「韻を踏む」の意味とは?
今回、ご紹介するのは『韻を踏む(いんをふむ)』という言葉についてです。『韻を踏む』という言葉はいくつかの意味を持っています。その中の多くが音楽をはじめとするラップや詩などで使われる手法のことを指します。
『韻を踏む』の意味は「似たことや同じことを繰り返し言う」です。これだけで『韻を踏む』がどのようなものかが想像つくでしょう。ラップや歌詞で考えるとさらに意味が分かりやすいです。同じ言葉を繰り返すことで、聞く人の脳に印象を与えます。
そもそも『韻(いん)』とは詩などで同じ言葉や音、もしくは似た響きを持つことを意味しています。楽曲などで同じフレーズが使われたり、ラップで同じ調べを持つことがあります。それが『韻』です。『韻を踏む』は「韻を繰り返し使う」ことを指します。
「韻を踏む」の類語
続いては『韻を踏む(いんをふむ)』の類語についてのご紹介です。『韻を踏む』の類語は「韻を押す」と「押韻(おういん)」です。『韻を踏む』の意味とは多少異なり、「韻を押す」は『同じ音や言葉を文末におく」の意味を持つ『韻を踏む』の類語です。
「押韻(おういん)」は『韻を踏む』の類語です。「押韻」とは「圧韻(あついん)」とも言い、「韻をおくこと」を意味します。
「韻を押す」のように「文章のはじめ、文章の終わりに同じ言葉を繰り返しおく」ことも意味の一つです。「押韻」は綺麗なリズムや音を引き出すために使われるもので、音楽などではよく使用される手法です。
「韻を踏む」の使い方・例文
『韻を踏む』は音楽や詩、ラップだけでなく、ビジネスシーンでも活用される営業の手法でもあります。コマーシャルなどの広告や宣伝などで、同じ言葉を使ったり、同じ調べを使ったりする場合があります。その手法が『韻を踏む』ことです。続いて『韻を踏む』の使い方を例文を通してご紹介します。
例文①
『韻を踏む』の例文の一つ目は、ビジネスシーンでの使い方です。先輩が後輩に宣伝のやり方を教えるシーンでの使い方の例文です。
「広告をするときは韻を踏むことが大事だ。『安い、速い、うまい』っていうのが韻を踏むことで、何も難しいことはない」です。これは会話の中での使い方で、ビジネスシーンのみならず『韻を踏む』という言葉を文章に入れて会話をすることができます。
例文②
『韻を踏む』の使い方の例文の二つ目のご紹介です。「韻を踏むことで人の記憶に残りやすく、商品の宣伝には必要な手法だ」です。
韻を踏むことはとても大事なもので、商品以外にも様々な場面で使うことができます。日常で『韻を踏む』と使うことはありませんが、自然と会話の中で韻を踏むことはあります。
例文③
次は日常で『韻を踏む』の使い方を例文でご紹介します。例えば「隣に引っ越してきたご家族の長男は挨拶もしっかりできて、頭もよくて、スポーツも万能なんです」のような例文ですが、これも実は韻を踏んでいます。
意外と日常でも『韻を踏む』ことは多く、家族での会話や友人同士での会話でさえ使ってることは多いです。『韻を踏む』とは話の調子も整えてくれてリズミカルにしてくれます。楽しい会話を支える手法の一つです。
例文④
次にご紹介する例文は『韻を踏む』を使った使い方の例文です。「先輩が『朝はパン、昼は麺、夜はご飯』と韻を踏んでいた」という例文のご紹介です。
単純な言葉ですが、意味はハッキリと伝わります。このように『韻を踏む』というのは難しいことではなく、簡単な言葉で日常的に使うことができます。
ザイオンス効果
ビジネスでは『韻を踏む』と使うよりも「ザイオンス効果」という言葉を使うこともあります。意味は『韻を踏む』ことと同じで、同じことを繰り返し言うことで印象に残すことです。
『ザイオンスの法則』とも呼ばれて、人に興味や関心を与える際に使われるものです。「単純接触効果」とも呼ばれ、接客や販売などで効果を表します。ビジネスシーンでは必要とされる効果です。
「韻を踏む」と「ライム」の違い
続いてご紹介するのは『韻を踏む』と検索すると出てくる「ライム」という言葉との意味の違いについてです。『韻を踏む』という言葉の意味を知りたくて検索した人は、必ずと言っていいほど見かけた言葉でしょう。
「ライム」は『韻』という意味
