洒脱の意味とは?
洒脱とは「おしゃれ」、「粋な」、「スマートである」という意味のある言葉です。言葉としてはポジティブな意味があり、日常でも褒め言葉として使われます。
また、洒脱は「軽妙洒脱」という四字熟語の形で使われることも多く、こちらは「仕草や振る舞いが洒落ているさま」を表す言葉になります。
一方、「滑稽洒脱」は上記の意味に「ユーモアにあふれている」というニュアンスがプラスされており、面白い人を表す四字熟語でもあります。
洒脱は、「洒脱な」という形容詞の形で使われることが多く、「洒脱な人」といえばやはり、振る舞いがスマートな人、という意味になります。
洒脱の由来
洒脱は、「洒」と「脱」のふたつの漢字が組み合わさってできた言葉です。「しゅだつ」と読む人もいますが、正しい読み方は「しゃだつ」になります。
洒はもともと、「洗い流すこと」という意味があり、転じて、「洗練されている様子」を表す言葉になりました。
また、脱は本来「さっぱりとしている」、「すっきりとしている」などの意味があります。このことから、洒脱は、「無駄がなくすっきりとしている様子」という意味であると解釈することができます。
洒脱の類義語
四字熟語として使われることも多い洒脱という言葉の類語としては果たして、どのような言葉があるのでしょうか。ここからは、類語を通して洒脱の意味や英語表現についてより深く掘り下げていきましょう。
類語①おしゃれ
洒脱な人とはつまり、おしゃれな人のことです。ここでいうおしゃれとはただ単に表面的な振る舞いがしゃれているということではなく、その人の本質が洗練されている、という意味も含まれています。
本当の意味のおしゃれとは、服装や身なりのことではありません。要するに「生き方がおしゃれ」ということであり、外見だけでなく本質的な振る舞いが洗練されていなければ洒脱な人とは言えません。
類語②粋である
日本人は江戸時代の昔から、粋である、ということをひとつの価値観として大切にしてきました。粋であるということはつまり、おしゃれであるということです。
粋な振る舞いとは、つねに無駄がなく、見ていて気持ちがいいものです。粋であるとは時にやさしいということであり、ユーモラスであるということであり、あるいは、時として頑固だということでもあります。
宵越しの銭は持たない、金持ち喧嘩せず、武士は食わねど高楊枝。かつての日本では、粋、という価値観が庶民から侍にまで広く浸透していました。
類語③垢抜けている
ひと昔前まで、東京に出て久しぶりに地元に帰ってきた若者を「垢抜けた」という風に言い表すことがありました。都会に出て垢が抜けた、つまりは洗練されたという意味になり、今も昔も褒め言葉として使われています。
類語④スマートである
洒脱を英語表現で置き換えると、スマートである、ということになります。英語のスマートとは単に細身であるということではなく、考え方や行動に無駄がない、という意味になります。
ただ、ネイティブな英語で「he is smart」などと使われることは少なく、英語ではcoolという単語で表されるケースが多いようです。
ちなみに、スマートフォンのスマートも英語ではこちらの意味であり、「多機能でありながら無駄がなく、汎用性の高い携帯端末」というニュアンスが込められています。
類語⑤ウィットに富んでいる
軽妙洒脱、という使い方があるように、洒脱にはユーモラス、ウィットというニュアンスも含まれています。洒脱な人はユーモア精神を忘れず、TPOに合わせたジョークを口にして周囲を楽しませる能力に長けています。
洒脱は女性にも使える?
