「頭が下がる思い」の意味
「あの人の行いには頭が下がる思いです。」や「この人の努力には頭が下がる思いです。」のように「頭が下がる思い」というフレーズを、日常生活やビジネスシーンで使ったことある方も多いと思います。
では、「頭が下がる思い」とは一体どのような意味があるのでしょうか?何気なく使っている「頭が下がる思い」というフレーズの意味を説明していきます。
特にビジネスシーンで使うことが多い「頭が下がる思い」という言葉ですが、使い方によっては間違った印象を与えかねません。正しい意味と使い方を理解して、「頭が下がる思い」というフレーズを使いこなしていきましょう。
相手に対して尊敬や感心している様子
「頭が下がる思い」とはどのような意味で、どのような思いなのでしょう。辞書で調べたところ、「頭が下がる思い」に含まれる「頭が下がる」という言葉には、”敬服する。感服する。”という意味があるそうです。
「頭が下がる思い」というフレーズは「敬服する思い・感服する思い」という意味があり、「敬服・感服」には「その人の日頃の行い・振る舞い・技に感心し尊敬する」という意味があります。
つまり「頭が下がる思い」は「その人の行いなどに感心し、尊敬する思い」という意味になることがわかりますね。これを理解して、使い方を間違えないように気をつけましょう。
「頭が下がる思い」の類語や言い換え
さて、「頭が下がる思い」という言葉の意味を説明しましたが、「頭が下がる思い」という言葉は類語に言い換えたり、似た意味のフレーズに言い換えることができます。
尊敬の意味を伝える際に「頭が下がる思い」という言葉だけではなく、様々な類語や言い換えフレーズを知っておくことで会話や文章のバリエーションに幅が出てくるので、こちらも合わせて覚えておきましょう。では、「頭が下がる思い」の類語や言い換えを詳しく説明していきます。
恐れ入る
「頭が下がる思い」の類語の一つ目は「恐れ入る(おそれいる)」という言葉です。例文として「〇〇様のスキルには恐れ入りました。」といった使い方があります。「恐れ入る」には、”相手の優れている点に、感心して、まいったと思う。 ”という意味があります。
「まいった(参った)」という言葉には「負けた」という意味合いがあるので「この人の〇〇には敵わない、負けた!」という気持ちが強い時には「あの人には恐れ入った。」のように言い換えることができます。
尊敬の気持ちと共に「敵わないな…」という気持ちが強い時には、「頭が下がる思い」という言葉から「恐れ入る」という類語に言い換えると、より一層気持ちが伝わるかもしれません。
尊敬する
「頭が下がる思い」の類語・言い換えの二つ目は「尊敬する」という言葉です。例文として「上司の仕事に対する考えを尊敬している。」という使い方があります。「尊敬する」の「尊敬」には”人格・知識・経験などの優れた人を、尊び敬うこと”という意味があります。
「尊敬する」という言葉の方が「頭の下がる思い」より、聞き馴染みがあるかもしれません。「尊び、敬う」ということは「大事にする、あがめる」という意味合いが強いので、「大切です、すごいです!」という意味で「尊敬する」という使い方をすると良いのでしょう。
すごいです!という時には、「頭が下がる思いです」という言葉から「尊敬しています」と言い換えると、すごいと思っている気持ちや大切に思っている気持ち、尊敬する気持ちがきっと伝わります。
一目置く
「頭が下がる思い」の類語・言い換えの三つ目は「一目置く(いちもくおく)」という言葉です。例文には「あの同僚の営業スキルには一目置いている。」という使い方があります。「一目置く」という言葉には”自分より優れていることを認めて敬意を払う。一歩譲る。”という意味があります。
