「庇護」の意味
「庇護」とは、一般生活では聞きなれない言葉の1つであり、子供だけではなく大人でもしっかりと意味を把握していないことがある言葉とされています。
そこで、今回は聞きなれない庇護の意味をはじめ、庇護を使った例文や、庇護と類似する言葉との違いなどについてご紹介していきますので、庇護に関する意味について深く知っていきましょう。
意味①「かばって守ること」
庇護の意味について知っていく際には、まずは使われている漢字から意味を読み解いていくと、非常に分かりやすいとされています。庇護に使われている「庇」という漢字は「かばう」と読む漢字であり、覆うや覆い隠すという意味を持ち合わせています。
次に庇護の「護」という漢字は「まもる」と読む漢字であり、一般的によく使われる「守る」と意味合いはほとんど同じですが、漢字の作りから自分の手元でまもるという意味の言葉によく使われる漢字となっています。
そのことから、庇護とは「かばって守る」ことを指しており、自分自身の手で相手をかばいながらも守るシーンなどで使っていく言葉です。
意味②「弱者を危険から守る」
庇護には「弱者を危険から守る」というもう1つの意味があり、この意味から庇護という言葉の使い方は限られたシーンに絞られるため、普段は聞きなれない言葉になっているようです。
庇護が指す「弱者」とは、肉体的な弱さを指している訳ではなく、子供や難民など自分の力だけでは生きていけない人のことを指しており、このような人たちを自分の手で守っていくときに庇護という言葉が使われます。
「庇護」の語源
庇護という言葉は、弱者をかばい守るときに使われる言葉とご紹介しましたが、庇護にはいくつかの似た類語もあるのに、なぜ「庇護」という言葉が作られたのでしょうか?ここでは、庇護の語源について深堀していきましょう。
「庇護」はひさしと関係がある
庇護の語源の1つは、家の作りでよく見られる「ひさし」から由来されているとされており、ひさしは強い日差しや雨風から自分自身または家族を守ってくれます。このような気象状況から人を守るために発明したひさしは、普段は聞きなれない庇護と似た意味を持ちます。
また「保護者」と呼ばれる子供と大人の関係を指す言葉では、父親のことを英語で「庇護」という言葉を用いたことから、妻と子供を守る存在を意味していたことも語源の一説とされています。
「庇護」の使い方・例文
上記では庇護の意味や語源についてご紹介させていただきましたが、庇護の使い方には注意しなければいけないポイントもあります。
そこで、ここでは庇護の使い方を庇護を取り入れた例文から解説していきますので、周囲に庇護の意味を説明するときにはこちらの注意ポイントに気を付けましょう。
「庇護」の使い方
庇護の使い方の注意ポイントでは、庇護が意味する「弱者」や「かばう」などの漢字からくる意味をしっかりとおさえているかが大切になってきます。下記では、庇護の使い方で間違いやすいポイントを例文と共にご紹介していきますのでご覧ください。
「庇護」の誤用に注意
庇護とは、弱者に値する子供や難民が過ちのないようにかばい見守る人の姿や、弱者の生活や身を危険から救い出した人のことを指します。
そのため、困っている人を助けたときや、災害から家族を守った行動には、庇護という言葉は適切ではありません。困っている人が老人や子供であったり、妻や子供を指した家族であっても、庇護が意味する「かばい守る」とは意味合いが異なってしまうためです。
庇護という言葉の使い方には、どんなシーンで、相手がどのような人であったのかが重要となりますので、使い方を間違えないように気を付けましょう。
似た言葉との違いに注意
庇護の使い方は一般会話ではなかなか用いりにくく、上記のように困っている弱者を手助けするシーンや、家族を災害から守ろうとするシーンでは、似た言葉である「保護」が適しているでしょう。
保護は「護」という漢字が使われているため、弱きものを助けるときなどに用いられる言葉であり、庇護のように限られた枠だけではなく一般生活の中で困っている人を助ける表現として使われます。
「庇護」の例文集
庇護を使った例文では、「庇護を得て生きてこれたことに感謝する」や「孤児院で手厚い庇護を受けたことに心から感謝している」など、一人では自立できない子供が受けた庇護に対する感謝の例文は、庇護の使い方が正しい例文となっております。
