青天の霹靂の意味とは?
「青天の霹靂」とは(まったく予想していない出来事が起きて驚く)という意味の言葉で、日常語というよりも、小説や新聞記事の中で使われることの多い言葉です。
また、ただ単に驚く、という意味だけでなく、たとえば「来春からのベトナム出向は私にとって青天の霹靂だった」などのように、その出来事がネガティブな意味を持つ場合に使われることがあります。
したがって、「高根の花だった彼女と結婚できたのは青天の霹靂だった」などのようにプラスの意味で使うのは、言葉本来の意味としては適切ではありません。
青天の霹靂の由来
「青天の霹靂」を分解すると、よく晴れた空に突如として一筋の雷鳴が轟く、という意味になります。霹靂が雷鳴を意味し、このことから、ある日突然予想外のハプニングが起きる、という言葉として使われるようになりました。
青天の霹靂の由来は、古代中国にまでさかのぼります。中国の詩人として知られる「陸游」の詩の一節にある「青天に霹靂を飛ばす」が「青天の霹靂」となったと言われています。
ちなみに、陸游の詩の中でも青天の霹靂は「突然の出来事」という意味で使われており、江戸時代から現代と同じ意味で使われていた、という記録が残されています。
青天の霹靂の類語と意味
青天の霹靂の基本的な意味と由来について見てきたところで、ここからは青天の霹靂の類語についていくつか見ていきましょう。
表面的な類語だけでなく、それぞれの類語の意味と使い方について例文とともにおさえておくことでボキャブラリーが広がりますので、ぜひとも参考になさってください。
寝耳に水
青天の霹靂の本来の意味は、「予想外のハプニングに驚く」ということですから、同じ意味のことわざとしては寝耳に水が挙げられます。
ちなみに、寝耳に水もまた青天の霹靂と同様、どちらかといえばネガティブな意味を持つ出来事について使われる言葉であり、結婚、進学、昇進などのように、本人にとってポジティブな意味を持つ事柄に使うのは適切とは言えません。
ただ、最近では言葉の意味も時代とともに移り変わり、「妹の結婚は僕にとっても寝耳に水だった」などのように、プラスの意味の言葉として使われることも多くなってきました。
しかしながら、公的な場やかしこまった文書ではまだまだ、青天の霹靂をネガティブな意味の言葉として使っておいたほうが無難かもしれません。
藪から棒
寝耳に水と同じく、突然の出来事という意味のあることわざです。また、「藪から棒に何を言うんだ」などのように、ネガティブな意味の報告を受ける、というシチュエーションで用いられます。
また、藪から棒とよく似ていることわざとして藪から蛇がありますが、こちらは「余計なことをしてかえって窮地に陥る」という意味であり、青天の霹靂の類語としては適切とは言えません。
このように、意味がよく似ていることわざの違いを詳しく把握しておくことによって基本的なボキャブラリーが広がりますし、意味を混同して使ってしまうリスクも少なくなります。
窓から槍
ことわざとしては認知度がやや低く、青天の霹靂の類語としてもピンとこないかもしれませんが、寝耳に水、藪から棒と同じ意味を持つことわざです。
窓から槍が飛び出てくる、というイメージの通り、予想外のハプニングのなかでも危険度が高い事柄について使われることの多いことわざとして知られています。
窓から槍のように、一般的にはあまり広まっていないことわざを日常の会話やビジネスでさりげなく使えるようになると、社会人としてスマートに見られるかもしれません。
青天の霹靂の英語の意味は?
