「苛まれる」の意味
「苛まれる」という言葉を見たことがあるという人は意外に少ないでしょう。「苛まれる」という言葉は日常生活の中ではそう使う機会がないため、見たことも聞いたこともないという人の方がむしろ多いと言えます。「苛まれる」という言葉は「苛む」の活用形ですが、「苛む」自体ほとんど使われることがない言葉です。
一般的な日常生活の中ではほとんど使われることのない、「苛まれる」という言葉の意味からご紹介します。
意味①酷く苦しめられる
「苛まれる」の意味の一つ目は、「酷く苦しめられる」という意味です。ただ単に「苦しめられる」のではなく「酷く」がつくので、とても苦しめられるという意味になります。「苛まれる」の原型である「苛む」には「酷く苦しめる」という意味がありますので、その活用形である「苛まれる」は「酷く苦しめられる」という意味になります。
意味②厳しく叱られる
「苛まれる」の意味の二つ目は、「厳しく叱られる」という意味です。こちらも「苛まれる」の原型である「苛む」の意味の一つ、「厳しく叱る」からきています。「厳しく叱る」が変化して「厳しく叱られる」という意味になります。ただ単に「叱られる」のではなく「厳しく」がつくので、酷く叱られるという意味になると言えます。
意味③いじめられる
「苛まれる」の意味の三つ目は、「いじめられる」です。「苛まれる」の元になっている「苛む」には、「いじめる」という意味もあります。そのため「苛まれる」は「いじめられる」という意味にもなります。「苛まれる」の意味はいくつかありますが、どれもちょっと辛い行為を示す意味であると言えます。
「苛まれる」の読み方
「苛まれる」という言葉の意味を先にご紹介しましたが、「苛まれる」という言葉を見たことも聞いたこともないという人には読み方もわからないでしょう。「苛む」の読み方も「苛まれる」の読み方も知らないという人の方がむしろ多いはずです。日常生活の中では「苛む」も「苛まれる」もほとんど使われないので、読み方が分からない人が多いでしょう。
先に意味をご紹介したとおり、「苛まれる」には良い意味がありません。なので普段の生活の中で使うことが少ないのは当たり前と言えます。そんな「苛まれる」という言葉の読み方をご紹介します。
読み方・さいなまれる
「苛まれる」の読み方は「さいなまれる」です。読み方を知れば「聞いたことがある」という人も少なからずいるでしょう。「苛まれる」の読み方が「さいなまれる」なら、「苛む」の読み方は「さいなむ」になります。「苛む」「苛まれる」の読み方がわかっても、自分自身は使ったことがないという人が多いでしょう。
読み方がわかっても、「苛まれる」という言葉を日常生活の中で使うことはあまりありません。ここでは「苛まれる」の読み方は「さいなまれる」だということを覚えておきましょう。
「苛まれる」の類義語と意味
それでは次に、「苛まれる」の類義語と意味をいくつかご紹介します。「苛まれる」の意味は先にもご紹介したとおり「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」という意味ですので、これらの意味に似た意味を持つ言葉が「苛まれる」の類義語になります。
「苛まれる」にはあまり良い意味がありませんので、類義語もあまり良い意味の言葉にはなりません。そんな「苛まれる」という言葉の類義語とその意味をご紹介しましょう。
①虐げられる
「苛まれる」の類義語と意味の一つ目は、「虐げられる」です。「虐げられる」の読み方は「しいたげられる」で、意味は「酷い仕打ちをされたり圧力をかけられること」「苦痛を与えられること」です。これらの意味は「苛まれる」に近く、苦しめられるという意味合いなので「虐げられる」は「苛まれる」の類義語になります。
「虐げられる」には他にも「避けられ嫌われる」といった意味もありますが、これは「苛まれる」の意味の一つ「いじめられる」に近いため、こちらの意味でも「虐げられる」は「苛まれる」の類義語と言うことができます。
②いびられる
「苛まれる」の類義語と意味の二つ目は、「いびられる」です。「いびられる」という言葉の意味は「いじめられる」「ひどい扱いを受ける」「嫌がらせをされる」「意地悪をされる」などといった意味ですので、「苛まれる」の類義語であると言えますが、面白いことに「いびる」の語源は「炙る(あぶる)」です。
「いびられる」は、肉などを火で炙るという所からきている「いびる」の変化形なので、同じ「いじめられる」でもじわじわといじめられる陰湿な雰囲気があり、こういう点でも「苛まれる」の類義語であると言うことができます。
