「お召し上がりください」の意味とは?
「お召し上がりください」は、目上の人に食事を促す際に「どうぞ食べてください」という意味で使われる言葉です。食べることや飲むことを表す「召す」と、尊敬語の「上がる」を組み合わせて作った言葉で、日常シーンでも使いやすい敬語のひとつとして広く使われています。
「お召し上がりください」の由来
「お召し上がりください」という言葉は、「食べてください」という行為を目上の方に促す際に使う言葉です。「召し上がる」の「召し」という言葉が、「めし」イコール食べ物や飲み物を表しています。そこに「上がる」という尊敬語を合わせて使うようになったことが由来です。
「お召し上がりください」の特徴
「お召し上がりください」という言葉の意味や由来についてご説明しました。ここからは、「お召し上がりください」という言葉の特徴についてご説明します。しっかりと特徴を踏まえて、間違いのない使い方をしましょう。
目上の人に使う敬語表現
まず「お召し上がりください」という言葉は、目上の人にのみ使う言葉であることを、しっかりと理解しておきましょう。決して自分よりも年齢が下の人や、立場が下の人には使う言葉ではありません。
これは「お召し上がりください」という言葉の中にある、「上がる」という言葉が尊敬の念を表す言葉で、使う相手を上げて、自分を下げるという役割を持つ言葉だからです。
また言葉の頭にある「お」は、尊敬をあらわす接頭語です。後の言葉の「召し上がる」をより丁寧にした表現で、目上の人に気を使う言葉であることがわかります。
「お召し上がりください」は間違い?
「お召し上がりください」という言葉は、敬語として相手を敬う意味で広く使われている言葉です。しかし、接頭語の「お」が付くことで、二重敬語になってしまっています。二重敬語は、一般的には正しい敬語ではありません。
二重敬語は、本来は正しくないとされますが、習慣として広く定着している言葉については、許容されているものも多いです。「お召し上がりください」という言葉も、社会的に広く普及していることから、許容されている言葉であると言えます。
しかし、特に年配の方には、使用を避けるのが無難です。年配の方というのは、正しい敬語の使い方に厳しい世代でもあります。敬語というのは、相手に合わせて使い分けるものですので、ケースバイケースで使用しましょう。
「召し上がってください」も可
「お召し上がりください」という言葉が、二重敬語であることをご説明しました。相手によって使い分けるということが難しいと感じる方は、接頭語である「お」を外して、「召し上がりください」「召し上がってください」という使い方をするのがおすすめです。
接頭語の「お」が外れて、少し砕けた印象もありますが、全く問題ありません。口頭で使う際には、「どうぞ召しあってください」というように、丁寧な言い方をすれば、目上の人にもより良い印象を与えることができます。
食べ物や飲み物を勧める時に使う
「お召し上がりください」という言葉の特徴2つ目は、食べ物や飲み物を勧める時に使う言葉であるということです。飲み物を勧める時にも使えることは、抑えておきたいポイントです。食べること全般に使えますので、食事の時間だけではなく、ティータイムなどでお菓子を勧める時にも使用できます。
「お召し上がりください」の言い換え
ここでは、「お召し上がりください」という言葉に似た表現の言い換え法をご紹介します。場面によって言い換えたり、英語で表現することができれば、上司や目上の方の評価も良くなり、ビジネスシーンにおいては心強いこと間違いなしです。ぜひチェックしてください。
間違いやすい類語
まず、間違いやすい類語についてご紹介します。一見同じような、似た意味を持つ言葉でも、目上の人に使うと大変失礼な言葉もあります。間違いのないように、ここでしっかりとチェックして使い分けるようにしましょう。
「お食べください」は目上の人には失礼
「お召し上がりください」という言葉の意味に似ているものとして、「お食べください」という言葉があります。これは接頭語の「お」がついていて、一見丁寧に見える言葉ではありますが、「お」に「食べてください」という言葉が付いているだけです。
「食べてください」という言葉には、尊敬の意味が入っていません。したがって、目上の人には使えません。もし「食べる」という表現を使うのなら、「お食べになってください」として使いましょう。「なって」という言葉に、「なる」という尊敬の意味が入っていますので、失礼がありません。
「召し上がれ」はカジュアルな表現
「召し上がれ」という言葉は、目上の人には使ってはいけない言葉です。「召し上がれ」という言葉は、「召し」と「上がる」という2つの言葉が入っているので、「お召し上がりください」と同じように使えるかと思いますが、実は違います。
