お見舞いの手紙を書く時の書き方とマナー
最近では手紙を書く機会が減ってしまいましたが、知人や友人が病気で入院してしまった際、遠方でお見舞いに行けないときなどはお見舞いの手紙で連絡を取りたいときもあります。
その様なお見舞いの手紙を書きたいときに、マナーに則った手紙の書き方はご存知でしょうか。お見舞いの手紙には書いてはいけない言葉があったり、本人に出すのかご家族に出すのかでも書き方が異なっていたりと、書き方にもマナーが存在しています。
今回は、病気で入院した方へのお見舞いの手紙に関するマナー、書き方を例文とともに紹介します。せっかくお見舞いの手紙を書くのであれば、マナーを守ったうえで、心のこもった手紙を書けるようにしましょう。
書き出しのマナー
まずは手紙の書き出し部分のマナーから紹介します。今回は、病気で入院している方へのお見舞いの手紙となりますので、通常の手紙とは書き出しの部分から書き方が違います。
通常の手紙の書き方は、前文を書いた後に本文に入っていきます。しかし病気のお見舞いの際の手紙の書き方は、前文を省略してすぐにお見舞いの言葉を書き始めます。
例えば「ご入院の報を受け、心よりお見舞い申し上げます」で始め、最後は「私にできることがありましたら、なんなりとご連絡ください」などの気遣いの言葉で締めましょう。手紙はあまり長くなりすぎない方が良いので、手短に。
相手に呼びかけるときのマナー
お見舞いの手紙に限りませんが、手紙を書くときに使用する呼びかけの言葉は見ればわかるものの、いざお見舞いの手紙を書こうと思った時にパッと出てこないワードでもあります。お見舞いの手紙以外にも使用する機会がありますので覚えておきましょう。
父親は『父上様、ご尊父様』。母親は『母上様、ご母堂様』。奥様は『奥様、ご内儀様』。夫は『ご主人様 』お子様は『〇〇君/ちゃん』。息子は『ご子息様』。娘は『お嬢様』。どの言葉も手紙等で目にした機会があるでしょう。
これらの言葉は、結婚報告に対する返答や訃報連絡がメール等で来た際など、お見舞い以外の手紙やメールでも使用する機会がありますので、改めて確認しておきましょう。
お見舞いの手紙の例文
ではここで、入院された方へのお見舞いの手紙を、ケース別で具体的に紹介していきます。病気や怪我、事故で入院している本人に向けたお見舞いの手紙。同様のケースでご家族が入院されているときのお見舞いの例文。
次に、災害に合われたケースで、本人が災害に合われた場合のお見舞いの手紙。そして、災害に合った取引先に対して送るお見舞いの手紙の例文を紹介します。
病気・怪我・事故で入院している本人に向けた例文
ではまず、病気等で入院している本人へのお見舞いの手紙の例文を紹介します。先に紹介したように、お見舞いの手紙は出来るだけ簡潔に書いた方が良く、全文は省略します。
ご入院の報を受け、心よりお見舞い申し上げます。お見舞いに伺いたいと思いながら、お伺いすることができずご容赦ください。経過良好とのこと、まずは安心いたしました。
私に出来ることがございましたら何なりとお申し付けください。しっかり回復していただけるよう、ご静養くださいますようお願いいたします。
この分量程度の簡潔な文面で書くことが望ましいと言われていますが、ご本人の状態やご自身との関係性によりお見舞いの言葉の文面、分量は調整してください。
病気・怪我・事故で家族が入院しているときの例文
次に病気等でご家族が入院されている方へのお見舞いの手紙です。ここでは、先に紹介した呼びかけを使用して入院しているご家族の呼び方を使用します。例文では息子さんが入院されているケースで例文を紹介します。
このたびはご子息様が入院なさったとのこと、本当に驚きました。その後、具合はいかがでしょうか。〇〇様(宛先の方)も、ご看病での心労でお疲れのことと存じますが、お体にはお気を付けください。
先ほど同様、前文はなく入院されたご子息様への言葉と、宛先の方への心遣いという構成になります。このようなケースも多々ありますので、ご自身のアレンジを加えて使用してください。
災害に合った個人への例文
続いて災害に合われた方へのお見舞いの手紙の例文を紹介します。最近は各地で地震や台風による被害が増えています。このような状況でお見舞いの手紙を出す機会に参考にしてください。
先日の災害(具体的に)では、〇〇様ならびにご家族の皆さまの無事を聞き一安心しました。しかしながら、家屋の一部に被害があったとのこと、ご心労お察し申し上げます。すぐにでもお助け申し上げたいところですので、ご入り用の品がございましたらお申し付けください。
災害に合った取引先へ例文
最後は、災害被害に合われた取引先へのお見舞いの手紙です。ビジネス上の取引のある企業への手紙という事で、これまでよりも文体はしっかりしたものになります。
急啓 先日の災害(具体的に)では、御地も被害を受けたとの報を聞きおよび、皆様の無事を心配しております。社員の皆様に加え、ご家族の皆様のご心労お察し申し上げます。
日頃、大変お世話になっておりますので、社員総出でお助け申し上げたいのですが、遠方ゆえ駆けつけることもかなわず、もどかしい想いで筆をとりました。
