「和をもって尊しとなす」の意味とは?
「和をもって尊しとなす」ということわざは、現在でもよく耳にすることわざの1つです。「和を以て貴しとなす」とも書くことがあるこのことわざの意味を簡単に書くと、「皆で話し合うことが大切」ということです。
日本では、話し合いや協調の精神が重要視されることが多く、このことわざを座右の銘としている方もいます。ここでは「和を以て貴しとなす」とも書くこのことわざの意味について紹介します。
日本ではこの精神が仕事などで重要視されてきた
前述したように、日本では、仕事などにおいて、話し合いや協調が重要視されることが多くあります。聖徳太子が17条の憲法に記載した「和をもって尊しとなす」という精神は日本に深く根付いていると言え、座右の銘としている方も多くいます。
「和を以て貴しとなす」とも書く
「和をもって尊しとなす」は「和を以て貴しとなす」とも書きます。記載は少し異なりますが、どちらも同じ17条の憲法の同じ条項の言葉です。字が異なるのは、原文が漢文で記載されているためと考えられます。
「和をもって尊しとなす」も「和を以て貴しとなす」も、聖徳太子が制定したとされる17条の憲法にある「以和爲貴」という言葉が基になっています。
「和をもって尊しとなす」の由来
「和をもって尊しとなす」もしくは「和を以て貴しとなす」ということわざは、聖徳太子が制定したとされる、17条の憲法の条文にこのことわざの原文が記載されているのが始まりです。ここでは由来について詳しく紹介します。
「和をもって尊しとなす」もしくは「和を以て貴しとなす」の精神は、日本の国造りの座右の銘といってもよく、由来を知ることは、日本を理解するのにも役立ちます。
聖徳太子の17条の憲法が由来
「和をもって尊しとなす」ということわざの原文は、聖徳太子が制定したとされている17条の憲法第1条の中の「以和爲貴」という言葉です。17条の憲法は漢文で記載されているため、原文も漢文での記載になっています。
この「以和爲貴」とは、「和をもって尊しとなす」の意味の項で前述したように、「皆で話し合うことが大切」ということで、その精神は現代にも受け継がれ、日本の国造りの座右の銘となっています。
本来は「無忤為宗」と対句になっていた
この「和をもって尊しとなす」ということわざは、元々は、同じく17条の憲法の「無忤為宗」という言葉と対になっていました。時代が進むにつれて、「無忤為宗」が省略されて「以和爲貴」の部分だけが使われるようになったものです。
ちなみに原文の「以和爲貴 無忤為宗」とは、簡単に意味を解説すると、「皆で話し合って決めることを大切にして、やたらと争わないように」ということです。
「和をもって尊しとなす」ということわざの特徴
「和をもって尊しとなす」ということわざには、皆と協調することを貴ぶという意味だけではなく他にも大切な精神が含まれているという特徴があります。ここでは、現代の日本にも受け継がれている、その精神について紹介します。
国の理想像を示すことわざ
前述しているように、「和をもって尊しとなす」ということわざには、「何事も皆で話し合って決めることが大切」という意味がありますが、さらには、「納得するまで議論することが大切」とう意味もあります。
このことは、「和をもって尊しとなす」というこのことわざが、他のことわざと異なり、このことわざが国の理想のあり方、しいては国造りの座右の銘を示しているという特徴を持っていることを示しています。
「和をもって尊しとなす」の原点は孔子の「論語」という説も
聖徳太子の17条の憲法に記述されているのが始まりとされる「和をもって尊しとなす」ということわざですが、そのもっと元をたどると、孔子による「論語」の「和を貴しと為す」が由来という説もあります。
「和を以て貴しとなす」とも書くのはそのためとも考えられます。いずれにしても、時代的背景からも、中国の影響も受けていることは充分に考えられることで、このことわざは、様々な文化的背景が入り混じっています。
「和をもって尊しとなす」の英語表現
「和をもって尊しとなす」ということわざは、日本の国の理想像を表していることわざですが、ここでは、英語で表現するとどのような表記になるのかということを説明していきます。もちろん、英語でも類義語はあります。
ただ、欧米の文化はもちろん、日本とは異なりますので、英語での表記は類義語という分類になり、英訳するとこのような表記になるという方が近いです。それでも、知っていると仕事などで日本のことを紹介するときに役に立ちます。
英語での類義語「Harmony is to be valued.」
