ツツジとサツキの違いってなに?
ツツジとサツキはよく似ています。共に春から初夏にかけて咲き区別が難しいですがここではツツジとサツキの違いについて簡単な見分け方についてご紹介します。
ツツジ(躑躅)はツツジ科の植物で4月から5月にかけて開花します。サツキ(皐月)はツツジ科の植物でツツジの一種です。5月から6月にかけて開花します。サツキはツツジに比べて花や葉が小ぶりなのが特徴です。
サツキはツツジ科の仲間ですから見分け方や違いなどはっきりしないところもありますが、詳細にみると、花や葉、開花時期の違いなどの他に育て方、手入れ、肥料の与え方、剪定の仕方、花木の増やし方、挿し木の仕方などで少しずつ違いがあります。
ツツジとサツキは同じ種類?
ツツジはヤマツツジ、レンゲツツジ、シャクナゲなどのツツジ属の総称を言います。サツキはそのツツジ属の野生種及び園芸品種のことです。
またサツキはヤマツツジの仲間の一種です。「サツキツツジ」と呼ばれているもののツツジの部分を略してあります。サツキはツツジより花や葉、木が小ぶりなのが特徴です。
しかし現在はツツジもサツキも頻繁に交配が続けられ次々に新しい品種が生まれているので見分け方もますます複雑になってきています。
特に庭木や街路樹として代表的なツツジ、オオムラサキツツジは数ある品種のなかでもサツキによく似ているので簡単に区別ができないこともあります。
どちらも寒さに強く育てやすいので初めてガーデニングをする方にも人気のある花です。日当たりの良い場所や水はけの良い土を好むという共通点もあります。
ツツジはツツジ科の植物の総称
ツツジはツツジ科ツツジ属の総称を言います。常緑・落葉樹の低木で山地に自生します。公園や庭園によく栽培されています。寒さに強く育てやすい植物です。
ツツジの女王と呼ばれる外国種のクロフネツツジや日本固有種のヒカゲツツジ、北海道から中国地方に咲くエゾムラサキツツジやフジツツジ、別名ヒュゥガツツジなどがよく知られています。
ツツジの園芸種も多くヤマツツジ、サツキ、レンゲツツジ、ミツバツツジ、ミヤマキリシマなどの種類があります。花に蜜があるのも特徴の一つです。ツツジはアジアに広く分布して自生しネパールでは国花となっています。
サツキもツツジの一種
ツツジとよく似ているサツキはツツジ科ツツジ属でツツジの一種です。常緑低木で旧暦の皐月に咲くことからさつき(サツキ)と名付けられました。
昔はツツジと区別されてはいませんでしたがツツジに比べ剪定がしやすく移植にも強い特徴があるので江戸時代の頃から園芸用の花木として人気になったことからツツジと区別されるようになりました。またツツジは庭木や街路樹としてサツキは盆栽として人気があります。
ツツジの名前の由来
ツツジの名前の由来は筒のような花びらの中から長い雄しべが出ていることから「ツツシベ」と呼ばれていたのがいつか「ツツジ」に変わっていったという説や次々に続いて咲くという意味の「ツヅキサキギ」が語源となったという説があります。
漢字の「躑躅」は使用されている「足」の字から「足踏みする」「たたずむ」「ためらう」「立ち止まる」という意味があります。中国で毒のあるシナレンゲツツジの葉を羊が食べてもがいて足踏みしたり見ただけで歩かなくなったということから付けられました。
ツツジとサツキの違い①花
ツツジとサツキの違いを見分けるには花の大きさ、色、開花時期、咲き方などから判断することができます。
簡単な見分け方としてはツツジの花は大きく、品種改良により色も豊富にありますがサツキは小ぶりな花が数多く咲き色も赤系のものが多いのが特徴です。
ツツジはは花弁が5枚で一つの蕾から3輪の花が咲きます。サツキは5枚の花弁を持ち一つの蕾から1輪から3輪の花が咲くのが特徴です。
また見分け方の一つにオシベの数も参考になります。ツツジはオシベが5本以上で多い時は10本もありますが、サツキはほとんどが5本です。
花の咲き方
ツツジとサツキの違いは花の咲き方からもわかります。ツツジは木にある花の蕾が一斉に咲きますが、サツキの花の蕾は一週間ほどかけて少しずつ時期をずらしながら咲きます。サツキは新葉が出た後花が咲き、ツツジは新葉が出る前に花が咲きます。