語源は囲碁で、「弱い方が勝負を始める前に石を一つ置くこと」から来ているようです。このようなことから、「(貴方は私より優れているので)尊敬します」という気持ちの時は「頭の下がる思い」よりも「一目置いています」と言い換えると良いのではないでしょうか。
一つ注意したい点は「一目置く」の場合、『相手と自分を対等に思っていたけれど、貴方は私より優れているので一目置く』という意味に捉えられることが多いので、目上の方や年上の方に使うことは避けた方が無難です。
「頭が下がる思い」の使い方
ここまでは「頭が下がる思い」の意味や類語、言い換えについて説明してきました。次は「頭が下がる思い」の具体的な使い方を説明していきます。
類語との意味の違いを正しく理解して、的確に「頭が下がる思い」という言葉の使い方を把握しましょう。そうすることで、より一層尊敬の気持ちが伝わります。
何かに深く感じる様子を表す場合に使用
「頭が下がる思い」という言葉は「相手に対して”尊敬の気持ちが起こり”、”敬意を表さずにはいられない”」ときに用いる表現です。心の底から、その相手に対して尊敬する気持ちを持ったときに使うのが適切な使い方です。
その人の持っている技術、その人の行い、その人の人となり、日頃の振る舞い。このようなことに対して、心の底から「尊敬するな、素晴らしい。大切にしたい。」
そんな気持ちが起こった時、伝えずにはいられないときに「頭が下がる思いです。」という使い方をしてみましょう。そういった使い方をすることで、より気持ちが伝わるはずです。
「頭が下がる思い」の例文
使い方の次は、「頭が下がる思い」を使った例文をご紹介します。すでに説明をしてきたように「頭が下がる思い」という言葉には「その人の行いなどに感心し、尊敬する思い」という意味があります。
具体的には「その人の持っている技術、行い、人となり、日頃の振る舞いに感心し、尊敬せずにはいられない」という意味です。これを踏まえて、「頭が下がる思い」という言葉を使った例文を見ていきましょう。
頭が下がる思いでいっぱいです
「頭が下がる思いでいっぱいです」というフレーズを使用すると「あの人の仕事へ取り組む姿勢には、頭が下がる思いでいっぱいです。」という例文を作ることができます。一生懸命に仕事へ取り組んでいる人に対してこのような使い方ができるのではないでしょうか。
「頭が下がる思い」という”尊敬する気持ち”を表す言葉に、”いっぱい”という言葉を合わせた例文です。「頭が下がる思い」というだけでも尊敬せずにはいられない気持ちを十分に表しているのですが、さらにその気持ちを強めるために”いっぱい”という言葉を合わせましょう。
「あなたのことを尊敬せずにはいられません、その気持ちで心がいっぱいです!」といった気持ちが、きっと相手に伝わるはずです。
頭が下がります
「頭が下がる思い」という言葉を少し変え、「頭が下がります」として使うこともできます。例として、「どんなときも笑顔を絶やさない彼女の振る舞いには、頭が下がります。」 のような使い方です。
この例文では、どんな状況であっても笑顔を忘れない人に対して、その振る舞いを尊敬する思いを「頭が下がります」という言葉で表現しています。「尊敬します」という気持ちを「頭が下がります」と言い換えた例です。
頭が下がる人
「頭が下がる思い」を少し変え、「頭の下がる人」という使い方もできます。例文には「彼はいつでもストイックで、本当に頭が下がる人です。」といったものがあります。
「尊敬する人」を「頭の下がる人」と言い換えた例です。いつでもストイックな姿勢を貫く人に対して、その行い・振る舞いが本当に尊敬できる人ですという気持ちを表しています。
このように、様々な場面の「尊敬する気持ち」を「頭が下がる思い」「頭が下がる」といった表現に言い換えることができます。”尊敬します”とは一味違った表現にしたいときに、使ってみると良いのではないでしょうか。
※目上の人に使う際には注意が必要!
