雛形の意味
「雛形」の本来の意味は、「実物を小さくかたどって作ったもの」となります。それ以外の意味としては、後述する、「モデル」、「見本」、「模型」といった「様式」や「形式」を示すものを表します。英訳してみると、「sample」、「model」、「miniature」、「specimen」、「form」といった語がそれに該当します。
ビジネスにおいては、「見積もり」や「請求書」、「納品書」などの、日時や価格などの一部を変更するだけで繰り返し使用できる元ファイルのことを「雛形」と呼ぶケースが多いようです。
雛形とは①モデル
「モデル」を辞書で調べてみると、「模範、手本、標準となるもの」、「模型、見本」、「自動車や機械などの型式」、「絵画や写真などの題材とされる物や人」などと様々な意味があります。「モデル」を意味する場合の「雛形とは」、「原案や図案」などの「意匠」いわゆる「デザイン、工夫」が関係するものとなり、少し意味合いが違います。
「意匠」が関係しないものは、「テンプレート」や「サンプル」と呼び、明確に使い分けがなされています。
雛形とは②見本
「見本」を辞書で調べてみると、「外見や内容を示すためのもの、またはその規格の例として作られたもの」、「具体的な例、代表的な例」などの意味があります。「見本」を意味する場合の「雛形とは」、「実物、実物の小片」、「実物に似せて作られたもの」などの「具体的なもの」が対象となります。
英語にすると「sample」、「specimen」、「example」などが使用されるケースが多いようです。これは「見本」でも「雛形」でも違いはなく、両方に使われます。ここでの使い分けはありません。
雛形とは③模型
「模型」を辞書で調べてみると、「実物を似せて作られたもの」「原型」などの意味があります。「模型」を意味する場合の「雛形とは」、「原型」「型(鋳型)」などの「実物に似せて作成したもの」が関係します。対象となる物の「特徴、特性」を視覚を通して簡潔に伝達することができることが「模型」の利点です。
英語にすると「mold」、「cast」、「dummy」、「model」などが使用されるケースが多いようです。
ここまで3種類の「雛形」の意味の違いを見てもらいましたが、日本語で意味を使い分けするよりも、英語で確認する方が理解しやすかったのではないかと思います。「雛形」の「同意語」には、そのような傾向が見られます。
雛形を使ったシチュエーション【会話例】
会話も「雛形」を用いることで、よりスムーズになります。よく言われるのは5W1Hです。「Who(誰が)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「Why(なぜ)」「What(どうして)」「How(どのように)」を必ず盛り込むようにするとよいとされます。ビジネスではこれにもう1Hプラスして5W2Hになります。それは「How much(いくら)」です。
例文を挙げると、「私は昨日、自宅で睡眠中に飛び起きました。エアコンが故障したために、部屋の温度が30℃を超えたからです。」といったような文章になります。これを聞いた人は、いろんな質問を考える事ができるので、会話のきっかけになります。
ビジネスの場での「雛形」の使い方
既に述べましたが、ビジネスシーンでは、一部を変更するだけで繰り返し使用できる元ファイルのことを「雛形」と呼びます。ですので「得意先に送らなければいけないので、製品Aと製品Bの見積もりを雛形に入れ込んで、私宛にメールで送っておいてください」といったケースが想定されます。
それ以外にも、「先日のお中元のお礼の品を送るので、お礼状の雛形にA社のB部長の名前を入れて、本日の日付でC百貨店に送っておいてください」などといった使い方が想定されます。
雛形とテンプレートの違い
既に述べてきたように、「雛形とは」、「モデル」、「見本」、「模型」などの意味を持ちます。「テンプレート」は、「製図用具」、「定型部分」などの意味です。似たような意味ですが、しっかりと使い分けることができます。「雛形とは」明確に「モデル」となるものがあり、それを真似て作った「見本」であり「模型」です。
