憐憫の意味とは?
「憐憫(れんびん)」という言葉を小説などの文章の中やテレビドラマの中などで見たり聞いたりすることがありますが、「憐憫」の意味とはいったいどういう意味なのかと聞かれた時にちゃんと答えられる人は少ないでしょう。
「憐憫」という言葉はかなり難しい日本語の一つで、日常的に使う人はほとんどいません。それほどに「憐憫」という言葉は日常生活にはなじみのない言葉だと言えます。
「憐憫」という言葉にはいったいどのような意味があるのか、「憐憫」の意味についてご紹介しましょう。
かわいそうに思うことという意味
「憐憫」の意味の一つ目は、「かわいそうに思うこと」という意味です。不幸な人などを目にした時に「かわいそう」と思うことが「憐憫」だということです。
「憐憫」という言葉は日常生活の中では滅多に使われない難しい日本語ですが、実は意味はとても簡単です。
「憐憫」にはちょっと難しい意味もありますが、基本的には「かわいそうに思う」という簡単な意味で覚えておけばOKですので、「憐憫」の意味は「かわいそうに思うこと」と覚えておきましょう。
あわれみの気持ちという意味
「憐憫」の意味の二つ目は、「あわれみの気持ち」という意味です。「あわれみ」の意味は「慈悲」「かわいそうに思う」という意味ですので、一つ目の意味と同じです。
「あわれみ」には単に「かわいそう」というだけではなく、より深く「かわいそうに思う」というニュアンスがあります。
「憐憫」の意味は基本的には「かわいそうに思うこと」と覚えておけば大丈夫ですが、もう少し深い意味で「かわいそうに思うこと」として「あわれみの気持ち」という意味もあるということです。
ふびんに思うことという意味
「憐憫」の意味の三つ目は、「ふびんに思うこと」という意味です。「ふびんに思う」の意味は「他に同情して心を痛める」という意味ですので、先にご紹介した二つの意味よりさらに「かわいそうに思う」という意味になります。
「憐憫」という言葉は「憐憫の情」などという難しい使い方がされますが、そういった場合にはこちらの「ふびんに思う」という意味で使われることが多いと言えます。
ですが「ふびんに思う」というのも軽く言えば「かわいそうに思う」になりますので、「憐憫」の意味は「かわいそうに思うこと」とだけ覚えておいても良いでしょう。
憐憫の対義語・類語
「憐憫」の意味についてご紹介しましたので、次は「憐憫」の対義語と「憐憫」の類語についてご紹介します。
「憐憫」の意味は「かわいそうに思うこと」「あわれみの気持ち」「ふびんに思うこと」ですので、反対の意味を持つ言葉が「憐憫」の対義語になり、似た意味を持つ言葉が「憐憫」の類語になります。
「憐憫」という言葉の対義語と類語に当たる言葉にはいったいどのような言葉があるのか、「憐憫」の対義語と類語についてご紹介しましょう。
憐憫の対義語
まずは「憐憫」の対義語についてご紹介します。「憐憫」の意味は「かわいそうに思うこと」「あわれみの気持ち」「ふびんに思うこと」ですので、これらとは反対の意味を持つ言葉が「憐憫」の対義語になります。
「かわいそうに思うこと」「あわれみの気持ち」「ふびんに思うこと」の三つの意味のいずれかと反対の意味を持つ言葉なら、「憐憫」の対義語だと言えます。
「憐憫」とは反対の意味を持つ「憐憫」の対義語とはいったいどのような言葉なのか、「憐憫」の対義語についてご紹介します。
無慈悲
「憐憫」の対義語の一つ目は、「無慈悲」です。「無慈悲」の意味は「あわれみの心がないこと」という意味で、「憐憫」の意味「あわれみの気持ち」とは正反対の意味になるため「憐憫」の対義語と言えます。
「憐憫」の意味「あわれみの気持ち」の「あわれみ」には「慈悲」という意味もありますので、「慈悲」がない「無慈悲」はその点でも「憐憫」の対義語としてふさわしいです。
「憐憫」の対義語はいくつかありますが、「無慈悲」は「憐憫」とは全く逆の意味を持つため、「憐憫」の代表的な対義語であると言えます。
非情
「憐憫」の対義語の二つ目は、「非情」です。「非情」の意味は「人間らしい思いやりの感情を持たないこと」という意味ですので、一見すると「憐憫」の対義語ではないようですが「非情」も「憐憫」の対義語の一つです。
