「習得」と「修得」の意味の違いとは?使い分け方や例文を詳しく解説!

「習得」と「修得」の意味の違いとは?使い分け方や例文を詳しく解説!

同音異義語である「習得」と「修得」は、同じく学ぶという取り組みですが、継続中か完了したかの違いによって使い分けます。また、それぞれ何を学んでいるかによっても使い分けられます。「習得」と「修得」の意味の違いや使い分け方を、類語や例文とともに詳しくご紹介します。

記事の目次

  1. 1.「習得」の意味とは?
  2. 2.「習得」の対義語・類語
  3. 3.「習得」の使い方・例文
  4. 4.「習得」と「修得」の違い
  5. 5.「習得」を使う際の注意点
  6. 6.「習得」の由来・歴史
  7. 7.「習得」の英語表記
  8. 8.「習得」は「自分自身が何かを習って身につける」という意味

「習得」の意味とは?

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「習得」は、自分自身が何かを習っていて、よりもっと上手になりたいあるいは詳しくなりたいと努力中の場面で使われます。

誰かに教わったり見習ったりして、知識や技術をより研鑽したいと努力している最中にかぎって使われる言葉です。

「習得」の対義語・類語

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「習得」は、自分が誰かに習って、何かの知識や技術を身につけるという意味ですから、対義語は「習得」の意味の主客を入れ替えた意味の言葉、つまり相手が自分に何かを教えて身につけさせるという意味になります。

また「習得」の類語は「得」の文字を含むために、どのようにかして何かを手に入れるという意味の言葉になるでしょう。

「習得」の対義語は「教授」「教育」「伝授」

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何かを自ら学び身につけることを表す「習得」に対し、何かを誰かに身につけさせることを意味する「教授」「教育「伝授」は「習得」の対義語です。

それぞれ、人に物事を教える、授けるという能動的な意味を持つ動詞の名詞形で「する」をつけることによって「習得」「習得する」と同様に「伝授」「伝授する」という名詞・動詞になります。

「習得」の類語は「修得」「取得」「会得」

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「習得」の類語は、何かを身につける、手に入れるときに使う漢字「得」を含む言葉で、何をどのようにして手に入れるかによって一文字目の漢字が選ばれています。

読み方も意味も似かよった言葉ですが、意味の違いを理解し、正確に使い分けられるように日々の学びから「習得」しておきたいものです。

「修得」

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「習得」が自ら何かを学んでいる途中で使えることに対し「修得」は学ぶ一連の課程を完了したときに使う漢字であるという点で「習得」と「修得」には、使い方の違いがあります。

学校で決められた必要な単位数をすべて学び終え卒業するとき与えられる「修了証書」や卒業することを前提とした「修学旅行」と同様に「おさめる」と読む「修」を使った言葉です。

大学卒業後に進む大学院の前期課程の単位を「修得する」と修士になり、マスターと呼ばれます。「修得」は、学問を究めて「修士」のレベルにマスターしているという意味を含むのでしょう。

「取得」

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「取得」は、たとえば「資格を取る」のように「資格」という「技術」や「知識」を身につけるわけではなく、その技術や知識に対するお墨付きを得たことを表します。資格のほかにも、住民票や住居、自動車など、手に入れるという意味合いが強い言葉です。

「習得」は、いまだ学び続けていることを必要とし「修得」は、学ぶことを完了したことを必要とします。それに対し「取得」は学んでいる必要も学び終えたことも必要でないという点で違いがあります。

「会得」

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「会得」は「えとく」と読み、他の「習得」「修得」よりもさらにエキスパート感の強い言葉です。学業であれ、技術であれ、基礎から学び、熟練し、先生・師匠、匠(たくみ)と呼ばれるに足るレベルで使われる言葉です。

