「布石」の意味とは?
今回は、「布石」という言葉について、その意味や使い方、類語や英語表現などについて例文を交えながら紹介をしていきます。
「布石」という言葉の意味は、「将来のために配置する備え、準備」となります。似た意味を持つ類語として「伏線」が紹介される事例が多いですが、意味は近くてもニュアンスや使い方には差があるので注意しましょう。
また、「布石を打つ」といった使い方をすることが多い言葉で、特にビジネスシーンにおいては便利に利用されています。
「布石」の由来
「布石」という言葉の由来について解説をします。「布石」とは、もともとは囲碁において使用されてきた言葉です。碁盤の最初に置く石を意味します。
囲碁において、最初に置く石というのは非常に重要な意味を持っています。その後の展開を大きく左右する意味を持ちます。「布石」は、あらかじめ後の展開を考慮して石を置くことから、将来の備え・準備という意味で利用されるようになりました。
このため、特にビジネスシーンで「布石」という言葉を利用すると、将来における備え、今後のビジネスの展開に備えた準備という意味で使用されることが多いです。
「布石」の特徴
続いて、「布石」という言葉が持つ意味の特徴について紹介します。すでに紹介したように、「布石」という言葉の由来は囲碁における使用になります。
このため、囲碁で使用する意味と連動して使用されることも多いです。ただ、現在においてはビジネスシーンでの利用がメインになってきています。
囲碁での意味と連動している
囲碁において、「布石」が持つ意味の重要性は非常に高いものがあります。囲碁の盤面上の陣地の奪い合いにおいて、最初に置く石である「布石」は、対局全体の行方を左右するポイントとなりますし、差し手の意図が明確に表れる部分でもあります。
囲碁の意味における「布石」の重要性を踏まえて、ビジネスシーンをはじめ様々な場面での使い方ができる点に「布石」という言葉の特徴があります。
ビジネスシーンにおいては、様々なビジネス展開を考えるうえで、あらかじめ準備をして一石を投じる「布石」の意味合いは非常に重要です。
意味の近い言葉の使い方に注意
「布石」という言葉の使い方として、「布石を打つ」という使い方が一般的です。「布石を置く」、あるいは「布石を投じる」という使い方をする方も中にはいますが、これは正確には誤りです。
「布石」という言葉自体に「囲碁の序盤戦での石の置き方」という意味が含まれているため、「置く」という使い方につなげるのは正しくありません。
無意識のうちに誤った使い方をしてしまっている方も多い言葉ですので、使用する際には注意しておきましょう。
「布石」の意味の類語
続いて、「布石」という言葉の意味に近い、類語について紹介をします。「布石」とは、将来に対する準備の意味を持つので、準備に近い意味を持つ言葉が類語として挙げることができます。
ただ、同じように準備のような意味を持つ言葉でも、それぞれニュアンスが異なるケースが多々見受けられます。
ビジネスシーンにおいては、そのニュアンスの違いにより大きな誤解につながってしまう危険性もあるため、それぞれの言葉が持つ意味やニュアンスを正確に理解して誤解を生まないよう気をつけましょう。
「対策を立てる」
「布石」の言葉に誓い意味を持つ類語の一つ目は、「対策を立てる」という言葉です。「対策を立てる」とは、「将来的にある特定の事項が発生したときの為の準備をする」という意味を持ちます。
「同業他社に後れを取らないよう、あらかじめ対策を立てる」という使い方ができます。「対策を立てる」という部分を「布石を打つ」と置き換えてもほぼ意味は同じになります。
「対策を立てる」という言葉と「布石を打つ」という言葉はほぼ同等の意味を持つ言葉と理解して差しさわりはありません。
「伏線を張る」
「布石」の言葉に誓い意味を持つ類語の二つ目は、「伏線を張る」です。「伏線を張る」という言葉には、「のちに起こることがうまくいくようにあらかじめ準備しておく」という意味があります。
「布石を打つ」という言葉と「伏線を張る」という言葉は、意味はほぼ同じですが大きな違いがあります。「伏線を張る」という言葉には、後の展開の為に準備していることを明確にせず伏せているというニュアンスが含まれている点がポイントです。
