アヒージョの基本の味付け
アヒージョはスペイン語で刻んだにんにくのことです。今では、刻んだニンニクとオリーブオイルを使って煮込む、マドリード以南の小皿料理の一種になります。
アヒージョは、オリーブオイルで食材を煮込んだスペイン料理です。基本の調味料はオリーブオイル・塩・鷹の爪(唐辛子)・にんにく・シェリー酒を使います。アヒージョは、カスエラと呼ばれる陶器の耐熱皿や、スキレットと呼ばれる調理道具を使います。
カスエラやスキレットは耐熱性で、そのまま食材を入れて火にかけて、食卓に置いて使います。家庭で作られているアヒージョのレシピは簡単なものが多く、塩で味付けをした食材をオリーブオイルで煮込むだけのものが大半です。
辛みが欲しければ鷹の爪をプラス
アヒージョの味付けは塩が基本ですが、にんにくや鷹の爪の辛味もアクセントになります。アヒージョの辛味は鷹の爪とニンニクを使います。
にんにくは辛みの他に、香りやコクを出すこともできます。一方、鷹の爪は純粋に辛さを出すために利用します。そこで、基本的なレシピの場合、1~2人前のアヒージョに鷹の爪を1本使います。
辛みが苦手な人は3~4人分で1本と減らします。
辛いものが好きな人は、鷹の爪の本数を増やします。鷹の爪の辛さはカプサイシンになります。カプサイシンは油に溶けることで、より辛さを増すことができます。そこで、オイルを使ったアヒージョでは、鷹の爪で辛さを調整するようにしましょう。
香りが欲しければハーブを追加
アヒージョには、様々な魚介やキノコ類、野菜などを入れてオイルで煮込みます。にんにくは魚介の臭みを消して独特の香りを楽しむことができます。
しかし、さらに香りを楽しみたいときは、ハーブを利用してみましょう。良く利用されるのはパセリですが、他にもイタリアンパセリやタイムを使うこともできます。鶏肉やエビのアヒージョの他に、鮭やマッシュルームのアヒージョにもピッタリです。
ハーブは、市販されている乾燥ハーブでも良いですが、本格的なアヒージョ作りでは、生のハーブを使いましょう。ミニプランターで簡単に育てられるハーブをキッチンで育ててみましょう。いつでも、手軽に生のハーブを利用し、アレンジしてみましょう。
本格的な味のためにはピュアオリーブオイル
アヒージョに欠かせないオリーブオイルですが、オリーブオイルにも様々な種類があります。それぞれ特徴が違い、出来上がった料理の風味も違ってきます。
アヒージョはオイルで煮込みますので、オリーブオイルの種類の違いが出る料理になります。そこで、美味しいアヒージョを作るためには、美味しいオイルを使いましょう。本格的なアヒージョ作りのおすすめはの、ピュアオリーブオイルです。
ピュアオリーブオイルは、普通のエキストラバージンオリーブオイルより沸点が高くなるため、弱火でコトコトと時間をかけて煮込みます。そのため、オイルの風味が食材にしっかりと染み込み、本格的なアヒージョを楽しむことができます。
アヒージョの飽きない味付け
アヒージョの味は、オイルと塩加減・辛さで決まります。特に味の決め手になるのがオリーブオイルです。アヒージョにとってオイルは味付けの基本になります。
そこで、どんな食材にも合う飽きない基本の味付けのコツについてご紹介しましょう。まず、オイルはピュアオリーブオイルを用意しましょう。飽きない味付けでは、塩加減は控えめに2人分でひとつまみ程度にします。にんにくは3~4カケ、鷹の爪は1本用意して下さい。
肝心のオイルはたっぷり、60~70ml用意するのがコツです。これが、アヒージョ作りの飽きない基本の味付けになります。ここに塩加減を変えたり、ハーブやバターを添えるアレンジや、食材によって変えたり自分好みの味付けにしましょう。
アンチョビ
アンチョビは塩漬けしたカタクチイワシのことですが、一般的にオリーブオイルに漬けこんだものが缶詰になっています。本格的な旨味と塩加減を味わうことができます。
オリーブオイルで漬け込んであるため、アヒージョのダシとして相性が良い食材になります。南欧料理では、コクのある塩加減をする時に利用されます。アンチョビは、ポテトや玉ねぎなど野菜が多い時に使うと味にアクセントがつき深みが増します。
