リーサルの意味とは?
リーサルという言葉は元々は英語でしたが、いくつかのジャンルによって日本語化が進んだ事によって日本語英語として定着した言葉の一つです。英語としてのリーサルの意味は、「致命的な」もしくは「致死的な」といった意味の形容詞です。
また、「最終的な」もしくは「決定的な」「決定的」という意味で使われる言葉でもあり、スポーツやゲーム、映画などのタイトルなどの状況によってさまざまな捉え方をされる言葉です。そんなリーサルの意味や、使い方について紹介します。
またリーサルの由来やゲームや映画で使われているリーサルの意味についても解説しますので、それぞれのリーサルがどのようにして扱われ、解釈されているのかについて知りましょう。
リーサルの由来
日本語としてのリーサルの由来は英語の「lethal」で、意味は「死に至る~」「致死的な~」「致命的な~」という形容詞です。致命的な何かとして形容するための言葉になっています。日本で最初に有名になったのは、映画「リーサルウェポン」の登場からといわれています。
リーサルの特徴
リーサルという言葉の特徴について、どのような特徴があるのかをいくつかご紹介します。英語と日本語英語としてのリーサルの違いや、日本のメディアでの扱いなど、リーサルという言葉をとりまく環境は時代と共に変化しています。
英語でのリーサル
lethal(リーサル)は「致命的な」などと訳されると同時に、死を連想させるネガティブな意味を持つ言葉です。実際に英語でよく用いられる場面のなかでは、「a lethal dose(致死量)」や「lethal ash(死の灰)」もしくは「lethal poison gas(致命的な毒ガス)」などの使い方が一般的です。
極めて強く「死」を連想させる言葉なので、これまで日本語英語として考えられてきた「決定的」や「最終的な」という意味でのリーサルはその存在を後退させつつあります。
近年では使われなくなりつつある
「死」を強く連想させる強い言葉としての認識が広まってきたことから、リーサルという言葉はメディアなどから姿を消しつつあります。これまでは当たり前のように疲れてきた言葉でしたが、放送倫理的観点から問題視されつつあることがその原因となっています。
サドンデスとリーサル
リーサルと同じように使われなくなってきている言葉に「サドンデス」があります。こちらも意味そのものがネガティブだという印象をあたえてしまうことから、近年でのメディアでの使用がされなくなり、今ではぱったりと姿を見せなくなっています。
サドンデスの意味
ちなみにサドンデスは「sudden death」と書き、和訳では「突然死」という意味を持っています。リーサル以上に死を意味している言葉ということもありますが、サッカーなどのスポーツではごく当たり前のように使われている言葉です。
ですが、ルールへの名称としてのサドンデスもふくめて、現代のメディアの露出が避けられるようになり、別の呼び方へとその表現手法が移り変わりを見せている言葉の一つです。
リーサルの使い分け
リーサルという言葉は、日本語英語として本来の英語の意味である「致命的」や「致死的」などの意味だけではなく、そういった意味以外にも複数の意味を持っています。そのため状況によっては使い方として意味のニュアンスを使い分けている場面がみられます。
状況によって違うリーサルの意味や使い方
それぞれの場面によってどのような使い方でリーサルの意味が変化しているのかについて、実際の使用例からそのニュアンスを紐解いていきます。言葉の意味は時代によってある程度の移り変わりはあるものの、その大筋は変化しません。
しかし、リーサルなどの現代用語はその限りではなく、本来の意味から大きく類語などに引っ張られて変化している例もありますので、そういった点を踏まえて現代における「リーサル」の意味や使い方についてご紹介します。
スポーツでのリーサルの意味や使い方
スポーツの世界でもリーサルという言葉は頻繁に利用されます。強烈なホームランを絶好のタイミングでうつようなスラッガーは、開いてチームにとっては相当に「リーサル」な存在になります。そのようなスポーツの世界においてのリーサルは比較的メジャーな言葉となっています。
サッカーでのリーサルの意味や使い方
天才的なフリーキッカーの存在はえてしてリーサルとして表現されることが往々にしてあります。例えば「リーサルシュート」など、決定的とも致命的なシュートともいえる存在です。また、リーサルゴールなど致命的な失点としての意味もあります。
