「是々非々」の意味とは?
「是々非々」という難しい言葉が使われることがありますが、「是々非々」の意味を知らずに使っている人もいます。また「是々非々」と「是非是非」を間違っている人も多く、「是々非々」を正しく使えていない人も少なくありません。
「是々非々」は結構難しい言葉で使い方も難しいため、政治家など以外の人にはあまり使われない言葉です。ですが目上の人の話の中などに「是々非々」が使われたりすると、意味を知らなければ誤解してしまうこともあります。
一般的にはほとんど使うことがない「是々非々」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「是々非々」の意味についてご紹介しましょう。
「良いことは良い悪いことは悪い」と言うこと
「是々非々」の意味の一つ目は、「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」という意味です。世の中には良いこともあれば悪いこともありますが、立場や考え方次第で白を黒と言うこともあれば黒を白と言うこともあります。
「是々非々」はそんな立場や考え方には左右されることなく、良いことは良いと言い悪いことは悪いと言うという意味で、そういった意思を表明したい場合など、政治家などに良く使われる言葉です。
立場にとらわれない判断
「是々非々」の意味の二つ目は、「立場にとらわれない判断」という意味です。「是々非々」の一つ目の意味は「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」という意味でしたが、「立場にとらわれない判断」という意味もあります。
「是々非々」という言葉は、どのような立場に立っていてもその立場にとらわれず善悪を判断するという意味で使われることも多く、こちらも政治家などの決意表明に使われることが多いと言えます。
「是々非々」の意味は「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」「立場にとらわれない判断」という意味で、ちょっと難しい意味ではありますが是非覚えておきましょう。
「是々非々」の類語
「是々非々」の意味についてご紹介しましたので、次は「是々非々」の類語についてご紹介します。「是々非々」の意味は「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」「立場にとらわれない判断」という意味なので、近い意味の言葉が類語になります。
「是々非々」の意味はちょっと長くて複雑なので、似た意味を持つ類語を探すのは難しそうですが、実は結構良く使われる言葉の中に「是々非々」の類語はあります。
「是々非々」と似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「是々非々」の類語についてご紹介しましょう。
公明正大
「是々非々」の類語の一つ目は、「公明正大(こうめいせいだい)」です。「公明正大」の意味は「私心を差し挟まず公平に物事を行うこと」という意味なので、意味的には「是々非々」と少し違うようですが「公明正大」は「是々非々」の類語です。
「是々非々」には「立場にとらわれない判断」という意味がありますが、「公明正大」はこちらの意味での「是々非々」に近い意味を持つ類語の一つになります。
「公明正大」という言葉は政治家の公約などの中で「是々非々」の代わりに使うこともできますので、使い方という点でも「是々非々」の類語だと言えます。
公平無私
「是々非々」の類語の二つ目は、「公平無私」です。「公平無私」の意味は「偏ることなく平等で私心を持たないこと」という意味で、こちらも「是々非々」の意味とは少し異なりますが「是々非々」の類語になります。
「公平無私」も「是々非々」の「立場にとらわれない判断」という意味に似た意味になりますので、「是々非々」の類語だと言えます。
「公平無私」という言葉も「是々非々」を使いたい場面で代わりに使うことができますので、使い方という点でも「公平無私」も「是々非々」の類語の一つだと言うことができます。
厳正中立
「是々非々」の類語の三つ目は、「厳正中立」です。「厳正中立」の意味は「どちらの味方をすることもなく中立の立場をとる」という意味で、「是々非々」の意味「立場にとらわれない判断」という意味に極めて近い意味を持つ類語です。
「厳正中立」という言葉は「是々非々」の代わりに使うこともできますので、使い方という点でも「是々非々」に極めて近い類語だと言えます。
「是々非々」の類語はこれらの他にもありますが、特に近い意味を持ち「是々非々」の言い換えにも使えるのは「公明正大」「公平無私」「厳正中立」の三つになります。
