「飼い殺し」の意味とは?
「飼い殺し」という言葉をご存知でしょうか。今回は、「飼い殺し」の意味や類語、英語表現、由来や注意点についてご紹介していきます。「飼い殺しされやすい人」というのは共通の特徴があり、どういった特徴がある人が「飼い殺し」されやすいのかについてもご説明していきます。
また、「飼い殺し」にしたい人の特徴についてもご紹介していきます。「飼い殺し」の注意点として「パワハラ」についてもご説明します。「飼い殺し」について網羅した内容です。それでは、「飼い殺し」にはどういった意味があるのか、まず確認していくことにしましょう。
意味「家畜が役に立たなくなっても死ぬまで養うこと」
「飼い殺し」には2つの意味があります。1つ目の意味として「家畜が役に立たなくなっても、死ぬまで養うこと」を意味しています。こちらの意味で「飼い殺し」を使うことはあまりありません。どちらかというと、もう1つの意味で使われるのが一般的になっています。
意味「能力を発揮できるような仕事を与えないままずっと雇っておくこと」
「飼い殺し」のもう1つの意味として「その人が実力を発揮できる仕事を与えないままに、ずっと雇っておくこと」という意味があります。
上司や上の立場の人から力を発揮する場を意図的に与えられない実力者のことを意味しています。使い方としては「飼い殺しも同然の扱いだ」という使い方になります。
「飼い殺し」の由来
「飼い殺し」の由来にはどんな由来があるのでしょうか。「飼い殺し」の由来は先ほどご紹介した1つ目の意味が由来になっています。
「飼い殺し」の由来について詳しく解説していきましょう。「飼い殺し」の由来とはどういった由来があるのでしょう?「飼い殺し」の由来についてチェックしていきましょう。
由来「役に立たなくなった家畜」
「飼い殺し」の由来についてご説明していきます。「飼い殺し」の由来には乳牛などが乳を出さなくなっても、死ぬまで飼うことをいいました。ここから、企業が自分の職場では役に立たない人材を雇用し続けることを意味する慣用語として使われるようになりました。
雇われている方も、働きがいなく職場に籍を置いているだけになってしまうので、いくら能力があっても実力を発揮できないことを意味しているのです。家畜の場合は、飼い主の恩恵を受けているのですが、「飼い殺し」にされている社員は恩恵を受けることができません。
職場で飼い殺しされやすい人の特徴
職場で「飼い殺し」の意味には「実力を発揮させないまま雇い続けること」という意味での使い方になります。実力があるにも関わらず、実力が発揮できないまま職場で雇い続けられることとして使われています。
職場で「飼い殺し」されやすい人の特徴にはどんな特徴があるのかご紹介していきましょう。「飼い殺し」にされやす人の特徴にはどんな特徴があるのでしょうか。
相談できる相手がいない
職場で「飼い殺し」にされる人の特徴として相談できずに自分で解決しようとしてしまう特徴があります。これは特に日本人に多い特徴でもあり、日本が世界のなかで最も自殺者が多いことからも分かります。
「飼い殺し」される人は、相談することを恥ずかしいこと、知られたくない、可愛そうな自分と思われたくないという気持ちが強くあります。そのため自分が我慢すればいいとどんどん自分だけで解決しようとしてしまいます。
職場内の「飼い殺し」状態というのは第三者に意見してもらうことが大変重要であり、そこから共に解決してもらう必要もあるのです。
内気
職場で「飼い殺し」される人の特徴として「内気な性格」も特徴的です。人前で自分のことを話せずに気が弱いという特徴があります。
そこに「自分が悪い」「我慢しとけばいい」という風に考えてしまうので、なかなか事態がよくなりません。周りも「飼い殺し」にしていながらも本人が何も言わないからといってそのまま放置してしまうことになってしまうのです。
向上心がない
「飼い殺し」状態にされているとどんどん向上心は奪われてくることもあります。それと同時に本人も「ここでは自分はお金がもらえればそれでいい」「職場の中に所属しておけばなんとかなる」という風に向上心なく働くことになってしまいます。
そうなってくると「あの人は仕事ができない」「言われたことしかできない人」という風に思われてしまいます。そこからどんどん職場と「飼い殺し」される人との気持ちが離れてしまうことになってしまうのです。
恋愛で飼い殺しされやすい人の特徴
