「万障お繰り合わせの上」の意味とは
招待状などで触れることが多い「万障お繰り合わせの上」という言葉ですが、日常生活で見かけることは少ないでしょう。しかし、ビジネスシーンでは使われることが多いため、言葉としては知っているという方も多いのではないでしょうか。
ビジネスでは当たり前に正しく使用しているつもりでも、実は違う意味でとらえてしまっていて、間違った使い方や読み方をしてしまう方もいます。
「万障お繰り合わせの上」を定型句としてビジネスで何気なく使用している方も多いですが、使い方を間違えると失礼にあたる言葉でもあるので注意が必要です。
社会人として恥ずかしい思いをしないためにも、まずは「万障お繰り合わせの上」の言葉の意味と正しい読み方についてご紹介します。
不都合があるかもしれないですが調整して
「万障お繰り合わせの上」の意味を簡単にいうと、「予定があってもなんとか都合をつけて」という意味になり、文書を送った側の、ぜひ都合をつけてほしいというお願いを表現する言葉です。
「万障お繰り合わせの上」は、2つの単語の意味を合わせて使われています。万障には「差しさわり、障害」、繰り合わせには「やりくりして、調整して」などといった意味があるので覚えておきましょう。
この2つの単語を合わせて「予定があってもなんとか都合をつけて」という意味になるのです。ビジネスシーンや招待状では、「予定など差しさわりがあると思いますが、できれば都合をつけて」といったような意味を持った使い方になります。
「万障お繰り合わせの上」の読み方
「万障お繰り合わせの上」と漢字としてはわかりやすいものですが、正しい読み方を知らなければ、文章を作成するときに手間がかかります。
また、何かのきっかけで口頭で伝えようと思ったとき、読み方を間違えてしまうと社会人として恥ずかしいだけではなく、場合によっては「あの人に仕事を任せても大丈夫か?」と能力まで思われてしまう可能性もあるのです。
正しい「万障お繰り合わせの上」の読み方は、「ばんしょうおくりあわせのうえ」になります。特に万障は、「まんしょう」と間違えて読む方が多いので気をつけましょう。
「万障お繰り合わせの上」の類語
ビジネスで使用する言葉には、類語があります。「万障お繰り合わせの上」にも同様に類語があり、意味をよく理解したうえで上手に使い分けることで、語彙力を示すこともできます。
「万障お繰り合わせの上」の類語としては、「万難を排して」といった言葉があるのでご紹介しましょう。
万難を排して
「万障お繰り合わせの上」の類語として、「万難を排して」という言葉があり、読み方は、「ばんなんをはいして」です。万難は、万障の差しさわりよりは強めの「困難」などといった意味があり、排しては「退ける」といった意味を持っています。
万難を排してとは、「大切な予定があってもなんとか都合をつけて」といった意味で使い方をします。「万障お繰り合わせの上」に比べて、文書を作成した側の、「都合をつけてほしい」という強い意思を感じるでしょう。
例文としては「万難を排してご参加ください」というように、「万障お繰り合わせの上」と同じような使い方になるので、覚えておいてください。
ただし、「万難を排して」は「万障お繰り合わせの上」よりも重たい言い方になります。使い方によって、「万障お繰り合わせの上」よりも相手に大げさな印象を与えてしまうことがあるので注意しましょう。
「万障お繰り合わせの上」の使い方
せっかくビジネスシーンに合わせて「万障お繰り合わせの上」を用いても、使い方を間違ってしまうと、自分が恥ずかしいだけではなく、相手にも不快な思いをさせ失礼にあたります。
そこで、「万障お繰り合わせの上」の正しい使い方をご紹介します。どうして失礼になるのかもお話しするので、しっかりと確認して自分の語彙力に加えましょう。
案内状でよく使われる定型句
「万障お繰り合わせの上」という言葉自体は、招待状や、催事などの案内状などで使われる定型句です。そのためポピュラーでもあり、そういった案内状や招待状を受け取ったことがある方であれば、「万障お繰り合わせの上」というフレーズは、目にしたことがあるのではないでしょうか。
よくある紹介状の例文としては、「万障お繰り合わせの上、お越しください」などといったものがあります。
失礼になる事も
