所謂の意味とは?
「所謂(いわゆる)」という言葉がテレビや小説などの中で時折使われますが、「所謂」という言葉の正確な意味を問われた時にきちんと答えられる人は意外に少ないです。
「所謂」という言葉は昨今では一般的な日常生活の中であまり使われなくなった日本語の一つですので、意味を知らない人が多くても仕方がないと言えます。
「所謂」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「所謂」の意味についてご紹介しましょう。
世間で言うという意味
「所謂」の意味は「世間で言う」という意味です。「所謂」の意味は「世間で言う所の~」という意味で、「世間一般的に~と言われる」という意味になります。
「所謂」の意味のポイントは「世間」であって、自分がどう思っているかということは含まれません。世間一般的な人々がどう言っているかということが「所謂」の大きなポイントになります。
たとえ自分はそう思っていなくても、「世間の人々がそう言う」というのが「所謂」の重要なポイントなので、主観性な意味は含まれません。
所謂の類語
「所謂」の意味についてご紹介しましたので、次は「所謂」の類語についてご紹介します。「所謂」の意味は「世間で言う」という意味ですので、「世間で言う」という意味に近い意味を持つ言葉が「所謂」の類語になります。
「世間で言う」というのは少し特殊な意味ですので、「所謂」の意味に完全に一致する意味を持つ言葉を探すのは難しいですが、似た意味を持つ「所謂」の類語は少しだけあります。
「所謂」という言葉と似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「所謂」の類語についてご紹介しましょう。
言わば
「所謂」の類語の一つ目は、「言わば」です。「言わば」の意味は「言ってみれば」で、「あの社長は言わば傀儡だ」などのように何かを例える場合に使われる、「所謂」の類語の一つです。
「所謂」の意味は「世間で言う」ですが、「世間一般的に言えば」といったニュアンスがありますので、世間一般を例える意味になります。
何かに何かを例えて言うという点で、「言わば」は「所謂」に近い意味を持つ類語の一つとして数えられます。
言うなれば
「所謂」の類語の二つ目は、「言うなれば」です。「言うなれば」の意味は「言ってみれば」「言わば」で、先にご紹介した「言わば」と同じ意味を持っていて同じように使われますので、「言うなれば」も「所謂」の類語になります。
「言うなれば」は「言わば」に比べるとあまり使われませんが、小説などの中では結構良く使われますので、本を読むことが好きな人なら目にすることも多いでしょう。
「言わば」も「言うなれば」も「所謂」の類語ですが、「所謂」と完全に意味が一致する類語はないと言えます。
所謂の使い方・例文
「所謂」の類語についてご紹介しましたので、次は「所謂」の使い方の例文についてご紹介します。「所謂」の意味は「世間で言う」という意味なので、こういったことを言いたい場合に「所謂」を使うことができます。
一般的な日常生活の中で「所謂」という言葉を使う機会は意外に多いのですが、「所謂」の使い方を知らないので使えないということも多いです。
「所謂」という言葉はいったいどのような使い方をすれば良いのか、「所謂」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「所謂」の使い方の例文の一つ目は、「どんなことでもちょっと練習すればすぐにできるようになる彼女は、所謂天才肌というやつだ」という例文です。
「所謂」という言葉はこのように、名詞の前につけて使います。「所謂」は「です」「ます」などをつけて使うという使い方はせず、必ず何かの名詞の前につけて使わなければなりません。
ただ、名詞が沢山含まれている長文の中に何度も「所謂」という言葉を使ってはいけません。「所謂」は「世間で言う」を強調する言葉なので、多用せず大切なポイントに一つ使いましょう。
例文②
「所謂」の使い方の例文の二つ目は、「中学卒業後高校に進学した途端学校に来なくなった彼は、所謂引きこもりだ」という例文です。
「所謂」の意味は「世間で言う」という意味なので、先にご紹介した「天才肌」のように良い意味の名詞だけではなく、あまり良くない意味の名詞に使われることもあります。
一つ目の例文も二つ目の例文も、ごく一般的な日常生活の中で使える例文で、当てはまるようなことが身の回りであればすぐに「所謂」を使うことができます。
例文③
「所謂」の使い方の例文の三つ目は、「お金に関することならどんな細かい点まで厳しくチェックする彼女は、所謂倹約家というやつだ」という例文です。
「倹約家」という言葉は良い意味でも悪い意味でも使われますが、「所謂」という言葉はこのような言葉の前に使うこともできます。
「倹約家」は悪く言い換えれば「けち」になりますが、「けち」の前に「所謂」をつけて「所謂けち」といった言い方をすることもできます。
例文④
「所謂」の使い方の例文の四つ目は、「彼女は見た目が美しいだけではなく勉強も良くできて人柄もとてもすばらしい、所謂才色兼備の女性だ」という例文です。
「才色兼備」という言葉は昨今ではあまり使われませんが、見た目も中身もとてもすばらしい女性に対して使われる褒め言葉で、「所謂」という言葉はこのような言葉の前につけて使われることもあります。
「所謂」という言葉は良い意味を持つ言葉の前につけて使うこともあれば、良くない意味を持つ言葉の前につけて使うこともありますが、いずれにしても必ず名詞の前につけるということを覚えておきましょう。
所謂の由来
「所謂」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「所謂」の由来についてご紹介します。日本語には由来や語源のある難しい言葉がたくさんありますが、「所謂」という言葉もそんな日本語の一つです。
日本語には古い物語などに由来のある故事成語などもありますが、「所謂」は故事成語ではないので大層な由来はありませんが、ちゃんと由来があります。
「所謂」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「所謂」の由来についてもご紹介しましょう。
言う所のという意味の漢文が由来
「所謂」の由来は、「言う所の」という意味を持つ漢文です。漢文は中国の文章なので現代の日本人にはあまりなじみがありませんが、中国から色々な文化などが入ってきた奈良時代には日本人にも親しまれていました。
昔中国から入ってきた漢文の中に「言う所の」という意味を持つ「所謂」があり、それがそのまま現代まで使われ続けてきたということです。
この漢文の「所謂」の「謂う」には「みんなが言う」といった意味があり、それが「所謂」の意味「世間で言う」という意味になりました。
所謂の英語表記
「所謂」の由来についてご紹介しましたので、次は「所謂」の英語表記についてご紹介します。日本語には英語に翻訳することが難しい難解な意味を持つ言葉や複雑な意味を持つ言葉がたくさんありますが、「所謂」もその一つです。
ですが「所謂」という言葉には意外に近い意味を持つ英語がありますので、「所謂」を英語に翻訳する場合にはかなり近い意味を持つ英語を使って翻訳することができます。
「所謂」という言葉を英語表記するにはいったいどのような英語を使えば良いのか、「所謂」の英語表記についてもご紹介しましょう。
一般的に言われるという意味の「so-called」
「所謂」の英語表記に良く使われるのは「so-called」という英語で、「so-called」には「一般的に言われる」という意味があります。
「所謂」の意味は「世間で言う」という意味なので「so-called」は「所謂」に極めて近い意味を持つ英語表記だと言えますが、「so-called」には「本当かどうかわからないけれど」というニュアンスがあります。
そのため「所謂」を褒め言葉につけて使う場合には「so-called」は似つかわしくありません。「所謂」を褒め言葉につけて使う場合には「what is called」を使う方が良いので、褒める時にはこちらを使いましょう。
所謂は世間で言うという意味
「所謂」という言葉の意味や使い方の例文、「所謂」の由来などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
「所謂」の意味は「世間で言う」という意味ですので、「所謂」の正しい意味を理解して「所謂」を正しく使いましょう。