如実の意味とは?
「如実」という言葉を見たり聞いたりしたことがあるという人はそう少なくないでしょう。ですが「如実に表す」などという使い方がされる「如実」という言葉の正しい意味を説明できるという人は多くありません。
「如実」という言葉はかなり古くて堅い言葉ですので、一般的な日常生活の中ではあまり使われないため、「如実」の意味を知っている人は少ないと言えます。
「如実」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、まずは「如実」の意味についてご紹介しましょう。
実際の通りという意味
「如実」の意味の一つ目は、「実際の通り」という意味です。「実際」の意味は「頭の中で考えるのではなく、生活の場に臨んでのものであること」というかなり難しい意味ですが、簡単に言えば「現実」です。
「如実」は想像などを含まない実際あるがままのことを指しますので、目で見たままだったり耳で聞いたままだったりと、本当にあるがままのことを意味します。
「如実」の意味は「実際の通り」ですので、目の前の事実を曲げたりしません。実際あるがままの物事を伝える場合に「如実」という言葉を使うことができます。
現実のままという意味
「如実」の意味の二つ目は、「現実のまま」という意味です。「現実」の意味は「頭で考えるのではなく、現に実際こうであるという状態や事実」という意味で、こちらも「実際」と同じように難しい意味があります。
「現実のまま」を簡単に言えば「そのまま」という意味になります。見たり聞いたりしたことをそのまま伝えたりする場合に、「如実」という言葉を使うことができます。
「如実」という言葉の意味は「実際の通り」「現実のまま」という意味ですので、主観的な想像や意見などは入れてはいけません。真実をそのまま語る場合にのみ「如実」という言葉が使われます。
如実の由来
「如実」の意味についてご紹介しましたので、次は「如実」の由来についてご紹介します。日本語には故事成語など語源や由来がある難しい言葉がたくさんありますが、「如実」もそんな難しい日本語の一つです。
「如実」という言葉に使われている漢字を見て、「如実」の由来がどのようなものなのか何となく想像できるという人もいるでしょう。
「如実」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「如実」の由来についてもご紹介しましょう。
教えの真実や道理にかなっているという意味の仏教用語が由来
「如実」の由来は「教えの真実や道理にかなっている」という意味の仏教用語です。仏教用語における「如実」には他に「ありのままの姿」を意味する「真如」という意味もあり、こちらの意味が現代の「如実」の意味につながっています。
日本語には仏教用語から来ている言葉が結構たくさんありますが、「如実」という言葉もそんな日本語の中の一つです。
「如実」の由来は「教えが真実や道理にかなっている」という意味の仏教用語ですが、「ありのままの姿」という意味の「真如」という意味の方を「如実」の由来だと覚えておくと良いでしょう。
如実の類語
「如実」の由来についてご紹介しましたので、次は「如実」の類語についてご紹介します。「如実」の意味は「実際の通り」「現実のまま」という意味ですので、これらに近い意味を持つ言葉が「如実」の類語になります。
意味が難しいため類語を探すことが困難な日本語はたくさんありますが、「如実」はそう難しい意味ではありませんので、「如実」の類語と言える言葉は意外にたくさんあります。
「如実」という言葉に似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「如実」の類語についてご紹介しましょう。
正確
「如実」の類語の一つ目は、「正確」です。「正確」の意味は「事実と合っていて少しも間違いがないこと」という意味ですので、「如実」の意味「実際の通り」「現実のまま」という意味と似た「如実」の類語になります。
「如実」という言葉は「如実に表す」などという使い方がされることが多いですが、この「如実」を「正確」に言い換えることができます。
言い換えに使うこともできるという点でも、「正確」は「如実」に極めて近い意味を持つ「如実」の類語だと言えます。
そのまま
「如実」の類語の二つ目は、「そのまま」です。「そのまま」の意味は「今までの状態の通り」「あるがまま」という意味ですが、「あるがまま」という意味の方が「如実」の意味と似ているため、「そのまま」も「如実」の類語になります。
「見たままを如実に伝える」という文章を「見たままをそのまま伝える」と言い換えることもできますが、「まま」が続くためあまり良い言い換えとは言えません。
「そのまま」も「如実」の類語ではありますが、文章の流れによっては「そのまま」は「如実」の言い換えには適さない場合もあります。
あるがまま
「如実」の類語の三つ目は、「あるがまま」です。「あるがまま」の意味は「実際にあるその状態のまま」という意味で、「如実」の意味「実際の通り」と似た意味を持ちますので、「あるがまま」も「如実」の類語になります。
「あるがまま」も「如実」の言い換えに使うことができますが、先に「そのまま」の所でご紹介した「見たままを如実に伝える」という文章に「あるがまま」を使うと、やはり「まま」が重なってしまいます。
「あるがまま」も「如実」の言い換えに使うことはできますが、やはり文章の構成などによっては言い換えに適さない場合もあるということです。
明白
「如実」の類語の四つ目は、「明白」です。「明白」の意味は「はっきりと良くわかって疑う余地がない」という意味で、「明白」も「如実」の類語の一つとして挙げられます。
「はっきりと良くわかって疑う余地がない」ということは「実際の通り」「現実のまま」だということになりますので、「明白」も「如実」の類語になります。
ですが「明白」には「はっきりと良くわかって」という主観的なニュアンスが含まれていますので、そういった点では「如実」とは少し違うと言えます。
真実
「如実」の類語の五つ目は、「真実」です。「真実」の意味は「嘘やいつわりのない本当のこと」という意味で、「真実」も「如実」の類語の一つです。
「嘘やいつわりのない」ということは、「実際の通り」「現実のまま」という意味と同じ意味になりますので、「真実」も「如実」に近い意味を持つ類語であると言えます。
