掌握の意味とは?
テレビドラマや小説などの中で時折「掌握」という言葉が使われますが、「掌握」の意味を問われた時に正しい意味をすぐに答えられるという人はそう多くありません。
「掌握」という言葉は一般的な日常生活の中ではほとんど使われませんので、「掌握」の意味が分からなくても仕方がないと言えます。
「掌握」という言葉の漢字から何となく意味を理解しているつもりでいる人も多いですが、「掌握」にはかなり深い意味があります。
「掌握」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「掌握」の意味についてご紹介しましょう。
意のままにするという意味
「掌握」の意味の一つ目は、「意のままにする」という意味です。「意のままにする」の意味は「思い通りにする」という意味で、「掌握」の意味は「思い通りにする」という意味になります。
「掌握」という言葉は「人心を掌握する」などという使い方が多いですが、「人心を掌握する」は「人の心を思い通りにする」という意味になるため、「掌握」はあまり良い意味であるとは言えません。
ですが「掌握」は必ずしも人の心に対してのみ使われる言葉ではありませんので、「意のままにする」という意味は悪い意味ばかりではないとも言えます。
心をつかむという意味
「掌握」の意味の二つ目は、「心をつかむ」という意味です。「掌握」という言葉は「人心を掌握する」などといった使い方がされますが、この場合には「心をつかむ」という意味で「掌握」が使われていると言えます。
「心をつかむ」には「非常に気に入られる」「好ましい印象を持ってもらう」「惹きつける」といった意味がありますので、こちらの意味なら「掌握」はとても良い意味になります。
ですが「心をつかむ」という意味で「掌握」を使っていても、何かの企みなどが含まれている際にはあまり良い意味ではないとも言えます。
自分の支配下に置くという意味
「掌握」の意味の三つ目は、「自分の支配下に置く」という意味です。ビジネス戦略などにおいて「掌握」という言葉を使う場合には、「自分の支配下に置く」という意味で「掌握」が使われることが多いです。
戦争や政治などに関することで「掌握」という言葉が使われることもありますが、その場合「自分の支配下に置く」という意味で「掌握」が使われます。
「支配」の意味は「ある者が自分の命令などで他者を束縛する」なので、「自分の支配下に置く」という意味はかなり悪い意味になります。
「掌握」には「意のままにする」「心をつかむ」「自分の支配下に置く」という意味がありますが、「掌握」は良い意味でも悪い意味でも使えますので、使い方が難しいと言えます。
掌握の類語
「掌握」の意味についてご紹介しましたので、次は「掌握」の類語についてご紹介します。「掌握」には「意のままにする」「心をつかむ」「自分の支配下に置く」という意味がありますので、似た意味を持つ言葉が「掌握」の類語になります。
「掌握」の意味「意のままにする」「心をつかむ」「自分の支配下に置く」は良い意味でも悪い意味でもありますが、「掌握」の類語として挙げられる言葉はあまり良くない意味の言葉が多いです。
「掌握」と似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「掌握」の類語についてご紹介しましょう。
支配
「掌握」の類語の一つ目は、「支配」です。「掌握」には「自分の支配下に置く」という意味がありますので、「支配」は「掌握」に極めて意味の近い類語の一つとして挙げられます。
「掌握」という言葉は「人心を掌握する」などという使い方が多いですが、この「掌握」を「支配」に言い換えるととんでもなく悪いイメージになってしまいます。
「支配」という言葉は「掌握」の類語として一番に挙げられる言葉ではありますが、「掌握」の言い換えに使うことは難しいと言えます。
把握
「掌握」の類語の二つ目は、「把握」です。「把握」の意味は「しっかりとつかむこと」「良く理解すること」という意味で、「しっかりとつかむこと」という意味の方が「掌握」の「心をつかむ」という意味に近いため「掌握」の類語になります。
「把握」という言葉は「掌握」の類語として挙げられる代表的な言葉ではありますが、使い方という点では「掌握」とは異なるため「掌握」の言い換えには使えません。
