懸念の意味とは?
「懸念(読み方:けねん)」という言葉を聞いたことがありますか。ビジネスシーンでもよく使われている言葉で「~が懸念される」「懸念が高まる」などという使い方で用いられています。
ビジネスシーン以外でも、諸外国の動きが日本に何らかの影響を及ぼしそうな場合の政府発表コメントを受け、「総理が中東情勢に懸念を表明した」などの使い方でニュースの見出しに使われることがあります。
この様に、日ごろ目にする機会の多い「懸念」という言葉について、正しく意味を理解できているでしょうか。先に紹介した例文からも、大よその意味は「不安」に近い意味だということはお分かりかもしれませんが、実は単に不安な様子を表している言葉ではありません。
今回は「懸念」の意味と正しい使い方、類義語である「危惧」「心配」などの言葉との違いやそれぞれの使い方を紹介します。「懸念」の由来、使い方、対義語、類似語の例文を確認しながら、英語表現でも「懸念」について紹介しますので、完全に自分の言葉にしてください。
懸念の語源
先ほど紹介したように、懸念の意味は「不安」に近い意味をもっています。しかし、それ以外にもいくつかの意味を持った言葉です。懸念の意味をしっかり理解していただくために、まずは「懸念」という言葉の語源を紹介し、そこから懸念の意味を紹介していきます。まずは懸念の語源から紹介しましょう。
懸念の語源
「懸念」の語源を紹介します。「懸念」という言葉は、元々は仏教の言葉でした。仏教の言葉では「1つのことに執着する」という意味でした。現在では「先々のことに対する不安・心配など」という意味の使い方をしていますが、元々の仏教の言葉とは意味が違ってきているようです。
例えば「彼との将来を懸念している」という例文があった場合、現在では「彼との将来に不安がある」という意味になりますが、仏教言葉の使い方だと「彼女との将来だけを考えている」という意味になります。だいぶ意味が違って聞こえます。
懸念の意味
語源を学んだところで、現在に話を戻して『懸念』の意味を紹介しましょう。読み方は「けねん」「けんねん」と読むことができます。一般的には「けねん」という読み方をしていますが、「けんねん」という読み方をしても間違いではないようです。
意味は大きく3つあり、①先のことが不安で心から離れない事/気がかり/心配。②(仏教用語)1つの対象に心を集中させること。③(仏教用語)心がとらわれること/執念/執着。となります。
一般用語としては①の「まだ起きていないが、悪い方ことが起きる可能性があることに対しての不安や心配がある」という意味になります。
懸念の使い方
「懸念」の語源や意味を紹介してきました。冒頭で「不安に感じる」こと以外にもいくつか意味を持っていることを紹介しましたが、日常の使い方では、ほとんどの場合が「不安に感じる」という意味で使われていると考えていただいて問題ありません。
しかしながら、「懸念」という言葉に他の言葉がくっつくことで微妙に意味合いの違う言葉になることもあります。「懸念」という言葉は主にビジネスシーンで問題点や不安点を指摘する際に用います。どちらかというと口語よりも文章で丁寧に買う場合に用いる傾向があります。
それではここからは、「懸念」に他の言葉がくっついたときの例文とそれぞれの意味を紹介します。どれも聞いたことのある言葉と例文になりますので、改めてその意味を確認してください。
例文①「懸念する」
最も多い使い方が「懸念する」という使い方ではないでしょうか。「懸念する」という使い方をした場合は『何らかの物事に対して心配すること』という意味になります。たまに聞くことのある「懸念をする」は間違いです。「を」は不要ですので注意しましょう。
例文としては『我々が懸念していたことは間違っていなかったようだ』『この問題には、多くの方から懸念する声が出ていた』『懸念するのは良いが、対策を考えよう』などが挙げられます。
例文②「懸念される」
「懸念される」という使い方もよく耳にするのではないでしょうか。国語の勉強の様な解説になりますが、「される」は「する」の未然形なので「事態が未だ発生していない」ことを示しています。つまり「懸念される」は「未来に対する不安の予測」を示していることになります。
間違いやすいのが、先ほど紹介した「懸念する」の敬語表現として「懸念されている」という使い方をしてしまうことです。「〜の悪化が懸念される」という使い方が正しく、この場合は「〜が悪化する可能性に対し不安がある」という意味になります。