「真実」という言葉は「如実」の言い換えに使うこともできますので、使い方という点でも「真実」は「如実」の類語の一つになります。
ありてい
「如実」の類語の六つ目は、「ありてい」です。「ありてい」の意味は「ありのまま」という意味ですので、「ありてい」も「如実」の類語の一つです。
「ありのまま」の意味は「嘘いつわりがない」という意味になりますので、「如実」の意味「実際の通り」「現実のまま」という意味と同じ意味になります。
「ありのまま」という言葉も「如実」という言葉の代わりに使うことができますので、「ありのまま」は使い方という点でも「如実」の類語だと言えます。
まさしく
「如実」の類語の七つ目は、「まさしく」です。「まさしく」の意味は「間違いなく確か」という意味で、「如実」の意味「実際の通り」「現実のまま」という意味に近いため、「まさしく」も「如実」の類語になります。
ですが「まさしく」は副詞で「如実」は名詞ですので、「如実」を「まさしく」と同じように使うためには「如実に」などと言う必要があります。
このように「如実」にはたくさんの類語がありますが、「如実」の言い換えに使える場合と使えない場合があるということを覚えておきましょう。
如実の英語表現
「如実」の類語についてご紹介しましたので、次は「如実」の英語表現についてご紹介します。日本語の中には複雑な意味や繊細な意味を持っているため英語表現しにくい言葉が沢山ありますが、「如実」もそんな日本語の一つです。
複雑な意味や繊細な意味を持っている日本語は、似た意味を持つ英語で意訳することが多いですが、「如実」も似た意味を持つ英語で意訳することになります。
「如実」という言葉を英語表現する場合にはいったいどのような英語を使えば良いのか、「如実」の英語表現についてもご紹介しましょう。
忠実にという意味を持つ「truly」
「如実」の英語表現には、「忠実に」という意味を持つ「truly」が使われることが多いです。この「truly」という英語は「忠実に再現する」などということを言う場合に使われますので、ニュアンス的には「如実」に似ています。
「如実」は名詞ですので、名詞としての「如実」に当たる英語としては「truth」が挙げられますが、「如実」は「如実に」などという使い方をするため、「truth」は文章の中で使う「如実」とは少し違います。
他に「現実」や「真実」という意味を持つ「reality」という英語も「如実」の英語として使われることがあります。
如実と顕著の違い
「如実」の英語表現についてご紹介しましたので、次は「如実」と間違って使われることがある「顕著」と「如実」の違いについてご紹介します。
「如実」と言うべきところで「顕著」という言葉を使う人もいますが、実は「如実」と「顕著」の意味は違いますので、使いどころが違います。
「如実」と「顕著」にはいったいどのような違いがあるのか、「如実」と「顕著」の違いについてご紹介しましょう。
顕著は著しいという意味
「如実」と「顕著」の違いは、「顕著」の意味は「著しい(いちじるしい)」という意味だということです。「顕著」には他に「はっきりと目立つ」という意味もあり、際立って目につくことを意味します。
「如実」の意味は「実際の通り」「現実のまま」という意味ですので、実際に何かが目立っている場合には「顕著」と言ってもおかしくはありません。
ですが「顕著」の意味は「著しい」「はっきりと目立つ」という意味で、「顕著」は基本的に「如実」とは違いますので、「如実」と言うべきところで間違って「顕著」と言わないように注意しましょう。
如実の使い方
「如実」と「顕著」の違いについてご紹介しましたので、次は「如実」の使い方についてご紹介します。ここまでにも触れてきたように、「如実」という言葉は助詞をつけて使われることが多いです。
「如実」自体は名詞ですので様々な使い方ができますが、実際に使ってみるとなると「如実」をどう使って良いかわからないという人もいます。
「如実」という言葉はいったいどのような使い方をすれば良いのか、「如実」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「如実」の使い方の例文の一つ目は、「彼の描く人物画は、人間を如実に表すというよりはやや漫画的だ」という例文です。この例文では「現実のまま」という意味で「如実」という言葉が使われています。
「如実」は「如実に」という使い方がされることが一般的で、この例文のように「如実に表す」というように「表す」とセットで使われることが多いです。
例文②
「如実」の使い方の例文の二つ目は、「彼の生真面目さは彼の仕事ぶりに如実に表れている」という例文です。この例文では「実際の通り」という意味で「如実」が使われています。
「如実」は「表れる」という言葉とセットで使われることも多く、「如実に表れる」という定型文的な形で覚えておくと良いでしょう。
例文③
「如実」の使い方の例文の三つ目は、「彼女の手記を読むと、過去の天災の悪夢が如実によみがえる」という例文です。この例文では「実際の通り」「現実のまま」という意味で「如実」が使われています。
「如実」は「如実に表現」「如実に表す」など、「表す」こととセットで使われることが多いですが、過去のことを思いだすといった場合には「よみがえる」とセットで使われることもあります。
例文④
「如実」の使い方の例文の四つ目は、「仕事をさぼってネット通販などをしていても他の人より仕事が早いということが、彼女がいかに優秀であるかということを如実に物語っている」という例文です。
「如実」は「表す」「よみがえる」の他に「物語る」とセットで使われることも多く、他に「伝える」「示す」「感じられる」などという言葉とセットで使われることもあります。
「如実」という言葉は単品で使われることはまずありません。「如実」は動詞とのセットで使われるということを覚えておきましょう。
如実は実際の通りという意味
「如実」という言葉の意味や使い方の例文、「如実」の類語や英語表現などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
「如実」の意味は「実際の通り」「現実のまま」という意味ですので、「如実」の正しい意味を理解して「如実」を正しく使いましょう。