恋愛において「飼い殺し」の意味には、「都合よく付き合わされて、別れてくれないこと」と意味しています。例えば、恋愛しているのに、お互いの目的が同じでないまま、ただ別れずにずるずるそのままの状態でいることがあります。
他には、思わせぶりな態度をとられたりすることに対して使います。恋愛において「飼い殺し」にされる人の特徴にはどんな特徴があるのか解説していきます。
自分が悪いと思い込む
恋愛において「飼い殺し」されやすい人の特徴として、何かよくないことが恋愛関係で起こった場合に「自分が悪いから仕方ない」という考えになりがちです。自分のなかで「飼い殺し」されるのは、自分が悪いからこうなってしまっていると自分を納得させているのです。
これは、クセになってしまっていてなかなか恋愛相手にその気持ちをぶつけることができません。こういった特徴のある人は他の恋愛をしたとしても常にネガティブに物事を捉えがちになってしまうのです。
自分の意見が言えない
恋愛で「飼い殺し」される人の特徴として自分の意見が言えずに相手に合わせることしかできないのが特徴です。恋愛において自分の意見を通すことが強い罪悪感となって、「飼い殺し」される人は感じてしまいます。
相手の気持ちを悪くしてしまうような自分の意見は絶対に言わないので相手も、どういう気持ちなのか分からないという特徴があります。恋愛でも常に相手に合わせるという恋愛になってしまい疲れてしまう恋愛をしてしまうのです。
自分はそういう恋愛しかできないと思っている
「飼い殺し」にされる人の特徴として自分はそういう恋愛しかできないと思っていることもあります。恋愛関係で常に我慢するのが当たり前で、相手に合わせる恋愛、自分の意見を言わない恋愛が自分のなかで正しい恋愛であると思い込んでいるためそうなってしまいます。
それは幼少期の育ちが大きく影響していて、家庭のなかでも常に我慢するのが普通であった人にとっては、恋愛で自分の気持ちを相手に伝えることは困難なことで難しいと感じてしまうのです。
「飼い殺し」にしたい人の特徴
「飼い殺し」にされる人の特徴があるように「飼い殺し」にしたい人や「飼い殺し」をしている人の特徴もあります。職場内でも恋愛でもこういった人もいます。
「飼い殺し」にしている人というのはどういう特徴があるのかチェックしてみましょう。自分が部下がいる人は注意する必要があります。自分は無意識に相手を「飼い殺し」にしてしまっていないか注意しながら読んでみて下さい。
相手が離れてしまうことに恐怖を感じる
職場でも恋愛でも「この人は自分にとって得か損か」で考える特徴がある人は相手が離れていくことに恐怖を感じるという特徴があります。相手が自分から離れてしまわないように、中途半端な状態にしておくのです。
特に恋愛においては相手が離れてしまいそうな時に、相手を攻めて「自分が悪い」と相手が思うようにしむけてしまうこともあります。こうすることで相手が自分から離れてしまわないようにしていることが考えられます。
嫉妬深い
「飼い殺し」にする人の特徴として自分よりよくできる部下という存在はとても脅威を感じてしまいます。自分ではない自分よりできる人が周りにちやほやされていることにいてもたってもいられなくなってしまうのです。
恋愛においても、相手が他の異性と仲良く話しをしている場面や、ただ異性の話をしているということでも嫉妬してしまう特徴があります。相手にとってはどうでもないことであっても、「飼い殺し」をする人にとってはかなり脅威を感じて嫉妬心が生まれてしまう特徴があります。
独占欲が強い
これは特に恋愛においてよくある「飼い殺し」にする人の特徴でもあります。誰にも相手を渡したたくないという気持ちが強いため、相手を独占しようとする特徴があります。
例えば、他の異性と話をすることも禁止したり、異性がいるような場所にいることを止めるような特徴があります。他にも携帯をチェックして自分以外の相手と親密な関係になっていないか確認しておかないと気が済まないという特徴もあります。
自分の思い通りにしたい
「飼い殺し」にしたい人というのは自分の思い通りにできる人間を常に探しています。これは自分の思い通りにしたいという気持ちが強いということが特徴的です。人を自分の思うように動かすのは容易にできることではありません。