ドーハの悲劇のような、わずか一点のために致命的なダメージを受けてしまうような「リーサルゴール」はまさしく決定的であったと言えるでしょう。
ボードゲームでのリーサルの意味や使い方
チェスや将棋、囲碁などのボードゲームでも同じように「リーサル」と表現される場面があります。「詰み」としても表現され、耳にした経験がある方も多いでしょうが、このような表現もまた「致命的な一手」もしくは「決定的」として「リーサル」と意味します。
これ以上に対抗策が見出せない、ここに指されるとどうあがいても負けてしまうような場面に「リーサル」として言い表します。勝負を決定付ける決定的としての一手は、もれなく「リーサル」と今なお表現されます。
テレビゲームでのリーサルの意味や使い方
世界的に有名なオンライン対戦カードゲームである「ハースストーン」のようなゲームにおいても「リーサル」という表現が使われています。しかし、この場合の意味合いとしては「決定的」そのものをさすのではなく、「致命的な状況」として表現されます。
意味合いのニュアンスとしては状況そのものをあらわす言葉として、勝負そのものの最終局面としての表現の一つとして考えられています。このようなニュアンスでの捉え方は、他のオンラインゲームやパソコンのゲームだけでなくテレビゲームなどでもみられます。
シャドウバースのリーサルの意味や使い方
「シャドバ」の相性で知られる日本の有名なオンラインカードゲームにおいても、同じように「リーサル」という表現が使われます。こちらもさきほどの「ハースストーン」と同様に、ゲームの最終局面を指して「リーサル」として表現することがあります。
こちらのリーサルの意味も「決定的に限りなく近い局面」や「致命的な状況」を指して「リーサル」として言い表すことがあります。相手のライフが限りなく0であり、あと数手で決定的となる状況の事を指すため、ボードゲーム同様に「詰み」を言い換えているとも言えます。
ストリートファイター5でのリーサルの意味や使い方
さらに、こちらも世界的に有名な2D対戦格闘バトルゲームである「ストリートファイター」シリーズにおいても、相手をあとワンコンボでノックアウトできる状況のことを「リーサル圏内」などとして表現することがあります。
そのまま直訳してしまうと「決定的な圏内」とおかしな表現になってしまいますので、ニュアンスとしては「決定的の圏内」もしくは「最終局面の圏内」といったニュアンスでこのゲームでは使われていることが伺えます。
映画でのリーサルの意味
続いては、映画で使われているリーサルについてご紹介します。映画でもタイトルに多数の意味でリーサルが用いられています。それぞれの映画においてのリーサルがどのような意味で付けられているのかを、邦題も参考にしつつご紹介します。
映画の内容も「リーサル」と付けられているタイトルの由来を表しているので、映画の内容からどのような行為や物事をさして「リーサル」としているのか?この映画は何を「リーサル」として意味したかったのか?といった事について見てみましょう。
リーサル・ウェポン
1987年に日本で公開されたアクション映画で、数々の続編を生み出してきた大ヒット映画です。その存在そのものが「生きる凶器」という現代の最強の基礎的な概念を育んできた作品の一つとして愛され続けている映画のひとつです。
この映画における「リーサルウェポン」の意味とは、「致命的な兵器」となりますが、指している相手は主人公の存在です。格闘技に精通し、あらゆる状況において決定的な戦力として機能する姿を「リーサルウェポン」として表現している映画タイトルとなっています。
リーサル・エージェント
2001年に公開されたジョージ・モンテシ監督によるアクション映画で、主演となる女性エージェントと恋人や仲間を殺される。そしてその背後に潜む謎の組織の存在に気付いた主人公はすべてを忘れて新天地へと向かった先で巻き起こる因縁の戦いを描いた映画です。
この映画におけるリーサル・エージェントとはまさしく彼女の事で、原題は「OUTSIDE THE LAW」と別のタイトルが使われていましたが、作品のイメージをより際立たせるために邦題で「致命的なエージェント」として名付けられました。
リーサルレギオン
