「応酬」の意味は複数ある?
普段、何気なく使っている「応酬」という言葉ですが、あまり意識して意味を考えた事もない人は多いはずです。それだけ「応酬」という言葉は、皆さんの中で馴染み深い言葉でもあると言えます。
そんな「応酬」という言葉に今回はフォーカスして紹介していきます。実は「応酬」には複数の意味があります。ここでは、順を追って紹介していきます。
「応酬」の読み方
日本語には音読みと訓読みがあります。音読みというのは、元々の中国語の漢字の読み方を指しています。そして、訓読みはその漢字の持つ意味を日本語に変化して生まれた読み方の事を指します。
「応酬」は「おうしゅう」と読みます。これは、どちらも漢字の音読みの発音で読んでいます。このように基本的には、音読み同士で読まれる事が多いですが、稀に音読みと訓読みが合わさる時があります。
このように音読みと訓読みの順番で読まれる事を「重箱読み」と呼ばれ、逆の順番で読まれる事を「湯桶(ゆとう)読み」と呼ばれます。
「応酬」の意味は3つ
「応酬」という言葉の中には、3つの意味が隠されています。それは「議論する」「やりとり」「暴力で返す」という意味になります。それぞれ、場面によって使い方が決まっているため、注意が必要です。
「応酬」は1人でいるときや一方向での使い方はできないです。なぜならば、この「応酬」という言葉には「相手の言葉や行いに対して返答すること」が必要であり、自分だけでは使えない言葉だからです。
応酬の使い方は?例文までを紹介
先ほどまで「応酬」には3つの意味があると紹介しましたが、ここでは「応酬」の使い方を例文を交えて紹介していきます。
「応酬」は、それぞれの意味によって使い方が変わります。最初は、覚えるのが大変かもしれませんが、使い方を覚える事ができれば、様々な場面で「応酬」が使えるようになるため、頑張って覚えましょう。
「論議する」という意味を持つ応酬の使い方
まず始めに「議論する」という意味を持つ「応酬」の使い方を紹介していきます。議論とは、会社の会議や学校でのディベート大会などで会話をしている状態を表しています。
このような状態の際に「応酬」を使います。わかりやすいように「応酬」を使った例文を2つ用意したので、使い方の参考にしていきましょう。
使い方と例文①応酬を交わす
まず1つ目に「応酬を交わす」という表現になります。これには「議論を交換する」という意味が含まれています。議会を開き、そこで議題に対してお互いに意見を述べている状態を表しています。
例文としては「この前の会議では、多くの役員が応酬を交わしました」という使い方ができます。特に、この表現は深い議論ができた時に使われている表現方法です。
使い方と例文②非難の応酬
2つ目に紹介していくのは「非難の応酬」という表現になります。これは、お互いに相手の弱点を刺激していくような良くない表現の言葉を使い、議論をしている状態のことを指しています。
例文としては「ホームページが一時停止をしてしまい、責任者は利用者と非難の応酬になった」という使い方ができます。特に何か問題が起きた際にはよく使われている表現方法になります。
「やりとり」の意味を持つ応酬の使い方
次に「やりとり」という意味を持つ「応酬」の使い方を紹介していきます。やりとりというのは、自分と相手の会話や行為が続いている状態を表しています。
このような状態の際に「応酬」を使います。ここでもわかりやすいように「応酬」を使った例文を用意したので、使い方の参考にしていきましょう。
使い方と例文①応酬合戦
「応酬合戦」という表現は、自分と相手のやりとりが続いている状態を表していますが、どちらも一歩も引いていない状態を指しています。
例文としては「今回もライバル会社とのプレゼンは、応酬合戦だった」という使い方ができます。特にこの「応酬」の使い方は、白熱したやりとりの時ほど使われている表現方法です。
「暴力で返す」の意味を持つ応酬の使い方
最後に「暴力で返す」という意味を持つ「応酬」の使い方を紹介していきます。先ほどまでは、どちらかというと言葉や会話の意味が強かったですが、ここでは行為としての意味合いが強くなります。
そのため、相手から何かされた場合にこちらも同じように行為で返す表現になります。こちらもわかりやすいように「応酬」を使った例文を用意したので、使い方の参考にしていきましょう。
使い方と例文①パンチの応酬
「パンチの応酬」というのは、相手の暴力に対して自分も暴力で返している状態を表しています。例文としては「今日の試合はパンチの応酬だった」というような使い方ができます。
よくボクシングなどがテレビで放送されていると「パンチの応酬」という表現方法が使われています。日常では、あまり使われて欲しくない表現ですが、言葉と行為の違いについては、頭にしっかりと入れていきましょう。
「応酬話法」とは?