「是々非々」の使い方・例文
「是々非々」の類語についてご紹介しましたので、次は「是々非々」の使い方と例文についてご紹介します。「是々非々」という言葉は意味的にも難しい言葉なので、使い方も難しいと言えます。
「是々非々」という言葉は一般的な日常生活の中ではまず使われませんので使い方は難しいですが、例文を見れば意外に簡単に使えるということが分かるでしょう。
「是々非々」という言葉を使う場合にはいったいどのような使い方をすれば良いのか、「是々非々」の使い方と例文についてご紹介しましょう。
例文①
「是々非々」の使い方と例文の一つ目は、「たとえ相手が上司であろうと、私は是々非々の立場を取り続ける」という例文です。この例文では「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」という意味で「是々非々」を使っています。
社会人として生きていると、上司や取引先の相手などから理不尽なことを言われたり、事実を歪曲するようなことを要求されたりすることもありますが、この例文では相手が上司でも良いことは良い、悪いことは悪いと言うと言っています。
例文②
「是々非々」の使い方と例文の二つ目は、「取引先相手でも是々非々の態度を取りたいと思っていても、なかなかそうはできないのが辛い所だ」という例文です。
この例文では「立場にとらわれない判断」という意味で「是々非々」を使っていますが、「是々非々」を「態度」という言葉と一緒に使っています。
先にご紹介した例文では「是々非々の立場」という言い方をしていますが、「是々非々の態度」という言い方もできますので、「是々非々」の使い方は意外に色々あると言えます。
例文③
「是々非々」の使い方と例文の三つ目は、「問題は山積しているが、私はとにかく是々非々で対応していく」という例文です。この例文では「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」という意味で「是々非々」が使われています。
先にご紹介した「是々非々」の使い方の例文では、「是々非々の立場」「是々非々の態度」という使い方をしていますが、「是々非々」はこのように「是々非々」単体で使うこともできます。
例文④
「是々非々」の使い方と例文の四つ目は、「弁護士という職業は是々非々的な思考が求められる職業だが、それでも裁判においては犯罪者の弁護に立たなければならないこともあるため辛い立場だと言える」という例文です。
この例文では「是々非々」に「的」をつけて「是々非々」を使っていますが、「是々非々」にはこういった使い方もあります。
「是々非々」の使い方は「是々非々」単体での使い方の他、「是々非々の立場」「是々非々の態度」「是々非々的」などが代表的な使い方なので、覚えておくと良いでしょう。
「是々非々」の読み方
「是々非々」の使い方と例文についてご紹介しましたので、次は「是々非々」の読み方についてご紹介します。「是々非々」という言葉の意味が分からない人の多くは、まず「是々非々」の読み方が分からないという人が多いでしょう。
「是々非々」の読み方はそう難しくはないのですが、「々」が入ることによって読み方が分からなくなるという人も少なくないと言えます。
「是々非々」という言葉の読み方とはいったいどういう読み方なのか、「是々非々」の読み方についてもご紹介しましょう。
是々非々の読み方は「ぜぜひひ」
「是々非々」の読み方は「ぜぜひひ」です。「是々非々」と似た字面の言葉に「是非」という言葉がありますが、「是非」の読み方が分からないという人はかなり少ないでしょう。
「是非」は「ぜひ」という読み方で、ビジネスシーン以外にも色々な場面で使われますので、「是非」という言葉を使ったことがある人は多いでしょう。
「是々非々」の読み方は「ぜぜひひ」なので、意味だけではなく読み方の方もしっかりと覚えておきましょう。
「是々非々」と「是が非でも」の違い
「是々非々」の使い方と例文についてご紹介しましたので、次は「是々非々」と「是が非でも」の違いについてご紹介します。「是々非々」と間違いやすい言葉には「是非」「是非是非」「是が非でも」といった言葉があります。
その中で「是が非でも」という言葉は「是々非々」とは全く異なった意味なのに「是々非々」と混同している人が多いため、違いを知っておく必要があると言えます。
「是々非々」と「是が非でも」という言葉にはいったいどのような違いがあるのか、「是々非々」と「是が非でも」の違いについてもご紹介しましょう。
「是が非でも」は「ことの善悪がどうであっても」という意味