青天の霹靂を英語に直すと、「out of the blue」という表現になります。こちらはややくだけた意味のある言葉で、スラングに近いニュアンスがあります。
これ以外にも、英語では「bombshell」が青天の霹靂の類語として使われており、こちらも意味としてはややフランクなニュアンスになります。「ちょっと驚いちゃったよ」といった感じでしょうか。
フォーマルな席での英語表現としては、「突然に」というニュアンスがより強まった「all of sudden」が一般的です。英語のスピーチなどでもよく使われる表現ですので、例文と合わせて使い方をおさえておきましょう。
青天の霹靂の対義語と意味
青天の霹靂の類語と対義語をセットにしておさえておくことでボキャブラリーがさらに広がりますし、青天の霹靂の意味をより深く知ることにもつながります。青天の霹靂の対義語とその意味について見ていきましょう。
対義語①予定調和
「青天の霹靂」が突然の出来事を表すので、対義語としては予定調和が挙げられます。予定調和はドラマや映画の筋書きにも使われる言葉であり、最初から最後まで台本通りに進行して驚きがない、という意味があります。
また、予定調和の類語としては出来レース、お手盛り、茶番などがあり、どちらかといえばネガティブな意味を持つ言葉として定着しています。
したがって、意味をよく知らずにたとえば、「先輩の舞台は予定調和で面白かった」というとネガティブな意味に聞こえてしまいますので、対義語の使い方にも充分な注意が必要です。
対義語②想定内
ライブドア事件ではからずも流行語となった「想定の範囲内」。意味としては想定内と同じで、青天の霹靂の対義語として使うことができます。
時代の寵児として颯爽と名乗りをあげ、ラジオ局の買収というウルトラCを通して想定内という言葉を流行させたホリエモンですが、その後の逮捕劇はまさに青天の霹靂だったのではないでしょうか。
青天の霹靂の使い方
青天の霹靂はややかしこまった印象のある言葉なので、使い方がよくわからない、という方も多いかもしれません。一方で、スピーチなどで青天の霹靂と書く機会もあるでしょう。ここでは、青天の霹靂の使い方を例文とともに見ていきましょう。
例文①
「30年余り勤め上げてきた会社の倒産は、彼にとって青天の霹靂だった」。小説の書き出しのような例文です。青天の霹靂は、ネガティブな意味を持つ事柄を表す際に用いられることが多く、悲劇の入口のようなイメージがあります。
例文②
「君の祖国で内紛が勃発したのは、私にとっても青天の霹靂だったよ」。青天の霹靂は本来、突然の出来事を表す、という意味があります。
それも、どちらかといえばショッキングな出来事に対して使われる言葉で、まったく予測できない出来事に心を傷める様子を伝える言葉としても使うことができます。
例文③
「よく晴れた空が一点にわかにかき曇り、するどい雷鳴とともに木々や屋根をも揺らす嵐が巻き起こった。まさに青天の霹靂であった」。
青天の霹靂はもともと、雲ひとつない青空から雷鳴が轟いて嵐になる、という光景を表す言葉です。この意味通りに使われることはほとんどありませんが、例文のひとつとしておさえておくと使い方がさらに広がるでしょう。
例文④
「ずっと独身だった大学の友人の結婚の報せは、不覚にも青天の霹靂だった」。本来はネガティブな意味を持つ青天の霹靂ですが、最近ではポジティブな意味として使われることも増えてきました。言葉は生き物、という一例でもあります。
青天の霹靂の注意点
「青天の霹靂」はフォーマルな意味を持つ言葉なので、例文や使い方に誤りがあると失礼な印象を与えかねません。青天の霹靂を使ううえで注意したいポイントについて具体的にお伝えしていきますので、ぜひとも参考になさってください。
晴天の霹靂ではない
社会人でも、青天の霹靂を「晴天の霹靂」と書く人が少なくありませんが、これは誤りです。意味としてはよく晴れた空なので正しいのですが、そもそもの由来が中国の漢詩にあるため、原文の通りに表記することが適切とされています。
また、青天な霹靂と書いたり、四字熟語のように青天霹靂と表記したりするケースもありますが、いずれも誤りであり、「青天の霹靂」とするのが正しい書き方です。
青天の霹靂は「突然の出来事に驚く」という意味
青天の霹靂は中国の漢詩に由来する言葉で、よく晴れた空に突如として雷鳴が轟くことから、「予測不能な出来事が起きて驚く」という意味があります。
また、英語では「out of the blue」、「all sudden」などの表現になり、突然の出来事に驚いて言葉をなくす、という意味は英語でも変わりません。英語の使い方もおさえておくと使い方の幅が広がるでしょう。
本来的にはネガティブな意味の言葉ですが、最近では結婚や進学、昇進のようにポジティブな意味として用いられることも増えてきており、言葉の意味も時代とともに変わりつつあるようです。