「ありき」の意味とは?
「ありき」という言葉にはいったいどんな意味があるのでしょうか。「ありき」の言葉の意味について紹介していきますので参考にしてみてください。
「ありき」は「あった」や「ある」といった意味をもつ言葉です。「ありき」は「過去にあった」ものと現在の時点において既に存在が「ある」ものを表す場合の意味として使われる言葉です。
「昔はこうだっだ」のような場合や「現在はすでに物事や存在がある」ことを表す場合を意味しています。現在、日常では「ありき」を過去ではなく現時点にて「ある」ものに使われている言葉となっています。
「ありき」の対義語・類語
「ありき」という言葉には対義語や類語はあるのでしょうか。これから「ありき」の対義語や類語の使い方や意味について紹介していきます。「ありき」という意味で使われる対義語は見当たらないようです。
「ある」や「あった」という言葉としては対義語として「ない」や「なかった」のような意味の対義語があるのですが、「ありき」という意味での対義語はどうやらないようです。
「ありき」の類語はどうでしょうか。「ありき」は類語として「前提」「念頭」や「仮定」などの言葉に置き換えることができます。「前提」の言葉の意味は、事柄や状況が何かしらはじめから成立していることが条件になっていることを意味している言葉です。
「念頭」の意味はある特定の事柄について常に考えていたり、忘れずに心にとめていることを表わすことを意味する言葉です。「仮定」は議論などの際に現段階では未定で不確定な事柄についてひとまず成立しているものとして扱うことを意味している言葉です。
「ありき」の誤用しやすい表現や使い方・例文
「ありき」という言葉には誤用しやすい表現や使い方はあるのでしょうか。普段、使っている言葉でも意外と間違った使い方をしている場合があります。「ありき」という言葉を正しく理解して使うためにも誤用について知っておいた方がいいでしょう。
「ありき」は過去に「あった」ものと現時点において既に存在が「ある」ものを表す場合に使われる意味の言葉であるということを説明してきました。
「ありき」は未来のことを想像したり、予定や先の希望などを伝えたり、強要したりして「あるものだろう」のように表現するのは誤用となってしまいます。
また誤用ではあるものの現代では誤用であってもそのまま使われることがあります。次に実際に「ありき」を使った例文を紹介していきます。
例文①
「ありき」と使った例文の一つに「ありきで考える」があります。「ありきで考える」とは何かを前提として考えることを意味しています。
「ありき」の本来の意味からすると現時点の段階で完了をしていないので誤用になってしまうのですが誤用であっても使われることがある言葉です。
「ありきで考える」を使った例文として「商品開発のコンセプトとして新しい商品は需要ありきで考える」などのような使い方があります。
例文②
「ありき」を使った例文の一つに「お客様ありき」があります。「お客様ありき」とはお客様を前提として行動をするこを相手に求める場合に使われる言葉です。
ビジネスなどの場で「お客様が最優先」などのような意味で使われます。「お客様ありき」は「ありきで考える」と同様に「ありき」の本来の意味からすると誤用になってしまうのですが、現代では予定や物事は人にしてほしいことなどを求める場合にも使われることがあります。
「お客様ありき」の例文として「社員の皆さんは今以上にこれからもお客様ありきで接客してください。」のような使い方があります。
例文③
「ありき」を使った例文に「結論ありき」のように使う場合があります。「結論ありき」とは結論がもうすでに決まっていることを意味している言葉です。
「結論ありき」の例文として「結論ありきのやり方で話し合いの意味があるのだろうか」などのように「ありき」が使われることがあります。
例文④
「ありき」を使った例文に「他人ありき」があります。「他人ありき」とは「他の人がいる」ことを意味する言葉になります。例文として「他人ありきで物事を決めている」「今まで他人ありきで自分の存在意義を見出してきた」などがあります。
「ありき」の意味と「しだい」の意味の違い
「ありき」と「しだい」という言葉にはどんな違いがあるのでしょうか。「ありき」と同じように使われる言葉に「しだい」があります。
「しだい」は漢字で「次第」と書きます。「しだい」を使う場合には漢字で表すことが多く、使い方としては「あなた次第」「結論次第」「結果次第」などがあります。ここでは「次第」の言葉の意味について紹介していきます。
「しだい(次第)」は「なりゆき」や「至ったわけ」という意味
「次第」にはどんな意味があるのでしょうか。「ありき」は「過去に実際にあった」ものや現時点において「ある」ものという意味で使われる言葉になっています。