「お召し上がりください」をカジュアルに表現した言葉が、「召し上がれ」という言葉です。「召し上がれ」の「れ」には、命令の意味が込められています。目上の人に命令の意味の入った言葉は使ってはいけません。大変失礼に当たりますので、気を付けましょう。
「お召し上がりください」の英語表現
「お召し上がりください」を英語で表現すると、どのような言葉になるのでしょうか。英語で尊敬語や丁寧語などの意味を表現するのは難しいです。英語で表現する時は、その意味や表現方法を考え、場面に見合う言葉を選びましょう。
丁寧な「お召し上がりください」
「お召し上がりください」の英語表現として、おすすめなのが「Please help yourself to anything you like」です。直訳すると、あなたの好きなようにどうぞ、といった意味になります。
文頭にpleaseが入ることで、丁寧な表現になっていますので、目上の人にも安心して使うことができます。具体的に食べ物や飲み物を勧めたいときは、toの後に単語を入れて使います。
また、「Please make yourselves at home,and help yourselves to drinks」という言い方になると、いくらpleaseを使っていて丁寧だとはいえ、お客を招いたホストのような意味合いになります。場面によって気を付けて使いましょう。
カジュアルな「お召し上がりください」
英語はそもそもカジュアルな表現がたくさんあります。「お召し上がりください」という表現も、カジュアルにすると、「enjoy your meal」や「dive in」といった軽い言い方もあります。友人たちとの間に使うフランクな表現になりますので、目上の人には使わない方がいいでしょう。
その中でおすすめなのが、「I hope you'll like it」という表現です。「I hope」という始まりは、私が望むという意味で、相手に負担をかけずにお願いすることができる、という意味で目上の人にも失礼にならずに使うことができる英語表現と言えます。
手紙に添える一文としても最適です。食べ物や飲み物を送るときに、この文を添えれば、心のこもった贈り物として相手に伝わるでしょう。
「お召し上がりください」の使い方
それでは「お召し上がりください」という言葉の使い方について、例文を挙げてご紹介します。場面を設定して例文をご紹介しますので、使い方を把握してください。「お召し上がりください」という言葉の意味を正しく理解し、身に着けることで、間違いを恐れずに使えるようになります。
例文①
会社などの公的な場に、差し入れを行った際、「お召し上がりください」という言葉は大変使い勝手の良い言葉です。食べ物も飲み物もどちらにも使えますので、差し入れるものも選びません。会社には自分の上司もいるので、しっかりと尊敬の念を表す言葉を使いましょう。
「どうぞお召し上がりください」と言えば、丁寧ながら、尊敬の意を込めた言い方になります。冒頭に「どうぞ」を入れることで、より柔らかい表現になり、丁寧さが増すのでおすすめです。
例文②
ちょっとしたお土産やプレゼントを渡す時にも、中身が食べ物や飲み物であれば、「お召し上がりください」は便利な表現です。
例えば、面と向かって渡す時なら、「気持ちばかりのものですが、良かったら召し上がってください」という例文が適切です。ちょっとしたプレゼントや贈り物を送る相手が、気心が知れている方なら特に接頭語の「お」は使わず、「召し上がってください」と伝えるのがいいでしょう。
例文③
お歳暮やお中元などの、季節のあいさつに食べ物や飲み物を送る方も多いでしょう。一言カードを添えて送る方も多いです。そんな時に使えるのが「ご家族様皆様で、どうぞお召し上がりください」という例文がおすすめです。一言メッセージとして添えると丁寧で、相手も悪い気はしないはずです。
直接渡すときには、「お口に合うかどうかわかりませんが、どうぞ召し上がってください」と言います。口頭の際は、接頭語の「お」は付けません。たまにしか会わない相手に対して、あまりにも丁寧な口調は、相手にまどろっこしさを与え、逆にマイナスポイントになるので気を付けましょう。
「お召し上がりください」はどうぞ食べてくださいという意味
「お召し上がりください」という言葉には、相手に「どうぞ食べてください」と敬意を示して伝える意味があることがわかりました。いろんな言い換えもありますが、間違いやすいのでしっかりとポイントを抑えて、目上の人に失礼がないよう、間違わないように使いましょう。