香具師の意味とは?
香具師という言葉の意味を知っている方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。現在香具師とは、あまり聞きなれない言葉であると感じる人は多いかもしれません。その香具師の意味や語源、使い方などまとめ巻いたのでご覧ください。
香具師とは、「こうぐし」「やし」などの読み方をします。一体何を指す言葉なのでしょうか。ここでは、香具師について詳しく解説していきます。
まず香具師の意味を説明いたします。香具師とは、お祭りや縁日で参道などの場所で露店を出店する商売人や街頭芸をする商売人のことを指します。
香具師の語源
香具師という言葉は、薬や香具を扱っている人のことを当てた言葉でした。香具師の語源は、野武士が、飢えを凌ぐために薬を売っていたことから野士(やし)とした語源である説があります。
他にも、薬売りを始めた人の名前が弥四郎(やしろう)にちなんだものという説、鉱脈の発掘や森林の販売などを仕事にする職人である山師(やまし)を略した説など、様々な説があります。
こうであろうという諸説はいくつもあるのですが、実際こうであったという語源は、特定されていない言葉なのです。
漢字の作り
香具師の漢字の由来ははっきりしたものがあります。香具師の香具の由来についてもご紹介していきます。香具とは、香の材料のことであり、江戸時代の女性の中でも流行した香り袋の材料のことです。また、昔は薬と香具は同じ意味で使われていたそうです。
香具と薬は、そのもの自体が軽いため、持ち運びも楽でした。また当時高く売れることから、商人達は、芸や話術で客を集め、その客に香具や薬を販売していたようです。このような形で商売をしていた人を称して香具師と呼ぶようになっていったのが、香具師の漢字の由来だそうです。
歴史
香具師は、昔、口が上手く、皆を乗せながら、商品を売る商売でした。元は先ほどの1説でもお伝えしましたが、野武士が飢えしのぐために薬を売ったのが香具師の始まりです。
お祭りなどで大きな声で客引きをしている商売人の下ではありますが、その上手い口の商売は悪い商売にも発展していきます。商品を売る為の人を上手く乗せる技術が、時代の流れと共に、人々を言葉で惑わせる商売が増えていったのです。
江戸時代には、香具師の名前が廃止されることになるまでに、偽物や偽の薬を売る人が増え、被害が多く出てしまったようです。昔は、インチキな商売人や詐欺的な商売人などとマイナスなイメージであった香具師でしたが、現在はそのようなイメージはあまりなくなっています。
有名な「男はつらいよ」の劇中に登場する主人公、寅さんも「香具師」です。こちらの作品では、優しさ溢れる人物です。香具師は、寅さんのようなイメージを持っている人は多いのではないでしょうか。
香具師の類語
香具師とほぼ同じ意味で使われている用語に「的屋」があります。「的屋」と書き、「てきや」という読み方をします。意味は香具師同様、祭りなどで商売をする商品のことです。主に料金を払って、商品を得ることができる遊びのできる縁日のことです。
初めは、金魚すくいやお面などが主でしたが、時間の流れと共に、くじ引きなど交換性のゲームが増えていきました。的屋の営んでいた「景品交換式の遊技場」は、現在の縁日や温泉でも御馴染みの射的場やパチンコの元の形でもあるのです。
的屋の語源は、「商売が当たれば利益が多く入ることと、的に屋が当たることをなぞらえた」という説などがあるが、香具師同様、的屋の語源も特定されていないのです。
香具師のネット用語
ネット用語でも「香具師」という言葉があります。ただし、その意味はお祭りなどで露店を出店する商人という意味ではなく、「やつ」「あいつ」などという読み方で、第三者を指す使い方で使われています。
このような全く違う意味でなぜ使われるようになったのでしょうか。理由を少し考えてみると2点浮かび上がってきました。
ネットの発達
香具師がヤツという読み方としてネット用語で使われ始めた理由にネットの発展が考えられます。ネットの流通により、掲示板などを利用する人がたくさん出てきました。遠くにいても簡単に他者とコミュニケーションを取ることができる掲示板は、文字での言葉遊びも行うことができます。
