精進の意味とは?
日本語には昔から使われていて難解な言葉がたくさんありますが、「精進」という言葉もそんな日本語の一つです。「精進」という言葉を聞いたことがあっても、「精進」の意味は良くわからないという人も少なくありません。
「精進」という言葉は相撲取りの人などが昇進した時に公式の場で述べる口上の中に使われることもありますが、難しい日本語だからと意味が分からないまま放置している人もいるでしょう。
「精進」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「精進」の意味をご紹介しましょう。
一つの事に精神を集中して励み一生懸命に努力するという意味
「精進」の意味の一つ目は、「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命努力する」という意味です。とても長い意味なので覚えられそうにないという人もいるぐらい、「精進」という短い言葉の意味は長いです。
「精進」という言葉はそれほどに努力をするという、重い意味を持つ言葉だということですが「精神を集中して一生懸命努力する」というように縮めて覚えておいてもOKです。
言葉の意味を覚えることは大切ですが、長すぎて覚えられないという場合には、大切な部分を残して省略して覚えると良いでしょう。
肉食せず菜食するという意味
「精進」の意味の二つ目は、肉食せず菜食するという意味です。「精進料理」という言葉を聞いたことがあるという人は結構多いでしょう。この「精進料理」の「精進」が「肉食せず菜食する」という意味に当たります。
仏教では殺生が禁じられているため、肉食せず菜食するのですが、肉を使わず野菜だけで作られた料理を「精進料理」と言います。
「精進料理」は肉を使っていませんが、大豆などで肉っぽいものを作ったり魚っぽいものを作ったりして見た目は普通の料理と大差ありません。なので「精進料理」に肉が使われていないと気づかない人もいます。
心身を清め行いを慎むという意味
「精進」の意味の三つ目は、「心身を清め行いを慎む」という意味です。こちらの意味の「精進」は主に仏教で使われる言葉で、僧侶などの間で使われる仏教用語としての「精進」です。
日本語には仏教用語から広まった言葉はとてもたくさんあり、「精進」という言葉もその一つだと言えます。
「精進」には「ひたすら仏道修行に励む」という意味もありますので、「精進」という言葉が仏教用語から来たということが良くわかるでしょう。
精進の由来
「精進」の意味についてご紹介しましたので、次は「精進」の由来についてご紹介します。先にもご紹介したように「精進」は仏教用語ですので、「精進」の由来は仏教用語だと言えます。
ですが仏教用語はさらにさかのぼると別の言語にたどりつきますので、「精進」の由来も仏教用語からさかのぼることができます。
「精進」という言葉の由来とはいったいどういうものなのか、「精進」の由来についてもご紹介しましょう。
強い男を意味する梵字が精進の由来
「精進」の由来は「強い男」を意味する「virya(ヴィーリャ)」という梵字です。この梵字を意訳すると「精進」という言葉になりますので、「精進」の由来は「virya」という梵字になります。
「virya」は日本語で音写すると「毘梨耶(びりや)」となりますが、仏教用語になると「強い男」「男らしい」といった意味ではなく「エネルギー」「勤労」と関連付けられ、求道者の間ではこちらの意味で使われます。
「精進」の由来は仏教関連でちょっと難しく、「精進」の由来は覚えにくいです。ですが由来まで覚えておくとちょっとした豆知識になりますので、覚えたい人は覚えておくと良いでしょう。
精進の類語
「精進」の由来についてご紹介しましたので、次は「精進」の類語についてご紹介します。「精進」の意味は「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命に努力する」という意味なので、これに近い意味を持つ言葉が「精進」の類語になります。
「精進」の意味はとても長くて複雑なので「精進」の類語はなさそうですが、ちょっと意味が似ている言葉も類語と言えますので、意外にも「精進」の類語に当たる言葉は多いです。
「精進」という言葉の類語にはいったいどのような言葉があるのか、「精進」の類語についてご紹介しましょう。
一生懸命
「精進」の類語の一つ目は、「一生懸命」です。「一生懸命」の意味は「命を懸けて物事にあたるさま」「本気で物事に打ち込むさま」という意味で、「精進」の意味の中にある「一生懸命」と同じです。