「ライム」はラップで使われる言葉で、『韻を踏む』ことを表現する用語です。実際にラップで「ライム」と『韻を踏む』は別の言葉で、「ライム」イコール『韻を踏む』ではありません。「ライム」は『韻』という意味なので「踏む」がつくとまた違う言葉になります。
「韻を踏む」を使う際の注意点
続いて『韻を踏む』を使う際の注意点をご紹介します。『韻を踏む』という言葉を使う際にも、『韻を踏む』際にも共通の注意点があります。それは「ダジャレ」です。ダジャレは『韻を踏む』に似ていますが、実際は別物なので注意が必要です。
ダジャレも似た言葉を使い、リズミカルに言います。しかし「ダジャレ」は「韻を踏んでいるわけではない」ので注意が必要です。
「ダジャレを表す意味」では使えない
「ダジャレ」というのは同じ言葉や同じリズムをしているわけではありません。『韻を踏む』というのは同じ、もしくは似たフレーズを繰り返すことを言います。そのためダジャレとは言葉の意味そのものが違うのです。
「韻を踏む」の由来・歴史
続いて『韻を踏む』の由来と歴史についてご紹介します。言葉はどれにも歴史があり、『韻を踏む』もまた古くから使われてきた言葉です。ですが語源は日本ではありません。
日本語の多くは古来、中国より伝わってきたものが多く、『韻を踏む』もまた中国から渡ってきました。『韻を踏む』の由来と歴史だけでなく、中国での『韻を踏む』の意味や表現についてもご紹介します。
由来
『韻を踏む』の由来は中国からきた文化で、古来の日本の貴族が漢詩を作るようになったことで『韻を踏む』ことを始めたとされています。『韻を踏む』ことは日本の文化にはなく、和歌などの詩歌には用いられていませんでした。
しかし漢詩を作るうえで、『中国のルールに乗っ取って作る』ということを始めたのがきっかけです。『韻』そのものが古来の日本になかったので、古代中国より『韻』とルールを学んだことになります。
ルール通りに一定のリズムを作ったり、同じ『韻』つまり音読みの漢字を置くことで漢詩を作りました。それを『韻を踏む』と日本では言います。
歴史
そもそも『韻を踏む』とは言葉としてではなく、文化として古来に古代中国から来ました。『韻』とは音節の母音やトーンを表すもので、発音などもこれに当たります。中国の漢文や漢詩などには『押韻』されることがあります。
同じ言葉や意味、音の響きや言葉の響きを繰り返すことが漢文には多く見られます。それを『押韻』と言い、韻を踏むの類語に当たります。
一定の間隔を持つことも『押韻』と言い、文章だけでなく一定のリズムをとることも『韻を踏む』と言います。
古代中国では韻を踏むことが当たり前とされていましたが、現代中国で詩を作る際には『韻を踏む』ことを必要としません。詩を作る際の種類にもよりますが、必ずしも韻を踏まなければならないことはありません。
中国語での意味と書き方
中国語で『韻を踏む』は類語と同じ『押韻』と書き、意味も同じです。もともと中国から来ている文化であり言葉なので、意味は変わりません。読み方に発音の違いがありますが、意味も書き方もほとんど同じです。
「韻を踏む」の英語表記
『韻を踏む』を中国語に訳すと「押韻」ですが、『韻を踏む』は英語に訳すこともできます。英語で『韻を踏む』は「Rhyme」です。ラップで使われている『ライム』も英語から来ています。
ラップの『韻を踏む』を表現する「ライム」の語源は英語で、日本語の『韻を踏む』はラップの世界になるとまた意味が変わったりするので使う時には注意をしましょう。
「韻を踏む」は「同じ意味を繰り返す」という意味
これまで『韻を踏む』の言葉の意味や使い方、類語などをご紹介してきました。『韻を踏む』とは「同じ、もしくは似たような言葉やトーンを繰り返すこと」です。一定のリズムや間隔なども『韻を踏む』にあたり、ビジネスシーンでも使われることもあります。
ビジネスシーンでは「ザイアンス効果(単純接触効果)」と呼ばれる『韻を踏む』が使われます。ラップの意味である「ライム(Rhyme)」が『韻を踏む』の英語表現です。
意識をしていなくても楽しい会話などには『韻』が多く踏まれています。好きな音楽や歌詞にも、たくさん韻が踏まれているので探してみてください。より一層『韻を踏む』の意味を楽しく知ることができます。