「廉価」の意味とは
商品カタログなどを見ていると、商品説明の部分に「廉価版」という説明が書かれていることがあります。何となく、この言葉の使い方を見ている中で、大よその意味を理解している方も多いかもしれません。
しかし、この漢字の読み方や正しい使い方、意味についてご存知でない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、「廉価」という言葉の意味や使い方について、例文や類語、対義語などを紹介しながら解説していきます。しっかりと正しい意味を理解しましょう。
「廉価」の読み方
ではまず、「廉価」の読み方と意味について解説しましょう。「廉価」は「れんか」という読み方をします。廉価の「価」は価格のことを指していて、廉価という言葉は「値段が安い」という意味になります。つまりは「安価」であるということです。
単純に値段が安いという意味の言葉は他にもありますが、「廉価」については、売る方が商品やサービスを安い価格で提供する時に使う言葉です。
ではここから、「廉価」を含む熟語の意味や使い方、「安価」や「低廉」といった類語にあたる言葉との意味の違いや対義語などを順に解説していきましょう。
「廉価」を含む熟語の意味
さて先ほども紹介したように、「廉価」は「安い価格」という意味ですが、安価であるということをより丁寧に表現しています。廉価という言葉を使うことで、お客様に悪い印象を与えないようにする目的の使い方をすることが多いようです。
例えば化粧品を購入しようとしたとき、「こちらは安い化粧品です」と言われるよりも「こちらは廉価な化粧品です」と言われた方がお客様の受ける印象は悪くなりにくくなります。このような使い方をされる廉価という言葉ですが、熟語としての使い方や意味についても理解しましょう。
「廉価版」の意味
まずは、冒頭にも紹介した「廉価版(れんかばん)」という言葉の意味について紹介しましょう。この言葉を言い換えると「普及版(ふきゅうばん)」や「低価格版(ていかかくばん)」などの使い方をされ、 ある製品の普及促進などを目的に意図的に安価に設定した商品です。
電化製品などでは意図的に「廉価版」商品が発売されます。例えば上位モデルと下位モデルが売られる場合などは、下位モデルが「廉価版」と位置付けられていることが多々あり、機能的に何らかの機能が削減されていたりすることがほとんどです。
「廉価版」という使い方をする例文としては、「前モデルのパーツを使った廉価版よりも新しい機種が欲しい」や「海外でコピーされた廉価版ゲームが国際問題になった」などが挙げられます。
「廉価品」の意味
続いての「廉価」を使った熟語は「廉価品(れんかひん)」です。廉価品の意味はもうお分かりかもしれませんが、価格が安い商品という意味になります。
通常販売されているときの価格よりも安く売られていることを意味していて、「廉価版」と意味は似ているのですが、「廉価版」にあった普及促進などの意味は無く、単純に安く価格設定した商品もこの中に含まれます。
廉価品という使い方をした場合の例文ですが、「廉価品が売っているお店を探して、お得にゲットしたい」や「セールで廉価品が売られていた」などの使い方が挙げられます。
「廉価販売」の意味
「廉価」を使った熟語には他に「廉価販売(れんかはんばい)」という言葉があります。こちらは「廉価」で「販売」することを指していますので、そのまま安価で物を販売するという意味になります。
廉価販売の類語として、セールや安売り、特売などがあり、廉価販売を使った例文として、「クリスマス当日の夜にはクリスマスケーキが廉価販売される」などが挙げられます。
「廉価」と安価・低廉の違い
廉価と似た意味の言葉に「安価」や「低廉」という言葉があります。「安価」という言葉はよく聞く言葉かもしれませんが、「廉価」との意味の違いについてはご存知でしょうか。
この様な機会はあまりありませんので、是非「安価」や「低廉」と「廉価」の意味の違いについて正しく理解しておきましょう。何かの時に役立つこともあるでしょう。
安価とは
ではまず「安価」について解説しましょう。「安価」は「あんか」という読み方をします。「物の値段が安い」「安っぽいこと」「いい加減なこと」という意味を持っています。廉価には「安っぽい」や「いい加減」という意味が無いことが大きな違いになっています。
また、廉価は売る側が使う言葉であり、安価はどちらかというと買う側が使うことが多い言葉になっています。例文としては、「欲しかったゲームを安価で手に入れることが出来た」「安価な冷蔵庫を買ったが、機能的には十分だった」などという使い方をします。
低廉とは
つづいては、あまり聞き馴染みがないかもしれませんが「低廉」という言葉の意味や使い方、廉価との違いについて紹介しましょう。低廉は「ていれん」という読み方をし、「安いさま」「低いさま」「少ないさま」という意味があります。
廉価の「価」が価格を指しているので、廉価は必ず金額を指しているのに対し、低廉は単純に「安い」ということしか表していないというところが大きな違いとなります。つまり「低廉な野菜」という使い方はなく、「低廉な価格の野菜」という使い方をします。