アヒージョを作る時は、アンチョビ1~2枚(2人分)を使ってポテトやブロッコリー、タコ、海老などの魚介類と一緒にオイル煮にしましょう。アンチョビを入れる時は、塩は控えめ、塩茹でした食材を使う時は、調味料としての塩を入れなくても大丈夫です。
塩昆布
日本の和食は鎖国時代にもスペインやポルトガルから、料理が入っていました。そのため、南欧の料理は和食と相性が良く、日本人でも飽きない味が多いのが特徴です。
味付けでも、鰹節の旨味とトマトの旨味が同じグルタミン酸ということで、味覚も近いものがあるようです。そこでアヒージョにも合うのが、塩昆布などの和の調味料です。鷹の爪も和食でよく使われますが、塩昆布はアンチョビと同じような味付けのアレンジに使うことができます。
ただの塩分だけでなく昆布を使うことで、旨味も増し味にコクが生まれます。塩昆布はオリーブオイルとの相性も良く、にんにくと合わせてマッシュルームやエリンギのアヒージョを作ってみましょう。シンプルで旨味のあるアヒージョに仕上がります。
アヒージョを美味しく作るコツ
アヒージョを美味しく作るためのコツは、オイル選びから始まります。弱火でコトコトと煮込むために、オイルはピュアオリーブオイルを用意しましょう。
魚介は新鮮で大き目のものを用意し、必ず下処理をします。海老は背ワタを取り、他の魚介と同様に塩揉みをして下味をつけます、そのあと、片栗粉を入れた水にさらして汚れを浮かせて、最後にキッチンペーパーで水気を切りましょう。
野菜やキノコは、水にさらして汚れを浮かせたあと、下茹でをします。ジャガイモやブロッコリーは塩茹でにして下味をつけることがコツです。オイルに入れる時は、火が通りにくい野菜から入れ、火を通しすぎると固くなる魚介は、最後に鍋の余熱で火を通します。
ニンニクは多めが美味しい
アヒージョを美味しく作る時は、にんにくをたっぷり入れます。にんにくの中でも、特に粒が大きいほっこりしたものを探してみましょう。
薄皮を残したにんにくを、丸ごとそのままオリーブオイルで煮込む「にんにくのアヒージョ」もあります。にんにくのアヒージョは、ほっこりした甘味もありそれだけでも美味しい付け合わせです。ガーリックバターのようにパンや蒸かしたジャガイモにつけて食べて下さい。
にんにくはアヒージョの風味を良くするだけではありません。いくらオリーブオイルが身体に良いといわれても油です。にんにくは、油の取り過ぎが原因の血液のトラブルを、解決する効果が期待できます。そこで、美味しいアヒージョ作りには、にんにくは多めがコツです。
いれる食材に塩で下味をつける
塩分の取り過ぎは、世界的に問題になっています。日本では1日の摂取量が7~8gですが、イギリスでは4gとなっています。
アヒージョでは辛み以外では塩だけが基本の調味料になります。そこで、取り過ぎを防ぐために食材に下ごしらえの段階で、塩で下味をつけておきましょう。塩は味の効果だけでなく、塩揉みをすることで、食材の余分な水分を引き出し、殺菌する働きもあります。
魚介は、塩揉みをし汚れを落とした後水気を切ります。野菜を塩ゆでをして水気を切ります。そうすることで、食材にしっかりと味が染み込みます。下ごしらえの時、食材に塩味が染み込んでいるので、後で余計な塩を入れる必要もなくなり、塩分を控えることにつながります。
具材をすべてオイルに入れた後調味料をプラスする
アヒージョを美味しく作るコツは、美味しいオリーブオイルでしっかりと煮込むことです。味は、にんにくと鷹の爪、そして食材につけた塩味だけです。
しかし、食材に下味をつけるのを忘れてしまったり、それ以外の調味料を入れる時は、最後にプラスするようにしましょう。本格的なアヒージョ作りでは、オリーブオイルをスキレットやカスエラに入れて、にんにくを弱火で炒め、次に食材を入れます。
火が通りにくいものから入れ、弱火でコトコトと煮込んだら、最後に鷹の爪と塩で味を整えます。アンチョビや塩で味付けをした食材が入っている場合は、塩は控えめにします。塩以外ではバターやハーブ、エキストラバージンオリーブオイルを最後に合わせて仕上げましょう。
和風素材でのアレンジもおいしい