「伏線を張る」が映画や漫画などのストーリー性のあるコンテンツで使用されるのに対し、「布石を打つ」の方はビジネスシーンなどで準備していることを明確に示すという点で大きな意味の違いがあります。
「布石」の英語表現とは
「布石を打つ」という言葉を英語で表現するとどのようになるのでしょうか。一番近い意味を持つ言い方としては「preparation」が挙げられます。
「preparation」には「準備・備え」といった意味があります。「prepare」の形式で動詞となり、「布石を打つ」の言葉の意味に近くなります。
「布石」の使い方
続いて、「布石」を使った例文を紹介しながら「布石」という言葉の使い方を解説していきます。特に現代においてはビジネスシーンで利用されることが増えてきた言葉です。
ビジネスシーン以外にも日常会話で使用している方も多いので、正確に意味を理解して使いこなせるようになりましょう。
例文①
「布石」という言葉を使った例文の一つ目は、高校生に対して英語を学ぶ重要性を説明する場面を想定しています。
英語を使えることは当たり前の時代になってきています。その中で、英語を若い間に学んでおくことは将来への布石を打つ意味のある学習ととらえた発言になります。
「英語を学んでおくことは、将来に向けての布石の意味でも価値のあることだと思います。」将来の布石の意味で英語を学ぶことの重要性を説明した例文です。
例文②
「布石」という言葉を使った例文の二つ目は、企業において担当者が上席に対し新規プロジェクトの実施の許可をもらおうと交渉している場面を想定しています。
「今回の新規プロジェクトを立ち上げる意味は、将来の当社の発展の布石となるので、ぜひ許可を頂きたいと思っています。」
新しいプロジェクトが会社全体の将来の布石を打つ意味になると説明している場面です。将来の会社の姿を考えた、先見性のある人材の発言に、「布石を打つ」という言葉は使われる機会が多くなります。
例文③
「布石」という言葉を使った例文の三つ目は、企業活動において、新規開始の事業のプレゼン準備をしている場面を想定しています。
「次回のプレゼンでは絶対に失敗することはできないので、事前の参加者への根回しをして、あらかじめ布石を打っておく意味を持たせた。」
「布石を打つ」という言葉には準備をすること全般を含めることができるので、この例のような根回しの意味で使用することも間違いではありません。
例文④
「布石」という言葉を使った例文の四つ目は、古い考え方を持っている人に対して批判めいた発言をしている場面を想定しています。
「あなたのように、古い定石での布石を打っているようでは、いつまでたっても本来の意味での独立は難しいと思います。」
囲碁においては定石といって決まったパターン化した石の打ち方があります。囲碁においては基礎となり重要な打ち方ですが、この例のように古い考え方というニュアンスを持たせた使い方もできます。
「布石」の注意点
最後に、「布石」という言葉を使う際の注意点について説明をします。実際、「布石」という言葉を使っている事例としては「布石を打つ」という言い方が正しいですが、他に「布石を置く」や「布石を投じる」という使い方を耳にすることもあります。
誤った言い方に注意
「布石を置く」や「布石を投じる」という使い方は、正確には正しくありません。現在では日常的に使われてしまっていますが、囲碁の世界では「布石」自体にすでに「置く」「投じる」という意味が含まれています。
そのため、「布石を置く」や「布石を投じる」というと意味の重複が起こってしまうので正しい言い方ではなくなってしまうので注意しましょう。
「布石」は将来の為の備えという意味
以上、「布石」という言葉について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。「布石」の言葉の由来や特徴、「伏線」との意味の違い、具体的な例文を通して使い方の解説などを行なってきました。
現在では「布石」という言葉はビジネスシーンをはじめ様々な場面で使用されています。きちんと意味を理解して正しく使えるようになりましょう。