「尊敬する気持ち」を表す「頭が下がる思い」という言葉ですが、目上の人を指して使う際には注意が必要です。
目上の人に尊敬の気持ちを抱くのはごく自然なことですが、「頭が下がる思い」というのはその人の行いや言動、振る舞いを見ている中で抱く気持ちのことです。
そうなると、最初は目上の人に対して尊敬の気持ちを抱いていなかった、と捉えられることもあります。
人によって捉え方は様々ですが、目上の人には最初から尊敬の気持ちを持っているというのが一般的と考えると、目上の人に「頭が下がる思いです」と使うのは避けた方が良いかもしれません。
「頭が下がる思い」の英語表現
ここまでは「頭が下がる思い」「頭が下がる」といった表現の使い方の例、使う際の注意点をご紹介してきました。
ここからは、ビジネスシーンや日常で海外の方に対して「頭が下がる思い」「頭が下がります」といった気持ちを伝える際に使うことのできる英語表現をご紹介します。
社会のグローバル化に合わせて「尊敬の気持ち」を英語でも伝えられるようにすると、意思の疎通や円滑なコミュニケーション、友好な関係を築く助けになります。是非、「頭が下がる思い」やそれに似た気持ちの英語表現を覚えておきましょう。
感謝する
英語で感謝の気持ちと言えば、パッと思いつくのが「Thank you.」だと思います。ですが、より丁寧な表現として「grateful」「appreciate」という表現があるのも覚えておきましょう。
例文には【I'm very grateful to you. = あなたにとても感謝しています。】や【I appreciate it. = 感謝します。】があります。
「grateful」は「I'm grateful to 〜.」「I'm grateful for 〜.」と表現し「〜に感謝しています。」という意味になります。「Thank you.」と合わせて使うことも可能です。
「appreciate」はよりフォーマルな言い回しになるので、ビジネスシーンで使うのに向いています。「I appreciate 〜.」で「〜に感謝します。」という表現になり、ビジネスシーンでは主語を変えた「We appreciate 〜.」がよく使われています。状況に応じてこれらを使い分け、英語で感謝と尊敬の気持ちを伝えましょう。
尊敬する
尊敬する、という意味でよく使われる英語が「respect」です。また、別の表現として「look up to」も同じように使うことができます。例文には【I respect you. / I look up to you. = 私はあなたを尊敬しています。】といった使い方があります。
直訳すると「respect」には「再び見る→一目置く」、「look up to」には「仰ぎ見る」という意味があり、どちらも”見る”という意味合いが含まれていますが、少しニュアンスが違うので注意しましょう。
「respect」は日本語でいう「一目置く」に近い意味なので、対等な立場の人へ使うのが無難です。「look up to」は直訳して「仰ぎ見る」なので、既に自分より上の立場にいる人に対して使うのが適切でしょう。
称賛する
「称賛する」という意味で一般的に使われる英語が「prise」です。その他には「尊重する」「評価する」「重んじる」といった意味もあります。少し堅苦しい表現なので使う場面は少ないかもしれませんが、覚えておくと良い英語です。
例文には【It's worthy of prise. = 称賛に値する。】【I prise her decision. = 彼女の判断を称賛する。】といったものがあります。
日常会話に使用するというよりは、ビジネスなどで使う場面が多い単語でしょう。業績を讃えたり、何か評価をする場合に使えるのではないでしょうか。
英語でも「尊敬する」という意味を持つ単語は様々あることがわかりました。ご紹介した以外にも同じような意味合いを持つ英語は存在するので、興味を持った際は調べてみるのも良いと思います。英語の表現も身につけて、様々な人に尊敬の気持ちを伝えられるようにしましょう。
「頭が下がる思い」は尊敬や感心している様子
いかがでしたか?この記事では「頭が下がる思い」という言葉の意味、使い方、類語・言い換え、さらに英語での表現方法をご紹介しました。
「なんとなく知っていたけど、あまり使ったことはない…」という方も「頭が下がる思い」という言葉への理解を少し深めることができたのではないでしょうか。
「尊敬します。」「あなたを敬う気持ちでいっぱいです!」そんな気持ちになったとき、その気持ちを相手に伝えたいとき、是非「頭が下がる思い」というフレーズを使ってみてください。正しく使うことで、きっとその気持ちが相手にも伝わるはずです。