ご入用の品等ございましたら、すぐにお送りいたしますのでお申し付けください。くれぐれもご無理なさらず、お体ご自愛ください。取り急ぎ書中にてお見舞い申し上げます。 草々
お見舞いの手紙で使ってはいけない表現
これまで紹介してきたように、お見舞いの手紙では安否と心情への気遣い、温かい文章になるように気を付けます。同時に送るタイミングにも注意しましょう。早く送ることも大切ですが、気遣いをさせないようなタイミングを図ることも大切です。
前向きな表現を使う方が良いですが、社会復帰を急かして焦燥感を感じさせてしまうような文面は避けましょう。受け取る側の感情や状況を想像しながら文章を書くことが大切です。
ではここで、お見舞いの手紙に使用してはいけない表現を紹介します。使用してはいけない理由も添えて紹介しますので、うっかり使用してしまわないよう注意してください。
他の出来事と比較すること
最初の使用禁止ワードは、『他の出来事との比較』です。例えば、相手が病気や事故に合われていたような場合、他の病気や事故、災害と比較した文章を書くことは避けましょう。
例えば、以前のあの病気の時よりも元気そうで良かった。他の場所で起きた災害の被害に比べて被害が小さくて良かった。というような比較を指しています。
病気・症状について踏み込むこと
続いては、一般的なマナーとしても知られている事柄なので、ここで必要以上に触れる必要はないかもしれませんが、相手の病名、病状を必要以上に聞くこと。または病気や症状に触れる内容を記載することです。
病気や病状は、他人にはあまり話したくない場合も多くあります。自分が知っている内容以外にも、触れられたくない状況があるかもしれません。仮になかったとしても、そもそも病気の事に触れたくないと相手が考えていることもあります。
快復を祈念する等、あくまでも相手の病状に触れずに温かい言葉をかけるような文面になるよう留意しましょう。
忌み言葉を使うこと
こちらも詳しく説明する必要がないかもしれませんが、『忌み言葉』を使うことは避けましょう。不吉な事を想像させる『忌み言葉』を使わないことは一般的なマナーでもありますが、言葉の選択には気を付けるようにしましょう。
結婚祝いや出産祝いなど、それぞれのシチュエーションでの『忌み言葉』がありますので、ここではお見舞い時の『忌み言葉』を紹介します。
『弱る、枯れる、衰える』などの衰弱を連想させる言葉。『重なる、続く、再び、度々』など、病気等の再発を連想させる言葉。そして『終わる、消える、落ちる、苦しむ、折れる』などの終焉を連想させる言葉です。また、『四、九』の使用も避けた方が良いとされています。
追伸を書くこと
禁止事項の最後は、『追伸』を書くことです。先ほど紹介した『忌み言葉』と近い理由から使用しない方が良いとされているのですが、追伸には『本文に加えて物事を伝える』ということから、『重なるイメージ』を与えてしまう恐れがあります。
病床(や災害被害に合われた)方に、それらの事象が重なって発生するような印象を与えてしまうことが失礼に当たることへの懸念から、お見舞いの手紙では使用しないことが礼儀とされています。
お見舞いの品物とお見舞い状を一緒に送りたい場合
さてここまでは、お見舞いの手紙だけを送る場合の例文を紹介してきましたが、実際にどなたかのお見舞いに伺い、お見舞いの品物と手紙を渡したいという場合もあります。
ここでは、お見舞いの品物とともにお見舞い状をお渡しするような場合に気を付けるべきことを紹介します。難しい事柄ではありませんので、覚えておいてください。
添え状を送付して送る
親、親せき、友人などにお見舞いの品を送る際、やや堅苦しい印象のある手紙(送り状)は不要に感じることもあるでしょう。そのように送り状が不要と感じるような場合は、2~3行の少ないメッセージを、小さめのメッセージカードに書くことをお薦めします。
この程度のメッセージカードは、宅配便に同封して発送することも可能です。裏を返すと、これよりも長い文章が書かれた手紙やはがきを送る場合は、品物は宅急便で送り、手紙やはがきは普通郵便で送る必要があります。
なお宅配便を利用せず、追跡サービスや保証のない『定型外郵便』を利用した場合、品物と手紙を一緒に送ることが可能になります。なぜ、このような事になるのかを以下で紹介します。
手紙とお見舞いの品は原則は別々に送る
なぜ、お見舞いの品物とお見舞い状を別々に送らなければならないのか。その理由は法律に定められているからなのです。
手紙は『信書』に分類されます。郵便法という法律がありますが、郵便法の中で、宅配業者による『信書』の取り扱いが認められていません。
そのため、宅配業者が扱う宅急便の中に手紙(信書)を入れて送ることができないという事になるのです。これが、お見舞いの品物に手紙を添えた状態で宅急便で送ることができない理由になります。
お見舞いの手紙はマナーを守って丁寧に書こう!
お見舞いの手紙を書く際のマナー、禁止事項、例文を紹介してきました。病気や災害に合われた方に、心を込めた手紙を書いているのに、マナー違反で気分を害してしまった。
そのようなことが起きないよう、お見舞いの手紙を書く際は、これらの事に十分に注意し、言葉を選んで書くように心がけてください。