セントラルの意味とは?
「セントラル」という言葉は日常生活の中でも様々な場面で使われています。一般的には「中央の」「中心の」といった意味の形容詞です。その他にも日本においてはサッカーや野球の分野で固有の使い方をしています。
しかし、「セントラル」は非常に幅広く使われているだけに、間違った使い方となっているのも事実です。そこで「セントラル」の正しい意味や使い方について解説します。
セントラルの語源
「セントラル」は非常に日本語に馴染んでいるカタカナ語ですが、語源は英語の「central」です。英語の「central」は「中央の」「中心の」といった意味のほかに、「中心的な」「主要な」「重要な」といった意味でも使われます。
ちなみに英語の「central」の語源はラテン語の「centre」です。その意味は「円の中心」となり英語、日本語ともほぼ同じ意味の使い方であることがわかります。
セントラルとセンターの違い
「セントラル」の語源は英語の「central」であり、「中央」「中心」を意味する形容詞です。「central」の名詞は「center(=センター)」となり、日本では「セントラル」同様によく使われています。
「センター」も「中央」「中心」に加え「主要」「重要」などの意味です。ただし、「セントラル」は他の名詞に付すことで意味を持つのに対し、「センター」は単独で使われます。そのため、より意味のハッキリとした表現になるといえるでしょう。
なお「センター」を使った例文としては「トロフィーを壇上のセンターに設置しよう。」「センターには主賓に座ってもらおう。」「猛練習でセンターのポジションを奪い取った。」となります。
セントラルのサッカーにおける意味・使い方
「セントラル」はサッカーの世界でもよく用いられている言葉です。その意味としてはポジション名「セントラル・ミッドフィルダー」がよく知られるところですが、クラブ・チーム名に使われている場合もあります。
サッカーの世界で用いられる場合、基本的な「セントラル(中心の)」の意味は当然として、固有の意味・使い方を理解しておくことが大切です。そこでサッカーがより楽しめるよう「セントラル」の意味や使い方・例文を紹介します。
セントラル・ミッドフィルダーの意味
サッカーの世界で「セントラル」は「セントラル・ミッドフィルダー」というポジション名を意味する際に用いられます。サッカーにおいて重要なのは、11人の選手のポジショニングであり戦術です。
サッカーの戦術において3-4-3もしくは4-4-2といったシステムを導入した際、真ん中には4人の選手が配置されます。「セントラル・ミッドフィルダー」とはこの4人のうち、中央2人のポジションの意味です。
なお「ミッドフィルダー」の語源は英語の「Midfielder」となり、「central(中央の)」を付すことで中央2人のポジションを意味します。ちなみに、外側2人のポジション名を意味するのは「Side Midfielder(サイド・ミッドフィルダー)」です。
セントラル・ミッドフィルダーの役割
セントラル・ミッドフィルダーとなる選手は、戦術上攻守ともに優秀な仕事が求められます。そのため、スピードはもちろん、豊富な運動量と持久力が備わった選手でなければなりません。
つまり、セントラル・ミッドフィルダーの「セントラル」とは戦術上のポジショニングでだけでなく、チームの中心選手を意味しているともいえるのです。
ちなみに、セントラル・ミッドフィルダーは3-4-3もしくは4-4-2のシステムでなければ存在しません。異なるシステムだとポジション名も変わるのが、サッカーの醍醐味でもあるのです。
セントラルを用いたクラブ・チーム
サッカーの世界において、クラブチーム名に「セントラル」を用いる場合があります。使い方としては「大阪セントラルFC」「宗像セントラルFC」「セントラルFC宮崎」といった具合いです。
この3チームはプロではありませんが、それぞれの地域を拠点として活動しています。もともとサッカーは地域に根差したスポーツですが「セントラル」を付すことで、より「中心的な」「中央の」といった意味を強めているのです。
セントラルの野球における使い方・意味