自分の思うように動かそうとすると反発されるか、反抗されるか、離れていくことがほとんどです。「飼い殺し」にしたい人は、自分の思い通りにできる人間を常に探していて、内気であったり、内向的な人を「飼い殺し」にしていく特徴があります。
そうやって「飼い殺し」にすることで、大きな優越感に浸っているのです。職場でも「飼い殺し」にする人というのは、「飼い殺し」する相手に仕事を与えないことで「できない人間」と周りに思わせるのです。例えば、仕事を与えないということがあります。
上司から仕事を与えてもらえないためにだんだんと「飼い殺し」されている本人もやる気を失っていきます。それでいて、低賃金でも長時間雑用でこき使われてしまうこともあるのです。
しかし、「飼い殺し」にされている人は内気でなかなか自分の気持ちを相手に伝えることができないためそのままの状態が変わることがありません。また、恋愛においても「飼い殺し」にしたい人は相手を自分の思い通りにしようとする特徴があります。
例えば、自分の思い通りに恋人が動かないと激しく叱責をしたり、時には暴力を奮うという特徴があります。そこまではしないにしても、相手が悪いと思わせる言動も特徴的です。そうすることで、相手を自分の思い通りにしています。
「飼い殺し」の類語表現
「飼い殺し」の類語にはどんな類語があるのでしょうか。そもそも類語とは、「語形体系の語彙のなかで互いによく似た意味をもつ2つ以上の単語」という意味があります。
「飼い殺し」の類語の意味と使い方についてご紹介していきましょう。類語を知っていると言い換え表現として使うことができてとても便利です。
類語「ヘビの生殺し状態」意味と使い方
「飼い殺し」の類語として「ヘビの生殺し状態」があります。「ヘビの生殺し」の意味は「痛めつけて、半死半生のまま苦しめること」「物事を中途半端な状態にして決着をつけないままでいること、そのために苦しむこと」という意味があります。
「ヘビの生殺し」の由来について迫っていきましょう。そもそも「へび」は、目と耳と足が退化した生き物でもあります。歯をもっていますが、獲物を咀嚼(そしゃく)することなく丸呑みをします。ヘビは毒をもっていたり、攻撃力も強くなります。
そこから様々な役割で神話にも登場しています。例えば「死と再生の象徴」「大地母神」「永遠の象徴」「生命力」「知恵の象徴」「悪魔の位置づけ」など様々な役割をヘビは与えられています。
これはヘビが脱皮をすることや、なかなか死なないことも関係しているのです。次に「生殺し」にも「ヘビの生殺し」と同じ意味となります。「生殺し」は「半殺し」と同じ意味になります。
ここから「ヘビの生殺し」には「半死半生の状態にしておくこと」「中途半端な状態にすること」という意味になったのです。「ヘビの生殺し」の使い方として「彼女に告白してから1ヶ月放置されています。
ヘビの生殺し状態です」「どちらの意見に賛成か両方から圧力がかかっていてヘビの生殺し状態が続いています」という使い方ができます。
「ヘビの生殺し」の英語表現として「プロポーズしたのにはっきり返事をくれないのはヘビの生殺しだ」という日本語の英語表現は「Since she won't give me a definite answer to my proposal, I'm left in limbo.」となります。
類語「生殺し」の意味と使い方
「飼い殺し」の類語として「生殺し」があります。読み方は「なまごろし」という読み方をして「ヘビの生殺し」と同じ意味となる「殺す寸前まで痛めつけること」
「物事を中途半端な状態にして相手を苦しめること」という意味があります。使い方としては「生殺しも同然の仕打ち」といった使い方があるのです。
類語「宙ぶらりん状態にする」の意味と使い方
「飼い殺し」の類語として「宙ぶらりん状態にする」があります。「宙ぶらりん状態ににする」の意味には2つ意味があって「空中にぶら下がっていること」「どっちつかずで中途半端であること」という意味があります。
「飼い殺し」の意味と似ている意味としては後者の意味となります。「プロジェクト全体が宙ぶらりん状態です」「彼と彼女の関係はまさに宙ぶらりん状態です」という使い方になります。
「宙ぶらりん」を英語にすると「up in the air」「pending」「unsettled」という英語表現になります。日本語で「その話は宙ぶらりんの状態になっている」という英語表現は「The matter is still pending is not decided yet.」という英語表現になります。