例文としては『この点が懸念される問題の1つです』『今後、事態の悪化が懸念される』などという使い方になります。
例文③「懸念を抱く」
「懸念を抱く」という言葉については、これまでの解説で既に意味がお分かりの方が多いかもしれませんが「不安な気持ちを感じている」という意味になります。「抱く」は「いだく」と読みます。
「懸念を抱く」という使い方をした場合、「はっきりと不安がある」というよりも「不安に感じる」というような印象が強くなります。つまり、「懸念する」よりも不安な気持ちが薄いニュアンスがでる言葉になります。
例文としては、『夫の様子が疑わしく、懸念を抱く』『あまりにうますぎる話を聞かされ、騙されているのではないかと懸念を抱いた』の様に、確信を持っているわけではないものの不安に感じる点が表面化してきたような場合に使うことが多い言葉です。
例文④「懸念が残る」
「懸念が残る」という使い方をした場合も、基本的な意味としては「不安が残っている」という意味になります。しかし単に不安が残っているということではなく、「問題が一応片付きはしたものの、未だに不安に思うことが残っている」という使い方になります。
例文は、『新しいスマホは機能が豊富になるが、電池の減りが早くなりそうだという懸念が残る』『新たに導入した機械により精度向上と時間短縮というメリットを得る一方、メンテナンス費と人材教育面での費用に懸念が残る』といったような使い方になります。
例文⑤「懸念を払拭する」
「払拭する」という言葉は、「すっかり取り除く」という意味です。つまり「懸念を払拭する」という言葉は、「不安や心配事を完全に取り除いた」という意味になります。
「払拭」という言葉は、「不信・不快・不安・罪悪感」などの精神的に良くない状態の物事を取り除いたときに使う言葉です。
例文としては、『彼が提案してきた解決策が効果を顕しはじめ、新規事業の懸念が払拭された』『友人のアイドバイスが、私の懸念を払拭した』というように、不安が無くなっている状態を示していることがお分かりいただけるのではないでしょうか。
例文⑥「懸念点」「懸念事項」
「懸念点」「懸念事項」という使い方もよく聞く使い方ではないでしょうか。これまで解説してきた「懸念」という言葉の「点」や「事項」なので『心配な点や不安が残る課題』のことを指しています。
ビジネスシーンにおいて、主に文章表現の中で使用されるケースが多い言葉です。「懸念点」は、意味としては「不安な点」になりますが、より丁寧できっちりした印象を残せるので、ビジネスでは必須のワードとして記憶してください。
例文としては、『本件について懸念点があればご指摘ください』『長年の懸念点がようやく解決された』『懸念事項は以下の通り』『これは我が社にとって最大の懸念事項になるのではないか』といった使い方になります。
例文⑦「懸念材料」
例文として最後に紹介するのは「懸念材料」という言葉です。もう詳しい説明も不要かもしれませんが、「不安にさせている事柄の原因」を指して使います。
例文は、『彼のやる気が唯一の懸念材料』『彼女に頼みたいが、Aさんの存在が懸念材料になっている』などの使い方になります。不安がある状況で、その原因となる事柄を指します。
懸念の英語表現と意味
「懸念」の意味や使い方の理解は深まったでしょうか。懸念に他の言葉がくっつくことで少しずつ意味が変わることを紹介してきましたが、大よその意味としては「不安がある」ということで理解していれば問題ありません。
また、ビジネスにおいては特に「懸念点」や「懸念事項」という言葉を使うと良いでしょう。何らかの企画や提案を行う際、企画や提案がうまく運んだ場合にどの様な結果が期待できるかをプレゼンすることが多いでしょう。
しかしながら、提案の中で未確認の事柄があり、その事柄が引き起こす可能性のある悪いことがある場合などは「懸念点」や「懸念事項」として説明すると良いでしょう。この場合の「懸念点」は未確認の事項も指しますし、それによる結果も含めて説明しておくのが良いでしょう。
さて、その様な使い方をする「懸念」という言葉について、更に理解を深めていただくために英語ではどのように言い換えられるのかを確認していきましょう。「懸念」を意味する英語は「Concern」「fear」「worry」の3つが該当します。それぞれ確認していきましょう。
「concern」の意味
「懸念」を英語で表現する際に最も一般的に使用するのは「concern」です。「concern」は他動詞と名詞の2つの使い方をする単語で、(他動詞)~を心配させる、(名詞)関心事、懸案事項、気遣い、不安、という意味を持っています。
