「いささか」の意味・使い方を解説!語源や類語・対義語も例文付きで紹介

「いささか」の意味・使い方を解説!語源や類語・対義語も例文付きで紹介

「いささか」という言葉は使っているようで、あまり使われていない、よく意味が分からない、聞いたことはあるけど堅苦しそうなど、意外に「いささか」の持つ意味を知らないかもしれません。知識として知るだけでなく実際に使えるシーンもありますのでご紹介します。

記事の目次

  1. 1.いささかの意味とは?
  2. 2.いささかの対義語・類語
  3. 3.いささかの使い方・例文
  4. 4.いささかと僅かの意味の違い
  5. 5.いささかを使う際の注意点
  6. 6.いささかの語源・歴史
  7. 7.いささかの英語表記
  8. 8.いささかの漢字
  9. 9.いささかは少しやとてもという意味

いささかの意味とは?

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「いささか」の意味は少し・僅か(わずか)、ちょっとなどで、日常生活で「いささか」とはあまり聞きなれない言葉かもしれません。数量や程度が少ないという意味で使われるのですが、使い方によって違う意味になり、表現のとらえられ方が逆なったり面白い変化もおきます。

また、ビジネスシーンなどで、少しやちょっとと言うと軽い印象に見られてしまう場合があります。その様な場合には「いささか」を使うと自分の状態や感情をひかえめに言っているように伝えることができます。

文章で使われることの方が多く、会話で使う場合は目上の方に対して自分の得意なことを、とても得意ですと言わずに「いささか」得意ですと話すと、ひかえめに聞こえます。そしてとても得意との意図も伝わります。

いささかの対義語・類語

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「いささか」の対義語としては、甚だ(はなはだ)・ずいぶん・たいそう・大いに・非常になどがあります。これらの単語は程度が普通の状態をはるかに超えている、という意味になります。物事などを強調するときに使います。

「いささか」の類語は、幾らか・僅かに・少しだけ・やや・ちょっとなどがあり「いささか」は堅い表現、古くさい表現として日常的に使われることが少なくなってきています。その類語として幾らかや、少しだけ、ややなどが使われていることが多いようです。

いささかの使い方・例文

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「いささか」のもつ意味を理解しながらさらに、使い方を間違いなくできる様にしてみましょう。それには対義語や類語もしっかり覚えておくことが大切です。「いささか」は使い方を知れば、類語の少し、ちょっとなどの言葉より、意外にピッタリ当てはまる表現となります。

ではどんな場合に使うのかを、例文にしてご紹介していきましょう。例文で使われている「いささか」は聞き覚えのあるものばかりなので、自分でも無意識に使っていたものもあるかもしれません。

例文①

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1つ目の例文は少しの意味の「いささか」です。「あまりに唐突な出来事でいささか驚いた」こちらと、「あまりに唐突な出来事で少し驚いた」と同じ少しの意味でも「いささか」を使うと驚いた加減が少しより強調され、驚いたにびっくりしたと、はっとした感じが追加されて感じ取れます。

同様に、少しの意味の「いささか」を使って、「彼女の行動にはいささか困っている」「彼女の行動に少し困っている」この2つを比べてみても「いささか」を使っている場合のニュアンスは、強調している感じを受け取れます。

例文②

2つ目の例文は「いささか」に否定形の語尾をつけると、少しもや全くという意味になるケースです。その使い方は「彼女の美貌は10年たった今もいささかの揺るぎもなく健在です」「彼女の美貌は10年たった今も全くの揺るぎもなく健在です」といった意味合いにとれます。

「昨日の話がうそだなんて、いささかも思っていません」と「昨日の話がうそだなんて、少しも思っていません」の様に語尾が否定形になると類語の少しを使うより否定を強調させて、寸分たがわないという意図も含まれて伝わります。

例文③

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3つ目は謙遜(けんそん)の意味を持つ「いささか」です。「私はスポーツの中でも水泳はいささか自信がある」」「いえいえ、私はいささかしか出来ません」などの相手に少ししかと、謙遜した使い方ですが、本当はどちらもとてもたくさんできるといったニュアンスを持っての「いささか」になります。

特に日本人は謙遜した言い方をするので、それがおくゆかしいことだと昔から使われてきました。言い方や状況に気をつけないと嫌味に聞こえる場合もあります。使う方の人間性などが表れやすい表現になります。

例文④

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4つ目の例文は婉曲(えんきょく・表し方が遠回しなこと。露骨にならずに言う事)の「いささか」で、「彼の演奏はいささか眠くなる、隣の犬はいささか問題がある」など本当は大いに眠いや多いに問題あるの意図を、遠回しに表現することができます。

本来の意味「いささか」は少し、僅かですがこのように使うことで反対の意味を持つ言葉に変わるニュアンスになるのです。日本語の持つ特有な言い回し方で対義語の意味に変わるという事です。ストレートに対義語の言い方の、「隣の犬は多いに問題がある」と言えば角が立ちかねません。

いささかと僅かの意味の違い

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「いささか」と僅か(わずか)の意味は同じことを表しますが、いささかの語尾に反対の言葉がつくと意味も逆になります。いささかやりすぎたという文は、「いささか」の少しすぎたという反対の言葉がつくことによって、とてもやりすぎたという意味になります。

僅かにやり過ぎたは、とてもやり過ぎたの意味にはならず、本当に少ない意味を表します。そのように「いささか」のもつ本来の少しや僅かの意味も、後につく言葉によって同じ意味を持たなくなるのです。言葉の語尾によって変わる意味になることは知っておくと良いでしょう。

