デマンドの意味とは?
「デマンド」という言葉は、日常生活から医療や介護の場、ビジネスの場など様々な場面で使われることが多くなりました。そのため、「耳にする機会は多いのに、意味はよく分からない」と思っている方も多いのではないでしょうか?
今回は、そんな日常生活から医療、電力まで様々な意味合いで使われる「デマンド」の使い方について、例文と一緒にご紹介します。
デマンドとは要求や需要を意味する
「デマンド」とは、要求や需要を意味する言葉です。基本的に「デマンド」単体で使われることは少なく、「オンデマンド」や「インデマンド」など、他の単語と繋ぎ合わせて使われます。
「オンデマンド」とは、「すぐに要求に応じる」という意味があり、「インデマンド」は「需要がある」という意味があります。
デマンドの由来
カタカナ語である「デマンド」の元になっているのは、英語の「demand」ですが、「demand」の由来は古フランス語まで遡ります。古フランス語で「求める」を意味する「demander」から委ねるという意味を持つ「demando」が生まれました。
「mando」には「命令する」という意味があり、強調を意味する「de」と繋げて、「強く命令する」という意味合いを持つ「demand」が誕生したのです。元々「mando」には「兵士に指示する」という意味を持っているため、「demand」と「command」の由来はほぼ同じです。
英語の「demand」には、動詞の場合は要求するという意味があり、名詞の場合は需要や要求という意味があるため、英語とカタカナ語では大きな違いがありません。
デマンドの特徴
「デマンド」の意味や由来をご紹介してきました。元々が英語である「デマンド」には、英語とカタカナ語において多少意味合いが違ったり、使用する場面で意味合いが変わったりする特徴があります。
英語とカタカナ語で意味合いが少し異なる
「デマンド」の特徴の1つめは、英語とカタカナ語で多少意味合いが異なる点です。英語で「demand」を使うときには、自分の権力や立場に基づいた、強い要求を表しています。日本語で表現するとしたら、「叶うことが当然の要求」や「詰問」といった意味合いです。
そのため、目上の人や仕事の場で英語の「demand」を使うと、とても横柄な態度を与えてしまいます。カタカナ語の「デマンド」と同じような意味合いの英語としては、「request」の方が近いでしょう。
医療や介護現場でのデマンドの意味
カタカナ語における「デマンド」でも、使用シーンによっては意味合いが異なります。電力に対して使われる「デマンド」については後ほど詳しくご紹介しますので、まずは医療の現場で使われる「デマンド」についての意味をみていきましょう。
医療や介護で使われる「デマンド」も、要求や需要という意味合いと、大きな変化はありません。しかし、医療や介護の現場では、「デマンド」は患者や利用者はもちろん、家族の持つ要求や需要を意味します。
同じ意味合いを持つ「ニーズ」という言葉がありますが、「ニーズ」が患者や利用者にとって必要不可欠な要望であるのに対し、「デマンド」には叶えなくても生活には支障がないレベルの要求も含まれています。
デマンドの量によって料金が決まる電力
要求や需要といった意味を持つ「デマンド」は、日常生活から医療や介護の現場まで様々な使い方があります。
そんな「デマンド」の意味についてご紹介してきましたが、「デマンド」は電力でも使われています。続いては、電力で使われる「デマンド」の意味をみていきましょう。
デマンド値の意味や使い方
電力デマンドとは、工場などで使う電気の使用量を決める基準値のことです。デマンド値といえば、瞬時電力値のことですが、電力会社との間で使われるデマンド値とは、電気の需要時限を意味しています。
つまり、30分の間で使う電力が平均してどれくらい需要があるのかを意味します。このデマンド値によって、契約電力が決定します。
電気料金は、基本料金にプラスして電力使用量に応じた使用料金が加算されますが、500kW未満の高圧契約の場合、契約電力は最大デマンド値によって変動します。つまり、1日を30分ごとに区切り、平均使用電力が一番高い量が、その日の最大デマンド値となります。