「宙ぶらりん」の「宙」の意味には「そら」「大空」「地面から離れたところ」「そらで覚えていること」「暗記していること」という意味があります。「宙」の類語としては「空中」があります。「宙ぶらりん」の意味には「中途半端なこと」という意味になったのです。
類語「生かさず殺さず」の意味と使い方
「飼い殺し」の類語として「生かさず殺さず」があります。徳川家康の名言の1つとして「百姓は生かさず殺さず」という言葉があります。この言葉は本当に徳川家康の言葉であるのか疑問をもつ人も少なくありません。
これが徳川家康の言葉といわれるのは「落穂集」があります。北条市の重臣大道寺政繁のひ孫大道寺友山によって書かれたものです。ここから家康から、利勝、家臣、友山と3段階に伝承によって家康が「百姓は生かさず殺さず」と言ったと伝わっていることになるのです。
「生かさず殺さず」の意味には「生かしもせず、殺しもせず、中途半端に苦しめておく」「かろうじて生きていける程度の状態に置くこと」という意味があります。使い方としては「国民は生かさず殺さず」という使い方があります。
「飼い殺し」の英語表現
「飼い殺し」の英語表現についてご紹介していきます。「飼い殺し」の英語表現として「keeping a domestic animal beyond its useful life」という英語表現があります。「飼い殺しにする」の英語表現は「just keep somebody on the payroll」という英語表現になります。
また「その会社は能力のある人をみすみす飼い殺しにしています」という英語表現は「 The company just keeps talented men on the payroll without giving them a chance to show what they can do.」という英語表現になります。
「飼い殺し」の注意点
職場での「飼い殺し」としてパワハラがあります。ここでは、パワハラとはどういった行為があるのかについてご紹介していきます。「飼い殺し」状態でもあるパワハラとはどういったものがあるのがチェックしていきましょう。ただ、これが全てではないのでご注意ください。
身体的な攻撃
例えば、上司に報告書を提出した際に出来が悪かったことに腹を立てて物を投げつけられて負傷したといったケースが典型的です。直接からだを蹴られたり、叩かれたり、危害を加える暴行、生涯などが該当します。こうしたパワハラは身体的攻撃型のパワハラをいいます。
精神的な攻撃
職場での「飼い殺し」として同僚がいる前で「くびだ!おまえなんて辞めちまえ!」という発言や「馬鹿」「無能な奴」といった暴言を毎日のようにされていることを表しています。教育訓練といいつつ、懲罰的に何か文章を書き写させることを長時間させることも精神的攻撃に当たります。
人間関係からの切り離し
職場で上司と口論してから必要な資料がもらえなかったり、会議がいつあるのかを教えてもらえない、無視される状態が続くことをいいます。職場全体で仲間はずれや無視などを行って、個人を疎外するような行為はパワハラになります。意味もなく1人だけを別室に行かせるなどもこれにあたります。
プライバシーの侵害
プライバシーを侵害することもパワハラに当たります。例えば、上司から個人的な興味で休日の予定を聞かれたり、私物を覗かれることなどが当てはまります。休日に上司の私的なコンサートチケットを取らせるために職場の部下を並ばせることなどがあります。
「飼い殺し」は「実力を発揮させず雇い続ける」という意味
「飼い殺し」についてご説明してきました。「飼い殺し」の意味には「家畜を死ぬまで飼う、実力を発揮させずに雇い続ける」という意味があります。「飼い殺し」の使い方として「飼い殺し同然」「飼い殺し状態」という使い方をします。
恋愛における「飼い殺し」には「都合よく付き合うこと」という意味があります。「飼い殺し」にされる人の特徴として内気であったり、自分の意見をはっきりと言えないという特徴があります。もし「飼い殺し」がひどい場合はパワハラのこともありえます。
まずは、誰かに相談してみることを試してみて下さい。相談できる相手がいないということも「飼い殺し」にされる人の特徴でもあるのです。「飼い殺し」にされていい人は決していません。あまりにもひどいのであれば転職や別れも考えてみましょう。