僅かは少しという意味

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「いささか」と同じ意味の僅かは、語尾に否定や反対の意味をもつ言葉がきても反対の意味を表すことはありません。「いささかやりすぎた・いささか食べ過ぎてしまった」「僅かにやり過ぎた・僅かに食べ過ぎてしまった」この違いははっきりしています。

後ろの言葉によっても、僅かは逆の意味をもつことなく、本来の持つ少しという意味のままです。僅かの対義語は数多(あまた)で、「僅かに食べ過ぎた」は」「あまたに食べ過ぎた」の意味には変わらないのです。あくまでも少しの意味のままです。

いささかを使う際の注意点

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「いささか」の使い方で「いささか」の後に否定の表現を使うと、反対の意味を持つ言葉となります。つまり少しも○○でない、全く○○だの意味になり、さらに強く誇示した表現になる場合もあります。

また謙遜(けんそん)して使う意味での「いささか」が自慢や卑下しているようにも感じ取られる表現となる場合もあります。本来の意味の「いささか」は本当に使われるべき言葉と合わせて使わないと、誤解が生じる場合もあります。

少しの意味では使えない

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「いささか失礼」は、とってもやかなり失礼という意味になり、「昨日の彼の言動は、いささか失礼な話しだった」これは少し失礼とはとれずに怒りや不満もまじえての、かなり失礼になります。そういう意味で使うのではない場合は誤解を招くことになってしまいます。

自分の意に反する「いささか」が嫌悪や皮肉をまじえた少しの意味では使えないケースもあります。遠回しに言ったのに皮肉にとられる場合も同様に使わない方が、相手にいやな思いをさせずに済むこともあります。言葉の使い方を理解してトラブルを回避しましょう。

いささかの語源・歴史

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「いささか」の語源は古語にあたり、奈良・飛鳥時代から引用されてきました。「いささか」の古めかしい印象は歴史ある表現からなるものなのです。特に文章として使われることで微妙なニュアンスを伝えるには必要な「いささか」でした。

文例にも出した、遠回しに伝える場合のおくゆかしさは類語にない意味合いで表し、皮肉を含めた対義語として使うことも昔からある表現です。文章の場合もより深い意味合いで伝えることで知的な表現として成り立つのです。

いささかの語源

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「いささか」の語源は諸説あります。3つの説をご紹介します。1.いとささやかが縮まった説は、「いと」がとても、たいそう、非常にという意味で、「ささやか」は細やかで、小さいや少ないを表しています。2.いささやか説「い」は発音の発語で語調を整えるためにつき、「ささやか」は1と同じ意味です。

3.「いささやか」の別の語源の解釈は、「い」は発語、「ささ」は少しや僅かの意味で「か」は整えるためについたもの、同じような「か」がつくのは、のどか、さわやか、ひそやかなどがあります。語源の詳細はどの場合でも古語にのっとっています。

いささかの歴史

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「いささか」の歴史は万葉仮名(奈良・飛鳥時代に作られた日本語表記)で記されている古語で、万葉集の中に出てきます。少しの意味で使われ、かりそめであるさまやついちょっとなどの意味も含まれています。歴史ある「いささか」という言葉です。

今昔物語では「いささか」の後の語が打消しになっていて、意味が少しもから全くや多くに変化した使い方の文もあります。その文は「いささかに知りたる人もなければ」とあり、少しも知っている人もいなければが、全く知っている人はいないとなることを表しています。

いささかの英語表記

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「いささか」の英語表記は「a little」「a bit」「a slightly」「some what」などとなっています。日本語でも物の数を表したりするときの「いささか」や感情表現、自分のことを謙遜(けんそん)するときに用いる場合など意味合いが変わってきますので、英語でも同様に使い分けて表します。

また否定文の「いささか」の場合は英語では「not at all」「nothing」という否定するnotがついている文となります。また、数や物事が少ない「a little」「a bit」と、少ない事への怒りや皮肉、呆れるを込めた使い方の「a slightly」「somewhat」が用いられています。

いささかの漢字

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「いささか」を漢字で書くと「些か」あるいは「聊か」となります。「些か」という漢字は僅か(わずか)という意味で、「聊か」の漢字は僅か、ほんの少し、かりそめの、楽しむなどです。どちらを使っても同じ意味なのですが、両方とも常用漢字なので、ひらがなの「いささか」と書くことが多いです。

実際に「些か・いささか」と読める方が珍しく、此と二から成り立ちます。音読みでサ、熟語では「些少・サショウ」数量や程度が僅かなこと、「聊か・いささか」の音読みはリョウで、中国語では聊天という浮世話の意味を持つ言葉があり、日本語ではおしゃべりする、チャットと訳されています。

いささかは少しやとてもという意味

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「いささか」は肯定的な意味で使うのは、少し・僅か・ちょっととなり、否定的な語尾がつくと全く○○ないや少しも○○ない、つまりとてもに意味が変化する面白い言葉です。自分の事を伝えるときに、かなりや多い状況でも謙遜(けんそん)さを出した「いささか」を使うこともできます。

語源の万葉仮名の時代から古語として、その意味も使い方もいまだに同じです。新語がとびかう今の時代だからこそ、使い方や意味がわかり実際に使っていき、ボキャブラリーを増やして見分を広げてみましょう。

Mari Sasaki
ライター

Mari Sasaki

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