③咎められる
「苛まれる」の類義語と意味の三つ目は、「咎められる(とがめられる)」です。これは「苛まれる」の類義語であるとも類義語でないとも言えます。なぜなら「咎められる」の主な意味は「悪いことをしたことを責められる」といった意味なので、悪いことをしていなくてもいじめ苦しめられる「苛まれる」とは少し違ったニュアンスになります。
ですが「咎められる」には他にも「なじられたり非難されたりする」という意味があり、そちらは「苛まれる」の意味に近くなりますので、「咎められる」は「苛まれる」の類義語であると言えるでしょう。
「苛まれる」の対義語と意味
「苛まれる」の類義語と意味をご紹介しましたので、次は「苛まれる」の対義語と意味をご紹介します。「苛まれる」という言葉の意味は先にもご紹介したように「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」です。この「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」には、はっきりと対義語と言える言葉がありません。
そのため、「苛まれる」には「これが対義語である」と言える対義語が存在しないと言えます。ここでご紹介する「苛まれる」の対義語は、「苛まれる」の意味とは逆の明るい意味を持つ言葉です。それでは、「苛まれる」の対義語をご紹介しましょう。
①赦される
「苛まれる」の対義語と意味の一つ目は、「赦される(ゆるされる)」です。同じ「ゆるされる」でも「許される」とは意味が違い、「見逃す」「咎めない(とがめない)」といった意味になります。「苛まれる」の類義語の一つとして「咎められる」という言葉をご紹介しましたので、「赦される」は「苛まれる」の類義語の対義語ということになります。
「赦される」という言葉は、国家的なお祝い事があった時に罪人の罪が軽減される「恩赦」などにも使われますので、「苛まれる」の対義語であると言うことができます。
②解放される
「苛まれる」の対義語と意味の二つ目は、「解放される」です。「解放される」という言葉は先に対義語としてご紹介した「赦される」に近い意味を持ちますので、「苛まれる」の対義語であると言えます。「苛まれる」の意味は「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」で、心身共に拘束されているニュアンスがあります。
そのため「解き放たれる」という意味を持つ「解放される」という言葉は、「苛まれる」の対義語であると言うことができます。
先にご紹介した「赦される」同様「解放される」も「苛まれる」の完全な対義語ではありませんが、「苛まれる」の対義語を強いて挙げるなら、ニュアンス的にこれらの言葉が近いということです。
「苛まれる」の使い方
次に「苛まれる」の使い方をご紹介します。「苛まれる」の意味は「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」ですので、精神的にも肉体的にも人から「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」という場合に使うことができますが、そういった「他人から苛まれる」という使い方はあまりありません。
昨今はどちらかと言えば、自分自身の精神的な面での苦しみに対する使い方が一般的だと言えます。そんな「苛まれる」という言葉の使い方についてご紹介しましょう。
①自分自身を苛む
「苛まれる」の使い方の一つ目は、「自分自身を苛む」という意味での使い方です。この使い方は、自分自身がマイナスイメージの考えを持っていて、「罪の意識に苛まれる」といった使い方をすることを指します。現実世界で誰かによって「苛まれる」のではなく、自分の意識の中で自分自身に「苛まれる」という使い方になります。
②良心に苛まれる
「苛まれる」の使い方の二つ目は、「良心に苛まれる」という使い方です。「良心の呵責(かしゃく)に耐えかねる」という言い方は日常生活の中でも時折使われますが、「良心に苛まれる」というのはそれと同じような意味になる「苛まれる」の使い方です。他人に「苛まれる」のではなく、自分自身が正しくあろうとする心に「苛まれる」という使い方です。
「苛まれる」の例文
次に「苛まれる」という言葉を使った例文をいくつかご紹介します。「苛まれる」という言葉の使い方を先にご紹介しましたが、それらは主に自分自身の心の中での葛藤を表す使い方です。ですが実際、日常生活の中で他人から「苛まれる」という状況になることもあります。