公園や庭に咲いている花がツツジかサツキかはっきりしなかったら見分け方としてその木に半分くらい咲いてまだ蕾が残っているものはサツキで全部の花が咲いていればツツジの特徴と覚えておくとよいでしょう。
花の大きさ
花の大きさでツツジとサツキの違いを知ることができます。ツツジは大きく見た目も豪華な花が咲きます。サツキは小さな花が数多く咲きます。
しかし数だけで判断することが難しい時もあります。ツツジの品種改良が進み数多く花をつけているツツジもあるからです。やはり花の大きさから見分けたほうがよいでしょう。ツツジの花は約6cm前後でサツキは約4cm前後のサイズです。
花の色の特徴
ツツジとサツキの違いのひとつとして花の色があります。サツキは真紅や赤紅色の花弁など赤系の色が多いのに比べツツジは品種改良が頻繁に行われていることから赤紫、ピンク、白、白の花弁に赤い線が入ったものなど豊富な色の種類があります。
開花時期
ツツジとサツキの違いで最もわかりやすいのが開花時期です。ツツジは4月から5月初旬にかけて開花しサツキは5月から6月にかけて開花します。
サツキはツツジの花の満開が終わる頃から開花するので4月に咲いているのはツツジ、5月に満開を迎えていたらサツキと覚えておくとよいでしょう。
ツツジとサツキの違い②葉
ツツジとサツキの違いは両方の葉を触ってみるとよくわかります。サツキの葉は硬くツルツルしているのが特徴ですがツツジの葉は柔らかく葉の裏にはふわふわした毛が生えています。服に付着することもあるので注意が必要です。
葉の大きさ
ツツジとサツキの違いを見た目で判断するのはなかなか難しいですが、葉の大きさを比べてみるとすぐわかります。ツツジの葉は大きく、サツキの葉は小さいという特徴があります。ツツジの葉は5cmから7cmくらいで幅が1cmほどでサツキはその半分くらいです。
葉の感触
ツツジとサツキの違いはそれぞれの葉を触ってみてもわかります。サツキの葉が光沢があり硬くてすべすべした感触に比べ、ツツジの葉は柔らかく葉の裏側にはふわふわした毛が生えているのが大きな違いです。感触で違いがわかる面白い植物と言えます。
ツツジとサツキの違い③その他
花、葉、色、開花時期などの他にツツジとサツキの違いとして木の成長や、俳句の季語の違いなどがあります。またツツジ(躑躅)やサツキ(皐月)の言葉の由来についてもそれぞれ違いがあるのも興味深いところです。
また見分け方として花が散った後の状態の違いがあります。サツキは常緑樹なので葉はほとんど落ちません。葉は緑色を保っていますがツツジは落葉性のものと半落葉性のものがあり冬にはほとんど葉は見られません。
ちなみにツツジとサツキの花言葉は似ていますが微妙に違うところもあります。ツツジの花言葉は「節度」「慎み」でサツキの花言葉は「節制」「節約」です。山地の水辺など育つ場所によっても付けられる言葉が少しずつ違ってくるからでしょう。
木の成長の違い
ツツジもサツキも低木と言われていますが、ツツジは剪定しないままにしておくと5m以上に育つこともあります。サツキは大きくなったとしても1m前後にしか成長しません。
こういうところからもツツジが庭木や街路樹として植えられ、サツキは盆栽用に愛用されているのがわかります。
俳句の季語の違い
ツツジとサツキの開花時期にあわせたように俳句の季語にも違いがあります。ツツジの季語は春で、サツキの季語は夏です。
詩句や俳句に「躑躅」が使われていたら春のツツジを「皐月」が使われていたら夏のサツキを思い浮かべるとよいでしょう。
ここでツツジとサツキの開花時期を俳句で表しているような句がありますのでご紹介します。「つつじ散り皐月つつじはまだの頃」高浜虚子
簡単な見分け方でツツジとサツキの違いを知ろう!
春の花ツツジとサツキ。よく似ているのでなかなか区別するのが難しいですが、簡単な見分け方がいくつかあります。
ツツジとサツキの違いは花や葉の大きさ、色、葉の感触、、木の成長の差や開花時期などによって簡単に区別することができます。
また俳句の季語なども違っています。両方の特徴の違いを知ることで興味を持って植物を鑑賞する楽しみも増えます。