「セントラル」はプロ野球の世界において、リーグ名「セントラル・リーグ」の意味として用いられています。プロ野球ファンのみならず、日本人には非常に馴染みの深い言葉です。
NPB(日本プロ野球機構)には、「セントラル・リーグ」のほかに「パシフィック・リーグ」があります。しかし、なぜこういった名称となったのか興味深いところです。そこで、「セントラル・リーグ」の由来や意味・使い方について解説します。
セントラル・リーグの意味
「セントラル・リーグ」の語源は英語の「Central League」であり、正式名称は日本プロ野球組織セントラル・リーグ運営部です。一般的には「セ・リーグ」もしくは「セントラル」と呼ばれることも多くあります。
「セントラル・リーグ」の歴史は長く続いており、発足は戦後間もない1950年です。それまで、日本のプロ野球は日本野球連盟が統括していました。ところが、1949年に新チームの加盟の是非を巡って2リーグに分裂します。
その際、新チーム加盟反対派の巨人、阪神、広島ら7球団で発足したのが「セントラル野球連盟」です。これに対して現西武ら3チームで発足したのが太平洋野球連盟(パシフィック・リーグ)になります。
セントラル・リーグの由来
日本野球連盟から「セントラル・リーグ」と「パシフィック・リーグ」の2リーグが発足しました。しかし、決して円満な形で発足したわけではありませんでした。それが、一番大きく反映されているのがリーグ名だといえます。
「セントラル・リーグ」の「セントラル」には「中央の」「主流の」といった意味が込められました。つまり「セントラル・リーグ」の由来は「自分たちこそ主流派であり正当な連名である」といった主張を意味しているのです。
一方「パシフィック・リーグ」のパシフィックの語源は英語の「pacific」であり「太平洋の」「平和な」という意味になります。ここでは「国際的な視野を持つ」という意味が込められており「セントラル・リーグ」への対抗意識がうかがえます。
セントラルの使い方
「セントラル」は「中央の」「中心の」といった意味の形容詞もしくは名詞で用いられるカタカナ語です。日常生活にしっかりと馴染んでおり、誰もが違和感なく使っています。しかし、馴染みが深いだけに思い込みによる誤った意味での使い方が多いのも事実です。
とりわけ、サッカーや野球の分野では固有な使い方をしますので、一般的な使い方と混同することも少なくありません。そこで、セントラルの様々な使い方について、例文を交えながら説明します。
例文①
「セントラルパーク」は誰もが知っているニューヨーク中心部にある公園の名前です。また、日本にも「サファリリゾート姫路セントラルパーク」「セントラルパーク地下街(名古屋)」といった名称があり、広く「セントラル」は使われています。
ここでの「セントラル(中心的な)」は、名詞である「パーク(公園)」を付して「地域の中心部にある公園」の意味です。とりわけニューヨークの「セントラル・パーク」は世界的にも有名な公園であることから、その使い方が各地に波及したと考えられます。
また「パーク」の語源である英語の「park」には「球場」など「特定の目的をもつ地域」といった意味です。そのため「公園」の意味にとらわれず広義に「セントラルパーク」は用いられています。
「セントラルパーク」の例文
「セントラル」を「セントラルパーク」とする場合、名詞としての使い方が一般的です。したがって例文としては「セントラルパークに行こう。」「セントラルパークへの行き方を教えてもらった。」などとなります。
また、ニューヨークと区別するため、地域名などを付して「○○セントラルパーク」として使われるのが一般的です。
名詞の使い方は非常に簡単なので、例文の中で間違った使い方となることはありません。ただし、「park」の語源には「球場」など「特定の目的をもつ地域」の意味がありますから、単純に「公園」だけをイメージしていると意味が通じなくなります。
例文②
「セントラルスクエア」とは「街の中心にある広場・広場」といった意味です。先に紹介した「セントラルパーク」と非常に似通った使い方をしますが、その意味は異なりますので注意しましょう。