「苛まれる」の意味は「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」ですので、「いじめられる」という意味合いなら「他人から苛まれる」という意味での例文を作ることもできます。
自分自身の精神的な「苛まれる」の例文の他、他人から「苛まれる」場合の例文など、「苛まれる」という言葉を使った例文をご紹介しましょう。
①酷く苦しめられる状態
「苛まれる」の例文の一つ目は、酷く苦しめられる状態を表す例文です。まず自分自身の精神的な苦しみを指す例文として「罪の意識に苛まれる」という例文が挙げられます。何らかの罪を犯してしまい、「そんなことはいけない」と自分自身を責める気持ちを表す例文です。
また「仕事場で上司から毎日のように苛まれされている」というのも例文として挙げられます。こちらの例文は他人から何かされることによって、酷く苦しめられているという状態を表す例文になります。
②いじめられている状況
「苛まれる」の例文の二つ目は、いじめられている状況を表す例文です。いじめられているという状況を表す例文として、「職場の同僚達から嫌われて苛まれる日々を送っている」という例文が挙げられます。この例文での「苛まれる」は「いじめられている」という意味での使い方になります。
他にも、「特に理由もないのに同じクラスの男子から苛まれている」といった例文も、いじめられている状況を表す「苛まれる」の例文になります。
人から「苛まれる」人の特徴
それでは次に、「苛まれる」人の特徴についてもご紹介します。まずは他人から「苛まれる」という状態になりやすい人の特徴です。「苛まれる」の意味は「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」ですが、こういうことを他人からされて「苛まれる」タイプの人にはある種の特徴があります。
世の中は良い人ばかりではありませんので、他人をいじめたりすることを平気でする人もいます。そういう人達から「苛まれる」人の特徴をいくつかご紹介しましょう。
①気が弱い
「苛まれる」人の特徴の一つ目は、気が弱いということです。学校や職場などでは、気が弱い人を見るといらいらするという性格の人が時々存在します。そういうタイプの人から見ると、気が弱い人は「見ていていらいらする存在」になることが多いです。そのため、気が弱い人はそういう人達から言われのないいじめを受けることがあります。
厳しく叱責したりいじめたりして、気が弱い人を酷く苦しめる人というのは、残念ながら世界のあちこちに存在しています。そういう人達からすれば、気が弱い人はストレス解消などの格好の餌食になり、陰湿ないじめを受けることもあります。
ですが「もっとしっかりしなさい」という意味で厳しく叱責するという人もいますので、必ずしもいじめばかりではないとも言えるでしょう。
②自分に自信がない
「苛まれる」人の特徴の二つ目は、自分に自信がないということです。自分に自信がない人は「どうせ自分なんて」と卑屈になる場合があります。単に少し自信がない程度の人なら、他の人達と上手く付き合っていくことができますが、卑屈になるほど自分に自信がないというタイプの人は、人からいじめられたりすることがあります。
「どうせ自分なんて」と常に後ろ向きでいじいじしている姿にいらついて、激しく叱責したりいじめたりするという人も世の中には少なからず存在しています。
気が弱い人と同じように、自分に自信がない人は上司や先輩などから厳しく叱責されたりいじめられたりすることがありますが、こちらも「もっと自信を持て」という激励である場合もあります。「苛まれる」のは悪い意味ばかりではないということです。
③おどおどしている
「苛まれる」人の特徴の三つ目は、おどおどしているということです。こちらもやはり「気が弱い」「自分に自信がない」と同じように、他人から叱責されたりいじめられることがあります。他人から何か言われてもすぐに返答ができずおどおどしているタイプの人は、他人から「苛まれる」タイプの人ではないでしょうか。
このタイプの人も「もっとしゃんとしなさい」という意味で叱責されたりする場合がありますが、人から言われたからといってすぐに性格が変わるわけではありませんので、こういう人が延々と「苛まれる」というケースも少なくありません。
自分自身の意識に「苛まれる」人
