「穏やか」の意味とは?
「穏やか」という言葉があります。読み方は「おだやか」です。「穏やか」は「穏やかな気候」や「穏やかな海辺」などの言い回しや、「穏やかな笑顔」や「穏やかな人柄」などの言い方で用いられます。「穏やか」という言葉にはいくつかの意味があります。
ひとつは「静かな情景」を表す意味です。旅先で訪れた場所が、とても心地よく平穏な情景が広がっているとき「穏やかな風景と澄んだ空気で心が和む」というような使われ方をします。
もうひとつは「落ち着いているさま」を表す意味です。自分から見た相手に対しての印象や性格を判断するときに使われ、「穏やかな口調で話される方」というような表現で使うことができます。
「穏やか」に過ごすためには
穏やかに過ごすために気を付けていることはありますか。穏やかに過ごすためにはイライラをなくしたり、自分自身を見つめることが大切です。もしいつもガミガミ言ってくる上司がいたとしても、過敏に反応しないことも重要です。
これから起こるかもしれないことを想定し、事前準備をすることによって穏やかに過ごせます。なぜなら心配事が解決したならば心が安心できるからです。
心を落ち着かせるために呼吸法を変えることで穏やかになります。深く吸って、ゆっくり長くはいてみましょう。心と身体の緊張がほぐれていき穏やかな気持ちになれます。
「穏やか」の対義語・類語
日本語は世界で一番難しい言語と言われますが、その訳は言葉ひとつに様々な奥深さがあるからです。「穏やか」という言葉にも、情景を表現するときに使われたり、相手の性格をイメージできるように使われたりと奥が深いです。
「穏やか」の言葉には反対の関係にある対義語や、同じような意味を持つ類語が存在しています。「穏やか」にはどのような対義語と類語があるのかを紹介していきます。
対義語
「穏やか」の対義語には「荒い」や「激しい」という言葉があります。このふたつの言葉に共通していることは、人や物の動きを表す意味で使われるということです。「岩がごつごつ荒く荒涼としている」や「あの人は気性が激しくて近寄りがたい」などの使い方で表現されます。
類語
「穏やか」の類語はいくつか存在しています。代表をあげるとするなら「平穏」や「温厚」になります。「平穏」の言葉を使う場合「何事もなく平穏に暮らせますように」というような使い方になります。意味合いは大きな問題もなく、静かな暮らしが出来ますようにという願いが込められています。
「温厚」という類語を使う場合は「落ち着いた口調で話す、とても温厚な方です」という使い方ができ、心安らぐ優しい性格の持ち主であることが伝わってきます。
「穏やか」の使い方・例文
「穏やか」という言葉は、情景やその場の雰囲気を表すときに用いることができます。相手の性格も「穏やか」を使い表現できる言葉であることが分かりました。「穏やか」の言葉を文章に落とし込む場合や、どのような性格の方に使用すればよいか、使い方が分かる例文を4つ用意しました。
例文を参考に「穏やか」という言葉の使い方を学んでいきましょう。情景表現で使用するときや、相手の印象や性格を表現する場合の参考となれば幸いです。
例文①
「穏やか」を使った1つ目の例文です。「橋の上から眺める海は、波も穏やかで砂浜もキラキラしていた」天気が良く、穏やかな海の景色が想像できる例文です。穏やかな潮風を感じながら砂浜を歩くと心地よい気持ちになれます。
日本は海に囲まれた島国です。「穏やか」な波と表現すると波音が静かで心落ち着く情景を想像できます。入り江を利用した海浜公園は波が穏やかで、海水浴場にもぴったりな場所が多数存在しています。
例文②
「穏やか」を使用した2つ目の例文になります。「私の上司は、いつも穏やかな表情で対応し、スタッフに対して細やかな気配りができる方です」
この「穏やか」には上司がとても温厚な性格で、周りからの信頼が厚いことが伺えます。たとえ大きな問題が発生しても、スタッフを責めずいつも通りの穏やかさで対応し、的確な判断を下す上司は周りに安心感を与えます。
例文③
「穏やか」を使用した3つ目の例文になります。「穏やかな山並みは様々な色づきであふれており、豊かな田園風景が広がっています」
この「穏やか」から伝わるのは穏やかで雄大な自然と、その土地で暮らす人々が自然を大切にし、地域の特性を活かした暮らしぶりが伝わってくる使い方になります。
春夏秋冬がはっきりとあらわれる日本では、同じ地域であっても「穏やかな」な風景が季節ごとに変化する魅力があります。そのため一言で「穏やか」といっても様々な情景を伝えることができる言葉なのです。
例文④
4つ目の「穏やか」を使った例文になります。「自分の強みである穏やかな性格を活かし、周りとの協調性を大切にすることはもちろんのこと、冷静な判断で仕事に打ち込み、御社に貢献できるよう努力します」
この「穏やか」は自己アピールなどでの使い方になります。自分は穏やかな性格なので、協調性を持ち合わせ信頼関係を構築できます。困難な状況でも対処できる人材ですと伝えたいことが分かります。