少し聞きなれない言葉ですが「応酬話法」というのがあります。「話法」というのは、話法というのは、話す方法のことを指します。また、話す技術という捉え方もできます。
「応酬話法」というのは、ある分野での会話の技術の事を指しています。ここで、詳しく紹介していきます。
「応酬話法」はセールストークのことを示す
実は「応酬話法」というのは、セールストークの事を指しています。セールストークというのは、営業職の人や店頭に立って販売をする人が使う会話の技術の事を表しています。
そして、セールストークというのは、様々な技術があります。その時の相手の質問や答えに対して、どういう会話をすれば相手が納得するのかを判断していく方法です。
また、状況によっても変わってくるため、判断が難しい技術ではありますが、ここでは基本的なものから抜粋して紹介していきます。一般の方でも参考になるため、ぜひ、目を通してみましょう。
「応酬話法」の技術①例話法
まず最初に紹介していく「応酬話法」の技術は「例話法」です。これは、字の如く何か例えるものを見つけて相手との距離を測る話法です。
皆さんも経験があると思いますが、何かを説明する時にただ言葉だけで商品の良さを説明されるより、例えるものを考えて商品の説明をされる方が、商品の良さがわかるはずです。
このように、営業職が使うセールストークには「例話法」が隠されています。そして、相手との距離を縮めていくのです。
「応酬話法」の技術②ブーメラン法
次に紹介していく「応酬話法」の技術は「ブーメラン法」です。これは、相手から来た質問をブーメランのように返す技術の事を指していますが、ただそのまま返すわけではないです。
例えば、自分が商品を相手に紹介していた際に、相手からはマイナスなイメージで質問されたとします。この時に、マイナスな部分をプラスに変えて相手が持っているマイナスなイメージを変えていく話法になります。
その結果、相手はマイナスに感じていた部分がプラスに変わってしまうため、納得してしまいます。そして、購入を断ってしまう理由がなくなってしまうのです。
「応酬話法」の技術③質問法
最後に紹介していく「応酬話法」の技術は「質問法」です。これは、こちらから相手が思っているマイナスなイメージを先にこちらから質問して答えてもらう技術の事です。
ここで重要なのが、相手から出た質問のマイナスなイメージをこちらからプラスに変える対処をする事です。これをする事で、相手は買わない理由が無くなり、断る事ができなくなってしまうからです。
「応酬」の類語と英語表現
ここで「応酬」の類語と英語表現を紹介していきます。まず、英語表現を考えていくとビジネスの現場でよく使われているのは「reply」「repond」という英語表現になります。
また、論争という表現になれば「debate」という英語表現になりますし、暴力の側面で考えれば「retaliate」という英語表現になります。
そして、類語に関していうといくつかの類語があったため、ここでは、順を追って分けて紹介していきます。
類語①やりとり
やりとりは「応酬」の意味も含まれていますが、類語でもあります。この場合のやりとりの意味は「言葉の交換」や「物の交換」という意味になります。
やりとりはよく使われている表現の1つです。特に「メールでのやりとり」という表現は皆さんも使っているはずです。
類語②返事
返事も「応酬」の類語の1つになります。返事というのは、誰かからの問いかけに対して「受け答えをする」という意味になります。
「応酬」は、相手がいないと使えない言葉ですが、返事も同様に相手がいないと使えないです。それを考えると2つは類語になっていきます。
類語③反駁(はんばく)
少し聞きなれない言葉ですが、反駁という言葉があります。反駁の意味には「相手の批判を論じ返す」という意味があります。
「応酬」には、議論するという意味も含まれているため、反駁は類語に当たります。また、似たような言葉で反論がありますが、これも「応酬」の類語の1つになります。
類語④交換
少し意外に思うかもしれませんが、交換も「応酬」の類語の1つになります。交換には「お互いに物を渡す」という意味があります。
1つ注意しなくてはいけないのは、交換には「応酬」のように暴力を返すような意味は含まれていないので、注意が必要です。
「応酬」を上手く使い分けるのには語彙力がカギを握る!
「応酬」は、使い方によっては様々な場面で使える非常に便利な言葉です。しかし、類語のように似た表現があるため、語彙力が必要になっていきます。
今回紹介した表現はもちろんですが、類語もうまく活用する事で会話のバリエーションは必ず増えるはずです。また「応酬話法」もうまく使えるように試してみましょう。