次は、自分自身の意識に「苛まれる」タイプの人の特徴についてご紹介します。先にご紹介したのは他人から「苛まれる」タイプの人の特徴ですが、他人から「苛まれる」ことはないのに自分で自分を責めるタイプの「苛まれる」人もいます。こういう「自分自身の意識に苛まれる」タイプの人は、他人から「苛まれる」人とは違った特徴があります。
他人から「苛まれる」人と同じ特徴もありますが、その中身が違います。自分自身の意識に「苛まれる」人の特徴についてご紹介しましょう。
①真面目
自分自身の意識に「苛まれる」人の特徴の一つ目は、真面目であるということです。人から「苛まれる」ということはなくても、自分自身のミスなどが許せず自分を責めるタイプの「苛まれる」人は、とても真面目であると言えます。そのため、仕事や勉強などでのちょっとした自分のミスすら許すことができません。
こういったタイプの人は対人面では問題なく、周囲の人から好感を持たれることも多く人付き合いが上手な人も多いですが、とても真面目なため自分自身が許せず自分自身の意識に「苛まれる」ことが多々あるようです。
自分自身をより良くしたいという意識の高さから、自分自身の意識に「苛まれる」というタイプの人になります。
②責任感が強い
自分自身の意識に「苛まれる」人の特徴の二つ目は、責任感が強いということです。責任感が強い人は、学校でも職場でも常に自分が先頭に立って色々なことをします。そのため常に、すべての責任を自分が取るという気持ちでいます。そんな責任感の強さのため、失敗するととても落ち込んで自分を責めてしまいます。
その結果「どうしてあんな失敗をしてしまったんだろう」と自分自身の意識に「苛まれる」ということになりがちです。責任感が強いということも、自分自身の意識に「苛まれる」という人の特徴であると言えます。
③自分に自信がない
自分自身の意識に「苛まれる」人の特徴の三つ目は、自分に自信がないということです。これは、先にご紹介した「人から苛まれるタイプ」の人の「自分に自信がない」とはかなり違ったタイプです。自分自身の意識に「苛まれる」という人の「自分に自信がない」は、完璧を追及しているからこその「自信のなさ」です。
仕事においても何においても常に自分は完璧でありたいと思っているのに、実際には自分が理想とする完璧さには追いつけないため、自分自身の意識に「苛まれる」というタイプの人を指します。自分自身に対しては、ほんの少しのミスも許せないという人です。
完璧な自分を理想としているけれど、実際には自分はそこまで完璧ではないという場合に、自分自身の意識に「苛まれる」といった状態に陥るタイプです。
「苛まれる」の英語表現
それでは次に「苛まれる」という言葉の英語表現についてご紹介します。「苛まれる」という言葉には「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」という意味がありますが、「苛まれる」の英語表現には「捕らえられている」「激しい苦痛を受ける」「破壊される」「見舞われる」「苦しむ」「もがく」といった意味があります。
「苛まれる」の「酷く苦しめられる」「厳しく叱られる」「いじめられる」という意味に当たる英語表現はこのようにたくさんありますが、特に「苛まれる」の日本語での意味に対応する二つの英語表現をご紹介しましょう。
①be tortured by
「苛まれる」の英語表現の一つ目は、「be tortured by」です。「by」の後に続く言葉によって「苛まれる」という使い方の英語表現になります。「be tortured by」には「激しい苦痛を受ける」という意味がありますので、他人からいじめられるといった「他人から苛まれる」というのを表現する場合の英語表現になります。
②be afflicted by
「苛まれる」の英語表現の二つ目は、「be afflicted by」です。こちらもやはり「by」の後に続く言葉によって「苛まれる」という英語表現です。こちらは先にご紹介した「be tortured by」とは少し違って、自分自身の意識に「苛まれる」という時に使う英語表現になります。「不安に苛まれる」という時はこちらの「be afflicted by」が使われます。
「苛まれる」の意味は酷く苦しめられること
「苛まれる」という言葉の意味や読み方、類義語や対義語など色々とご紹介してきましたが如何だったでしょうか。日常生活ではあまり使われない「苛まれる」という言葉ですが、正しい意味を覚えておいても損はありません。「苛まれる」の意味は、「酷く苦しめられること」だということだけでも覚えておきましょう。