社外秘の意味とは?
「社外秘」と書いて「しゃがいひ」と読みますが、「社外秘」とは何を意味するのでしょうか。「社外秘」の意味を知らないとうっかり会社の機密情報を外部に流したり、情報漏洩をしたりしかねません。
これらの行為により、会社に損害を与えたり、場合によっては流した本人が刑事罰に課せられることもあります。それほど「社外秘」には重要な意味があるといえますので、しっかりと理解しておきましょう。
社外秘は会社の外に出すなという意味
社外秘の「社外」とは「会社の外」という意味です。つまり、会社の外には秘密を漏らしてはいけないということになります。
「なんだ当たり前のことじゃないか」と思われるかもしれません。機密情報や守秘義務がある事柄などは「社外秘」であるのは当然です。しかし世の中にはこういった、何が機密情報や守秘すべきで情報漏洩がたくさんあります。
なぜならば、何が機密情報で、何が守秘義務があるのか明確ではないというのがあります。この点については、のちほど詳述します。
社外秘の由来
「社外秘」という言葉はどこから来たのでしょうか。実は広辞苑をみても「社外秘」という言葉は出てきません。「社外」という言葉を見ると、その欄の用例として「社外秘」が出てきますが、言葉の説明はありません。
ビジネスシーンなどでは「社外秘」と書いて見たり、「秘」の文字を丸で囲んだりして、機密情報であることを明示したりすることがあります。「社外秘」が生まれたのもビジネスの世界であると考えられます。
社外秘の特徴
「社外秘」のほかにも会社の機密情報には「極秘情報」「社内秘」「部外秘」などいくつかの種類・段階があります。明確に違いがあるわけではありませんが、これらとの違いを示しつつ、「社外秘」の特徴について見てみましょう。
社外秘の重要度はそれほど高くない
「社外秘」というと会社の外部の人間に知られてはいけない情報なので、一見すると重要な情報であるように思われます。確かに重要であることに違いはありませんが、「部外秘」「社内秘」あるいは「極秘情報」といった情報と比べると重要度は劣ります。
「社外秘」は一般的には会社内部の人間は容易に知り得る情報であるのに対し、「部外秘」や「社内秘」「極秘情報」は会社内部の人間でも簡単に知ることができない情報です。
社内の人間は知ることができる
「部外秘」は「営業部や経理部といった部内の中ではOKだが部の外に対しては秘密」という情報であり、「社内秘」は「社内でも秘密」という意味です。秘密の度合いでいえば、「部外秘」より「社内秘」の方が大きいことになります。
「極秘情報」とは書いて字のごとく「極めて秘密」である情報です。社内のごく一部の人間しか知りえない極めて重要な情報であるといえます。
これらに比べれば、「社外秘」は会社の人間は知り得るという点で、守秘の程度や情報漏洩への注意義務が弱いといえるでしょう。
部外秘・社内秘の使い方
「部外秘」や「社内秘」は会社内部でしか意味を持たない場合に使われませす。例えば「経理部のAと営業部のBが付き合っている。これは社内秘の情報」といった使い方です。
そもそも、この手の情報は会社の外に公開したとしてもあまり意味はありません。会社の外の人間はAもBも知らないからです。
このように、「社内秘」や「部外秘」といわれる情報はもともと会社内部でしか意味を持たない情報に対して秘匿性を誇張するために使われる場合があります。
社外秘の情報
では、「社外秘」の情報にはいったいどういった情報が含まれるのでしょうか。これを知っておくと守秘義務の確保や情報漏洩の点からは非常に役に立ちます。あくまで参考程度になりますが、以下に一例を示します。
財務情報
会社の売り上げや収入は、会社の成績に関わることであり、一般的には会社からすると外部の人に知られたくない情報です。会社の景気が良い、悪いといった事項は会社の評判にも関わり、営業にも影響を与えます。
しかし、取引をする相手方からすれば会社の財務情報は取引相手として信頼できるかどうかがわかる基準となります。したがって、会社と利害関係を持とうとする相手に対しては会社としては必要な情報を公開せざるを得ません。
また、情報を公開するとしても、いつ情報を公開するかということも大事なポイントなので、うかつに外部に情報漏洩しないよう注意する必要があります。