一方で「テンプレート」とは、単なる「型」であり、そこには「見本」も「モデル」も「模型」もありません。そこが違いとなります。
テンプレート意味とは
「テンプレート」を辞書で調べてみると、「製図用具」、「定型部分を表示したもの」、「コンピュータなどにおける、文書等の雛形データのこと」となっています。でも本来の意味は、「必要な図形や形などを型どり、型ぬきした板のことで、指型、型板のこと」になり、「枠組みや形式」などを意味することが多くなります。
英語の「template」では「大理石の台座」、生化学では「DNAの鋳型」という意味もあります。特殊な意味としては、造船用語である「竜骨」と「盤木」の間に打ち込むための、「盤木くさび」や航空写真の「放射線を表す線」のことを指すこともあります。
意味①製図用具
四角形や円など、製図に必要となる図形や記号がくり抜いてある定規のことを製図用の「テンプレート」といいます。昔は製図をする人には必需品でしたが、現在では「テンプレート」の製造メーカーが倒産するなど、あまり使用されなくなってきています。それは、PCで製図をするようになっているからです。
当然ですが、資格試験では実際の製図が行われます。しかし、建築士が実務で実際の製図をすることは減ってきているようです。
意味②レイアウトや定型部分を保存したもの
レイアウトした部分や定型部分などを「テンプレート」と呼ぶこともあります。この定型部分の意味がPCへ移行して、定型文の多い書類などを作成する際の元ファイルや、「原型」となるファイルのことを「テンプレート」と呼ぶようになりました。現在、この使い方をすることはあまりありません。
現在、「元ファイル」のことは「雛形」と呼ぶことが一般的なようです。その「雛形」の中にある一部の「定型文」が「テンプレート」と呼ばれることが多くなります。
雛形とはテンプレートは同じ意味をいう
現在、「大理石の台座」や「製図用具」、「DNAの鋳型」を日常会話やビジネス会話で使用するケースは、ほぼないでしょう。「テンプレート」という単語を使用する場合、ほぼ「PC用語」であると想定されます。ですから、「雛形」と「テンプレート」は「PC用語」を指す場合に限られますが、同じ意味と言えます。
それ以外のケースでも、ほぼ同じといっていいのですが、細かい違いがあるので使い分けが発生しています。
雛形とフォーマットの違い
既に述べたとおり、「雛形」本来の意味は、「実物を小さくかたどって作ったもの」となります。それ以外の意味として、「モデル」、「見本」、「模型」といった「様式や形式」を示すものもあります。それに対して、「フォーマット」は「形式、書式」といった意味となります。詳細は後述しますが、それ以外の意味の多くは、「PC関連」のものとなります。
フォーマット意味とは
前述のとおり、「フォーマット」とは「形式、書式」のことになりますが、ことPC関連ということになりますと、複数の意味合いがあります。最もよく使用されるのは後述する「初期化」です。これは、記録媒体を特定の形式にそって使用できる状態にすることをいいます。次は、本来の意味である「構成、形式」といった内容です。
それ以外にも複数の意味があります。例えば「媒体による記録形式のこと」です。これは記録する媒体(CDやDVD、ハードディスクなど)によって記録形式(例えば動画であれば、mpg、avi、wmvなど)が異なったりすることがありますが、それのことです。
それぞれに特徴を持っており、目的によって使い分けられているため、どうしても複数の記録形式が存在することになってしまいます。
意味①初期化
既に述べましたが、記録媒体や情報機器などを使用可能な状態にすることを「初期化」といいますが、そのことを「フォーマット」とも呼びます。「フォーマット」と「初期化」の違いは、「フォーマット」には「設定、構成」といった要素や意味合いを含んでいます。それに対して「初期化」には、意味通り、「初期化」の意味しかないことです。
「フォーマット」に似た意味として、「イニシャライズ」があります。「初期化」は「イニシャライズ」とも「フォーマット」とも英訳されます。本来であれば「フォーマット」には、「イニシャライズ」も含まれるので、より広い意味を含みます。
意味②ラジオ・テレビ番組などの構成・形式
