切ないの意味とは?
今回は『切ない』という言葉の意味、類語、使い方を説明していきます。また、使い方は例文を用いながら説明!さらに、語源についても解説しますので、この記事を読めば『切ない』という言葉をしっかり理解することができます。
切ないの意味は『胸がしめつけられること』
『切ない』という言葉の主な意味は『胸がしめつけられること』です。このため、ラブストーリー、人、動物の「死」を描いた物語などの紹介として、「切ない」という表現が多く使われています。「切ない物語」などのポップを本屋さんで見たことがある方も多いはずです。
ほかにも、『身体が苦しい』、『どうしようもない』などの意味もありますが、日常的にはあまり使われないので、『胸がしめつけられる』の意味を理解しておけば、普段の生活では問題なく『切ない』を使うことが可能です。
切ないの対義語・類義語
ここからは、『切ない』の対義語、類義語(類語)について紹介していきます。『切ない』とは反対の意味になる対義語、言い換えもできる類語を知ることで、『切ない』という言葉への理解を一層深めていきましょう。
特に、類語を知っておくことで、同じような意味を違う言葉で表現できるようになるため、一段とクオリティの高い文章を書くことができるようになります。
切ないの反対の意味になる言葉
『切ない』には明確な対義語(反対の意味になる語)がありませんが、意味合いからおおよそ反対の意味になるものとして、『楽しい』あるいは『嬉しい』があります。
基本的に『切ない』は自分が思ったようにはならないときに使う言葉なので、幸せな心持ちになる言葉とは対義語の関係にあたると言うことが可能です。
切ないと言い換えられる類語は?
『切ない』の類語としては、『悲しい』、『苦しい』、『やるせない』などの言葉をあげることが可能です。これらは意味が似ている類語になりますので、基本的には『切ない』を言い換えるときに使うことが可能です。同じ文章内で『切ない』が何度も出てしまう場合は、うまく使い分けてみてください。
切ないの使い方・例文
ここからは、『切ない』の使い方について見ていきましょう。例文を使いながら、実践的な使い方を紹介していきます。
『切ない』の使い方をしっかりマスターすることで、自分の心持ちを説明したりするときにも、今まで以上に相手へ伝わりやすい表現を使えるようになります。
例文①
『切ない』と一緒に多く使われる『気持ち』という言葉を使った例文として、『テスト結果を見たら、切ない気持ちになった』というものをあげてみましょう。
切なさは、自分の望み(期待)と現実が伴わないときに発生することが多いものです。したがって、この例文では勉強を頑張って良い点が出ると思ったのに、結果はそうではなかったため『切ない気持ち』になってしまったことを表しています。
『切ない気持ち』というのは、汎用性があり、日常生活で非常に使いやすいものなので、ぜひ積極的に使ってみてください。上手に使えば、趣のある文章を書くことが可能になります。
例文②
2つ目に『切ない恋』を使った『彼との恋は、自分の中でいちばん切ない恋だった』という例文を見ていきましょう。
恋は一人ですることができない、相手がいるものですので、自分の思いと相手の思いがすれちがいやすいものです。そのため、『切ない』心情を憶えやすいものになります。
『切ない』心情になりやすい恋のシチュエーションとしては、遠距離恋愛などをあげることが可能です。『デートをしたいけど(簡単には)デートができない』という状況であるため、自分の願望と現実のズレを感じやすいためです。
例文③
3つ目に『切ない』+『曲』という組み合わせを使った、『切ない曲を聴いていたら、涙があふれてきた』という例文を紹介します。
ここでは『曲』を使いましたが、『映画』、『小説』、『ドラマ』などでも構いません。受け手に『切ない』心情を味わってもらうためにつくられた作品を説明するときには、その作品のカテゴリーの前に『切ない』をつけると、相手にどういう作品かを簡単に分かってもらうことが可能になります。
『切ない』は、例文であげたような『切ない○○(名詞)』というパターンで使うことが多いです。この使い方は、ぜひ覚えておきましょう。
例文④
最後に少し特殊な使い方を見ていきましょう。『今日は風邪をひいてしまって熱が出ているので、切ない』という例文に見られるような『切ない』の使い方です。
江戸時代には、『切ない』で『身体が苦しい』という意味を示すこともあったのですが、共通語ではほとんど使われていません。しかし、地方によっては『切ない』を『苦しい』、『きつい』という意味で使う場合があります。昔の言葉が残っている場所もあるのです。
したがって、首都圏以外出身の方と話をしているときに『切ない』と言われても、それが『胸がしめつけられるようなつらさ』を意味しているとは限りません。共通語でいうところの『きつい』という意味の場合もあるので、誤解をしないようにしましょう。
切ないと悲しいの違い
先ほど、『悲しい』は『切ない』の類語であると書きました。そのため、言い換えで使うことが可能ではあるのですが、別の言葉ですので、厳密には違う部分もあります。例えば、この2つの言葉の間にはどのような意味の差があるのでしょうか。
『切ない』と『悲しい』には、感情の深さの違いが存在します。『悲しい』というのは『泣きたくなるようなつらさ』を示していますが、『切ない』はその後で味わうことになる心持ちです。
これは、『悲しい』という心の動きが引き金になって、『切ない』という心持ちを憶えるようになると言い換えることも可能です。つまり、『切ない』は『悲しい』に比べて深さのある心持ちを意味するのです。
したがって、意味として似ており、言い換えて使ってもほとんど問題はないものの、『切ない』を使ったほうが一段と深い心情を示すことができるという部分で、この2つの言葉には差異があるのです。
切ないを使う際の注意点
この章では、『切ない』を使う場合の注意点について説明していきます。『切ない』は感情を表現するのに有用な言葉ではありますが、注意しなくてはいけないポイントもあります。とはいえ、難しいことではないので、神経質になる必要もありません!