意味的には「一生懸命」はかなり「精進」に近い意味だと言えますが、「一生懸命」は「精進」の言い換えには使えません。
「精進」という言葉は「精進致します」などという使い方をしますが、「一生懸命」はその後に「努力します」「頑張ります」などという言葉をつけなければなりません。
誠心誠意
「精進」の類語の二つ目は、「誠心誠意」です。「誠心誠意」の意味は「この上ない真心を持って相手に接する」という意味で、一見すると「精進」の意味とは全く違います。
ですが「誠心誠意」は「この上ない」という最上級の表現ですので、そういった意味では「精進」の意味と似たニュアンスがあると言えます。
「誠心誠意」も「一生懸命」と同じく「精進」の言い換えには使えませんが、「誠心誠意」も「精進」の類語になります。
精一杯
「精進」の類語の三つ目は、「精一杯」です。「精一杯」の意味は「持っている力のすべてを出すこと」という意味で、強い積極性を表す言葉です。
「精進」の意味は「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命努力する」という意味ですので、「精一杯」は「精進」の意味にとても近い意味を持つ「精進」の類語になります。
ですが「精一杯」も先にご紹介した「一生懸命」「誠心誠意」と同じく「精進」の言い換えには使えません。
熱中する
「精進」の類語の四つ目は、「熱中する」です。「熱中する」の意味は「一つの物事や活動に集中し、深く心を傾ける」という意味ですので、「精進」の意味「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命努力する」という意味に近いです。
「熱中する」は意味的には「精進」に極めて近いと言えますが、少し違うのが「深く心を傾ける」という点です。
「精進」は精神を集中するだけではなく努力をします。ですが「熱中する」には努力を伴わない場合もありますので、そういった点では「熱中する」は「精進」とは少し違うと言えます。
必死になる
「精進」の類語の五つ目は、「必死になる」です。「必死になる」の意味は「死ぬ覚悟で全力を尽くす」という意味です。
「精進」の意味は「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命努力する」という意味ですので、「必死になる」はかなり意味的に「精進」に近く、「必死になる」は「精進」の類語になります。
ですが「必死になる」は「精進」の言い換えに使えそうで使えませんので、その点では「精進」とは少し違います。
努力をする
「精進」の類語の六つ目は、「努力をする」です。「努力をする」の意味は「願望の達成のためにこつこつと励む」という意味です。
「精進」の意味の中に「努力する」という言葉がありますので、「努力をする」はストレートに「精進」と同じ意味を持つということになり、「努力をする」も「精進」の類語になります。
「努力をする」は「努力」という使い方なら「精進」の言い換えに使うこともできますので、その点でも「努力をする」は「精進」の類語だと言えます。
奮励する
「精進」の類語の七つ目は、「奮励する」です。「奮励する」の意味は「気力を奮い起こして、努め励む」という意味です。
一見すると「奮励する」の意味は「精進」の意味とは全く違うようですが、「気力を奮い起こして、努め励む」というのは「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命努力する」に近いニュアンスがあります。
そのため「奮励する」も「精進」の類語だと言えますし、「奮励」という形なら「精進」の言い換えにも使えるので、「奮励する」は「精進」に極めて近い言葉だと言えます。
精進の英語表現
「精進」の類語についてご紹介しましたので、次は「精進」の英語表現についてご紹介します。日本語には難しい言葉が多く英語に翻訳するのが難しい言葉がたくさんありますが、「精進」も英語に翻訳するのが難しい日本語です。
ですが英語の中には日本語に翻訳する際に意訳で色々な日本語に対応する言葉も結構あり、「精進」に対応する英語も存在しています。
「精進」の英語表現にはいったいどのような英語が当てられるのか、「精進」の英語表現についてもご紹介しましょう。
devotion
「精進」の英語表現には「devotion」という言葉が当たります。「devotion」の意味は「献身」「信心」「真心」「精進」など色々あって、「精進」の英語への直訳にも使えます。
また「devotion」を動詞にすると「devote」になりますが、この「devote」に「oneself」をつけると「精進する」の英語表現になります。
