了承を得るの意味とは?
ビジネスシーンでよく使われる「了承を得る」という言葉ですが、新入社員の中にはその使い方を間違えて使っている人を見かけます。「了承」や「了解」「承諾」など似た言葉があり、ニュアンスが少しずつ違います。ここでは「了承を得る」の意味をしっかり把握しましょう。
「了承を得る」の「了承」の意味は辞書によると、「相手の意向、事情、状況などを納得して理解することである」としています。また、「相手の事情をくんで納得すること」という意味でもあります。
「了承」の「了」とはお(わる)、しま(う)、さと(る)と読み、物事が終わることを悟るという意味があります。「承」はうけたまわ(る)と読み、相手の意向を受け入れるという意味があります。
つまり、「了承」とは相手の意向を認めて理解、納得するという意味が含まれています。「了承を得る」とは相手の要求を受け入れるという意味となります。
「了承を得る」の英語表記
「了承を得る」の一般的な英語表現は「Gain approval」「Get the green light」などがあります。「green light」は直訳すると「緑の光」という意味ですが、「青信号」の意味もあり、それからゴーサインという意味も持ちました。
計画などに対する許可、承認という意味合いもあります。他に「get approval」(承認を得る)「obtaine approval(承認、許可を得る)「please note that」(ご了承ください)「please understand(ご理解ください)などが「了承を得る」の英語表現としてあげられます。
「了承を得る」という日本的な言い回しは単語としては英語にはありませんが、これらの言葉が「了承を得る」の英語表現としての使い方となります。次は「了承を得る」を英文にした場合の使い方をご紹介します。
Gain approvalを使った英語表現
「了承を得る」の英語表現として実際に「Gain approval」を使った英文をご紹介します。「I got approval from the boss.」(上司から了承を得ました)「I gained his approval.」(私は彼の了承を得ました)
「I got that permission from the higher-ups.」(私は上司からその承認を得ました」となり、「了承を得る」のビジネス英語として使える文章となります。
ただ、英語では「了承を得る」と「承諾を得る」または「了解を得る」の使い分けが日本語のようにははっきりとはしていないようです。
please understandを使った英語表現
please understandを使った英語表現としては「please understand this.(このことをご了承ください)「please understand this matter.」(この件をご了承ください)
「please understand we will not answer any questions regarding selection.」(なお選考に関してのご質問は、一切回答しませんのでご了承ください)という「了承を得る」の英語表現となります。これは取引先や顧客に対してお願いする時の「了承を得る」の使い方となります。
「了承を得る」の使い方
次に「了承を得る」の言葉の使い方を例文で解説します。ビジネスシーンで使える文章を集めてみました。実際にビジネスで使うことが多い「了承を得る」の会話例ですのでご参考として載せておきます。
「了承を得る」の正しい使い方を覚えることでビジネスでの自信に繋がります。ぜひこの機会に覚えてください。
例文①
「了承を得る」をビジネスシーンで使う時の例文をご紹介します。「上司の了承を得ましたのでその件は大丈夫です」「先方の了承を得ましたのでこの計画を進めてください」この例文ではビジネスシーンで顧客に対する回答例を示しています。
上の例文は上司に確認したところOKが出たので大丈夫だと顧客に説明しています。次に示した「了承を得る」の使い方の例文は取引先に対しての回答です。
先方に確認したので計画を進めても大丈夫だと説明しています。この場合の「了承を得る」の例では了承を求めたのは顧客ではなく、上司、または取引先ということになります。
例文②
「了承を得る」を社内的に使った場合の使い方を見ていきましょう。「日程変更の件、部長より了承を得ましたので〇〇日に変更します」「会議室を使用することは総務課より了承を得ております」
「了承を得る」の使い方としての上の例文は日程の変更を部長に了承を得て変更したことを社員に伝えています。また、もう一つの例文は会議室を使用することは総務課に許可を取っているので、我々で使用する権利があると別グループの社員に伝えているところです。
「了承を得る」の使い方として社内的に使う限りでは特に敬語に気を使うこともないのでこの使い方でも支障はありません。
例文③
今度は「了承を得る」の使い方としてお客様に対しての例文を見ていきましょう。「この品物は在庫がなくなり次第販売終了となります。どうかご了承ください」「この品物はただいま在庫切れとなっております。入荷次第発送しますのでご了承願います」
上の例文はあまり在庫がないので途中で品切れとなることもあるので了承して欲しいと顧客に訴えているシーンです。下の例文も意味は同じで在庫がないので入荷するまで待って欲しいと顧客に懇願しているシーンです。
「了承を得る」と意味は同じですが、「ご了承ください」よりも「ご了承願います」の方が顧客は物腰が柔らかく感じ、より良い印象を与えます。
例文④
「了承を得る」の敬語表現についても解説します。「了承を得る」の言葉自体には敬語表現はありません。社内的な使い方であれば問題はありませんが、大切な取引先や目上の人に対しては敬語でなければ失礼に当たります。
そんな時の「了承を得る」の敬語表現を例文で見ていきましょう。文書などでの「了承を得る」の敬語的な使い方です。「どうかご了承いただけますようにお願い申し上げます」「どうかご了承を賜りますようにお願い申し上げます」
得意先で何かお詫びをしなければいけなくなった時の例文です。「ご了承願います」よりもはるかに敬語的表現の「了承を得る」となります。
「了承を得る」の注意点
今度は「了承を得る」の使い方の注意点を見ていきます。「了承を得る」とは上司など目上の人や取引先などに了承をもらう時に使われる言葉です。
自分より上の立場の人に対して回答をもらう時の言葉ですが、相手を敬う敬語としての意味合いは含まれていません。また、「了承を得る」とは了承してくれた上司などがその場にいない時に使われる言葉であることも覚えておく必要があります。
そのため、「了承を得る」は社内的に使われることが多い言葉です。しかし、会社の上司が了承してくれたことを取引先に連絡する場合は「了承を得る」の敬語的表現を使わなければいけません。相手に失礼のないように注意を払うことが必要です。
「了承を得る」と「了解を得る」の違い
ところで、「了承を得る」と大変似ている言葉に「了解を得る」という言葉があります。「了承を得る」とは物事の事情をくんで聞き入れるということですが、「了解を得る」とは物事の意図を理解して同意するという意味があります。
つまり、「了承を得る」とは相手に納得してもらうという意味がありますが、「了解を得る」は相手に理解してもらうということになります。「了承を得る」と「了解を得る」はもともと同義の類義語で同じような意味を持ちますが、大きく違う所は「了解を得る」は、敬語的な表現ができないところです。
特に最近では「了解」がカジュアルな表現として使われることが多いため、ビジネスの場では使うことを敬遠する嫌いがあります。目上の人に対し、「了解です」という答え方は失礼だと感じることが多いようです。従ってビジネスでは「了承を得る」の敬語的表現を使うことが望ましいとされています。
「了承を得る」は相手の事情をくんで納得することという意味
「了承を得る」という言葉には相手の事情をくんで納得するという意味があります。部下が上司から了承をもらうといったように目下のものが目上から了承をもらう時に使うことが多い言葉です。
ただ、一点気を付けることは「了承を得る」には敬語的な要素がありません。上司から了承を得たことを顧客に伝える際には「了承を得る」の敬語的表現を使うことが重要です。