初心者でもOK!苔の育て方を覚えよう!
苔は、苔玉や水槽を彩るテラリウムに使われることが多く、が可愛いと人気の高い植物です。苔のグリーンが美しく、1つに家にあるだけでも部屋のおしゃれ度をグッとアップさせてくれるアイテムでもあります。
魅力あふれる苔ですが、育て方や栽培方法を知らない初心者にはなかなか栽培する気にはなれないことでしょう。しかし、苔は意外にも初心者でも育てやすい植物なのです。
ここでは、初心者でも苔の栽培ができる基本的な知識や栽培方法、増やす方について詳しく紹介していきます。苔は栽培しやすく管理もしやすいので植物を育てたことない初心者でも失敗しにくく、楽しく栽培できます。苔の基礎知識を知って苔のある暮らしを是非、楽しみましょう。
苔とは
苔は、意外にも身近に自生している植物です。普段歩いている道端に自生していたり、公園の日陰、川の岩場など普段は気にしないところに苔は自生しているのです。
ここでは、苔を栽培するのに必要な苔についての基礎知識を紹介します。苔は種類が豊富なので、苔の種類や分類などを知っておくと、きっと自分好みの苔を発見できたり、苔を育てたい環境にあった苔を見つけることができます。
根を持たず胞子で繁殖する植物
一般的な植物は、根から水分や養分を吸収し維管束を通じて全体に運んでいますが、苔は根や維管束を持ちません。そのため、苔は葉や茎を使って水分を吸収しています。
苔は根を持ちませんが、実は仮根(かこん)と呼ばれる根のようなものを持っています。仮根があることで地面や岩などにしっかりをしがみつくことができているのです。種類によっては仮根や茎の構造を利用して水分を吸い上げたり、全く仮根をもない種類などもいます。
また、苔の繁殖は胞子を使って行います。苔には雄株と雌株があり、精子が卵子に受精して雌株の上から胞子の入った胞子体が伸び風や雨水、虫によって広がり繁殖していきます。
苔の分類
ただ、一言で「苔」と言っても地面にペタッと平たくなっている苔や、自立して上に伸びている苔など、種類があります。苔には、大きく分けて3つの分類に分けられます。
しっかりと地面にくっついている「蘚類(せんるい)」、ペタッと平たくなっている「苔類(たいるい)」、上にツンツンと伸びている「ツノゴケ類」の3種類が苔の大きな分類です。では、苔の分類について詳しく見ていきましょう。
蘚類
蘚類(せんるい)とは、全体的に硬く地面にしっかりと根付いている感じの種類です。葉の真ん中には中肋(ちゅうろく)と呼ばれる脈を持っていて、茎と葉がはっきりと区別できる形状をしています。
蘚類は、比較的よく目にする種類で道端などにも自生している種類です。主にハイゴケ、オオスギゴケ、ヒノキゴケ、タマゴケなどがあります。国内では約1000種類が自生し、苔玉やテラリウムとしてもよく用いられる種類でもあります。
苔類
苔類(たいるい)とは、ペタッとした平たい形をした柔らかい感じの種類です。苔類は蘚類と同じように、葉と茎が区別できるものと全く区別できないものがあり、一見して見分けることは難しい種類となっています。
主にゼニゴケ、ジャゴケ、ムチゴケなどがあります。国内では、約620種類が自生していて、テラリウムやアクアリウムなどにも用いられます。
ツノゴケ類
ツノゴケ類とは、葉状の苔類(たいるい)に似た形をしていますが、胞子体がツンツンとツノ状が特徴的な種類のことを言います。明るく湿った地面に自生していることが多く、渓流の岩場や生きた木の幹などにも自生する苔の1種です。
また、ツノゴケ類は藍藻(らんそう)というバクテリアと共存しています。国内では、17種類しか生息していない少ない種類です。
苔の栽培・育て方①室内
ここでは、室内での苔の栽培や育て方について紹介していきます。室内で苔を栽培するというと管理などが難しそうに感じますが、実は室内でも簡単に栽培できます。
また、苔を栽培するケースを工夫したりするだけ、部屋のおしゃれなインテリアにも変化します。初心者でも栽培ケースや苔の組み合せなど、アレンジや工夫をすれば一気にナチュラルでおしゃれな部屋に仕上がります。
苔玉にする
苔と聞くと一番に思いつくのが「苔玉」ではないでしょうか。粘土質の土を丸め周りに苔をつけて苔が定着するまで、紐でクルクルと巻きつけて完成という初心者でも簡単にできる栽培方法です。
コロンとした丸い見た目が可愛らしく、部屋のインテリアとしても非常におしゃれに見せてくれます。お皿の上において観賞しても良し、上から吊るして観賞するも良しです。工夫を施すことで苔玉がより個性的で自分だけの苔玉へと成長していってくれます。