「精進」を英語に翻訳する場合には「devotion」、「精進する」を英語に翻訳する場合には「devote」を使うということです。
精進の使い方
「精進」の英語表現についてご紹介しましたので、次は「精進」の使い方についてご紹介します。「精進」の意味は「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命努力する」という意味ですので、そういうことを言いたい時に使えます。
「精進」という言葉はビジネスシーンなどで使われることも結構多く、日常生活の中で簡単に使うことができます。
「精進」という言葉はいったいどのような使い方をすれば良いのか、「精進」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「精進」の使い方の例文の一つ目は、「ご期待に沿うよう今後も精進して参ります」という例文です。この例文の意味は「期待に沿えるように今後も一生懸命努力します」という意味です。
「精進」の意味は「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命努力する」というちょっと難しい意味ですが、「一生懸命努力する」というシンプルな意味で使うこともできます。
例文②
「精進」の使い方の例文の二つ目は、「未熟者ではございますが、日々精進していく所存です」という例文です。この例文の意味は「未熟者ですが、毎日一生懸命努力していくつもりです」という意味です。
「精進」という言葉はちょっと堅い印象のある言葉ですので、ビジネスシーンで目上の人に対して使うことが多いです。
「日々精進していく所存です」という例文は、会社の上司などへの年賀状などで使うことができますので、年賀状で使ってみましょう。
例文③
「精進」の使い方の例文の三つ目は、「今後も会社に貢献できるよう精進致します」という例文です。この例文の意味は「今後も会社に貢献できるように一生懸命努力します」という意味です。
「精進」という言葉は後ろに「します」「致します」「して参ります」などという言葉をつけるのが一般的な使い方です。
相手と自分との関係性によって「精進します」「精進致します」「精進して参ります」「精進いたす所存であります」など使い分けると良いでしょう。
例文④
「精進」の使い方の例文の四つ目は、「まだまだ未熟者でございますので、今後も日々精進を重ねて参ります」という例文です。この例文の意味は「まだまだ未熟者なので今後も毎日一生懸命努力をし続けます」という意味です。
「精進」には「重ねる」をつけるという使い方もありますので、「一生懸命努力をし続ける」ということを言いたい場合には「精進を重ねる」と言うこともできます。
「精進」という言葉は「精進だ」などという使い方をすることはほぼなく、「精進します」「精進致します」などというようにあとに動詞をつけた使い方をするということを覚えておきましょう。
精進と邁進との違い
「精進」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「精進」と「邁進」の違いについてご紹介します。「精進」と間違って使われることの多い言葉に「邁進(まいしん)」という言葉があります。
同じ「進」という文字が入っていることから、「邁進」は「精進」と間違って使われることがありますが、実は「邁進」は「精進」とは違います。
「精進」と「邁進」にはいったいどのような違いがあるのか、「精進」と「邁進」との違いについてもご紹介しましょう。
邁進はまっしぐらに突き進むという意味
「邁進」の意味は「まっしぐらに突き進む」という意味ですので、「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命努力する」という意味を持つ「精進」とは全く違います。
「邁進」は「まっしぐらに突き進む」という、とても強い力で前進する意味がありますが、「一生懸命努力する」というニュアンスは含まれません。
「邁進」には「何事も恐れない」といったニュアンスがありますので、「邁進」はある意味無謀とも言える突き進み方だと言えます。
精進は一つの事に精神を集中して励み一生懸命に努力するという意味
「精進」の意味や由来や類語、「精進」の使い方などについて色々とご紹介してきましたが如何だったでしょうか。
「精進」の意味は「一つの事に精神を集中して励み、一生懸命努力する」という意味ですので、「精進」の意味を正しく知って正しく使いましょう。