「なるほどですね」の意味とは?
「なるほどですね」は会話の途中の相槌としてビジネスシーンでよく聞く言葉です。しかし、「なるほどですね」にはどんな意味があるのでしょうか。
「なるほどですね」の「なるほど」は漢字で表現すると「成る程」と書きます。辞書によると、「なるほど」とは他人の言葉を受け入れ、自分も同意見であることを示す言葉とあります。相手の言葉に対してその通りであると同意を示す意味となります。
「成る程、おっしゃる通りです」と会話の途中に相槌を打つ言葉でもあります。ビジネスシーンで使われる「なるほどですね」はこの「なるほど」を丁寧にした言葉としての使い方となります。
「なるほどですね」の類義語
「なるほどですね」の類語としては、「道理で」「確かに」「思った通り」「見込んだ通り」「想像通り」「それだから」「納得」などがあります。
「道理で」の意味は物事の原因や理由に思い当たるふしがあるさまということです。「これは偽物のブランド品?道理で安いはずだ」という使い方をします。
「なるほどですね」の使い方・例文
「なるほどですね」の「なるほど」には「できる限り」という意味もありますが、会話の途中の相槌として使われる場合がほとんどです。ビジネスシーンで相手の話を聞いている時にいつも「はい」と相槌を打つだけでは物足りなさを感じてしまいます。
そんな時に「なるほどですね」と相打ちを入れたくなりますが、「なるほどですね」には違和感を持つ人が多いのをご存知でしょうか。
「なるほど」に「ですね」をつけて敬語を使っているつもりでも「なるほどですね」は文法的にもおかしな言葉なのです。そこで正しい「なるほど」の使い方を例文付きで解説します。
例文①
相手の意見を肯定したい時、または会話の途中の相槌として「なるほどですね」を使いたい時の例文をご紹介します。「なるほど、それは良い考えですね」「なるほど、よくわかりました」「なるほど、それは思いつきませんでした」という使い方のほうがすっきりとします。
「なるほどですね」は「なるほど」に「そうですね」をつけた使い方の省略形で、「なるほど」の敬語表現として使われるようです。しかし、「なるほどですね」は敬語表現とはなりません。
どうしても「なるほど」という相槌をうちたい場合はこのような使い方が良いでしょう。ただし、「なるほど」も「なるほどですね」も改まった場所では控えたほうが無難です。
例文②
「なるほどですね」を他の言葉に言い換えるとどうなるでしょう。「なるほどですね」を「おっしゃる通りです」に言い換えた場合の例文をご紹介します。「お客様のおっしゃる通りです。」「おっしゃる通り、これは〇〇ブランドのものでございます」
「おっしゃる通りです。早速見直しましょう」という使い方であればビジネスシーンでも「あなたのいう通りです」の敬語表現として立派に通用する相槌となります。
ただし、使用する際の注意点として「おっしゃる通りです」の一言では相手によっては失礼だと感じるかもしれません。その場合は「おっしゃる通りです。以後気をつけます」のように一言付け足すのが良いでしょう。
例文③
「なるほどですね」の相槌を「左様でございます」と言い換えた場合の例文です。「左様でございます。このデザインは確かに〇〇のデザイナーによるものでして」
「左様でございます。この味は先代が作り出したものでして」といった使い方となります。「なるほどですね」よりもグンと改まった言葉となります。
「左様でございます」の「左様」は「さよう」と読み、「そのよう」「その通り」という意味を持ちます。「左様でございます」は敬語ですのでビジネスシーンで使用しても違和感はありません。
相槌としては「左様ですか」「左様でございますか」「左様でございましたか」「左様でございますね」などの使い方があります。
例文④
「なるほどですね」の相槌を「ごもっともです」に言い換えてみましょう。「そのご意見、ごもっともです」「ごもっともなご意見ありがとうございます」という敬語表現となり、ビジネスシーンでも使える言葉となります。
このように「なるほどですね」の言葉を他の言葉に言い換えることでスマートなビジネス用語に変化するのです。
「なるほどですね」と「おっしゃる通りです」の違い
「なるほどですね」の言い換えとして挙げた「おっしゃる通りです」とはどういった言葉でしょうか。「なるほどですね」と比較してみると、相手の言葉に同意するのは同じですが、「おっしゃる通りです」には相手を評価するという意味合いは含まれていません。