経営情報
取引先の情報、経営のノウハウなども会社にとって大事な情報です。これらは外部、とりわけビジネス上の競争相手には知られたくない情報です。
経営情報には、会社の研究開発情報や新製品の情報などさまざまな情報があります。これらについても、情報を開示するとしていつ公開するかは大事な要素となりますので、注意する必要があります。
人事情報
取締役などの人事情報も会社の経営に関する情報の一つですが、機密性の高い情報です。人事情報は通常、会社の内部と外部に対して公開されるタイミングがほぼ一緒です。
人事情報は発表されるまで様々な憶測を呼ぶもので、人々の興味関心を買うものですが、勝手に公開してはいけません。
なぜ人事情報を公開してはいけないかというと、基本的には人事情報は個人情報に該当します。どういう役職に就くかは、会社と個人との間の契約に関する事柄です。したがって、関係のない第三者が勝手に情報漏洩してはなりません。
社外秘の使い方
上述したとおり、「社外秘」の情報は、会社外部の人に対して公開できない情報なので、会社と外部との間で使われることが多いフレーズになります。ここでは、例文を見ながら「社外秘」の使い方について確認しておきましょう。
例文①社外秘の機密情報を漏洩する
「社外秘の機密情報を漏洩しないよう気をつけよう」などという使い方です。あまり使い方を覚えたくないフレーズですが、会社にとって従業員の情報漏洩はあってはならない事態です。
機密情報が外部に出ないよう社員教育が必要ですし、従業員の側もしっかりと守秘すべき認識を持つ必要があります。「社外秘の〇〇」には、「社外秘の(機密)情報」「社外秘の資料」「社外秘の文書」などさまざまな使い方がされますので覚えておきましょう。
例文②当社のラボは社外秘で関係者以外立ち入り禁止です。
情報だけではなく、場所自体が「社外秘」ということもあります。例えば研究開発の内容は、会社にとって将来の事業の第一歩であり、これが外部に漏れてしまうと他者に先を越されてしまうなど致命傷になりかねません。
そのため、研究開発の拠点である施設(ラボラトリー)などは「社外秘」として外部に公開されるべきものではありません。
そのほかにも、金庫など売り上げを管理する部屋や経営のトップが集まる場所などは基本的には「社外秘」の場所に当たるでしょう。
例文③社外秘のメールを従業員全員に送る
会社の社長から社員全員に対して注意喚起を行うため、「社外秘」のメールを一斉送信するということがなされることがあります。「社外秘」なので当然外部の人間には中身は知りようがありませんが、従業員一丸となって危機に対峙する必要があるときなど有効な意思疎通となりえます。
ただし、「社外秘」のメールというのは、情報漏洩してしまう恐れがありますので、メールを送信する時には注意する必要があります。
例文④何者かが社外秘のファイルにアクセスした
会社のシステムというのは、基本的には会社の社員以外はアクセスすることができません。その点で会社のシステム自体が「社外秘」の存在であるといえるでしょう。
また、情報漏洩の観点から基本的には会社の外から会社のシステムにアクセスできないようになっているところが多いはずです。
システムには社外秘のファイルなどが含まれています。上記の例文のほか、「社外秘のシステムにアクセスする」のような使い方もされますので覚えておきましょう。
社外秘の注意点
「社外秘」の情報を外部に漏洩すると刑事罰に問われることがあります。公務員であれば守秘義務が法律で定められていますし、会社の場合もインサイダー情報を漏洩してインサイダー取引を成立させた場合には金融商品取引法などで罰則が課せられます。
それだけ「社外秘」の情報というのは会社や時には社会にとって重要であるということです。「社外秘」の情報に接する機会がある場合には細心の注意が必要です。
社外秘は会社の外に出してはならないという意味
「社外秘」の使い方について紹介しました。「社外秘」は会社の外に公開してはいけないという意味です。一歩間違えれば、会社に大きな損害を与えかねません。情報がSNSなどですぐに拡散する時代なので、「社外秘」の意味を理解して適切に使えるようにしましょう。