「憐憫」には「かわいそうに思うこと」という人間らしい思いやりの感情の意味がありますので、それがない「非情」は「憐憫」の対義語だと言うことができます。
「非情」は直接的な意味では「憐憫」の対義語とは言えませんが、間接的な意味では「憐憫」の対義語になるということです。
薄情
「憐憫」の対義語の三つ目は、「薄情」です。「薄情」の意味は「人間らしい情がないこと」「思いやりの気持ちがないこと」という意味ですので、こちらも「憐憫」の対義語には見えませんが「憐憫」の対義語です。
「薄情」という言葉も先にご紹介した「非情」と同じように、人間らしい思いやりの気持ちがないという点で、「憐憫」の間接的な対義語だと言えます。
「憐憫」の対義語を三つご紹介しましたが、「憐憫」の対義語として最もふさわしいのは「無慈悲」ですので、「無慈悲」が「憐憫」の対義語だと覚えておきましょう。
憐憫の類語
「憐憫」の対義語についてご紹介しましたので、次は「憐憫」の類語についてご紹介します。「憐憫」の意味は「かわいそうに思うこと」「あわれみの気持ち」「ふびんに思うこと」ですので、似た意味を持つ言葉が「憐憫」の類語になります。
「憐憫」の三つの意味すべてにあてはまる言葉を探すのは難しいですが、「憐憫」の三つの意味のいずれかに似た意味を持つ言葉なら「憐憫」の類語だと言えます。
「憐憫」という言葉に似た意味を持つ類語にはいったいどのような言葉があるのか、「憐憫」の類語についてご紹介しましょう。
惻隠
「憐憫」の類語の一つ目は、「惻隠(そくいん)」です。「惻隠」の意味は「かわいそうに思うこと」「あわれむこと」という意味で、「憐憫」と同じ意味を持つ類語です。
「憐憫」という言葉は「憐憫の情」などという使い方をしますが、「惻隠」も「惻隠の情」などという使い方をします。
「惻隠」は意味だけではなく使い方という点でも「憐憫」に極めて近い意味を持つ類語だと言うことができます。
憐情
「憐憫」の類語の二つ目は、「憐情(れんじょう)」です。「憐情」の意味は「あわれみの心」「人をあわれむ気持ち」という意味で、「憐憫」の意味「あわれみの気持ち」と同じ意味を持ちますので「憐憫」の類語になります。
先にご紹介した「惻隠」は使い方も「憐憫」と同じですが、「憐情」は「憐憫」と同じように使うことはできません。「情」という文字が入っているため、「憐情の情」などという使い方は出来ないということです。
「憐情」は使い方という点では「憐憫」とは違いますが、意味は「憐憫」と同じですので「憐憫」の類語の一つとして挙げられます。
不憫
「憐憫」の類語の三つ目は、「不憫(ふびん)」です。「不憫」の意味は「かわいそうなこと」「気の毒なこと」という意味で、「憐憫」の意味「ふびんに思うこと」と似ているため「憐憫」の類語になります。
「不憫」の意味は「かわいそうなこと」ですので、「思う」という意味は含まれていません。その点が「不憫」と「憐憫」との大きな違いです。
「憐憫」にはいくつか類語がありますが、意味も使い方も似ているのは「惻隠」ですので、「憐憫」の類語は「惻隠」だと覚えておくと良いでしょう。
憐憫の使い方・例文
「憐憫」の対義語と類語についてご紹介しましたので、次は「憐憫」の使い方の例文についてご紹介します。
「憐憫」には「かわいそうに思うこと」「あわれみの気持ち」「ふびんに思うこと」という意味がありますので、こういったことを表したい場合に「憐憫」という言葉を使うことができます。
「憐憫」という言葉はいったいどのように使えば良いのか、「憐憫」の使い方の例文についてご紹介しましょう。
例文①
「憐憫」の使い方の例文の一つ目は、「別れた彼氏への思いを断ち切ることができない彼女に、みんなは憐憫の目を向けている」という例文です。
「憐憫」という言葉は「憐憫の目」という使い方をすることも結構多く、この例文ではこの「憐憫の目」という使い方で「かわいそうに思うあわれみの目」を表しています。
「あわれみ」と言うとちょっと上から目線のイメージがありますが、「憐憫」には同情するイメージもあり、こちらの使い方では「同情」という意味で「あわれみ」と言っています。