大学での修士課程修了のマスターに対し、修士課程後期を修了するとドクターと呼ばれます。「会得」はドクターレベルにできるということでしょう。

「習得」の使い方・例文

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趣味と実益を兼ねて何かを学ぶということはよくあることです。三日坊主でやめてしまわず、三カ月目や半年のやめたくなる時期を過ぎると、ずいぶんのめりこんでしまうこともあるでしょう。

挑戦したことがだんだん生活の一部になって、知識や技術が身についてくると一生のお供になることもあります。「習得」は、このようにだんだんと上達しエキスパートになっていく過程に使える言葉です。

例文①

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学生時代のクラブ活動などの日々の練習で「フルートパートを担当し、卒業するころにはすっかりフルート演奏を習得していた」というようなことがあります。

この場合も、単位が取れるとか免許が取れるというものではありませんが、上手に演奏できるようになっていたのでしょう。

例文のような体験を持つ人の中には、高校卒業後、音楽大学でフルートを専門に学び、大学既定の単位を修得して演奏家になる人もいることでしょう。

例文②

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おとなになって生き甲斐に出会えるとたいへんうれしいものですが「誘われて習い始めたタップダンスでしたが、友だちがやめた後も続け、講師補佐を依頼されるほどに習得できる」となると、趣味と実益にもつながります。

この「習得」は、まだまだ発展途上ですが、身についてきたということです。独り立ちの講師になることを目指して、今後もずっと練習を続けていくことでしょう。

例文③

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夫の転勤で海外を転々としているうちに、「おとなの両親とは違って、子どもたちはすっかり現地の言葉を習得している」ということはよくあるようです。

外国語学校を卒業するともなく、日ごろの生活とちょっとした外国人クラスへの参加で身についたのでしょう。「習得」を使う例文です。

例文④

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「趣味を持ちたいと始めた絵画は、2年目のコースに上がる頃には、画材の扱い方や構図の基礎など、ひとりでスケッチ旅行に出かけられるくらいには習得した」も、好きなことに没頭しているうちに技術が向上したことを表す例文です。

こちらの「習得」は、資格が欲しくて始めたわけではなく楽しく続け今も習って成長しているという意味です。

例文⑤

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「受験生は、この漢文の参考書を使うことで基本的な句形を習得して、難解な漢文の読み方を身につけられます」は、受験生の購買意欲をくすぐる例文です。

すばらしい参考書に出会うことで、知識を身につけられ、受験勉強を効率的に進められることでしょう。

「習得」と「修得」の違い

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日本語には「橋」と「箸」や「移動」と「異動」などのように同じ音で意味が異なる言葉や同じ読み方で漢字が異なる言葉が数々あり、まったく別のものをさす場合や似かよった類語関係のものなどもあるので、イントネーションや漢字の使い方などの違いに注意して使い分ける必要があります。

「習得」についても、たいそう意味が近く正確には意味が異なる「修得」という言葉との意味の違いや使い方に留意する必要があります。

「修得」は「学業を完了した」という意味

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「修得」は、たとえば大学で選んだ学科に規定の在学年数以上在学し、既定の学問の単位数をすべて取得し、卒業したときに使う言葉です。

「修得」の「修」を使う言葉には「修業」「修了」「修行」があります。いずれも「習得」と違って「完了」の意味を前提とした使い方の言葉で「修得」の類語です。

「修得」の類語「修業」の例文

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「板前修業10年、ようやく一人前と認められるようになった。けれども、一生修業は続くと思っている」というのは、すでに立派な料理人共通の心得でしょう。

「修業」を含む言葉に「板前修業」があります。日本料理の料理人になるために日本料理店で花形板前になることを目指して日々努力することをさします。

一人前になるには10年はかかると言われますが、10年たてば修得できるというものではなく、10年間経験を積んでいくという意味でその過程をさして使われる言葉です。

「修業」と同音の言葉「修行」は、とくに仏教において精神の鍛錬をすることを表す用語の一つで、使い分ける必要があるので注意しましょう。

「修得」の類語「修了」の例文

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「あなたは○○協会所定の講座の全課程を修了されたことをここに証明します」や「右の者は、本校での課程を修了したことを証明します」などは、立派に卒業したまたは課程を終えて技術や知識を「修得した」というお墨付きが与えられる時の例文です。