洒脱というと、日本では男性に対する褒め言葉として使われている印象がありますが、女性に対しても使えるのでしょうか。
洒脱という言葉には本来、性別を特定するニュアンスはなく、男性にも女性にも褒め言葉として使うことができますので、ボキャブラリーのひとつとしておさえておきましょう。
ただ、最近の日本では洒脱はあまり一般的な言葉ではなく、日常会話でいきなり「君は洒脱だな」なんて言っても意味が伝わりにくい可能性がありますので、相手と文脈には注意して使いましょう。
洒脱の対義語
褒め言葉として使われることの多い洒脱という言葉ですが、対義語はやはりネガティブな意味を持つのでしょうか。洒脱の対義語の意味と使い方、ニュアンスについて例文を考えながら掘り下げていきましょう。
対義語①野暮
洒脱が「おしゃれで粋であること」であるとすれば、対義語は野暮である、ということになります。野暮とは見た目の話だけでなく、振る舞いや生き方がどこか洗練されていない、という意味も含まれます。
江戸の昔から日本人は野暮であることを嫌う傾向にあり、特に江戸っ子にとっては「粋であること」がひとつのステータスのように認識されていました。
野暮とは、わざわざ言わなくてもいいことをあえて言う、あれこれと詮索する、というニュアンスもあり、今でも日常の場面で「そんな野暮なことはするなよ」などのように使われることもあります。
対義語②ださい
今や、日常語としてすっかり定着した感のある「ださい」という言葉。見た目だけでなく、仕草や振る舞い、考え方が洗練されていない、という使い方が一般的で、もちろん褒め言葉ではありません。
大切なデートで割り勘にする、機械の配線ができない、いちいち道に迷うなど、異性関係において「ださい行動」とされるパターンはたくさんありますので、男性は特に注意しておきましょう。
一方、大学ではかつて「バンカラ(野蛮なカルチャー)」が流行し、あえてださいと思われる身なりや振る舞いを徹底することで洒脱なトレンドに対抗しようというムーブメントがありました。
対義語③どんくさい
洒脱な人は日常でも行動がスマートで無駄がなく、仕事やプライベートでもてきぱきと物事をこなすものです。
一方、どんくさい人は行動にも無駄が多く、同じ量の作業をまかされたとしてもどうしてもこなすまでに時間がかかってしまいます。
ただ、どんくさいことがどんな場合でもマイナスになるわけではなく、ひとつひとつの仕事を慎重かつ丁寧にこなすという意味では、プラスにもなり得ます。
対義語④時代遅れ
どんな流行も永遠ではなく、時が経てばやがてトレンドの最前線から忘れ去られ、時代遅れの遺物となっていきます。洒脱がおしゃれの類語とするなら、対義語は時代遅れということになるでしょう。
かつて、早稲田大学で主流となった「バンカラ」は、当時としても時代遅れになっていた下駄と学ランというファッションをあえてエリート層が取り入れることによって、在野精神のアピールにつながっていました。
ただ、過去のものがすべて無条件に時代遅れになるわけではなく、トランジスタラジオやブラウン管テレビなど、古びたものだからこそ現代ではかえって新しく見える、ということもあります。
洒脱の使い方
基本的には褒め言葉としての使い方が多い洒脱という言葉ですが、日常のシチュエーションではどのように使うのが正解なのでしょうか。洒脱の例文を通して、より深い意味と使い方を掘り下げていきましょう。
例文①
「あの政治家は若いながらも、洒脱なジョークによって有権者の心を惹きつける能力に長けている」。偉大な政治家ほどユーモアのセンスにすぐれ、聴衆の心に突き刺さる洒脱なジョークの言い方を心得ているものです。
政治家の魅力は、国の魅力と同じです。現代の政治家で、本当の意味で洒脱といえる政治家がどれだけいるでしょうか。
例文②
「父は病床にあってもユーモアを忘れず、最期の瞬間までジョークを絶やさない洒脱な人だった」。ユーモアとは「にもかかわらず」笑うことである。
楽しい時、嬉しい時に笑うのは当たり前で、辛い時にこそいかにユーモアを大切にし、心から笑えるかがその人の人生の本当の価値と言えるのかもしれません。
例文③
「先生は授業の度に洒脱なジョークを言って僕たちを笑わせてくれた」。学生時代を思い出すと、人気のある先生は得てして洒脱で、ユーモアにあふれていたものです。皆さんの場合はいかがでしょうか。
例文④
「最近のテレビでは、洒脱なジョークやウィットで観客を笑わせられる芸人がいなくなったような気がする」。
芸人の本分は笑わせることで、笑われてはならない。喜劇の鉄則のような格言ですが、果たして、本当の意味で客を笑わせることができる芸人が現代にどれほどいるのでしょうか。
洒脱の注意点
洒脱はしばしば「酒脱」と書かれ、混同される場合がありますが、酒脱という言葉はありません。また、洒脱を「しゅだつ」と読むのも誤りですので、使い方と合わせて注意が必要です。なお、瀟洒を「瀟酒」と表記するのも誤りで、意味が通らなくなります。
洒脱とは「おしゃれで洗練されている」という意味
洒脱とは本来「無駄がなく洗練されている」という意味の言葉で、振る舞いや生き方がおしゃれな人やセリフに対して使われます。
英語ではスマート、クールという表現になり、野暮、ださい、どんくさいなどの対義語がありますので、例文と合わせておさえておきましょう。