2002年に公開された映画で、南米で生息する凶悪な殺人蜂が突如として、養蜂で栄えるのどかな農村に牙をむいて襲い掛かってきた、というパニック映画です。おそるべき特性をもつこの殺人蜂は、特殊なフェロモンを出すことで養蜂されていた他のミツバチをも凶悪な蜂に変えてしまいます。
やがてビルを占拠し爆発的に増えていく蜂の群れに人類はどうなってしまうのか?という話なのですが、原題では「KILLER BEES!」として公開されたこの映画は、邦題では「致命的な群れ」として一瞬で群がり殺してしまう意味から名付けられました。
ベアリーリーサル
2015年の作品で、カイルニューマン監督の手によって制作されたアクションコメディ映画です。最高の暗殺者(エージェント)として幼少の頃から育てられ、圧倒的優秀な成績を納めてきた主人公は、仲間とはぐれてしまった事を契機に普通の高校生活を送ることになります。
憧れていた高校生活を満喫していた筈が、捉えていた暗殺者が逃げ出したことで怒涛のアクション展開になだれ込んでいくというストーリーとなっています。
題名の「ベアリーリーサル」は、「barely lethal」と書き、「かろうじて致命的」もしくは「ほぼ致命的でない」のような意味となり、「どうにかこうにか瀕死です」といった面白味のある意味のタイトルとなっています。
リーサルミッション
こちらも2015年に制作された戦争映画で、イラク戦争の真実に迫った社会的なストーリーに切り込んだドラマティックムービーとなっています。大量破壊兵器を隠し持っていることを大義として抱えてイラクへと赴いていった米国と英国の軍に、果たして正当性はあったのか?
兵士たちの苦悩と腐敗した政治、陰謀と真実を描いた映画で、劇中で主人公たちに課される「絶対に失敗できない任務」として「リーサルミッション」という意味で描かれています。
ピカソトリガー リーサルエンジェルス
1988年に制作が開始されたアクション映画シリーズ。非常にグラマラスな美女たち(リーサルレディース)と謎の組織とで繰り広げられるし烈な戦いを描いた作品。1998年に完結している。ハワイおよびラスベガスもしくはダラスで巻き起こる定番の事件としてシリーズ化されました。
アクション映画とはありつつも、基本的にはお色気を主体にした娯楽作品となっており、低予算で作成されていながら様々なシーンで笑いを誘う映画となっています。この映画における「リーサル」の意味としては、「関わると碌な事がない」という意味で使われています。
リーサルの使い方
リーサルという言葉の使い方について、例文を用いることでリーサルの意味やリーサルの具体的なニュアンスの捉え方をご紹介します。
リーサルがあまり使われることは無くなったとはいえ、それでもはるかに多くのゲームや映画などのサービスで使われているのは確かです。そういった意味でも、リーサルの使い方や意味の捉え方を把握して、正しく用いられるようにしておきましょう。
どのような存在やどのような行為を「リーサル」として言い表すのか。またリーサルというのはどのようにして使われるべきなのかについても、例文を通じて知るようにしましょう。
例文①
「長い間、本当に長い間ひっそりと進めてきた作戦だったが、ようやくこの瞬間に日の目を見ることになりそうだ。ここでようやく出番となるまさにリーサルアクションを実行するために、わたしは最後の一歩を踏み出したのだった」
決定的としての行動や致命的な結果を相手方にもたらす行動として、リーサルを用いた使い方の例文です。この場合はリーサルアクションとしてその行動を表現している例文となります。相手にとって致命的な行動ですから、相応のリスクを抱えていたのでしょう。
例文②
「その時、彼の脳裏に浮かんだのは果たしてどんなラインだったのかは凡人である私には到底理解の及ぶところではなかった。しかし、彼の放ったパスがまさにリーサルパスとして敵陣の深くを切り裂いたのは事実であり、その結果決定的としてゴールを揺らしたのだ」
サッカーをモチーフにリーサルを使った例文です。決定的なパスから生まれたまるで仕組まれたような流れでゴールまでの道筋を「詰み将棋」のようなという意味でリーサルパスとして表現しています。こちらもとても一般的な使い方と言えます。
例文③
「まさにリーサルショットだった。高らかに青空へと吸い込まれていく白球は、軽やかな音とともにその勢いを失うことなくただ、空へと突き抜けていったのだ。思わずその行方を見守るピッチャーの表情は、諦めにも似た光が差していた」