定型句として使われている「万障お繰り合わせの上」という言葉ですが、基本的に簡素に言えば、「私(催事)に予定を合わせてほしい」といっているようなものです。
そのため、使い方によっては相手に不快な思いをさせるなど、失礼にあたります。特に目上の人に「万障お繰り合わせの上」を使うと、「私が君の予定を合わせないといけないのか」と失礼に思う方もいます。
先にお話ししたように、万障とは「障害」のこともいいます。仮に、相手に重要な予定があった場合、相手の予定を「障害」といっていることと同じことになるのです。
つまり、相手が出欠を判断するようなことに、万障お繰り合わせの上という言葉を使うことで、「相手の予定より私の予定の方が大切だ」と言われたととらえる方もいます。
そのため、結婚式など相手が出欠を決めるような招待状や案内状に「万障お繰り合わせの上」を使用することも、失礼になるので注意してください。
「万障お繰り合わせの上」という言葉の使い方として、来ても来なくても自由という催事などに招待する場合が正しく、出欠を取るような招待には使うと失礼になるので気をつけましょう。
「万障お繰り合わせの上」の例文
ビジネスとして、使い方を間違えたり相手にとって失礼になってしまうのは、なんとしても避けたいところです。
そこで、「万障お繰り合わせの上」をどのように使うといいのか、2つのシーン別に例文をそれぞれご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
主催者側が招く時の使い方
イベントなどの主催者側として出す招待状に「万障お繰り合わせの上」を用いる場合、例文として「万障お繰り合わせの上、ぜひご参加ください。」や「ご多忙とは存じ上げておりますが、万障お繰り合わせの上ご参加いただければ幸いです。」といった使い方があります。
口頭で主催者側として告げる例文としては、「ご多忙中の中、大変恐れ入りますが万障お繰り合わせの上ご参加くださいますよう、よろしくお願い申し上げます」などといったものがあります。
基本的に、招待をして来ていただく側からの言葉なので、「万障お繰り合わせの上」の定型句の前に「ご多忙とは存じますが」など相手を配慮する言葉をつけることで、ぐっと丁寧な言葉になり心づかいを感じる文書になります。
ただ、先にお話ししたように目上の方や、出欠の確認ができていない方に出す文書として「万障お繰り合わせの上」を使うと、誤解を招き不快な思いをさせてしまうことがあります。心配な場合は無理に使おうとはせず、「ぜひご参加ください」など言葉をやわらかく変えることも大切です。
社内で使う時の使い方
社外への文書だけではなく、社内の忘年会などのイベントにも「万障お繰り合わせの上」という言葉を使用することができます。
新年会の参加者を募る場合でも、例文としては「新年を迎え、ご多忙とは存じますが、社員一同親睦を深めるためにも万障お繰り合わせの上、ご参加ください。」といった形になります。
他にも、送別会の場合は「送別会を開催します。皆様には万障お繰り合わせの上、ご参加いただけますようお願いいたします。」といった使い方もあるので覚えておきましょう。
社内で使用するとしても、「万障お繰り合わせの上」の意味は同じです。基本的に予定があっても都合をつけてきてほしいという、いわば文書をつくった側の都合です。
言葉のとらえ方は人それぞれあるので、場合によって「万障お繰り合わせの上」という言葉は、社内であっても失礼と感じる方もいます。出欠の有無が必要ないもしくは、すでに出席がわかっている場合に使用するようにしましょう。
「万障お繰り合わせの上」は予定を調整してほしいという意味
「万障お繰り合わせの上」とは、相手が忙しいと知りつつもぜひ都合つけてほしいというお願いの言葉です。招待状や、催事の案内状などによく使用されていて、一度は聞いたことがある方も多くいるでしょう。
ただ、ポピュラーであっても読み方を間違える人も多く、万障は「まんしょう」ではなく「ばんしょう」なので注意してください。また、類語である「万難を排して」という言葉に変えるというもの考慮しましょう。
ただ、目上の人や出欠を取るような状況の場合は、失礼になることがあります。言葉の受け取り方は人によって異なるので、配慮したうえで使用するようにしてください。