「掌握」という言葉が使われている文章を「把握」と言い換えると訳の分からない文章になったりしますので、その点では「把握」は「掌握」とは違うと言えます。
牛耳る
「掌握」の類語の三つ目は、「牛耳る(ぎゅうじる)」です。「牛耳る」の意味は「集団などを自分が中心になって支配する」という意味で、「掌握」の意味「自分の支配下に置く」という意味に非常に近い意味を持つ類語です。
また「牛耳る」には「意のままにする」という意味もありますので、「掌握」に極めて近い意味を持っていると言えます。
「牛耳る」は「掌握」に非常に近い意味を持っているため「掌握」を「牛耳る」に言い換えることもできますが、「牛耳る」は悪いイメージの言葉なので「牛耳る」に言い換えるとさらに悪い印象になってしまいます。
傘下に収める
「掌握」の類語の四つ目は、「傘下に収める」です。「傘下に収める」の意味は「自分の組織の一部に加える」という意味で、「掌握」の「自分の支配下に置く」という意味に近い意味を持つ類語です。
「掌握」という言葉はビジネスシーンなどで結構良く使われる言葉ですが、「掌握」を「自分の支配下に置く」という意味で使う場合には、「傘下に収める」と言い換えることができます。
「掌握」というとあまり良いイメージがありませんが、「傘下に収める」というと悪いイメージになりませんので、ビジネスなどでは「掌握」より「傘下に収める」という言い方をすることが多いです。
手中に収める
「掌握」の類語の五つ目は、「手中に収める」です。「手中に収める」の意味は「自分のものにする」「手に入れる」という意味で、「掌握」の「自分の支配下に置く」という意味に近い意味を持つ類語になります。
「手中に収める」も「傘下に収める」と同じように、「自分の支配下に置く」という意味で「掌握」を使う際に言い換えに使うことができます。
「手中に収める」は「傘下に収める」に比べると良くないイメージなので、「掌握」の言い換えには「手中に収める」の方が似つかわしいと言えます。
掌握の使い方・例文
「掌握」の類語についてご紹介しましたので、次は「掌握」の使い方の例文についてご紹介します。「掌握」は「意のままにする」「心をつかむ」「自分の支配下に置く」という意味なので、そういったことを表現する場合に使うことができます。
「掌握」にはあまり良いイメージはありませんので、あまり良くないことを表現する際に使われることが多いですが、使い方次第では良いイメージにすることもできます。
「掌握」という言葉はいったいどのような使い方をすれば良いのか、「掌握」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「掌握」の使い方の例文の一つ目は、「彼は彼女にすっかり心を掌握されているので、きっと将来は尻に敷かれるだろう」という例文です。この例文では「心をつかむ」という意味で「掌握」が使われています。
「掌握」という言葉は「掌握される」という使い方をすることも結構多く、この例文でも「掌握されている」という使い方がされています。
この例文での「掌握」の使い方は悪い意味とも取れますし良い意味とも取れますが、「尻に敷かれる」と続きますのであまり良くない意味だと言えます。
例文②
「掌握」の使い方の例文の二つ目は、「気がつけばどんどん株が買われていて、我が社はA社に掌握されてしまっていた」という例文です。この例文では「自分の支配下に置く」という意味で「掌握」が使われています。
この例文でも「掌握される」という使い方で「掌握」が使われていますが、意味は先にご紹介した例文とは違って「自分の支配下に置く」という意味です。
「掌握」という言葉はビジネスシーンなどで良く使われますが、ビジネスシーンなどで「掌握」を使う場合は「自分の支配下に置く」という意味で使われることが多いです。
例文③
「掌握」の使い方の例文の三つ目は、「彼女は才色兼備であるだけでなく気遣いもできるため、社内の人心を掌握している」という例文です。この例文では「心をつかむ」という意味で「掌握」が使われています。
先にご紹介した二つの例文では「掌握される」という使い方でしたが、こちらの例文では「掌握している」という使い方をしています。