例文②
「憐憫」の使い方の例文の二つ目は、「色々と不幸続きの彼を憐憫のまなざしで見る人も多いが、彼自身はいたって元気だ」という例文です。
この例文では「憐憫のまなざし」という使い方をしています。「まなざし」というのは「視線」を意味しますので、「憐憫のまなざし」は「憐憫の視線」ということになり、簡単に言えば先にご紹介した「憐憫の目」と同じです。
「憐憫のまなざし」は「見る」の他に「送る」という言い方をすることもあり、この場合は「憐憫のまなざしを送る」になります。
例文③
「憐憫」の使い方の例文の三つ目は、「彼はいつも仕事第一でとても厳しいため、憐憫の情がない人だと言われている」という例文です。
この例文では「憐憫の情」という形で「憐憫」が使われています。「憐憫」という言葉は「情」という言葉とセットで使われることが多いです。
「憐憫の情」の意味は「人をあわれんで情けをかける気持ち」という意味ですが、この例文では「憐憫の情」が「ない」と言っていますので、「人をあわれんで情けをかける気持ちがない」ということになります。
例文④
「憐憫」の使い方の例文の四つ目は、「彼は自己憐憫がひどすぎて、周囲の人も相手にしなくなった」という例文です。
この例文では「自己憐憫」という形で「憐憫」が使われています。「憐憫」は「憐憫の目」「憐憫の情」などの他に、このような使い方もできます。
「自己憐憫」の意味は「自分で自分のことをかわいそうだと思う気持ち」という意味で、あまり良いイメージはありませんが、「憐憫」の使い方の一つとして覚えておくと良いでしょう。
憐憫の由来
「憐憫」の使い方の例文についてご紹介しましたので、次は「憐憫」の由来についてご紹介します。日本語には語源や由来がある古い難しい言葉がたくさんありますが、「憐憫」もそんな日本語の一つです。
難しい日本語には故事成語のように物語などに語源や由来がある言葉も多いですが、「憐憫」には故事成語のような語源や由来はありません。
「憐憫」という言葉にはいったいどのような由来があるのか、「憐憫」の由来についてもご紹介しましょう。
隣人同士が抱く心を意味する文字が由来
「憐憫」の由来は「隣人同士が抱く心」を意味する「憐」という漢字です。「憐」という漢字の由来は「隣」で、「隣」に「心」を意味する「りっしんべん」がついたために「隣人同士が抱く心」になりました。
そして「憐憫」の「憫」という漢字は古語の「便なし」という言葉から来ていて、長い月日の中で「便」が「憫」になり、現在の「憐憫」へと変化してきました。
この二つの漢字を組み合わせることで「隣の人から便りがなく、心配だ」となり、「かわいそうに思うこと」「あわれみの気持ち」「ふびんに思うこと」という意味を持つ「憐憫」になったということです。
憐憫の英語表記
「憐憫」の由来についてご紹介しましたので、次は「憐憫」の英語表記についてご紹介します。難しい意味や繊細な意味を持つため英語に訳することができない日本語は多いですが、「憐憫」もそんな難しい日本語の一つです。
英語に翻訳するのが難しい日本語を英語に訳する場合には、意訳を使う場合が多く、本来の意味とは少し異なった意味になることが多いです。
「憐憫」という言葉を英語表記するにはどのような英語を使えば良いのか、「憐憫」の英語表記についてもご紹介しましょう。
あわれみを意味する「pity」
「憐憫」の英語表記として代表的な英語は「pity」です。「pity」には「あわれみ」という意味がありますので、「憐憫」を「あわれみの気持ち」という意味で英語に訳する場合には「pity」が使われます。
他に「慈悲」「情け」を意味する「mercy」という英語も「憐憫」の英語表記に使われます。また「切実な同情」「あわれみ」の意味を持つ「compassion」も「憐憫」の英語表記に使われることがあります。
憐憫はかわいそうに思うことという意味
「憐憫」の意味や使い方の例文、「憐憫」の対義語や類語などについて色々とご紹介してきましたが、如何だったでしょうか。
「憐憫」の意味は「かわいそうに思うこと」という意味ですので、「憐憫」の正しい意味を理解して正しく使いましょう。