例えば「A matter of concern」で「懸念されること」を意味します。過去形は「ed」をくっつけた「concerned」で、「I was concerned about that」だと「私はそのことを懸念していた」という過去の文章になります。
concernの使い方として、「a concern for~(~に対する懸念)」「I'm concerned about/that~(~を懸念する)」「It concerns me that~(~という懸念がある)」と、名詞としての使い方、他動詞としての使い方がありますので注意しましょう。
では「concern」を使った例文を紹介していきましょう。「The state of my mother's health concerns us greatly.」stateは「状態」、greatlyは「大いに」とか「はなはだ」という意味なので、「母親の体調が大いに懸念される」という訳になります。
続いての例文は「He described the points of concern for this issue.」describeは「口頭で伝える、記述する」などの意味があります。issueは「論点」や「問題」などの意味を持ちます。訳すと「彼はこの問題の懸念点を伝えた」となります。
concernを使った最後の例文は、「I can understand his concerns.」名詞として使っているので「s」がついています。複数の「concern」を「understand」することができる。つまり「私は彼の懸念を理解できる」という訳になります。
「fear」の意味
「懸念」を英語で使う場合には、状況や前後の文脈からいくつかの単語に置き換えることができます。一般的に「懸念」を言い換えたら「concern」かもしれませんが、例えば「まだ起きていない将来に対する不安」や「恐怖」が懸念ですので、恐怖をあらわす「fear」も使うことができます。
「fear」は動詞で自動詞、他動詞として使われます。(自動詞)恐れる、怖がる、心配する、危惧する。(他動詞)~を恐れる、~の心配をする、~を懸念する。という意味を持っています。
「fear」を使った例文としては、「I’m fear that I will not get sick because I continue my unhealthy life.」I'm fear that~で「~を恐れている/懸念している」「I will not get sick」は「病気にならないか」。
つまり「不健康な生活を続けているから病気にならないか懸念している」となります。続いての例文は「He admitted to his fears.」admit to ~で「~を認める」なので、「彼は自分の恐怖/懸念を認めた」という訳になります。
「worry」の意味
「懸念」は「不安」や「心配」という意味を持つことを紹介しました。「心配」が「concern」でしたので「不安」の意味をもつ「worry」も「懸念」と同じ意味と解釈することができます。
「worry」も動詞として使われる言葉で、意味は(自動詞)心配する、気がかりである。(他動詞)~を心配させる、~の気を揉ませる。という意味になります。
「worry」を使った例文として「There is nothing to worry about, as all the solutions are in place.」solutionsは「解決策」。最近よく聞くワードです。「in place」直訳すると場所にある。つまり「揃っている」となります。
これを日本語にすると「解決策は全て揃っているので懸念することは何もない」となります。もう1つの例文は「I have no worries about him.」こちらも先ほどの例文とほぼ同じ構図です。「彼に対する懸念はない。」となります。
懸念の類義語と意味
さて、ここまでは「懸念」の日本語における意味や使い方、理解を深めるために英語ではどのように言い換えることができるのかを、例文を交えて紹介してきました。
ここで最後に、日本語の「懸念」と同じような意味で使われる言葉=類義語と、反対の意味で使われる言葉=対義語を紹介します。類義語と対義語を知ることで、より「懸念」という言葉の理解が深まりますので、最後まで読み進めてください。
類義語①「心配」