アヒージョには、海老や牡蠣・マッシュルーム・ジャガイモ・トマトなど南欧の魚介や野菜を使うことが良くあります。
しかし、和風食材の塩昆布やシラス・たらこ・えのき・オクラなどを使った和風アレンジもあります。オイルで煮込むアヒージョは、洋風でも和風でもアレンジをすることができます。和風食材のアヒージョは、旨味が煮込んだオイルに染み出してさらに美味しく仕上がります。
和風アレンジでは、たらことジャガイモが、パスタやフランスパンにピッタリです。また、シメジ・生姜・塩昆布・エビの和風アヒージョは、オイルを少なめにして、最後は焼うどんにしてみましょう。和風アレンジのアヒージョで、さらにレシピの幅を広げましょう。
アヒージョにおすすめの調味料
アヒージョ作りにおすすめの調味料は、塩やオイル以外にどんなものがあるのでしょうか。色々なアレンジで利用できる調味料を探してみましょう。
和風アレンジができるアヒージョを美味しく作るための調味料にはどんなものがあるのでしょう。和風の調味料としてあげられるのは、色々な料理で注目されている塩こうじや、海外でも人気の醤油があります。
また、色々な旨味を凝縮しているほんだしは、本格的なだしの旨味を手軽に取ることができます。
ほんだしは色々な食材に飽きない味付けができる顆粒だしです。オイルで煮込んだ食材の最後に、塩の代わりに利用して、アヒージョをアレンジしてはいかがでしょう。
塩こうじ
麹菌を使った塩こうじは、様々な食材に合うため、肉や魚・野菜・芋と色々な料理に利用されています。しかし、アヒージョではどのタイミングで塩こうじを使えばいいのでしょうか。
アヒージョの調味料を入れるタイミングは、オイルで食材を煮込んでからですが、塩こうじは下味をつける時に使うのがコツです。海老や鶏肉・タコなどを塩こうじで漬け込んで、下味をつけて置きます。
しっかりと塩こうじに漬けこんだ後塩分を落として、オリーブオイルの入った鍋に入れます。普通の塩での下ごしらえよりも、食材にしみこんだまろやかな塩加減と旨みを感じることができます。塩こうじを使ったアヒージョ作りを、ぜひ一度お試し下さい。
ほんだし
味噌汁に煮物・炒飯・うどんと様々な調理に使われるほんだしは、旨味を凝縮した本格的な顆粒だしです。手軽に本格的なだしが取れるため、多くの人に利用されています。
人工調味料と言われていますが、その研究の過程では本格的なアミノ酸成分への研究がされて、今では味の素の代表的な商品の一つになっています。飽きない旨味がどんな食材の美味しさを邪魔することはありません。
アヒージョの和風アレンジでも、しいたけやしめじ・おくらといった和風の食材を使うことがあります。和風の食材を美味しく仕上げるためにも、最後にはほんだしの旨味を添えるのも良いかもしれません。
醤油
醤油は大豆の発酵食品です。塩分取り過ぎと気にする人もいますが、塩と比較すると醤油の方がはるかに塩分は少なめになります。
そこで、最後に塩ではなく醤油を加えてみてはいかがでしょうか。醤油はただの塩味の他に原料に含まれる豆の旨味も持っています。醤油は、日本人の舌にとって飽きない調味料の一つです。そこで、最近ではパスタやピザの味付けにも利用されています。
アヒージョもパスタやピザと同じ感覚で食べることができる家庭料理です。オリーブオイルたっぷりの本格的なアヒージョに、仕上げの塩を醤油に変えたアレンジで、香ばしい香りを楽しんでみましょう。
アヒージョは丁寧に作るほど美味しくなる
手軽に作れるアヒージョは、キャンプなどでも人気の料理になっています。しかし、下ごしらえや時間をかけて煮込むなど、時間と手間をかけることも大切です。
魚介類の雑味や汚れ、野菜の汚れはアヒージョのオリーブオイルの見た目も味も、悪くしてしまいます。そこで、丁寧な下ごしらえをしっかりとしましょう。下ごしらえができれば、キャンプで楽しむことができるのがアヒージョです。
下ごしらえのコツと、飽きない基本の調味料、そして自分だけの美味しいアレンジを見つけたら、後は時間をかけて弱火でコトコトと煮込むだけです。スキレットやカスエラに、海老とにんにく、鷹の爪を用意したら、本格的なスペインの家庭料理を楽しんでください。