「セントラルパーク」との違いは「スクエア」の語源から判断します。「スクエア」の語源は英語の「square」です。「square」には「正方形・四角」といった意味のほかに「街区」「交差点にある場所」を意味します。
「セントラルパーク」も同じく都心部の場所を意味しますが、「球場」「公園」など特定の目的をもった場所です。これに対して「セントラルスクエア」には特定の目的は存在しませんから「交流館」「多目的広場」など広義に用いられます。
「セントラルスクエア」の例文
「セントラルスクエア」も「セントラルパーク」と同様に名詞として使います。したがって例文は「セントラルスクエアに行こう。」「セントラルスクエアで会議が行われます。」「セントラルスクエアを含んだ施設名にしよう。」などです。
例文の中で文法的に間違えることはありません。ただし、「スクエアパーク」との使い分けが曖昧になりやすいので注意しましょう。つまり「square」の語源から「交流館」や「多目的広場」の意味であることを意識して用いることが大切になります。
例文➂
最近様々なメディアで「セントラルドクマ」という言葉を見かけます。この「セントラルドグマ」は分子遺伝学で使われる言葉です。「ドグマ」の語源は英語の「dogma」であり、「集団的な方針・理念」「宗教的な教義」といった意味になります。
つまり、「セントラルドグマ」とは分子遺伝学における基本原理のことであり、「中心原理」「中心の命題」といった意味です。人間の体を構築する上で最も重要なものはタンパク質となります。
タンパク質を構築するにはDNAからDNAに複製され、RNAに転写されタンパク質に翻訳される工程を辿ります。この一連の工程を人間の「中心原理」「中心の命題」と置き換え「セントラルドグマ」と呼んでいるのです。
「セントラルドグマ」の例文
「セントラルドグマ」は名詞として使います。例文としては「分子遺伝学におけるセントラルドグマについて学習しておきましょう。」「セントラルドグマこそ生命の究極的な原理だ。」「セントラルドグマこそ人間の根源である。」などです。
名詞としての使い方ですから、例文において間違えることは少ないといえるでしょう。ただし、「セントラルドグマ」の意味は非常に難解なので、しっかりとその仕組みを理解して使うことが大切です。
例文④
料理の世界でよく使われるのが「セントラルキッチン」という言葉です。「セントラルキッチン」とは、多くの料理人が働く中央集中調理場の意味となります。大型料理店や給食の調理場など大量の料理を調理する場面でよく見かけられます。
「セントラル」は形容詞として「中心の」「中心的な」といった意味です。したがって、「セントラルキッチン」のように「中央に集中させる」といった意味を持たせることもできます。
「中央に集中させる」といった意味では「セントラルファイルシステム」(コンピューターの中央集中管理システム)も同じ使い方です。非常に幅広く用いられる使い方なので覚えておきましょう。
「セントラルキッチン」の例文
「セントラルキッチン」は「キッチン」に付すことで名詞として使われます。例文としては「セントラルキッチンを改装しよう。」「給食を調理する現場ではセントラルキッチンが不可欠だ。」などです。
名詞として用いるので、文脈で混乱することはありません。ただし、例文で使用する際には、「セントラルキッチン」の意味をしっかりと理解しておくことが大切です。
セントラルは中央・中心という意味
「セントラル」は英語の「central」を語源として「中央」「中心」といった意味の形容詞として使われています。日本においては、様々な分野で使われており、とりわけサッカーや野球の世界では馴染み深い言葉です。
サッカーの世界においては「セントラル・ミッドフィルダー」というポジション名で知られています。また、野球の世界では「セントラル・リーグ」が有名です。どちらも、「中央」といった意味に加え「重要」「主流」といったニュアンスが色濃く出ています。
サッカーや野球のほかには「セントラルパーク」「セントラルスクエア」などが代表的な使い方です。いずれも、「中央の」に加え「拠点」「主流」「重要」といった意味が含まれていますので、例文で用いる際には注意しましょう。