管理方法
苔玉の管理方法は風通しの良い棚の上で数日間、室内に置いたら屋外で外の空気に触れさせます。屋外に置く時も棚などの上で栽培して下さい。苔の種類によって日照時間を確保することが重要です。
また、水やりは基本的に数日に1回、夏場は2日に1回程度で大丈夫です。水やりのタイミングとしては、苔玉を持って軽いと感じた時に水を与えるのが目安です。極度に乾燥していたら、苔玉が全部浸かる大きな容器に水と苔玉を入れ、ぶくぶくが出なくなるまでしっかりと水分を吸収させましょう。
水槽でテラリウムに
テラリウムとは、水槽やガラス容器の中で自分だけの小さな生態系を作る育て方のことです。水槽やガラス容器の中に苔や多肉植物など、様々な植物を組み合わせたテラリウムだったり、水槽に魚や両性類などの生き物と苔を入れたテラリウムなど様々なテラリウムがあります。
苔と好きなものを組み合わせて水槽やガラス容器内を彩る作業は心が癒されます。水槽やガラス容器の中を彩り、自分だけの小さな世界を作り出しましょう。
管理方法
苔だけのテラリウムの場合は、直射日光を避けた明るい場所で管理をします。エアコンなどの風を直接当たらないように注意して下さい。水槽やガラス容器内が極端に蒸れたり、水はけが悪い時は苔を取り出し、外の風に当てて水分を取り出します。
水やりは、苔の表面が乾いた時や容器内に水滴がなくなった時に霧吹きで水を与えます。蓋のある容器の場合は、水をあげたら半日ほど蓋をあけておき余分な水分を飛ばします。
水やりのタイミングは乾燥度合いや環境によって異なりますが、少なくとも1日~3日に1回程度の頻度で水やりをしましょう。また、生き物も一緒に飼育している場合は、生き物の環境に合わせて苔の手入れや置き場所を考えてあげると良いでしょう。
盆栽を苔でアレンジ
松や紅葉など木の形、季節によって変わる姿が魅力的な盆栽。むき出しの土に勢いのある幹の形は非常にカッコイイですが、土にちょっと苔を足してみませんか。土の上に苔をのせるだけで、苔の不思議な雰囲気とカッコイイ盆栽が相まって、生き生きとした姿へとガラッと印象が変わります。
また、苔は盆栽の雰囲気を変えるだけでなく、保湿や土の流出を防ぐといった嬉しい効果もあります。景観だけでなく機能面でも、苔は盆栽との相性は抜群なのです。
管理方法
盆栽はもともと屋外で管理するものですが、室内で管理することもできます。室内で管理する場合には、日当たりの良い窓際に置くようにしましょう。時々、外気に触れさせたり、1日4~6時間程の日光浴をさせてあげる必要もあります。
水やりは、夏場は1日2回~3回、冬場は1日1回程度あげると良いでしょう。室内は乾燥しやすいので、苔の状態を見ながら水やりをするのがポイントです。
水を与える時は苔が流れないようにゆっくりと与え、不要な水は根腐れ防止のため処分するのがおすすめです。また、水の吸収が悪いと感じる場合には竹串などで軽く穴を開け、土まで水が浸透するように調節しましょう。
室内での栽培におすすめの苔の種類
室内での栽培におすすめの苔を紹介します。ヒノキゴケ、ハイゴケ、コツボゴケ、ホソバオキナゴケ、ホウオウゴケ、オオシラガゴケ、タマゴケなどの蘚類が、室内での栽培に向いている苔の種類です。
室内で栽培する苔は、半日陰や日陰を好む種類なので、苔玉や水槽やガラス容器に入れたテラリウムなどにも向いています。自分だけの苔玉や自分だけの水槽内に作り出した世界などを楽しめます。苔を使ったインテリアで是非、部屋を彩ってみて下さい。
苔の栽培・育て方②屋外
室内では苔玉やテラリウム、盆栽などにして苔を栽培する方法を紹介しました。ここでは、屋外での苔の栽培・育て方を紹介します。苔は、もともと外で元気に自生する植物なので適した環境や土が整っていれば、問題なく元気に成長したり繁殖していきます。
また、苔を庭や屋外で栽培することでおしゃれな雰囲気にもなります。苔は和風でも洋風でもよく似合う植物なので、庭のアクセントや彩りにもぴったりです。
屋外での栽培におすすめの種類
屋外には、1日中光が当たる明るい場所や1日のうち数時間しか日が当たらない「反日蔭」、あまり日が当たらない「日陰」の3カ所があります。屋外で苔を栽培するには、適した場所で苔を栽培することが重要になってきます。
明るい場所では「オオスギゴケ」や「ウマスギゴケ」「エゾスナゴケ」など、半日陰では「ハイゴケ」や「フデゴケ」が、日陰では「カモジゴケ」や「ヒノキゴケ」などが向いています。
栽培に適した場所
