「詰める」の意味とは?
「詰める」は日常生活でも非常に多くの場面で使われている言葉です。使い方が豊富なため、私生活だけでなくビジネスシーンでもよく耳にする言葉でもあります。
「詰める」という言葉はあまりにも自然と使いすぎているため、いざ意味を問われたときにすんなり答えられない人も多いのではないでしょうか。
今回は、「詰める」という言葉の持つ意味や例文、類語について紹介していきます。普段からよく使う人は、使い方を間違えないように目を通しておきましょう。
意味①いっぱいに入れる
「詰める」という言葉には空間、または容器の中にものがいっぱいになるように入れていくという意味があります。引越しの時などに、段ボールの中に荷物を詰めるという使い方でよく使われています。
ただ入れるスペースの中に適当に入れるのではなく、空間の中に隙間なく綺麗に入れたり満タンになるまで入れたりする際にはこの「詰める」という言葉が適切です。
意味②長さを縮める
長さや距離を縮める際にも「詰める」という言葉を用いる場合があります。ズボンの裾詰めや丈詰めという使われ方をしているのを一度は聞いたことがあるでしょう。
ここでいう長さや距離とは、単純に距離や空間、順位のような物理的なものだけでなく、気持ちのように精神的なものに対しても使う事ができます。
意味③十分に検討する
ビジネスシーンなどで議論や話し合いを進め、内容を決めていくプロセスを踏む段階を「詰める」という言葉を使って言い表すことができます。
ビジネスにおいて議論や話し合いの中で、最初にでた曖昧な話から具体的な内容に話を持っていき詳細を決定する際によく使われます。
「詰める」の対義語・類語
上記のように様々な意味を持つ「詰める」という言葉には、それだけ多くの異なった意味を持つ類語、対義語も存在しています。
使われている意味によって類語・対義語の内容も大きく変化するため、その言葉がどんな意味で使われているのか間違えないようにしましょう。
「詰める」の類語
いっぱいに入れるという意味の「詰める」に対しての類語には、埋めるや満たす、押し込むなどを使用できます。
長さを縮めるという意味の「詰める」に対しての類語には、切り詰めるや縮める、切り上げるなどが該当します。
十分に検討するという意味での「詰める」に対する類語には、煮詰めるや推し進めるなどが一般的な用法として適切です。
「詰める」の対義語
ものを入れるという意味での「詰める」の対義語は、取り出すや開けるという言葉になります。元がものを入れていくという意味なので、反対に空間からものを減らす意味の言葉が対義語として適当です。
距離を縮めるという意味での「詰める」の対義語は、離すや空けるがよく使われます。元の意味が縮めることなので、逆に感覚を開けるような意味を持つ言葉が対義語となります。
「詰める」の使い方・例文
「詰める」という言葉がもつ様々な意味を見てきたところで、続いては意味に応じた実際の使用例を見ていきましょう。現実でも同じように使われる場面は多いので、比較的すんなり頭に入ってくるはずです。
使う意味によって使われる場面は大きく異なってきますので、私生活やビジネスシーンを問わずどの例文がどのシーンでよく使われているのかを覚えておくといざと言う時にすぐ使う事ができます。
例文①
「引越しの準備のために、今ある荷物を段ボールの中に詰めなければならないが、なるべく段ボールの数を減らすように上手く詰めよう。」
引越しの際の荷物を段ボールの中に入れる際に使われる例文です。段ボールはなるべく隙間のないようにぎっしりと入れるため、「詰める」という言葉が使われます。
例文②
「今日新しく買ったズボンの丈が思った以上に長かった、明日仕立て屋さんにお願いしてズボンの丈を詰めてもらおう。」
長さを短くしてもらおうという意味で「詰める」という言葉を使用している例文です。丈だけでなく、裾やジャケットの長さを短くする際にもこの言葉が使われています。
例文③
「今月は旅行や結婚式への出席があるから普段より出費が激しい、使えるお金は限られているので極力生活費を詰めてこの一ヶ月を乗り切ろう。」
この例文での「詰める」の使い方は、倹約するという意味で使われています。単に「詰める」という場合の他に、切り詰めるという使い方をすることもあります。
例文④