「掌握」という言葉は「掌握する」「掌握される」という使い方が最も多いので、「掌握する」「掌握される」という使い方を覚えておくと良いでしょう。
例文④
「掌握」の使い方の例文の四つ目は、「彼が人心を掌握できるのは、出張先のお土産にちょっとした手紙などを添える気遣いのためだ」という例文です。この例文では「心をつかむ」という意味で「掌握」が使われています。
「掌握」には「掌握する」「掌握される」の他に「掌握できる」といった使い方もあり、この例文では「掌握できる」という使い方をしています。
「掌握」という言葉は使おうと思えば簡単に使うことができますが、文章構成によっては「意のままにする」などという悪い意味にとられることもありますので注意が必要です。
掌握を使う際の注意点
「掌握」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「掌握」を使う際の注意点についてご紹介します。「掌握」という言葉の使い方を知って使おうとした時に、使ってはいけない使い方をしてしまう人もいます。
「掌握」という言葉は使い方次第では悪いイメージに取られてしまうこともありますので、使う際には注意が必要です。
「掌握」という言葉を使う際にはどのような点に注意をすれば良いのか、「掌握」を使う際の注意点についてご紹介しましょう。
自分が人の心をつかむという意味では使えない
「掌握」を使う際の注意点は、自分が人の心をつかむという意味では使えないということです。「掌握」という言葉はあくまでも自分以外の人に対して使う言葉であって、自分に対して使ってはいけない言葉です。
「私は社内の人の心を掌握した」などという言い方をすると、とんでもなく尊大で思い上がっていると思われてしまいます。
自分は人気者でたくさんの人から好かれているという自信があったとしても、自分自身に対して「掌握」という言葉を使ってはいけません。
掌握の由来
「掌握」を使う際の注意点についてご紹介しましたので、次は「掌握」の由来についてご紹介します。日本語には語源や由来がある古い言葉や難しい言葉が沢山ありますが、「掌握」もそんな日本語の一つです。
「掌握」という言葉は故事成語というわけではありませんので、昔の物語などに語源や由来があるわけではありませんが、由来はちゃんとあります。
「掌握」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「掌握」の由来についてもご紹介しましょう。
手のひらを意味する文字が由来
「掌握」の由来は「手のひら」を意味する「掌」という文字にあります。「てのひら」と入力して変換していくと「掌」という文字が変換候補にあがってきますので、「掌」という文字単独で「てのひら」と読めるのがわかるでしょう。
この「手のひら」を意味する「掌」に「握る」という言葉を足すと「手の中に握る」という意味になりますが、実は「掌握」の意味は本来「手の中に握る」という意味でした。
「手の中に握る」という意味だった「掌握」が、長い年月の間に少しずつ変化して「意のままにする」「心をつかむ」「自分の支配下に置く」という意味に変わってきたということです。
掌握の英語表記
「掌握」の由来についてご紹介しましたので、次は「掌握」の英語表記についてご紹介します。日本語には英語に翻訳することが難しい言葉が沢山ありますが、「掌握」もそんな日本語の一つだと言えます。
「掌握」という言葉を英語表記する際にはいったいどのような英語を使えば良いのか、「掌握」の英語表記についてご紹介しましょう。
勝利するという意味の「win」
「掌握」の英語表記に良く使われる英語は、「勝利する」という意味の「win」です。「win」には人の心などを勝ち取るという意味もあるため、「心をつかむ」という意味での「掌握」の英語訳に使われます。
他に「政権などを掌握する」「占拠する」という意味を持つ「seize control of」という英語も「掌握」を英語に翻訳する際に使われます。
掌握は意のままにするという意味
「掌握」の意味や使い方の例文や類語などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。「掌握」の意味は「意のままにする」「心をつかむ」「自分の支配下に置く」なので、正しい意味を理解して正しく使いましょう。