
「怠慢」の使い方の例文の三つ目は、「彼女が時々勤務時間中に仕事以外のことをやっているのは怠慢としか言えない」という例文です。
この例文では「しなければならないことをしない」「なまけて仕事や義務をおこたる」という意味で「怠慢」が使われています。
「怠慢」という言葉は「さぼる」の代わりに使われることも結構多く、この例文では「さぼる」というイメージで「怠慢」が使われていると言えます。
「あの人は怠慢だ」などという言い方をすることもありますが、実は「さぼる」の意味は「仕事や授業などをなまける」で「怠慢」より少しましです。「怠慢」という言葉を使うと少し意味的にきつくなりますので注意が必要です。
例文④
「怠慢」の使い方の例文の四つ目は、「彼女が仕事中にじっとパソコンのディスプレイを見ているのを怠慢だと誤解している人もいるが、彼女は会社の株価をチェックしているのでちゃんとした仕事だ」という例文です。
この例文では「なまけて仕事や義務をおこたる」という意味で「怠慢」という言葉が使われていて、この「怠慢」は「職務怠慢」と言い換えることもできます。
このように「怠慢」という言葉は色々な場面で使うことができますが、人に対して「怠慢」と言う場合には、本当に「怠慢」と言っていいほどひどい状態なのかどうかをきちんと見極める必要があると言えます。
怠慢はなまけておそろかにするという意味
「怠慢」という言葉の意味や使い方の例文、類語や対義語についてご紹介してきましたが如何だったでしょうか。「怠慢」は「なまけておろそかにする」という意味ですので、「怠慢」の正しい意味を理解して正しく使いましょう。