低廉を使った例文としては、「厳しい労働環境にも関わらず低廉な労賃しかもらえない」や「お化けが出ると噂されている低廉な家賃のアパートに住んでいる」などといった使い方をします。
「廉価」の使い方・例文
廉価という言葉が含まれる熟語の意味や例文を紹介してきましたが、ここで更に「廉価」という言葉の意味や使い方の理解、安価や低廉との違いを明確にしていただくため、「廉価」という言葉を使った例文をいくつか紹介します。
これまで出てきた例文との違いや、使われ方による意味の違いなどを考えながら読み進めてください。きっと「廉価」の意味への理解が深まるはずです。
例文①
先ほども紹介しましたが、「廉価」には「安」という文字が使われていません。そのため「安い」というマイナスのイメージが他の言葉よりもつきにくいという特徴があります。
その為、「このPCはお客様がご希望される使い方をするには十分なスペックを備えていて、かつ廉価なのでおすすめです」や「あの会社は良質なサービスを廉価で提供している」などといった使い方をします。
例文②
次に書籍などにおいてはカバーやデザイン、サイズなどを変更して安く販売するときなどに「廉価版」として扱われることが多いようです。「ハードカバー版で大ヒットした小説が、文庫版として廉価で店頭に再度並ぶことになった」などが例文として挙げられます。
例文③
最後の例文としての紹介になりますが、廉価の「廉」は清廉潔白という言葉の「廉」と同じ漢字を使っています。つまり、「清らかで欲が少ない」というニュアンスが含まれているのです。欲ではなく、お客様が買い求めやすい価格で提供するのが「廉価」なのです。
この意味を踏まえ、「在庫商品を廉価販売する」「商品を大量仕入れすることで仕入れ価格を抑制することができたので、お客様にも廉価販売することにした」などの例文を確認すると、これまでとは違った印象を受けるのではないでしょうか。
「廉価」の類語
それではここから、廉価の意味を別の角度から更に深めていただくために、廉価の類語と対義語をいくつか紹介していくことにしましょう。
類語とは同じような意味を持った言葉であり、対義語は反対の意味を持つ言葉なので、それぞれを知ることで廉価の意味をより理解していただけます。ではまず、廉価の類語から紹介していきましょう。
格安
まず最初の類語は「格安」です。廉価とは価格が安いことですので、そのままの意味である「格安」は廉価の類語ということになります。「あの店は全部のお酒が格安で売られている」というように、同じ物が他の店と比べて安く売られているようなときに使われます。
下直
廉価の類語として、聞きなれない言葉かもしれませんが「下直」という言葉があります。読み方は「げじき」で、「(値段が)安い」「価値のない」という意味を持っています。「下直な価格設定」や「これは他の人からは下直なガラクタにしか見えない」などの使い方をします。
リーズナブル
続いて紹介する類語は「リーズナブル」です。「リーズナブル」はよく聞く言葉なので、ほとんどの方が意味も分かっているかもしれませんが、「価格が手頃」「合理的」という意味をもっています。「リーズナブルなお店を探している」「彼はリーズナブルな考え方をする」などと使われます。
チープ
廉価の類語として紹介する最後の言葉は「チープ」です。チープという言葉は、単純に価格が安いということよりも、見た目や素材感などを総合して、安っぽさを感じさせたり、高級感が不足しているような印象があるような場合に使う言葉です。値段の割にチープな色合いなどと使われます。
「廉価」の対義語
続いて紹介するのは、廉価と反対の意味を持つ言葉です。反対の意味を持つ言葉を対義語といいますが、実は何かの言葉の意味を理解しようとする場合、反対の意味を持つ言葉を知ることで、それと反対の意味という思考をすることで定着が促されます。最後にしっかり学びましょう。
高価
廉価の対義語として「高価」という言葉を紹介しましょう。高価という言葉をあえて説明する必要もないかもしれませんが、「値段が高い」という意味に加え「価値が高い」という意味も持った言葉です。廉価は安い価格という意味なので正に対義語といえるでしょう。
高額
廉価の対義語としては「高額」という言葉も挙げられます。高額は漢字を読んだそのままの意味になりますが、金額が大きいことを意味しています。例えば、高額な研究費がかかることになったが、国や企業、学校からの補助を受けることで何とか賄うことが出来た。などと使います。
上等
最後に紹介する対義語は「上等(じょうとう)」です。喧嘩上等の上等ではなく、「出来栄えが優れている」という意味の上等が対義語となります。品質などが優れている際に使う「上等な品」などがその代表的な使い方になります。チープ、低廉などの対義語としてピンとくるのではないでしょうか。
「廉価」の意味を覚えて正しく使おう!
いかがでしたか。廉価という言葉の意味について正しく理解していただけたでしょうか。廉価という言葉については、その意味について何となく知っていたという人が多い言葉だったかもしれません。
しかし、その読み方が「れんか」ではなく「けんか」であると思っていたという方が少なからずいらっしゃったのではないでしょうか。正しい読み方と意味を理解し、正しい場所で正しく使えるようにしておきましょう。