この場合の「フォーマット」とは、テレビやラジオの番組を構成する形式や進行方法などの「構成・形式」のことを指します。テレビやラジオの番組を作成するには、既にできあがった企画なり、番組そのものを採用する方法と、提供された「フォーマット」に基づいて出演者や司会者など、放送局独自に味付けをして番組を作成していく方法とがあります。
この「フォーマット」を購入することによって、海外で大人気になった番組を自国に導入したり、今までに制作することのできなかった番組でも、簡単に制作できるようになります。人気番組を制作するノウハウを購入するようなものです。
雛形とはフォーマットは違う使い方が出来る
「雛形」と「フォーマット」は、使う人によって使い分けています。基本的な意味は同じなのですが、本人がどのような考えでその言葉を使用しているのかによって、その印象などが違います。一般的には、「フォーマット」はPCに関連した表現が多くなり、「雛形」のほうはPCにも関連しますが、より幅広く使用されることが多くなります。
雛形・テンプレート・フォーマットの使い分け
結論から先に述べると、「雛形」「テンプレート」「フォーマット」の使い分け方に明確なルールはありません。唯一あるとすれば、後述する「フォーマット」に関してはPCに関連する使用が圧倒的に多いということです。これは業界を問わずの共通認識なので、その点のみ注意してください
既に述べてきたように、意味の違いもそれほど大きくはないので、思ったように使っていただけます。
雛形とテンプレートは好みで使い分ける
「雛形」と「テンプレート」の意味合いに、通常の使用においての差はほとんどありません。「テンプレート」には、前述のように「船の製造に使用するくさび」や「航空図における放射線」などの特殊な意味もあります。「海」や「空」の業界の方であれば勘違いする可能性がありますが、それ以外の多くの業界の方にとっては、使い分ける必要はありません。
例となった言葉以外であっても、業界内だけで使用する言葉というのは結構多数あるものです。他の業界の方と話すときには、特に気を付けるようにしましょう。
フォーマットはパソコンの関連用語で使い分ける
PC用語としての「フォーマット」は、大きく3種類に分けられます。1つ目は「データフォーマット」で、データの記述方法(データの形式)を規定します。2つ目は「ファイルフォーマット」で、記録するファイルの形式を規定します。3つ目は「ディスクフォーマット」で、記録メディアへの読み書きができるように準備します。
ただ単に「フォーマット」とするだけでも問題ありませんが、より詳しい説明が必要な場合には前出の3種類の「フォーマット」を使い分けるようにしましょう。そして使い分けを間違えないようにするために、PC関連以外で「フォーマット」という言葉を使用する場合には注意しながら使うことをおすすめします。
コンピュータ用語が多い理由とは?
「雛形」も「テンプレート」も「フォーマット」も、プライベートの会話ではなく、ほぼビジネスの会話であることが想定されます。意味としても「形式、構成」など、ビジネス要素の強い内容です。そうなると以前は、「紙」で行われていた、これらの「形式、構成」の作業は、現在においては、PCでの作業へと置き換わったと考えられます。
なので、これらの言葉は通常のビジネス用語としてよりも、PC用語として使用される頻度が多いであろうことが自然と想像できます。
このような言葉は、他にもいくつもあります。「文書作成」や「資料作成」といった作業は、かつては手書きが主流でした。しかし現在では、手書きの方が珍しくなってしまっています。
雛形とはテンプレート・フォーマットと同じ意味を持つ言葉
「雛形」も「テンプレート」も「フォーマット」も、同じ意味で使用できる言葉です。しかし、それと同時に使い分けることもできる言葉でもあります。同じ業界内、同じ業種であれば使用する言葉も同じでしょう。しかし、他の業界や他の仕事をしている方とは言葉の使用方法が異なることもあります。
各情況にあった適切な言葉が選択できるように、その言葉の本来の意味を知っておくことと、似た意味を持つ言葉の違う意味に注意を払うことが、できる大人の秘訣です。