「修得」は勉強中は使えない

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「修得」は、主として学業について使われるので、いくら一生懸命に学んでも、完了していなければ使えません。つまり、その課程をひと通り終えて卒業・修了しなければ使えない言葉です。また、ひとつの課程を「修得」して次の課程に進み「修得」を重ねる場合もあります。

「習得」を使う際の注意点

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「習得」は、同音異義語が数種類あります。使い分け方はたいへん難しく、とくに同じように学ぶことに関して使われる「修得」との違いは覚えておく必要があります。間違えると、漢字の使い分けについて「習得」の不足が露見してしまいます。

教習継続なしでは使えない

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「習得」は、「習う」という漢字が入っていることからわかるように、ひとつのことについて誰かに教えてもらうことが前提になります。

自学自習と言いますが、その場合も何かテキストやたとえば動画のなかに教授してくれる先生がいたりするので、これらも誰かに教わるという意味では「習得」の手段と言えるでしょう。

「習得」は「修得」と違い、学問にかぎらず、広く趣味や資格を取るための勉強にも使えます。けれども、お金を収めただけで得られる許可や認定は下りてしまえば習わないので「習得した」とは言えません。

「習得」の由来・歴史

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「習得」は「修得」や「取得」と同様に漢字二文字でできている言葉ですが、これらの熟語の構造はどのようになっているのでしょうか。「習得」の由来と歴史上での身近な習う方法の一例をご紹介しましょう。

由来

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「習得」は一文字目が手段、二文字目が結果になっています。一文字目の「習」はハ行五段活用の動詞「習う」で「学ぶ」「学習する」を意味しています。二文字目の「得」は下一段活用の動詞「得る」で「手に入れる」ことを意味します。

「習得」は習うことによって技術や知識を身につけることを意味しています。修了しているわけではないので、まだまだ発展途上で学ぶことを継続しているときに使えます。

歴史

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江戸時代に始まった庶民の学びの場に「寺子屋」があります。江戸だけでなく全国に広まった教育施設で、僧侶や武士・医者などが先生になり、庶民の子どもたちに読み・書き・そろばんを教えていました。

この時代の日本では、欧米諸国に比べ識字率が高く、瓦版などもよく売れたようですが、その理由の多くは「寺子屋」教育で、武士にかぎらず庶民も読み書きを「習得」していたからでしょう。

明治時代に学制が始まり就学年数が決まる前のことで、卒業までの課程が決まっているわけでもないので、この読み書きの知識は「修得」するものではありません。

「習得」の英語表記

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「習得」は英語で「acquisition」と表記されます。「習得する」という動詞の場合は「acquire」という動詞になります。学んで身につけるという意味にかぎると「learn」が一般的でしょう。

「acquire」は、広く何かを手に入れるという場合に用いることができ、何を手に入れるかによって「win」「accomplish」「earn」のような英語表現に使い分けられます。

「習得」は「自分自身が何かを習って身につける」という意味

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「習得」は自分が誰かに習って何かを身につけることを表します。学びつつあるときに使う言葉で、完了の意味はありません。

「習得」と同音異義語の「修得」は、学業に特化して使われる言葉で、決められた課程を終えて卒業したことや、ひとり立ちに値するように学ぶことを「完了」したことを表す言葉です。

「習得」と「修得」は、学んで得るという意味合いでは似かよった言葉ですが、きっちりと使い分ける必要がありますので、意識して使うようにしましょう。

藤田清美
ライター

藤田清美

古墳の町で小中学生に関わること40年。若いライターのみなさんに交ってシニアライターとして苦闘しています。ゆったりとした雰囲気の中で、ちょっと得する文章を書ければいいなあ。よろしくお願いします。

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