また、「おっしゃる」は「言う」の尊敬語であるためビジネスシーンで取引先や目上の人に対しても失礼とはなりません。「通り」には「それと同じ状態であること」を指します。
「私の言った通りでしょう」というような使い方をしますが、尊敬語の「おっしゃる」に「通り」をつけて「おっしゃる通り」とした場合には他人の発言に対して「全くその通り」という肯定した表現となります。
「おっしゃる通りです」は「ごもっとも」という意味
「おっしゃる通りです」の「おっしゃる」は相手の意見に「ごもっとも」と賛同するときの尊敬語です。その「おっしゃる」に同調するという意味の「通りです」をつけてると、「そうですね」の敬語表現となります。
ビジネスシーンでの取引先に対する言葉として、また上司に対する言葉として使用しても決して失礼ではありません。
「なるほどですね」という言葉の裏にあるちょっと人を小馬鹿にしたような要素は含まれていないのです。「なるほどですね」と「おっしゃる通りです」の違いは相手を尊敬しているかどうかの違いと言えます。
「なるほどですね」を使う際の注意点
「なるほどですね」は相手に対する同意や相手を理解した場合、会話の途中の相槌として使われる言葉です。ビジネスシーンでよく使われるので耳に馴染んだ言葉ではないでしょうか。
あるいは自身でも取引先や会社の上司などに対してうっかり使ってしまうこともあるでしょう。しかし、一見敬語のように見える「なるほどですね」は敬語表現とはなっていません。「なるほどですね」を口癖のようにビジネスシーンで使っている方は使い方に注意が必要です。
「なるほどですね」は敬語表現としては使えない
相手を理解している、同意を得るという意味の「なるほどですね」の相槌表現は、一方で「相手の言葉や考え方を評価するという意味合いが含まれます。つまり、評価した上で同意するということになり、相手を自分より下に見ている嫌いがあります。
「なるほど」という相槌は同僚や親しい間柄の関係なら構いませんが、取引先や上司、目上の人にとっては大変不愉快な言葉となるのです。
「なるほど」に「ですね」をつけて丁寧に言ったつもりの「なるほどですね」も敬語としては認知されていません。ビジネスシーンでつい口癖として出てしまう方は注意してください。知らず知らずのうちに相手を不愉快にしているかもしれません。
「なるほどですね」は文法的に誤用?
そもそも「なるほどですね」は文法的にも間違った使い方と言えます。「なるほどですね」の「なるほど」は感嘆詞または副詞となります。感嘆詞とは「おお!」のように感情や受け答えなどを一語で表す言葉です。
感嘆詞の中には驚きを表す「おお」「まあ」や相手に理解を示す「なるほど」や「ふーん」などがありますが、「ふーんですね」という人はいないでしょう。「なるほどですね」とはそれと同じ使い方となってしまいます。「なるほどですね」は文法的にも間違った使い方となるのです。
「そうなんですね」も間違い
「なるほどですね」と同様、「そうなんですね」も違和感のある言葉の代表です。最近使われているいわゆる若者言葉ですが、時の経過とともに大人でも平気で使っているのを見かけます。「そうなんですね」という相槌も今は市民権を持って大手を振るっているようです。
元々は「そうなんですか」と疑問系の相槌でした。「うちの子はこのケーキが好きなのよ」「そうなんですか」というべきところを「そうなんですね」という相槌をうつ人が増えているようです。ここはやはり「そうなんですか」というべきところです。
「なるほどですね」の英語表記
「なるほどですね」を英語ではどう表現するのでしょうか。英語表記についても考えてみました。「なるほど」にあたる英語は「I see」「その通り」の英語は「That's right」となります。「なるほどそうですね」という場合の英語表現では「Seem to I see」という表現となります。
「なるほどですね」は同意という意味
「なるほどですね」は相手の発言に対して同意を示す意味として会話の中に入れる相槌の言葉です。しかし、「なるほどですね」は敬語表現ではありませんので、ビジネスシーンや目上の人に対してはあまり使用しない方が良いでしょう。正しい言葉を使うように日頃から注意することが大切です。