これまでの解説でも何度か登場しているワードですが、懸念の類義語として最初に紹介する小野は「心配」という言葉です。「心配」は、今はまだ起きていないことが起こってしまうのではないかと不安に思うときに使う言葉です。
例えば「朝起きられるか心配」「赤点を取ってしまわないか心配」など、漠然とした不安を指して使われます。ビジネスシーンで、特に得意先との会話においては、くだけた印象が強い言葉であるため、使用シーンには注意しましょう。
「帰りが遅い娘を心配する。」「風邪をひいて欠席している彼女が心配で、夜も眠れない。」「テレビを見過ぎて遅くなってしまったため、寝坊してしまうのではないかと心配する。」などの使い方をされます。
類義語②「不安」
「懸念」の類義語2つめは「不安」です。こちらも「心配」とともに、これまでの解説の中に出てきた言葉です。「不安」は「これから起こる可能性のある事柄を恐れる気持ち」を指しており、落ち着かない気持ちを表す言葉です。
「不安」も「心配」と同じような使い方をされています。先ほどの例文の心配を不安に置き換えても成立します。「朝起きられないか不安(心配)」「赤点を取ってしまわないか不安(心配)」意味もほとんど変わらない言葉ですので、心配同様に「懸念」の類義語と言えます。
例文も一応紹介しておくと、「家の鍵を閉めてきたか不安」「試験前日の彼の様子を見て、不安を覚えた」「医者の言葉を聞いて不安が消えた」などがあります。
類義語③「懸案」
さて「懸念」の類義語3つめに紹介するのは、問題がいくつかある中でも、解決していない問題を意味する「懸案」という言葉を紹介しましょう。
問題だとは思いつつも、未だ解決できていない問題のことを「懸案(けんあん)」という言葉で表現します。軽い悩みではなく、長期間に渡って悩み苦しんでいる様子です。
「懸案」の類義語ではあるものの、2つには違いがありますので、状況に応じて使い分ける必要があります。「懸念」は、心から不安が離れない「様子」を意味していますが、「懸案」は、不安に思っている「問題そのもの」を意味しているのが異なる点です。
「懸案」は、問題そのものを指していますが、特に解決しなくてはいけない問題や事柄について使うことが多い言葉です。長いこと悩んでいる問題なので、過去に発生して現在も続いている出来事に対して使うケースがほとんどです。
その為「懸案」の前に、「長年の懸案である」「かねてよりの懸案である」「◯年越しの懸案」といったような期間を示す言葉を付けると、より重要さが強調される言葉です。
「懸案」という言葉は「お役所」でもよく使われる言葉なので、政府や公的機関の発表する文章やニュース記事など、比較的堅めの発表でよく聞く言葉になります。ビジネスシーンでもよく使いますが、口語ではあまり使われない言葉です。
例文としては、「移転については、かねてよりの懸案である」「この問題における最大の懸案事項は、資金確保である」「海外進出を狙う企業にとって、テロや内戦などのリスクが最大の懸案となることが多い」などの使い方をします。
類義語④「危惧」
「懸案」の類義語として、「心配して恐れる」という意味を持つ「危惧(きぐ)」という言葉も紹介しておきましょう。「危惧」という言葉については「恐れていることが起きないように願う」という意味も含まれています。
類義語ではあるものの、「懸念」と比較すると「危惧」の方が恐れている事柄がハッキリ、具体的になっているという違いがあります。「危惧」が使われている言葉でそれが分かりやすいのが「絶滅危惧種」という言葉です。
「絶滅危惧種」は、「絶滅するかもしれないと不安視されている動物」のことを指していますが、対象になる動物が具体的になっています。「絶滅危惧種」と言いますが、「絶滅懸念種」とは言いません。この違いが「危惧」と「懸念」の違いなのです。
「懸念」との比較でもニュアンスの違いがお分かりいただけたかもしれませんが、「危惧」には「心配事を恐れるとともに、起きないようにしたいと考える」というニュアンスが含まれています。
「絶滅危惧種」という言葉から再度考えてみると、「危惧」は「絶滅する恐れのある動物に対し、自分が直接危機感を示しているのではなく、第三者の視点から語っている」という印象が強くあります。この様に、第三者の視点から論じるときに使うことの多い言葉です。
「危惧」は「懸念」と似ているものの、「危惧」の方がより対象が具体的。さらに「危惧」の方がより危機が迫っているイメージが強い言葉になります。また、「危惧」は口頭で使うことは少なく、書き言葉として使われることの多い言葉です。