「次第」は物事の一定の順序や今まで経過してきた「なりゆき」、物事がそのように「至った理由やわけ」などを表す言葉になっています。
「次第」はこれからのやり方で未来についても変えることができるといった意味もあるので「あなた」「結果」「結論」の言葉に「次第」を付けると「ありき」とは違った意味合いが含まれてきます。
「ありき」を使う際の注意点
「ありき」という言葉を使う際にはどんな点に注意して使えばいいのでしょうか。「ありき」という言葉は、現代の世の中では「前提」「仮定」という意味として使われています。
また「ある」「あった」という「ありき」の元々の意味として使われる場合もあることを紹介してきました。
ここでは「ありき」という言葉を使う際にはどういった点に注意したほうがいいのかについて紹介していきますので「ありき」を使う際の参考にしてみてください。
未来のことについては使えない
「ありき」を使う際に注意したほうがいい点は「ありき」という言葉は「未来のことについては使うことができない」ということです。「ありき」の意味の「前提」「仮定」や「ある」「あった」は現在と過去についての事柄を表しています。
「あるだろう」「あると思う」のような未来を表す場合には「ありき」という言葉では表現ができないので覚えておきましょう。
「ありき」の由来・歴史
「ありき」にはいったいどんな言葉の由来や歴史があるのでしょうか。ここまでは「ありき」の言葉の意味や使い方、類語などについて紹介してきました。ここでは「ありき」の言葉の由来や歴史について紹介していきます。
由来
「ありき」の言葉にはどんな由来があるのでしょうか。「ありき」の本来の意味は、物や人などが「あった」、あるいは「ある」「いる」のような意味として使われていました。
「ありき」という言葉は、ら行変格活用(ラ変動詞)の「あり」に過去、回想(文語過去)の助動詞がついてできた言葉です。使われ方として、名詞などに「ありき」をつけて使用されるようになった言葉です。
歴史
「ありき」という言葉にはどんな歴史があるのでしょうか。「あるき」は古語では「歩き回ること」の意味も込められた言葉として使われていました。
「歩き回る」という意味としては昔の言葉となっていて現代では使われなくなっています。古文や古語では使われている言葉ですので、「歩き回ること」を意味する「ありき」も覚えておくといいかもしれません。
「ありき」の英語表記
「ありき」を英語で表記するにはどんな英語で表すのでしょうか。「ありき」を英語で表記するには解釈する意味によって使われ方が違ってきます。
古文や古語で「歩き回ること」の場合には「walk」などで表現されます。「ある」「いる」などの場合には「there is」や「there are」などが使われます。「あった」「いた」の場合には「there were」「there was」などのように表現されます。
他にも「ありき」や「~にもとづき」「もとづく」など場合には「based on」「originating from」などのよう表現が用いられています。「始めに言葉ありき」のような文章では「in the beginning was the world」のような文章となります。
「ありき」の漢字
「ありき」を表すためにどんな漢字があるのでしょうか。「ありき」にあてはまる漢字について紹介します。「ありき」はひらがなで使われていますが、漢字も存在しています。
「ありき」は「有りき」や「在りき」などの漢字であてはめることができます。漢字表記では「有りき」、「在りき」のような表記になるのですがどちらも意味としては存在にかかわることを指し示す言葉になっています。
ただ、「有りき」や「在りき」「在りし」のような漢字表記の表現はほとんど現代ではされることがないようです。古語としては漢字表記で使われることもあったようですが、現代ではひらがなで表記されるのが一般的とされています。
「ありき」は「ある」や「あった」という意味
ここまで「ありき」の意味や使い方や誤用しやすい表現や例文、類語や対義語の有無、英語や漢字での表記などについて紹介してきました。
「ありき」は「ある」や「あった」という意味があり「現時点である」ものや「過去にあった」ものなどに対して使われる言葉であることを説明してきました。古語では「歩き回ること」という意味でも使われていた言葉です。
「ありき」という言葉の意味や使い方を知ることで、ビジネスシーンや日常会話のなかでの言葉遣いのバリエーションもひろがってきます。「ありき」の意味や使い方などを参考にして、今後のさまざまなシーンでのコミュニケーションに活かしてみてはいかがでしょうか。