最初に紹介するのは、「Harmony is to be valued.」です。この英語での表記では、「和」を「Harmony」、「尊い」を「valued」という単語で表しています。直訳すると「皆で協調することは尊い」ということになります。
英語での類義語「Harmony is the greatest of virtues.」
英語での似た表記で次に紹介するのは、「Harmony is the greatest of virtues.」です。前述と同じく「和」を「Harmony」で表していますが、「尊い」を「美徳」という意味の「virtues」で表現し、そこに「greatest」を加えています。
英語での類義語「Cherish the harmony among people.」
3番目に紹介する「和をもって尊しとなす」の英語表記は「Cherish the harmony among people.」です。「和」は同じく「harmony」を使っていますが、「尊い」を「大切にする」という意味の「Cherish 」を使用しています。
「和をもって尊しとなす」の使い方
今まで、「和をもって尊しとなす」もしくは「和を以て貴しとなす」とも書くことわざについて意味や由来などを紹介してきましたが、ここでは、例文を用いてこのことわざの使い方について紹介していきます。
ここで紹介する例文を参考にして「和をもって尊しとなす」の使い方を覚えて、仕事などで必要なときに正しい使い方ができるようにしましょう。
例文①
最初に紹介する使い方は、「和をもって尊しとなすの精神を大切にして国を良くしていこう」です。これは、「議論を尽くすことによって、皆が暮らしやすくなるような良い国を作っていこう」ということです。
民主主義の国では政治を行う上で、議論を尽くすことはとても大切なことです。「和をもって尊しとなす」の精神を座右の銘にして大切にしていきたいものです。
例文②
「和をもって尊しとなす」の使い方で、次に紹介する例文は「仕事を成功させるために和をもって尊しとなすの精神を大切にしよう」です。私たちが仕事を成功させるためには、議論を尽くして成功させるうえで最も良い方法を探ることが必要です。
もちろん、議論だけしていては仕事が進みませんが、色々と議論して最も良い方法を検討する「和をもって尊しとなす」の精神は仕事を成功させるために大切なことです。
例文③
「和をもって尊しとなす」の使い方で次に紹介する例文は「私の座右の銘は和をもって尊しとなすだ」です。仕事を成功させるうえでもこの「和をもって尊しとなす」の精神はとても大切な精神ですので座右の銘にするのはとても良いことです。
ですから、自分の座右の銘を「和をもって尊しとなす」としている方も結構います。「和をもって尊しとなす」の精神を座右の銘としていると、自然と他人のことも考えることができるようになります。
例文④
「和をもって尊しとなす」の使い方で次に紹介する例文は、「和をもって尊しとなすの精神を持つ人は理想の上司だ」です。自分の考えだけにこだわらずに議論を尽くして仕事上のことを決めていくのは理想の上司です。
組織の上司であれば、自分の考えだけにこだわらず、議論を尽くして様々な意見を取り入れるということはとても大切なことで、そのことを実践できるのは理想の上司と言えます。
「和をもって尊しとなす」を使う時のの注意点
ここまでは「和をもって尊しとなす」の意味や由来、使い方の例文などを紹介してきましたが、ここでは、「和をもって尊しとなす」を使う時の注意点について紹介します。せっかく使うのでしたら、注意すべきことに注意して使いましょう。
英語表記はあくまでも類義的表記である
「和をもって尊しとなす」ということわざは、今までに記述してたように、聖徳太子が制定したとされる17条の憲法に大元があります。ですので、当然のことながら、英語表記で全く同一の表現は存在しません。類義表現になります。
しかし、「和をもって尊しとなす」または「和をもって尊しとなす」の精神は、万国に通用するものです。仕事上などで英語圏の方に説明するときはその精神が伝わるように捕捉も加えて丁寧に伝えましょう。
「和をもって尊しとなす」とは「話し合うことが大切」という意味
「和をもって尊しとなす」または「和を以て貴しとなす」とは、聖徳太子が制定したとされる17条の憲法の言葉が基になってできたことわざで、「何事も十分に議論を尽くして決めることが大切」という意味です。
その精神は、座右の銘にしたいくらいに大切なものです。「和をもって尊しとなす」の精神を忘れないようにしましょう。