逆転サヨナラホームランについての例文です。野球は2アウトでもまだ勝負は分からないと言われていますが、一瞬の油断が命取りになるのが野球の世界の恐ろしい所です。時間の制限もありませんので、最後の最後でランナーを抱えた状況でのホームランはまさに致命的な存在だと言えるでしょう。
そのような場面でのホームランを「リーサルショット」として表現している例文となっています。まるで時間が止まってしまったかのような濃密な瞬間が流れたことが表されています。
例文④
「まさに致命打、強引にねじ込まれた拳が男の腹部を突き抜けんばかりにしこたまに叩いた。鍛え上げられた背筋から繰り出される拳打は、界隈ではリーサルフックと呼ばれ恐れられていることを彼は知らない。男は蠢く暇も与えられずに崩れ落ちた」
なにかしらの格闘技での戦いと、その中でも抜きんでて強い存在の「フック」と呼ばれる楕円を描く拳打について、そのあまりの決定力の高さや、恐るべき致命的な威力から「リーサルフック」として呼称されているという意味での例文です。
本当の強打をもつ存在が放つ圧倒的な拳打は、頭部に命中した瞬間に相手の意識を断ち切ると言われています。そうした恐るべき使い手の拳打を腹部に浴びた相手の苦痛ははかり知れません。まさに「リーサル(致命的な)」拳打を持っています。
リーサルの注意点
リーサルという言葉を使う上で気をつけておきたいことがいくつかあります。冒頭でも説明しましたが、リーサルという言葉にははっきりと「致命的な」という意味があります。それ以上でも以下でもないので、誤訳や誤用には注意しましょう。
最終兵器は誤訳
スポーツ選手などのメンバー構成のなかで、サブメンバーや切り札としてのメンバーのことを「リーサル・ウェポン」などとしてよぶことがあります。この場合のリーサルの意味は、「隠し玉」や「とっておき」、「奥の手」などの「決定的」としての意味をもった使い方です。
日本の言葉に最後の切り札として「最終兵器」という言葉を使う事がありますが、「最終」は最後の最後、これ以上出せるものが無いという意味で使われる言葉です。つまり決定的でも致命的でなくても、もっとも最後に切ることになる札はすべて「最終兵器」となるのです。
そのため、「リーサルウェポン」が意味する「致命的な兵器」や「決定的な意味をもつ兵器」という意味と、日本の「最終兵器」という言葉は全く別の意味をもつ言葉なので、誤訳には注意しましょう。
致死性兵器
現代兵器における「リーサルウェポン」の意味をもつ存在とはどういったものが考えられるでしょうか?「致命的な」ダメージを攻撃された側に与えることができる圧倒的な力といえば、なんといっても「核兵器」ではないでしょうか。
人類が生み出したオーバーテクノロジーとさえ言われており、核兵器を持って初めて国際社会で対等な対話能力を得ると言われている時代です。それほどまでの現代兵器としての究極系であり、防ぎようのない暴力の猛威には「リーサルウェポン」の名称がふさわしいと言えます。
非致死性兵器
ひるがえって「ノン・リーサルウェポン」は「兵器ではあるが即時に死に至るようなものではない」という言い方をするものもあります。例えば暴徒鎮圧用として用いられることのある兵器は、ノン・リーサルウェポンとして扱われています。
「催涙ガス」や「フラッシュバン」、「麻酔銃」などもノン・リーサルウェポンとして一時的な戦闘能力を奪い取るための武器として扱われています。また、捕獲を目的として網が飛び出すような武器もノン・リーサルウェポンとして扱われます。
そうした解釈からすれば、警察官が所持しているような「警棒」もまた、ノン・リーサルウェポンとして考えられます。
リーサルは致命的なという意味
リーサルの意味についてここまでご紹介してきました。「致命的」であり「決定的」な意味をもつなにかを指す存在として「リーサル」という言葉を用いることが分かりましたが、あらゆる場面でそうした存在は私たちの生活に馴染んでいます。
例えば、家庭に置いて本質的な決定権をもつ「母親」の存在はまさしく「我が家のリーサルウェポン」と呼ぶにふさわしいでしょう。世の男性諸君にはしっかりした人も多いですが、女性陣からみればそれはそれは頼りないようです。
まるで大樹のように地に根を張り、集めるべき情報を正しく集め、自らの内でしっかりと処理して家族の方針を繰り出していく姿はまさにリーサルウェポンです。仕事でもそのような存在を目指して頑張るべきでしょう。