その他には「これまでは庇護されていたが、今後は自分の力で歩んでいく」など、これまでの庇護から自立していく場面でも庇護という言葉は適しています。
「庇護」の類語・対義語
上記では、庇護の意味や語源をはじめ、庇護を使った例文や誤用しやすい庇護の注意ポイントなどをご紹介させていただきましたが、庇護について知っていくのであれば、庇護の類語や対義語もしっかりと知っておくと良いでしょう。
そこで、ここでは普段は聞きなれない庇護の類語と対義語についてご紹介していきますので、言葉の違いをしっかりと把握し使い方を間違えないようにしていきましょう。
「庇護」の類語
一般的に庇護という言葉は使われることが少なく、どちらかというと庇護の類語としてご紹介する言葉の方が耳にすることが多いかもしれません。ここでは、庇護の類語についてご紹介していきますので、庇護と似ている部分と違いをしっかりと知っていきましょう。
類語①後見
庇護の類語の1つ目は「後見」という言葉です。後見とは、親代わりとなり子供の面倒をみる人のことや、後ろに控えて世話を行う人のことを指しております。
一般的にも「後見人」とはよく耳にする言葉でありますが、後見人とは法律行為や生活のサポートを見守る存在であり、これは法律上で決められた人が選ばれ庇護者として当事者をサポートする人のことです。
類語②保全
庇護の類語の2つ目は「保全」です。保全とは「保護して安全を守る」ことを指した言葉であり、環境保全などがよく耳にする言葉なのではないでしょうか?
保全では、建造物や、弱者だけではなく事柄に関わる人間すべてを対象にした安全という面を指しているため、庇護とは少し違う意味合いを持つ言葉でもあるでしょう。
類語③擁護
庇護の類語の3つ目は「擁護」です。物事から対象を守るという点では、庇護とよく似た意味を持っていますが、擁護は特定の侵害や危害から対象を守ることを指しております。
また物理的な行動を指す庇護とは違い、擁護とは精神的な面を保護する言葉として使われているため、庇護の類語ではありますが、使い方は全く違う場面で使われます。
「庇護」の対義語は「迫害」
庇護の対義語とされる言葉は、ニュースや情報番組でも耳にすることがある「迫害」です。迫害の意味とは、強い立場にいる権力者が、弱者である人に対して自由を奪ったり、生きる権利を脅かすことを指しております。
このようなできごとは、どの世界でも行われていることであり、大きな規模だけではなく会社や学校など小さい社会でも起こりうることです。
また対義語である迫害の類語には、肉体的な苦痛をあたえる「虐待」などが含まれており、虐待は人間だけではなく動物などに危険を脅かすときにも用いられます。
「庇護」と「保護」の違い
庇護の意味をはじめ、庇護という言葉を取り入れた例文、または庇護の類語や対義語についてもご紹介させていただきましたが、庇護の意味を知っていくためには「庇護」と「保護」の違いをしっかりと知る必要があります。
そこで、ここでは今回注目してる庇護と似た意味を持つ保護を比較し、2つの言葉の違いや保護の意味についてもご紹介していきますのでご覧ください。
使われる対象が違う
上記でもご説明させていただきましたが、庇護と保護とは弱きものを守ることを意味している点は類似した言葉となっています。
そんな似た意味を持つ2つの言葉の違いとは、庇護は「弱者」を守るということがキーワードになっていることに対し、保護は弱者だけではなくさまざまな対象を守ることを意味した言葉というところが、大きな違いとなっております。
「保護」の詳しい意味
庇護とは使われる対象に違いがある保護の意味とは、「外からの危険や危害から対象を守る」こととされており、保護が対象とするものは庇護よりも広い物事に使われるため、人間だけではなく、動物や建物も保護という言葉を使い守られることがあります。
「庇護」の意味を理解して積極的に使っていこう!
普段は聞きなれない庇護という言葉ですが、今回ご紹介させていただいた庇護の意味や他の言葉との違いを知っておくことで、例文を用いたような庇護という言葉が適した場面でも、意味を理解してしっかりと使いこなしていけるのではないでしょうか。