日々の最大デマンド値を比較し、1か月間で一番高いデマンド値が、当月の最大デマンド値になります。月ごとの最大デマンド値を1年間比較したときに、過去11か月間の最大デマンド値よりもオーバーしてしまうと、契約電力が上がり、その後1年間の基本料金が上がってしまうのです。
もし最大デマンド値をオーバーして基本料金が上がってしまっても、その後1年間最大デマンド値を超えなければ、契約電力が下がって電気料金を減らすことができます。
デマンド監視システムの意味
1度でも最大デマンド値をオーバーしてしまうと、以後1年間電気料金が上がってしまうため、最大デマンド値に注意しながら電力を使うことが重要になります。
このときに使われるものが、デマンド監視システムです。デマンド監視システムとは、24時間電力を監視してくれるシステムの事で、大手電力会社はもちろん、各電力会社が用意をしています。
デマンド値を設定しておけば、そのデマンド値を超える前にアラームで教えてくれます。デマンド値は30分毎測定されるため、アラームが鳴ったら電力使用を分散させるといった対策がとれます。
最大デマンド値をオーバーしないよう、平均的に電力を使用することを、デマンドコントロールと呼びます。このように電力において、「デマンド」は重要な言葉として使われています。
デマンドの使い方
需要という意味を持つ「デマンド」について、日常生活から医療現場、電力関連に使われる様々な意味合いをご紹介してきました。
「デマンド」についての意味を理解したところで、さっそく例文と一緒に「デマンド」の使い方をみていきましょう。
例文①
1つめは、「ビデオ・オン・デマンドはやっぱり便利だ」という例文です。ビデオ・オン・デマンドとは、携帯やパソコンなど、インターネットに接続された様々なデバイスから、いつでもどこでも映像コンテンツを楽しめるサービスです。
「いつでもどこでも、思い立った時にすぐに見たいという要求に応えてくれる動画配信サービスは便利だ」という意味合いで使われます。
例文②
2つめは、「この地区にはデマンドバスが走っている」という例文です。バスの利用者の要望に応じて、乗り場やルートを変更しながら走るバスがデマンドバスです。
ルートが決まっていて、乗車する人がいなくても運行する通常の路線バスとは異なり、デマンドバスは事前にバスの予約をして、要望があったときだけ運行します。
乗り場やルートが予約した利用者に合わせた最適なものになっていますが、タクシーとは違い乗り合いのバスです。そのため、自分の行きたい目的地へまっすぐ行くとは限りません。バスとタクシーの中間の乗り物とイメージするのが分かりやすいでしょう。
そのためこの例文は、「乗り場とルートを要求に応じて柔軟に変更してくれるバスが走っている」という意味合いで使われます。また、デマンドバスはオンデマンドバスと呼ばれることもあります。
例文③
3つめは「これはインデマンド商品だ」という例文です。インデマンドとは先ほどご紹介したように、需要があるという意味があります。そのため、「これは売れ筋商品だ」という意味合いで使われます。
例文④
4つめは、「まずは患者のデマンドからニーズを追求しよう」です。この場合のデマンドとは、生活に支障はないけれど、患者が求めている要求を意味します。
そのため、「患者が求める様々な要求の中から、まずは生活に必要不可欠なニーズを見つけよう」という意味合いで使われます。
例文⑤
5つめは、「コスト対策のため、デマンドコントロールをしよう」です。この場合のデマンドは電力の最大需要量を意味しているため、「電力の最大需要量を調節して、コスト対策をしよう」という意味合いで使われます。
デマンドは需要や要求という意味
様々なシーンで使われている「デマンド」の使い方について、意味や由来を踏まえながら例文と一緒にご紹介しました。
「デマンド」は要求や需要という意味合いがありますが、「デマンドバス」や「デマンドコントロール」のように組み合わされた言葉で使われていることが多いです。そのため、日本語に言い換え表現できるカタカナ語の中でも、言い換えが難しい言葉の一つです。
そのため、相手に「デマンド」の意味を説明するときには、言い換え表現をするのではなく、言葉の持つ意味をしっかりと教えてあげましょう。