「危惧」を使った例文では、「勉強を全くしない子供の将来を危惧する」「マンションの経年劣化が危惧されている」「事の成り行きを危惧する気持ちが日増しに強くなってくる」「地球温暖化の影響による環境変化を危惧する声が高まっている」などの様に使います。
類義語⑤「憂慮」
「懸念」の類義語として最後に「憂慮(ゆうりょ)」という言葉を紹介しましょう。意味は「すでに起きたことが悪化する恐れ」を指しています。
これまで紹介してきた懸念の類義語である「危惧」と「憂慮」には意味の違いがありますので、少し紹介しておきましょう。『懸念、危惧:起きないか不安(対象が明確か否かが懸念と危惧の違い)』『憂慮:実際に悪い結果になってしまい心配』という意味の違いがあります。
単に心配するというニュアンスではなく、「悪い結果が出てしまっていて、更に悪い状況が起きてしまわないか心配する」というニュアンスがあり、かなりの深刻さを感じさせる言葉です。
「憂慮に耐えない」という使い方を聞いたことのある方も多いかもしれませんが、「深刻な不安を抑えきれない」という意味で使われています。これまでの類義語同様、新聞やニュースなどの場面で使われることが多く、会話で使われることはあまりない言葉です。
では例文を紹介しましょう。「過労死問題によるブラック企業認定は、憂慮すべき事態である」「恋人の安否が不明という状況で、彼は憂慮に耐えない表情をしている」などの使い方をします。
懸念の対義語と意味
それでは最後に「懸念」の「対義語」を紹介しましょう。類義語から学べることも多いのですが、全く反対の意味を持つ対義語を知ることで、「懸念」の持つ意味やニュアンスをより深く理解していただくことができます。あと少しですので、最後まで読み進めてください。
対義語①「放念」
「懸念」の対義語として最初に紹介するのは「放念(ほうねん)」です。放念の意味は「気になっていることを忘れ、心にとめないこと」です。解き放って忘れる、ということです。
「放念」はビジネスシーンでもクライアントや上司など、目上の方に向けて使用することが多く、「ご放念ください」という使い方が最も多くされています。
「気にしないでください」「忘れてください」という意味で使われていますので、「気に留めていて心配している」という様子の「懸念」の対義語と言えます。
対義語②「確信」
「懸念」の対義語2つめは「確信」です。確信の意味は、「固く信じて疑わないこと」です。あまり説明の必要がない言葉かもしれませんが、「男は容疑を否認しているが、刑事は犯人であることを確信しているようだ」「我々の勝利を確信した」などと使います。
対義語③「安堵」
「懸念」の対義語3つめは「安堵(あんど)」です。安堵するという使い方で聞いたことがあるのではないでしょうか。「不安や心配事が解消されて、安心すること」を指していますので、正に懸念の対義語として分かりやすい言葉です。
安堵の元々の意味は「囲いの中で安心して生活する」という意味だったようですが、「心が安らぐ」という意味として使われるようになったようです。「安堵」も他の対義語や類義語同様、主に書き言葉として用いられている言葉です。
対義語「安堵」の例文は、「迷子の犬が見つかり、安堵のため息をついた」「連続事件の犯人が捕まり、住民から安堵の声が上がった」「手術が上手くいったと聞き、安堵の表情を浮かべた」といった使い方をしています。
対義語④「安心」
「懸念」の対義語として最後に紹介するのは「安心」です。こちらも細かな説明が不要な言葉で、ここまで読み進めていただいた方には、「安心」が対義語であることもご理解いただけるのではないでしょうか。
改めて「安心」の意味は「心配や不安がなくて、心が安らかなこと」です。元々は「あんじん」と読む仏教用語で、「仏教の功徳により、迷いがないやすらぎの境地」を意味していた言葉だったようです。
例文は、「車よりも電車で行く方が安心」「彼には重大な仕事も安心して任せられる」「コーヒーを飲むと安心した気分になれる」などがあり、不安の反対の安心ということで、「懸念」の対義語となります。
懸念は「不安がある」という意味
「懸念」の意味と使い方について紹介してきました。懸念は「先行きが気がかりで不安になること」を表し、「~が懸念される」などの形で客観的な視点で語る場合に用いられます。
危惧などの類義語なども含め、主に堅い場面や文章で使用することの多い言葉をたくさん紹介しました。ビジネスに携わっている方は特に、文章などでは意識して言葉を使い分けましょう。言葉の使い分けにより、文章の信頼性も向上します。