「来月には取引先との大切な打ち合わせがある、それまでにこちらが提案するプロジェクトの問題点と、それの対策についてを詰めておかなければならない。」
計画を煮詰めるという意味で「詰める」という言葉を使用している例文です。ビジネスシーンでの会議では頻繁に使用されるので社会人であれば一度は使った事があるでしょう。
「詰める」と「詰め込む」の違い
「詰める」という言葉と似た意味を持つ言葉として、「詰め込む」という言葉があります。同じ漢字を使っている事もあって使い方も同じだと考える人もいますが、両者は使われる場面が異なっています。
似た使い方をする言葉はその分使い間違いも多くなってしまうので、お互いの正しい使い方を覚えておくことが大切です。では、両者の使い分けについて見ていきましょう。
「詰め込む」はたくさんいれるという意味
「詰め込む」という言葉は、出来るだけたくさん入れるという意味を持ちます。意味合いとしては、いっぱい入れるという意味の詰めると似た使い方ができます。荷物を詰め込むといった使い方をする際には、両者にはほとんど差はありません。
加えて「詰め込む」という言葉は、身体に取り込むという意味でも使う事ができます。食べ物を食べられるだけ食べるという意味で使う事もあれば、知識のように形の無いものを頭に入れる際にも使う事ができます。
「詰める」を使う際の注意点
上記のように様々な意味として使える「詰める」は便利な言葉なので、つい多くの場面で多用してしまいがちです。しかし、中には使用に適さない場面もあるので注意が必要です。
様々な場面で使える言葉だからこそ、逆に使えない場面を覚えておくことで間違えた使い方を防止する事ができます。では続いて、「詰める」を使うのに不適切な場面について見ていきましょう。
余裕をもった収納をする場合では使えない
いっぱい入れるという意味で詰めるという言葉を使う際は、隙間なくきっちりと入れていく様子を表します。そのため広い空間に対して少量の物を入れる場合には「詰める」という言葉は適切とは言えません。
例えば押し入れに物を入れる際に、押入れがいっぱいになるくらい荷物を入れるのであれば「詰める」という言葉が適当です。しかしガラガラの押し入れに小さな荷物を一つ二つ入れるだけであれば、「詰める」という言葉は不適切と言えます。
「詰める」の由来・歴史
「詰める」という言葉は、日常やビジネスシーンを問わず昔から使われています。どのような経緯で現在のように広く使われるようになったのでしょうか。続いては、「詰める」という言葉の由来や歴史について紹介します。
由来
「詰める」の「詰」と言う文字は言と吉を合わせた形成文字で、もともとは刃物と口の象形から成り立っていました。
昔はめでたいという意味も持っていましたが、やがて問いつめるという意味の「緊」という文字に通じるようになり、現在の意味合いで使われるようになりました。
歴史
「詰める」という言葉は一般的に使われている意味の他にも、ヤクザなどの暴力団の間で使われている言葉でもあります。
ヤクザなどでは昔から失態を犯した組合員の誠意を測る方法として、指を詰めるといって自分の指を切落すという風習が存在しています。これは昔から使われている用法で、現在でも全く同じ意味で使われています。
「詰める」の英語表記
「詰める」は使われる場面によってその英語表記も大きく異なります。例えばいっぱいに入れるという意味で使われる際には、「pack」や「fill」がよく使われます。
それに対して長さを縮める際の「詰める」には、「cut down」や「cut short」が用いられます。議論を詰める際には「thrash out」を使って表すことができます。このように使われる意味によって全く異なった英語表記となるのです。
「詰める」は隙間なく入れるという意味
「詰める」という言葉は私生活やビジネスシーンを問わず、隙間のないように入れるという意味で使われています。ビジネスで使われる議論を詰めるという使い方も、あやふやな意見に具体性をもたせるという使い方なので、議論の隙間をなくしていくという意味合いにも取れます。
「詰める」は多くの意味を持つ便利な言葉なのでつい多用してしまいがちですが、不適切な場合もあるので使用する際は使ってはいけない場面をよく覚えておきましょう。便利だからととりあえず使用するのではなく、正しい使い方を覚える事が大切です。