この香具師が多く使われているのは掲示板で大きな規模である2チャンネル(5チャンネル)であり、その言葉遊びから香具師がヤツという読み方になり、第三者を指す意味になったのです。
ネット用語での変換ルール
先ほどもお伝えしましたが、2チャンネルの言葉遊びが、「香具師」の「ヤツ」という読み方や意味を作り上げました。2チャン用語では「ツ」を「シ」に、「ソ」を「ン」にに読み方に変えられるという言葉遊びのルールがあります。ネット用語になれている人であれば当たり前のルールです。
香具師は通常「ヤシ」という読み方もしますが、2チャンネルの言葉遊びのルールに当てはめると、「ヤシ」は「ヤツ」に変換され、「奴」という読み方や意味に変換されてネット用語内の言葉として生まれました。
香具師の使い方
では、香具師がどのように使われるか、例文をご紹介していきます。通常の香具師の意味である祭りの露店を出店する商人という意味の例文に加え、ネットで使われている香具師(ヤツ)という意味の香具師ついてもどのように使われてか、例文をご紹介します。
2チャンネル(5チャンネル)などにはよく使われる香具師(ヤツ)は、ネットを利用する人には当たり前かもしれませんが、見たことがない人には少し理解しがたいかもしれません。
例文①
まず初めに、通常の香具師の使い方であるお祭りなどで露店を出店する商人の意味の例文をご紹介します。例文、自分の職業は、香具師と相手に伝えてもわからないようだったが、的屋と伝えると理解したようだ」という形になります。
例文②
次に通常の使われ方の香具師を会話の中に入れるとどのようになるか、例文をご紹介します。例文、A「この前の日曜日の神社でのお祭りには、たくさんの香具師が出店していて盛り上がっていたね。」B「そうだね。今年のお祭りは香具師が頑張っていたね。」という形になります。
例文③
続いてネット用語として使われている香具師(ヤツ)の意味での例文をご紹介します。例文、「デマを流している香具師発見した。」「ゲームに詳しい香具師いる?」このような使い方をされます。
この文章は、「デマを流しているヤツ発見した」「ゲームに詳しいヤツいる?」というような文章になります。このようにネット用語での香具師は、第三者のことを指すような意味で文章に入れる使い方で使われます。
例文④
最後にネット用語で使われる香具師(ヤツ)を会話に入れてネットでは、どのような会話が行われているかご紹介します。
例文、A「ネット荒らす香具師許さない」B「そんな香具師に掛ける時間が無駄」A「言われてみれば確かにな」のような使い方をされます。
この会話は、A「ネット荒らすヤツ許さない」B「そんなヤツに掛ける時間が無駄」A「言われてみれば確かに」となります。
以前のネット用語では、香具師は、マイナスなイメージで使われていたようですが、現在では、第三者のことを指す使い方で使われていることが多いようです。
どちらも香具師という文字を使うことから、文字で見た際に、ネット用語と一般の用語の違いを見分け方は、前後の文章で見分ける必要があります。
ネット用語の方は、第三者を指すような意味合いで使われており、一般の用語ですと、名詞のような使い方をしているため、前後の文章を見ることで、すぐにどちらの意味を指しているのかわかるでしょう。
香具師は祭りの露店商売人という意味
香具師の意味や語源、ネット用語など香具師についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。香具師は、簡単に言うと、祭りで露店を出している商売人のことでした。
祭りを盛り上げてくれている香具師の言葉の意味は、昔の野武士が飢えをしのぐのに薬を販売していたことに始まると考えると、現在の明るい露店の商売人とは異なるイメージです。
過去の流れの中に今がある言葉の語源を調べることはとても興味深いことです。また、ネット用語の奴という意味もネット社会という時代の流れでできた言葉です。覚えておくとちょっとした豆知識で自慢できるかもしれません。