苔にも日光を好む種類、半日蔭を好む種類、日陰を好む種類がいます。苔は種類が豊富あるように、苔の種類によって栽培に適した場所はそれぞれ異なります。
しかし、苔の育て方の基本としては「苔は、多湿を好む植物だが、蒸れには弱いため適度な空気の入れ替えが行われる場所」が最適な栽培場所とされています。湿度が高くてもジメジメと蒸れるような場所は好みません。
苔の育て方の基本は、苔に合った栽培場所を見つけたり適した環境作りをしてあげることが非常に大切なポイントになります。是非、苔に合った栽培場所を整えて綺麗な苔を栽培しましょう。
水やりの仕方
苔の栽培に適した場所に植え付けた最初の2か月間は、週に数回のペースで水を与えます。水やりの頻度は種類によって異なるので、種類に合わせた頻度で水やりを行って下さい。
夏場は、日中に水を与えてしまうと蒸れやすくなってしまうので日が落ちてから水やりを行い、冬場は逆に午前中に水を与えるようにしましょう。2か月間、定期的に水を与えた後は苔の表面が乾燥してきたら、水を与える程度に減らしてOKです。
苔の栽培・育て方③苔を増やす
苔があることで室内や屋外の庭などを彩り、おしゃれな雰囲気に仕上げてくれることが分かりました。ここでは、苔の増やす方について紹介します。
苔は、胞子を使って繁殖しますが、人工的に効率的に増やすこともできます。苔を増やすことでより一層、庭や室内を苔で飾り付けることできます。最初は難しいですが、慣れてしまえば簡単に増やすことができるので、初心者でも挑戦してみてると苔の魅力に深くハマることでしょう。
まき苔法
まき苔法とは、小さくほぐした苔を種のように播いて増やす育て方のことです。時間と手間はかかりますが、少ない苔で栽培できます。まき苔法は直接、地面に播くこともできますが雨風などで流されてしまうため、最初はトレイや鉢などで発芽させてから植えるようにしましょう。
まき苔法のやり方は、トレイや鉢の底に細粒の赤玉を入れ水はけを良くし、腐葉土・ピートモス・黒土などを水を入れて混ぜ込んだ用土を好みの厚さで水平になるように入れていきます。
次に、小さくほぐした苔を用土の上に播き、手や移植用スコップで軽く押し付けます。その上からキッチンペーパーや遮光ネットなどを被せ、上から霧吹きで水かけて乾燥を防ぎます。直射日光の当たらない明るい場所でペーパーに水をかけ続けて、1か月ほど経つと発芽してきます。
はり苔法
はり苔法とは、ある程度成長した苔をマット状にはがして土ごと別のところに張り付ける育て方のことです。苔を張り付ける前に土の環境を整えます。植え付ける場所の除草したり、川砂や赤土などを混ぜて整え水をまいておきます。
はり苔法のやり方は、まず苔が崩れないように大きめの塊で、はがしていきます。はがした苔を植え付ける場所に置き、手や移植ゴテで軽く押し土と苔を密着させていきます。
植え付けた苔の上から目土と呼ばれる土を3分の1が隠れる程度、かけて乾燥を防ぎます。目土は目的合ったものを使用するようにしてください最後に水を散布します。土と苔が密着させるために1~2か月間は1日1回、水を与えて下さい。
移植法
移植法とは、苔を小分けにして土や地面に直接植え付けてく育て方です。移植法は、一度に多くの量を移植するにはかなりの手間がかかってしまうため、小さな面積での栽培に向いています。特にスギゴケやヒノキゴケのように立ち上がる大型な苔がおすすめです。
移植法のやり方は、まず植え付ける場所に雑草があるなら、土に残らない除草剤を使って除草をしておきます。植え付ける場所に、腐葉土やピートモスを入れ耕します。
水はけが悪いなら赤土や川砂などを混ぜ込み、土を平らになるようにならします。次に、1握りくらいに小分けした苔を土に差し込むように移植していきます。最後に植えた苔が動かないように、霧吹きを使って水を散布したらOKです。
苔の育て方を覚えて癒しの空間を作ろう!
苔は、非常に管理が簡単で苔初心者でも、植物の栽培初心者でも気軽に栽培を楽しめる植物です。また、初心者でも水槽やガラス容器を使えば、おしゃれなテラリウムを作ったり、盆栽に苔をつけてかっこよくしてみたり室内で、苔を栽培することも可能です。
屋外では、庭に苔を栽培しておしゃれな雰囲気を作り出すこともできます。初心者でも、簡単に栽培できる苔は工夫や手をかければかけるほど美しいものへと仕上がります。
そのため、苔は初心者から上級者まで幅広い人が楽しめる植物でもあるのです。自分だけの苔を栽培したり、テラリウムや苔玉などを作ったり、庭を苔で彩ったりして、より一層ステキな空間を作り出しましょう。