「穏やか」と「おっとり」の違い
「穏やか」と似た言葉に「おっとり」という言葉があります。物静かで落ち着いている意味としては共通していますが、この2つの言葉には決定的な違いがあります。使い方によって与える印象や性格が異なるからです。では、「穏やか」と「おっとり」にはどのような違いがあるのでしょうか。
「おっとり」は感情を推し量れないという意味
「おっとり」という言葉は、おっとりとした性格、おっとりとした話し方などというように性格を表すとき用いる言葉になります。おっとりした性格の方は声を荒げたり、他者に対して敵意などを向けたりはしないため、物静かで落ち着いている印象を与えます。
しかし、いざというときに状況を把握し、的確な行動を選択することだったり、相手にかけるべき言葉などを汲み取る力が乏しい面があります。そのため「おっとり」という言葉は、相手の感情を推し量ることができないという意味も含まれるため、「穏やか」とは異なる意味合いになるのです。
「穏やか」を使う際の注意点
「穏やか」という言葉は、静かな情景を表現したり、心安らぐ落ち着いた性格を表現したりするときに使うことができます。「穏やかな」性格の持ち主は何事にも動じずに、物事を対処できる能力があります。仕事上で意にそぐわない場面があったとしても、表面には出さずぐっと堪える忍耐強さも兼ね備えています。
そのため「穏やか」という言葉を性格を表すときに用いる場合は、ただ単に物静かな方というだけではなく、いざというときには頼りになり信頼できる方という意味合いで使わなけばならないのです。
「おっとり」という意味では使えない
「穏やか」という言葉を使う場合、「おっとり」という意味合いでは使うことはできません。なぜなら「おっとり」には、のんびりしていて他人が困った状況であっても、空気が読めず適切な対応ができないという意味が含まれているからです。
「穏やか」は安らかで心が落ち着くという点では一緒ですが、周りの状況には敏感で的確な状況判断をすることができます。必要とあらばしっかりと手を差し伸べることができる信頼性が含まれているのです。
「穏やか」の由来・歴史
「穏やか」という言葉の由来と歴史にはどのような背景があるのでしょうか。言葉を知るということは、ただ単に意味を理解するだけではなく、背景にある深い成り立ちを読み解くことになります。
「穏やか」の由来と歴史を知ることによって、「穏やか」の言葉に含まれた奥深さを感じることができます。
由来
「穏やか」の由来ですが、「穩」という字が元となっています。偏の部分はのぎへんで稲の穂が実っている様子を表しています。つくりの部分は色々な解釈がありますが、生活の基盤となる作物をしっかりと蔵へ隠すことを意味しています。作物をしまい込むことによって安心を得るという状況を表しています。
昔は現代よりも作物の重要性は高く、食べていくために大事に扱われていました。そのため、蔵などにしまうことによって安心を得る、「穏やか」な生活を送ることができるという由来になります。
歴史
漢字は3500年前、紀元前15世紀頃に中国大陸で作られたとされています。その後、日本に漢字が伝えられたのが4世紀後半の弥生時代と推定されます。弥生時代では水耕農業がおこなわれており、作物を備蓄していたので「穏やか」の元になった「穩」の漢字に繋がるのです。
「穏やか」の英語表記
「穏やか」を英語表記にする場合、日本語と同様に言葉のもつ意味合いが、シチュエーションによって異なります。状態や雰囲気を表す場合は「quiet」の英語表記を用います。その人の人柄や性格を表す場合には「gentle」の英語表記を使用するとよいでしょう。
She lives a quiet life.
「彼女は平穏な生活を送っています」という意味になります。普通に起きて、普通にご飯を食べて、普通に寝る。短い英語表現ですが、平穏な日常の繰り返しがどれだけ幸せなことなのかが伝わってくることでしょう。
He is believed to have been a gentle person.
「彼は心優しい人物だったといわれている」という意味の英語表現になります。彼には実際に会ったことがないかもしれないが、人づてに優しい人物だったという印象が伝わります。「gentle」という単語は、相手の印象や性格を伝える場合に適していることが分かります。
「穏やか」は安らかで心落ち着くという意味
「穏やか」という言葉は、安らかで心落ち着くという意味です。情景や状態を表現する場合や、相手の印象や性格を表すときに使います。シチュエーションによって使い方を変えることはできますが、根底にあるのが安らかで心落ち着くという意味になります。
「穏やか」には対義語や類語がありますが「おっとり」という意味では使用できません。「穏やか」には由来と長い歴史もあり、英語表記においても日本語と同様に使い方が変化することがわかります。「穏やか」という言葉の中には深い意味が含まれていることが伝わってきます。