ポジティブな意味では使えない
当たり前と言えば、当たり前なのですが、『切ない』をポジティブな意味で使うことは通常ありません。できれば『切ない』感情は味わいたくないものだからです。
ただし、エンターテイメント作品のキャッチコピーで『切ない』が使われることはあります。人間には自分から『悲しい』や『切ない』という感情を味わいたい欲求があるので、それを味わえることをウリにすることがあるのです。こういう使い方をしているときはポジティブではないものの、ネガティブな意味合いでもありません。
なお、キャッチコピーとして使う際は『切ない』というワードを好む消費者がいる一方で、ネガティブにとらえて購買をためらう消費者もいるので、それを頭に入れながら使う必要があります。気を付けてください。
切ないの語源
ここからは『切ない』の語源について見ていきます。普段使う分には語源を意識する必要はないかもしれませんが、語源を知ることでその言葉が持っていて、私たちが無意識に感じることになる雰囲気を理解することが可能になります。
このようなものを理解しておくことで、上手にその言葉を使えるようになります。『切ない』という言葉を一層深く理解するためにも、語源についてもしっかりマスターしていきましょう。
語源
『切ない』は、いわゆる古文が書かれていたころには『切なし』というかたちで使われていました。このときの意味には今のようなもの(やりきれないなど)もありましたが、『心にかけて深く思う』という意味もありました。
そもそも『切』という言葉は『心が切れるほど』という意味合いを持つ言葉です。言い換えれば、『心が切れてしまうほどに思う』、あるいは『だからこそ重要なんだ』という意味なのです。このため、『大切』などでも『切』が使われています。
この語源から、『心にかけて深く思う』という前向きな意味も昔は存在していたのです。しかし、時代を経るごとに後ろ向きな意味だけが使われるようになり、現代に至っています。
この語源が持つ意味を含めたかたちで『切ない』という言葉を使うと、受け手にしっかりと思い、考えを伝えることができます。
例えば、少し悲しいことがあっただけで『切ない』という言葉を使うよりも、本当にショックだったり、涙が止まらないようなシチュエーションで『切ない』を使ったほうが好ましいと言えます。
なぜなら、『切ない』が本来持っている『心が切れるような思い』という意味が活かされるので、受け手に自分の胸が苦しくなるようなつらい心持ちであることを正確に伝えることができるためです。
『意味として適切である』ことに加えて、その言葉が本来持っている意味、雰囲気を活かすことで、レベルの高い日本語を使えるようになりますので、ぜひ意識してみてください。
切ないは「胸がしめつけられるような苦しい感情」という意味
ここまで、『切ない』の意味、使い方に加えて、対義語、類語、語源を説明してきました。『切ない』は自分の期待と現実がズレていることで、胸が苦しく、しめつけられているときの心持ちです。
『悲しい』とも似ていますが、『悲しい』以上に心に迫った深い感情なので、使う場面を選ぶと良いかもしれません。
この記事で説明している内容をしっかりと理解して、『切ない』という言葉を正しく、適切な文脈で使えるようになりましょう!それだけで、できる大人に見られるのに加えて、自分の心持ちをしっかりと伝えることが可能になるので、良好なコミュニケーションをとれるようにもなります!