「是々非々」と「是が非でも」の違いは、「是が非でも」の意味は「ことの善悪がどうであっても」という意味だということです。「是が非でも」はことの道理に背こうとも強引に推し進めたいという場合に使われます。
「是々非々」の意味は「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」という意味なので、「是が非でも」は意味も使い方も全く異なります。
「是々非々」と言いたい場面で「是が非でも」と言ってしまうととんでもないことになってしまいますので、「是々非々」と「是が非でも」を混同しないように注意しましょう。
「是々非々」を使う際の注意点
「是々非々」と「是が非でも」の違いについてご紹介しましたので、次は「是々非々」を使う際の注意点についてご紹介します。
「是々非々」という言葉はちょっと難しい言葉なので日常生活の中で使うことはほぼありませんが、ビジネスシーンなどで使いたい場合には注意が必要です。
「是々非々」を使う際にはいったいどのような点に注意しなければならないのか、「是々非々」を使う際の注意点についてご紹介しましょう。
単に自己主張するという意味では使えない
「是々非々」を使う際の注意点は、「是々非々」は単に自己主張するという意味では使えないということです。「是々非々」の意味を取り違えて「私は是々非々の態度でいく」などと言って自己主張する人もいますが、これは間違った使い方です。
また「是々非々」を「是が非でも」と混同していて、自分の要求を何としても押し通したいという場面で使う人もいますが、こちらも間違った使い方です。
「是々非々」には「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」「立場にとらわれない判断」という意味がありますので、単に自己主張するという意味では使えないということを覚えておきましょう。
「是々非々」の由来
「是々非々」を使う際の注意点についてご紹介しましたので、次は「是々非々」の由来についてご紹介します。日本語には由来や語源のある言葉がたくさんありますが、「是々非々」もそんな日本語の一つになります。
「是々非々」という字面を見ると四文字熟語なので、仏教関係に由来があるのではないかと思う人もいますが、「是々非々」の由来は仏教関係ではありません。
「是々非々」という言葉の由来とはいったいどのようなものなのか、「是々非々」の由来についてもご紹介しましょう。
由来
「是々非々」の由来は中国の戦国時代の思想家であり儒学家であった「荀子(じゅんし)」という人の言葉にあります。この「荀子」の言葉に「是を是とし非を非とすることを知とし、是を非とし非を是とすることを愚とする」と言う言葉があります。
この言葉の意味は「正しいことを正しいと言い悪いことを悪いと言うことを知と言い、正しいことを悪いことと言い悪いことを正しいことと言うことを愚と言う」という意味で、「是々非々」はこの言葉に由来があります。
この文章は元々漢文なので「是を是とし非を非とする」の部分は「是是非非」となり、これが現代の「是々非々」の由来になっています。
「是々非々」の英語表記
「是々非々」の由来についてご紹介しましたので、次に「是々非々」の英語表記についてご紹介します。実は「是々非々」の意味は繊細で複雑なので、完全に意味的に一致する英語はありません。
「是々非々」の意味は「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」「立場にとらわれない判断」という意味なので、似た意味を持つ英語が「是々非々」の英語表記になります。
「是々非々」という言葉を英語表記する際にはどのような英語を使えば良いのか、「是々非々」の英語表記についてご紹介しましょう。
unbiassed
「是々非々」の英語表記は「unbiassed」という英語で、この「unbiassed」には「公平な」という意味があります。「unbiassed」を使って「是々非々」と言いたい場合には「un unbiassed polisy(是々非々主義)」などという言い方をします。
また他にも「公平な」「偏見のない」といった意味を持つ「impartial」という英語も「是々非々」の英語表記に使われます。こちらも「unbiassed」と同じような使い方ができますので覚えておくと良いでしょう。
「是々非々」は「良いことは良い悪いことは悪い」という意味
「是々非々」の意味や読み方や使い方などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。「是々非々」の意味は「良いことは良い、悪いことは悪いと言うこと」という意味なので、正しい意味を理解して正しく使いましょう。